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「実践:市場創造の経営学」より

【例えばラーメン店について】
●ラーメン道の本質。
 ラーメン店が全国で飽和状態となってきたようです。行列になる店が話題
になり、味についてのその道の師匠が登場しています。では、ラーメンに最
高の味があるのでしょうか? この問題の答えが見つかるとラーメン店の成
功は保証されるものと、漠然と考えている経営者が多くいます。
 そこで、このラーメン店の"味"の問題から入ってみましょう。

◇【ラーメンの味は人気投票】
 どのラーメンの味が"おいしい"のか。「行列の出来る店の味がおいしいに
決まっている」「あの師匠の味が一番」「カップヌ~ドルが一番」。 どれ
も正解ですね。お客様の立場、つまり食べる側になって考えれば自分の好き
なものが一番に決まってますね。では、どうして繁盛店とつぶれる店が出来
るのでしょうか? 「この店の味が一番」と思ってくれる人が多いか少ない
かですね。当然です。

 それでは、どの味が多くの人に指示される味であるのかです。
 例えば、宇多田ヒカルの曲を始めて聞いた時、若いときのように感動はな
いのですが、これはヒットするなと思いました。歌もうまい。一方、今やお
じいちゃんになった加山雄三の歌は「へたくそ」と誰もが思ったのですが大
ヒットしました。郷ひろみもいまや大御所でありますが、デビュー当時の下
手なこと。その後歌いこんで上手になったのでしょうが、ヒットする曲が必
ずしも技術的にレベルの高いものではないのです。
 どんな商品にもこの原則はあります。ラーメンの繁盛店にも色々な理由が
あると見るべきでしょう。そして、繁盛するのは幸運が80%であると言い
たいのです。

◇【マーケットリサーチに基づく開発】
 統計学的に有効な"味"のリサーチをしたことがある方があったら、ぜひ一
報ください。そして、そのリサーチに基づいて、ヒットするであろう味を自
分の好みではなく作り出して繁盛店を作ったなら、それは他の多くの産業で
行われているマーケットリサーチに基づく”商品開発”レベルであることに
なります。そして、その先に今トヨタ自動車などで行き詰まりを見せている
”面白くないデザインばかり”という問題が出てくるのです。当社の言い方
では【ポスレジのバカ】となるのです。
 つまり、ラーメン店に限らず、店舗経営の多くが、他の産業では数十年の昔から常識となっている管理技術が今だに普及しておらず、お粗末な議論が続いているのです。まだまだ2段も3段も運営技術はレベルが低いと店舗経営者は自覚するべきです。 
 そして、そこにこの不況下の市場において通用する経営努力の方向がある
のです。

◇【ラーメンは調理のレベルで味わえ】
 それでは苦労して独自の味を開発することは無意味なのでしょうか。とん
でもない。トヨタがこれほどまでになったのは、マーケットリサーチに基づ
いて導き出された結果を”高い品質”で具現化できる製造、生産技術を開発
し続けてきたからです。 
 ラーメン店で言えば、どのような味も高い品質で作れる調理技術がなけれ
ば成功し得ないのです。作り出す味について、現在のところ自分の経験と勘
によって、多くのお客様に好まれるであろう予測のものであったとしても、
更には単なる自分の好みで売れるか売れないかは、運だけが便りであったと
しても、調理のレベルは最高のレベルを目指しておくことは努力の基本であ
ります。 
 だから、食べる側としては、自分の好みであるかないかは別として、調理
のレベルを楽しむことが、最高の楽しみであり、作る人の努力に報いること
でもあります。

●売れる店作り。
 では、どうすれば売れるお店が作れるのでしょうか。 

◆【立地条件の読み方】
 ある有名なフランチャイズのラーメン店のお話をしましょう。 
 その店は、土曜日曜となると近所に強力な集客ポイントがあり、売上の半
分以上を稼ぎ出してしまいます。 その反面、平日や夜間などは、まばらな
集客しか出来ていません。
 この店の場合、"多種類の立地がある"と見るべきなのです。
(1)土曜日曜の回転率で商売を考えられる、一般的に良い立地と信じられ
ている条件。
(2)平日の、近所のサラリーマンの昼食としての条件。
(3)平日の、サラリーマンの夕食としての条件。
(4)平日の、昼間のご近所の奥様方のお昼のお食事としての条件。
(5)夜の夜食としての条件。
 このぐらいの条件を分類しておかなければならないところなのです。 立
地によって違ってくるのですが、5つに分類して、それぞれの対処方法を考
えなければならない条件は、「難しい」といってよいと思います。 つまり
、極端な言い方をすれば、「5つの別の商売をしなければならない」立地な
のです。

◆【何を売る店ですか?】
 この様に、売上の偏りが極端な立地では、いくつもの別の商売を同時にし
なければならない状態になります。 これに対処するには「何を売る店なの
か」の認識が決め手になります。

 この店の持っている上記それぞれの条件について、「何を売る店なのか」
を考えていきます。
(1) 土曜日曜。
 特別な集客をしなくても回転率を上げることを考えればいい立地です。 
これは、ラーメン店としては基本的な商売であります。 本来、ラーメンは
食事であり日々の糧ですので、特別な料理ではなく、ごく一般的庶民の食事
であります。 それは基本的に、美食趣味というより<満腹感>を得るため
のものでありますから、この店の場合、この集客の多い時期については、基
本的な<満腹感を売る店>であります。
 <大盛りラーメン>の欲しい時間帯です。 

(2) 平日のサラリーマンの昼食。
(1)と同様、<満腹感を売る店>であります。 しかし、仕事の途中と土
曜日曜の遊びの時との違いが商売を区別することになります。

(3) 平日のサラリーマンの夕食。
 昼食のときと基本的に違いがないように思われるのですが、夕食時は<く
つろぎ>の要素を重視しなければなりません。 例えば、酒類の内容や出し
方にアイディアが必要です。 <満腹感とくつろぎを売る>店でしょうか。

(4) 平日の奥様方のお昼のお食事。
 「グルメ趣味のお時間」であります。 この時間帯では<味>が最も重視
されるものだと考えるのですが、意外にも<ある程度の味>があれば、その
他の要素のほうが集客に寄与することが多いものです。 意外に味について
は趣味が分かれるもので、1つの味で多くの人の趣味に合うものはないもの
です。 そこで、<エンターテイメント>です。 調理のレベルが高く良い
味が出せているのであれば、それが<良い味>であることをどのようにして
お客様に解っていただくかであります。
 「しゃべるな」「だまって食べろ」など絶対の自信を示したり、カウンタ
ーコーナーをひとりひとりのブースにしたり、食べることに集中させること
で本人の趣味とは別に、「これがラーメンの味だ」と強烈に示すことで、<
良い味である>と半強制的に思わせてしまう方法であります。 お客様にと
って、それも1つのパフォーマンスとして楽しんでくれて、調理のレベルの
高い味であれば、自分の趣味としていただける方も多く出ることになります
。 これは、この時間帯に限らず全ての時間帯について、基本的に良い影響
を与えるものです。

(5) 夜食の時間帯。
 夕食の時間帯とあわせて、デートにも良い場所が好まれる時間帯です。 
また、夜食独自の<料理の量>を考えておくべきです。 3時のおやつの時
間帯と同じように、少量で多種類のものを食べる時間帯でもあります。 そ
れは同時に<酒のつまみ>にも共通するものです。 しかし、この時間帯は
広い地域からの集客のチャンスのある時間帯であり、過去の多くの経験から
、売上が2倍3倍にもなるチャンスは、この時間帯の取り組み如何であると
言ってよいでしょう。 この時間帯に来店し、良い印象をもったお客様は、
他の時間帯の集客に対しても多大の影響を持っているようなのです。 女性
客の集客に成功した飲食店は、全体の集客にも成功することが多いという例
と同様です。 

●すべては書ききれませんが、このような多様な商売を小規模な店で行うこ
とは、"人手間"のうえで難しいものです。 しかし、出来るだけ手間をかけ
ずに対応することが、売上を伸ばすことになります。 つまり、工夫が必要
です。
 この辺りからが管理技術の考え方を取り入れなければならないところです

 わたしなら、まずトッピングで何が出来るのかを考えます。

●【店のつくりで自ら客層や時間帯を絞り込んでしまっている】
 この事例となった店舗については、時間帯についての考察が不十分のため
、店の作りそのものが、かなり制約を作ってしまっています。 もったいな
いものです。 どうしても回転率で考えることしか発想できないようで、こ
のフランチャイズ本部も売上不振の店舗を多く作ってしまうようです。 
 <立地条件>を余りにも単一に考えすぎて、自分からお客様の数を絞り込
んでしまっているのです。