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「第1話 空の王国-4」(2010/07/10 (土) 17:20:34) の最新版変更点
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私たちはラーの都で情報収集を開始した。
確かに、聞いている通り方々で兵士達の横暴は酷く、住民達は皆疲弊している。
税が払えないものは奴隷として売られていくという話もよく聞いた。
ふーむ・・・。
私は解放軍のアジトで出された蒸しトウモロコシを齧りながら考えていた。
ちなみにここに来てから食事はずっと蒸しトウモロコシだ。
ベルナデットが捕らえられているのは太守の城の地下にある牢獄らしい。
彼女はそこに4年間幽閉されており、その間に牢獄に張られた結界によって封じられている魔力をほんの少しずつ貯めて私を呼び寄せた時のゲートの開放に使ったらしい、ちなみに遺物をゲートの周りに撒いたのもやはり彼女だった。
私はまんまと釣り上げられたわけだ。
ちなみに私達が下界へ戻る方法はといえば・・・・。
『私を解放してくれたら、魔力を集めて帰りのゲートを開いてあげるわ。本当はそんな手を使わなくても、本来この浮遊大陸のゲートとシードラゴン島のゲートは自由に行き来できるようになっていたんだけど、10年前に島に人が入った時にシャットダウンしたの』
DD達がシードラゴン島を発見した時の事だろう。
なるほどな。どんな人間達が外から来たのかわからないし、安全の為に往来を閉ざしたのだろうな。
『ゲートの設定は神都でしかできないからね』
ふむ・・・という事はいずれこの国とアンカーの町が交流を持つ事も夢ではないと言う事か。
まあ、それは実現するにしても先の事だろう。今は目の前の問題に集中しなくては・・・・。
ロイドに説明を受ける。どうやら太守側には手練が2人いるらしい。
兵力差で既に終わっていると言うのにその上辣腕の使い手までいるのか・・・。
どんどん絶望的になっていくな。
「剣士ゴルゴダと妖術師ヨアキムの2人です。ヨアキムはベルナデット様を捕らえて結界に閉じ込めた術師です」
と言う事はその妖術師を倒せば結界は解けるのか?
私の問いにロイドは首を横に振った。
「どうやらそういったタイプの結界では無いようです。ですが現地までたどり着ければ外からなら解除は容易な造りをしているとか・・・」
どうやっても彼女の元まで辿り付く必要があると言う事か。
しかし・・・・。
太守の城の見取り図などを見てみる・・・・が。
内部に突入してベルナデットを救出して更に脱出するなど到底無理そうだ。
うぬぬぬ。思わず頭を抱えてしまう。
「あまり根詰めていては良い案も出てきませんよ。少し気分転換に街へ出てみませんか」
ルクに言われて顔を上げる。
確かにそうかもしれないな。ひとまず風に当たって頭を冷やすとするか・・・・。
ルクと連れ立って街へ出た。
しばらく買い物や食事をして二人で過ごす。
その帰り道、ルクはそっと腕を組んできた。
「エリスやDDには悪いと思いますが、今だけはここへ飛ばされてきた事をベルナデットに感謝します」
そう言って彼女は微笑んだ。
・・・!!
ふいに威圧感を感じて視線をルクから前方へと戻した。
通りをこちらへ向かって一人の男が歩いてくる。
体格のいい長剣の鞘を腰に下げた男。
左の頬にキズがある・・・聞いていた特長と合致する。
・・・・ゴルゴダだ。
往来の真ん中で私たちはすれ違う。
「んんー?」
ゴルゴダが足を止めてこちらを伺ってきた。
「見ない顔だなぁ兄さんよ」
私は顔を伏せて、旅の者です。この街には先日着いたばかりで・・・、と答えた。
「何だそうか。いやすまねぇなデートの最中に呼び止めちまってよ」
はっは、と笑い声を上げてゴルゴダは私に背を向けた。
やり過ごしたか・・・そう思った瞬間。
ギイイイン!!!!
甲高い金属音が響き渡った。
ゴルゴダが振り向きざまに鞘から抜き放った長剣で私に横薙ぎに斬りつけて来たのだ。
その一撃を私は鞘に納めたままの神剣で受けた。その音だった。
完全に殺すつもりの一撃だった。
「・・・・・けどよ、ただの旅人にこの一撃は受けらんねぇよなぁ?」
ギラリと目を輝かせたゴルゴダが舌なめずりする。
ゴルゴダの剣はいくつもの節に分かれてノコギリのような刃のついた不気味な剣だった。
往来を行く人々が悲鳴を上げて逃げ惑う。
「俺の名はゴルゴダ。ゴルゴダ・ヴェノーシャだ。名乗っておきな兄さん。俺に殺されちまう前によ」
ウィリアム・バーンハルトだ。
正直に名乗る。この地で名を伏せる事も偽名を使う事も意味は無いだろう。
「それじゃ行くぜぇ!! バーンハルト!!!」
叫び声と共にゴルゴダが剣を振るった。
!? 遠いぞ・・・・真空刃か何か飛ばしてくるつもりか!?
しかしそうではなかった。ゴルゴダの剣は節で分裂しまるでムカデの胴体の様にくねりうねって私に襲い掛かってきた。
鞭剣・・・・ウィップブレードか!!
間合いが広く変幻自在の武器だ。扱いは難しく使いこなすにはかなりの修練が必要な特殊剣。
雨のように斬撃が降り注ぐ。
そのうち数条の剣閃が私に傷をつけていった。
「ウィリアム!」
叫んでルクがグングニールを呼び出す。
「へえ! そっちの姉ちゃんも遊べそうじゃねえか!!」
ルク!危ない下がっているんだ!
そう、彼女の方を向いて叫んだその時、私は異様な力に捕まりガクンと身体を震わせた。
バッと振り向く。
私の背後、離れた場所に黒いローブの男が立っていた。
青白い顔の痩せた男。
その男の両手が私へ向けられており、不気味に赤く輝いている。
「ヨアキム! 邪魔すんじゃねえ!!」ゴルゴダが叫ぶ。
妖術師ヨアキム! 何か術をかけられたか!!
そのヨアキムへ、ルクが上空から襲い掛かった。
「・・・・ぬぅ!?」
辛うじてそのルクの一撃をかわすヨアキム。
術が途切れて私は地面に両膝をついた。
「ンフフフフ・・・・中途半端だが術はかかったぞ。お前はもう本来の力で戦う事はできん」
不気味にヨアキムが笑う。
く・・・何だ・・・・身体に力が入らん・・・・。
「あーあ・・・くそう、やっちまいやがってよぉ。久しぶりのデカい獲物だったのによ・・・」
ゴルゴダがばりばりと頭をかいた。
その私の元にルクが飛来すると私を抱えて上空へ飛び上がった。
ゴルゴダはちらりとこちらを伺ったが、追撃はしてこなかった。
交戦した通りからずっと離れた場所まで飛翔し、ルクは私を降ろした。
「大丈夫ですか、ウィリアム!!」
言って私を見る。
その手からガランと音を立ててグングニールが落ちた。
「・・・あ・・・あぁ・・・・」
目を見開いてわなわなと震えている。
何だ、どうした・・・私はどうなった・・・・?
く、何だ・・・服がぶかぶかになっている・・・。
窓ガラスを見る。
!!!!!!!
そこに映った自分の姿を見て愕然とする。
12,3歳の少年が映っている。
私は、ヨアキムの術を受けて子供にされてしまっていたのだ・・・・。
~探検家ウィリアム・バーンハルトの手記より~
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私たちはラーの都で情報収集を開始した。
確かに、聞いている通り方々で兵士達の横暴は酷く、住民達は皆疲弊している。
税が払えないものは奴隷として売られていくという話もよく聞いた。
ふーむ・・・。
私は解放軍のアジトで出された蒸しトウモロコシを齧りながら考えていた。
ちなみにここに来てから食事はずっと蒸しトウモロコシだ。
ベルナデットが捕らえられているのは太守の城の地下にある牢獄らしい。
彼女はそこに4年間幽閉されており、その間に牢獄に張られた結界によって封じられている魔力をほんの少しずつ貯めて私を呼び寄せた時のゲートの開放に使ったらしい、ちなみに遺物をゲートの周りに撒いたのもやはり彼女だった。
私はまんまと釣り上げられたわけだ。
ちなみに私達が下界へ戻る方法はといえば・・・・。
『私を解放してくれたら、魔力を集めて帰りのゲートを開いてあげるわ。本当はそんな手を使わなくても、本来この浮遊大陸のゲートとシードラゴン島のゲートは自由に行き来できるようになっていたんだけど、10年前に島に人が入った時にシャットダウンしたの』
DD達がシードラゴン島を発見した時の事だろう。
なるほどな。どんな人間達が外から来たのかわからないし、安全の為に往来を閉ざしたのだろうな。
『ゲートの設定は神都でしかできないからね』
ふむ・・・という事はいずれこの国とアンカーの町が交流を持つ事も夢ではないと言う事か。
まあ、それは実現するにしても先の事だろう。今は目の前の問題に集中しなくては・・・・。
ロイドに説明を受ける。どうやら太守側には手練が2人いるらしい。
兵力差で既に終わっていると言うのにその上辣腕の使い手までいるのか・・・。
どんどん絶望的になっていくな。
「剣士ゴルゴダと妖術師ヨアキムの2人です。ヨアキムはベルナデット様を捕らえて結界に閉じ込めた術師です」
と言う事はその妖術師を倒せば結界は解けるのか?
私の問いにロイドは首を横に振った。
「どうやらそういったタイプの結界では無いようです。ですが現地までたどり着ければ外からなら解除は容易な造りをしているとか・・・」
どうやっても彼女の元まで辿り付く必要があると言う事か。
しかし・・・・。
太守の城の見取り図などを見てみる・・・・が。
内部に突入してベルナデットを救出して更に脱出するなど到底無理そうだ。
うぬぬぬ。思わず頭を抱えてしまう。
「あまり根詰めていては良い案も出てきませんよ。少し気分転換に街へ出てみませんか」
ルクに言われて顔を上げる。
確かにそうかもしれないな。ひとまず風に当たって頭を冷やすとするか・・・・。
ルクと連れ立って街へ出た。
しばらく買い物や食事をして二人で過ごす。
その帰り道、ルクはそっと腕を組んできた。
「エリスやDDには悪いと思いますが、今だけはここへ飛ばされてきた事をベルナデットに感謝します」
そう言って彼女は微笑んだ。
・・・!!
ふいに威圧感を感じて視線をルクから前方へと戻した。
通りをこちらへ向かって一人の男が歩いてくる。
体格のいい長剣の鞘を腰に下げた男。
左の頬にキズがある・・・聞いていた特長と合致する。
・・・・ゴルゴダだ。
往来の真ん中で私たちはすれ違う。
「んんー?」
ゴルゴダが足を止めてこちらを伺ってきた。
「見ない顔だなぁ兄さんよ」
私は顔を伏せて、旅の者です。この街には先日着いたばかりで・・・、と答えた。
「何だそうか。いやすまねぇなデートの最中に呼び止めちまってよ」
はっは、と笑い声を上げてゴルゴダは私に背を向けた。
やり過ごしたか・・・そう思った瞬間。
ギイイイン!!!!
甲高い金属音が響き渡った。
ゴルゴダが振り向きざまに鞘から抜き放った長剣で私に横薙ぎに斬りつけて来たのだ。
その一撃を私は鞘に納めたままの神剣で受けた。その音だった。
完全に殺すつもりの一撃だった。
「・・・・・けどよ、ただの旅人にこの一撃は受けらんねぇよなぁ?」
ギラリと目を輝かせたゴルゴダが舌なめずりする。
ゴルゴダの剣はいくつもの節に分かれてノコギリのような刃のついた不気味な剣だった。
往来を行く人々が悲鳴を上げて逃げ惑う。
「俺の名はゴルゴダ。ゴルゴダ・ヴェノーシャだ。名乗っておきな兄さん。俺に殺されちまう前によ」
ウィリアム・バーンハルトだ。
正直に名乗る。この地で名を伏せる事も偽名を使う事も意味は無いだろう。
「それじゃ行くぜぇ!! バーンハルト!!!」
叫び声と共にゴルゴダが剣を振るった。
!? 遠いぞ・・・・真空刃か何か飛ばしてくるつもりか!?
しかしそうではなかった。ゴルゴダの剣は節で分裂しまるでムカデの胴体の様にくねりうねって私に襲い掛かってきた。
鞭剣・・・・ウィップブレードか!!
間合いが広く変幻自在の武器だ。扱いは難しく使いこなすにはかなりの修練が必要な特殊剣。
雨のように斬撃が降り注ぐ。
そのうち数条の剣閃が私に傷をつけていった。
「ウィリアム!」
叫んでルクがグングニールを呼び出す。
「へえ! そっちの姉ちゃんも遊べそうじゃねえか!!」
ルク!危ない下がっているんだ!
そう、彼女の方を向いて叫んだその時、私は異様な力に捕まりガクンと身体を震わせた。
バッと振り向く。
私の背後、離れた場所に黒いローブの男が立っていた。
青白い顔の痩せた男。
その男の両手が私へ向けられており、不気味に赤く輝いている。
「ヨアキム! 邪魔すんじゃねえ!!」ゴルゴダが叫ぶ。
妖術師ヨアキム! 何か術をかけられたか!!
そのヨアキムへ、ルクが上空から襲い掛かった。
「・・・・ぬぅ!?」
辛うじてそのルクの一撃をかわすヨアキム。
術が途切れて私は地面に両膝をついた。
「ンフフフフ・・・・中途半端だが術はかかったぞ。お前はもう本来の力で戦う事はできん」
不気味にヨアキムが笑う。
く・・・何だ・・・・身体に力が入らん・・・・。
「あーあ・・・くそう、やっちまいやがってよぉ。久しぶりのデカい獲物だったのによ・・・」
ゴルゴダがばりばりと頭をかいた。
その私の元にルクが飛来すると私を抱えて上空へ飛び上がった。
ゴルゴダはちらりとこちらを伺ったが、追撃はしてこなかった。
交戦した通りからずっと離れた場所まで飛翔し、ルクは私を降ろした。
「大丈夫ですか、ウィリアム!!」
言って私を見る。
その手からガランと音を立ててグングニールが落ちた。
「・・・あ・・・あぁ・・・・」
目を見開いてわなわなと震えている。
何だ、どうした・・・私はどうなった・・・・?
く、何だ・・・服がぶかぶかになっている・・・。
窓ガラスを見る。
!!!!!!!
そこに映った自分の姿を見て愕然とする。
12,3歳の少年が映っている。
私は、ヨアキムの術を受けて子供にされてしまっていたのだ・・・・。
~探検家ウィリアム・バーンハルトの手記より~
[[第1話 3>第1話 空の王国-3]]← →[[第2話 翼を求めて>第2話 翼を求めて-1]]