第3話アフターストーリー


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※このページには文章レベルの低い百合描写が含まれています

After episode 3-1「雨宮菜月の暴走」


シンヤによる桜木家襲撃事件から3日後の月曜日、いつも通り華音と菜月は一緒に通学路を歩いていた。
「この前の金曜はごめんね、いきなりあんなメール送っちゃって…」
「ううん、平気平気。 華音のためならたとえ火の中水の中、ってね」
(それに…あれはボクが招いた結果だしね)
一応シンヤにはこれ以上華音に近づかないように釘を刺しておいたものの、幼稚園児…否、それすら下回るシンヤの頭脳がそれを覚えているかどうか、菜月の心中に一抹の不安が募る。
それに、彼が菜月に対して復讐をする可能性も考えられないわけではない。 襲撃事件の起こった金曜日、及び菜月による成敗が行われた土曜日は不意打ちだった事もあり、シンヤに打ち勝つことができたが、本来菜月はその年代の少女としては少し小柄な部類に入る方だ。 真っ向から勝負すれば、それこそ男女の体格差もあるため、いくら相手がシンヤといえど組み伏せられる可能性は否定できない。
彼の歪みきった心に菜月の存在は「自分と華音の関係を引き裂かんとする邪魔な人間」とでもインプットされているのだろう、迷惑千万である。
華音のためにも、そして菜月のためにもシンヤの動きを抑える事の出来る継続的な対策が必要となるのだ。
「…という訳なんだけど」
「いや、そう言われてもだな。 私に聞くことなのか、それは…」
相談相手の少女は空を仰ぐ。 美しいブロンドの髪をショートにまとめたその少女が考え込む姿は、まるで一枚の絵画のようだ。 ―――ちなみに、シンヤの書いたアニメのキャラクターと思しきものやロボットもどきは一般に絵とは呼ばれない、あれは落書きである。
「…学習能力が皆無なら襲撃される度に撃退するしかないのではないか?」
金髪の少女―――クリスティーネ・シュタイナーはそう言う。 そのうち精神より先にハヤブチの体がボロボロになるだろうがな、と付け加えて。
「あいつが特定範囲内に入ったら迎撃されるようなシステムでもあれば話は別だが…。 やはり付きっきりで守るしかないな…菜月も一人でいるより、複数の方がいいだろう?」
付きっきり。
その言葉をスイッチに、菜月の頭の中で何かが弾けた。
「それだ」
「?」
クリスティーネは菜月の考えを読み取れていないようだった。
「ありがとクリス、この恩は忘れるまで忘れないよ!」
「え、ああ…」
菜月の妙な気迫にクリスティーネは圧倒されていた。

「泊まる? 私の家に?」
「うん、stopじゃなくてstayの方ね」
菜月のいきなりの提案に華音は驚きを隠せないようだ。
「でも、なんでいきなり?」
首を傾げる華音に、菜月はその意味を説く。
「この前みたいな事にならないようにだよ。 もし来たらボクがハヤブチ君を送料手数料ジャパ○ット負担の32分割にしてあげるから、華音は安心して過ごせるし、それにボクも復讐の対象として狙われてるかもしれないから、それなら一緒にいた方が安全でしょ?」
「うーん…確かにそうかも…。 じゃあお母さんに聞いてみるね」
どうやら華音はまんまと菜月に乗せられてしまったようだ。
無論先程菜月が言った事に嘘偽りはないのだが、彼女にはもう一つ目的があった。
(これで華音一つ屋根の下…うまく行けば一緒のベッドで………あ、鼻に変な感覚が)
菜月は華音に呆れるほどに好意を抱いているのだ。 無論友達としてではなく、恋愛対象として。
ティッシュで鼻を押さえながらという非常に不自然な状態で、彼女は一人ほくそ笑んだ。
その夜。
「お邪魔しまーす」
「いらっしゃい、ごめんね菜月ちゃん、華音のために…」
華音の母が菜月を出迎える。 優しそうな顔ではあるが、それ故にシンヤにつけこまれる隙が出来てしまったのだろう。 仕事柄華音の父は家を空けることが多く、桜木家を守るのは彼女の役目となっているのだ。
「いえいえ、友人として当然の事をしてるまでですよ」
一般には友人を泊り込んでまで護衛することを「当然」とは言わない。



「本当にいいの? 布団ぐらい用意できたけど…」
「それじゃあ意味がないのー。 華音のすぐ近くにいなきゃ護衛にならないでしょー」
「いや、でもこれは近すぎない…?」
華音の部屋、2人は同じベッドに入っている。 これは菜月のとても強い要望によるものだ。
「それに…こうやってくっつかれちゃうと寝返りとか打ちにくいし…」
「ボクは上でも下でも大丈夫だよ♪」
「なっちゃん、その発言何かおかしいよ」
本来ならば「下敷きになっても平気」という意味なのだろうが、彼女の艶美な表情には何か別な意味が含まれている気がしてならない。
「ん? …何がおかしいの?」
菜月は華音の耳元で囁く。 その吐息が耳にかかり、華音は身じろぎをする。
それと同時に、菜月は左手を華音のパジャマの中にねじ込んだ。
「だ…ダメだよなっちゃん、女の子同士でそんな…ぁ…」
(この一線さえ越えれば、華音はボクのもの…)
小学校からの関係、それは菜月にとって不満の残るものだった。 「親友」という関係から一歩も進歩しない、それがまるで頂点であるかのように。 だがそれは違う、まだその上があるものと彼女は信じていた。
長く美しい栗色の髪の毛に大きな瞳、そして陶器のような白い肌。 菜月にとってそんな世界中の何よりも美しく愛しく見える華音と一緒に居られる、そしてついにその華音との関係を「恋人」にすることができるのだ。
菜月は生唾を飲み込み、右手を華音の顔に添え、自らの唇と彼女の唇を―――


不意にインターホンが鳴る。 さらに間をおいてもう一度。
―――まさかあのバカ、本当に学習していないのか。 状況が状況だけに菜月の心の中には激しい怒りの炎が燃え上がっていた。
どこぞの鉄仮面が化け物かと言いそうなほどの目覚しい速さで菜月は玄関に向かう。
菜月が一階に到着した時には既に扉は開きかけていた。 シンヤがピッキングを習得していたとなれば流石の菜月でも予測できなかったであろう。
菜月は般若のような形相でその向こうの人影に飛び蹴りを食らわせた。
「あべし」
中学生にしては太い声、もといどう考えても成人男性の声である。
「えっ」
菜月の表情は急変する。 蹴った瞬間に気付いたのだ。 その人影がシンヤではなく、華音の父である事を―――


「本当に申し訳ございません…」
「ははは、いやいや事情を知らなかった僕も悪いんだ。 気にすることはないよ」
華音の父は目の前で土下座して謝罪する菜月に顔を上げるよう促す。
「まったく…帰って来るならちゃんと知らせて欲しかったわ」
「でもお父さんが帰ってきて助かった…あのままだったらなっちゃんに」「わーわー! それ言っちゃダメぇぇぇ!」
爆弾発言をしようとする華音を菜月は必死に抑える。 もし先程の彼女の行いが露呈すれば、いくら温厚な桜木夫妻といえどただではすまないだろう。
「「…?」」
華音の父は妻と娘を驚かそうとわざと帰ることを知らせなかったのだ。 ―――そのせいで菜月の飛び蹴りが顔にクリーンヒットする羽目になったのだが。


「い…やぁっ…離してよ…」
誰かは分からぬが、華音の体のあちこちをベタベタ触ってくる者がいる。 逃げだそうと試みるも、体が金縛りのような状態になっていて動けない。
『何を言ってるんだ、恋人を愛でるのは彼氏として当然の事じゃないか』
「そっ…そんな……違っ……これじゃあ…痴漢…」
「痴漢? あんなのどかたねあんちのする事だろ? 俺にはかのんがいるからそんなのとは無縁だよ」
独特の言葉を使うこの男は―――そうだ、シンヤだ。
「なん…でっ…こんな…」
「愛しているからに決まってるじゃないか」
シンヤの口から発せられる言葉、その一文字一文字が華音の不快感を煽る。 彼の汚らしく塩素系漂白剤のような臭い―――平たく言えばイカ臭い手が彼女の胸部に触れ


ようとした時、華音は夢から覚めた。
「夢…かぁ。 良かった……!?」
目が覚めた筈だというのに未だ華音の胸部に何かが触れている。 一体何が―――と視線を下に向けると、そこには。
「らめらよかのん…しょんなことしひゃらぼく…ふひひ」
よだれを垂らしている上に幸せそうな表情を浮かべて寝ている菜月の姿があった。 無論その手は華音の胸に触れている。
「すー…」
華音は起き上がり深呼吸をすると、菜月の耳元で
「…いい加減にしなさぁーい!!」
と大声で叫んだ。
流石の菜月もその声に驚き、目を覚ました。 しかしまだ彼女は夢の中から抜け出せていないようだ。
「今のは何? ボクと華音を祝福する鐘の音? それとも」
華音は菜月の頭を叩いた。
「痛ぁっ…いきなりなにすんのさー」
「もう…どこの世界に朝から人の胸を揉む中学生がいるのよ」
「ここに」
「そういう問題じゃないの!」
「えぇー」
「えーじゃない!」
菜月はよっぽど楽しい夢を見ていたのだろう、表情は少し不満げだ。
「…じゃあボクにキスしてくれたら考えなくもないよ」
「へ?」
「キスだよキス、口と口で」
無茶苦茶だ。まだ脳が正常稼動していないと見える。
「いや、だって、被害者は私じゃ…」
「ボクだって被害者だもん」
上目遣いで自分を見る菜月の姿は、傍から見れば非常に可愛らしいものだろう。
しかし華音の脳はもし妹がいたらこんな感じなのだろうかとか今は何時何分だろうといったことを考え、現実から逃げようと必死だった。
「華音がしないならボクからやっちゃうぞー」
痺れを切らした菜月の顔が華音に迫る。 華音はもう逃げ道はないと確信し、とうとう覚悟を決めた。
「わ、わかったからっ…」
瞳を閉じて、華音はゆっくりと唇を重ねた。
今だ、と言わんばかりに菜月が華音に抱きつき、そして舌を絡めんとしたその時である。
「2人とも、朝ごはんが…で…き…」
扉が開き、その向こうから華音の母が顔を出したのだ。
それに気づいた華音は、即座に弁解を始める。
「お、お母さん、これはその、違っ、なっちゃんに原因があって…」
とはいうものの、華音の着衣は菜月にイタズラされた影響で若干乱れており、菜月の唇から自分の唇を離したときに若干糸が引いていた事に彼女は気づいていない。 その上場所はベッドの上であるため、これはどう見てもこれからお楽しみになるのか昨夜はお楽しみだったのかのどちらかである。(実際はどちらでもないのだが)
「お母さん!? お母さんってばぁ!」
しばらく華音の母はその場から動けずにいた。


「もう、なっちゃんのせいでお母さんに変な誤解されるところだったんだからね!」
「えへへ、ごめんごめん。 ボク、家族にも朝は別人みたいって言われるんだよね」
態度こそ多少違ったものの別人というほどじゃないのでは、という本音を飲み込み、華音は話を続ける。
「今度あんな事したら掛け布団に縛り付けて恵方巻きにするからね」
「緊縛プレイとな」
「違うわよっ!」
「…なんで違うって言い切れるの? なんで知ってるの?」
「…なっちゃんが怪しい言葉を使うときは大体危ないことだから」
苦しい弁解である。
「ひどいよー」
「なっちゃんが言うセリフじゃないよ」
多少会話内容は危ないものの、いつも通り華音と菜月は学校に向けて足を進めていった。
ちなみにこの後、菜月を奮い立たせた原因を作ったクリスティーネが華音に責められるのはまた別の話である。

むしゃくしゃしてやった。
反省はしているが後悔はしていない。
クリスティーネは外国人分を補充したくて出した。
フリードリヒさんとの関係はない。

 ∧_∧      百合百合にしてやんよ
 ( ・ω・)=つ≡つ
 (っ ≡つ=つ
 /   ) ババババ
 ( / ̄∪


  • gj クリスのお父さんはハーディ・シュタイナーかな! -- でこ出し菜月の人 (2010-08-25 14:39:13)
  • シュタイナーはフェリックスの方からです。総統閣下シリーズでよく聞いて印象に残ってたので引っ張ってきました -- 番外編の人 (2010-08-25 15:28:28)
  • 菜月のキャラが完全に一人歩きしている…


    だがそれが いい。
    続き、楽しみにしてます。 -- 名無しさん (2010-08-25 16:16:20)
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