番外編第3話

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華音や菜月達は義務教育課程の最終段階たる中学3年生だ。 故に将来の進路について真剣に考えなくてはならない時期でもある。 このご時世において、最終学歴が中卒というのは社会に出るときに大きな足枷となる。 家庭の事情などで泣く泣く進学をあきらめざるを得ない一部の生徒を除けばほとんどの生徒が高校をはじめとした上級学校への進学を希望しているのだ。 故に、華音をはじめとした進学を希望する生徒たちは受験に向けて一層努力をしていかねばならない。 最近は周りの生徒達もどこの学校へ進学するかなどといった話題をよくしている。 何気ないその会話の中から、ふと華音にとって興味深い発言が飛び出した――― 「そういえば、ハヤブチってどこの高校行くんだろうね?」 ―――確かに興味のある発言だ。 万に一つ、シンヤと同じ高校に進学してしまったら、彼女は現在と変わらず彼の迷惑行為におびえて過ごさねばならない。(違う学校に進学したところでシンヤが迷惑行為をやめるという保証もないが) 「あいつに行ける高校なんてあんのか?」 「本人は徳島商業行きたがってるらしいけど…」 「徳商!? 無理無理、あいつは三好でも厳しいだろ…」 三好高校とは徳島県の高校において偏差値が極めて低い部類に入る高校である。 確かにまともな勉強すらしていないように思えるシンヤの事だ、そう言われても仕方のないことだろうと華音は心の中で頷く。 「面接で先生が吉備高原勧めたらキレたらしいよ」 「ハヤブチにキレる権利なんてあるのかよ…」 少なくともシンヤと同じ高校になってしまう可能性はないと言う事を確認し、華音は安堵した。 とはいえ、現在進行形でシンヤが華音に対しアクションを起こしているのが彼女にとっての懸案事項であるのは未だ変わりない。 少なくとも高校進学までの約半年の間、彼の一方的なアプローチは続くだろう。 それを如何にして食い止めるか、それは彼女自身にとって重要な課題としてのしかかってきた。 それこそシンヤのブログの内容は文字通り「やりたい放題」であった。 ある日には「彼女と花火大会に行った」、別の日には「彼女と旅行に行った」…他にも犯罪行為を自慢するような内容や、罪のない他人を執拗にバッシングしたり、見るに耐えないものばかりだった。 ホームページの中身もそれはそれは華音にとって卒倒しかねないものだった。 自分がシンヤの事を「テストの成績もクラスで1番で、スポーツもできて」なんてべた褒めする光景を想像することができない。 「1番」というのが「ワースト」なら(それもそれで華音の性格からして言うことはないと思われるが)まだ現実的である、だがそれに続く「スポーツもできて」という発言から、恐らくシンヤ本人は「ベスト」のつもりで書いたものと推測―――否、断定できる。 また、ホームページのキャラ紹介の文面から「彼女」というのが自分の事を指しているのだという事が発覚した。 こんなナルシストな妄想をできる人物を華音は今まで見たことがない、むしろ見たくはなかった。 しかし、この後さらなる不幸が襲いかかることを彼女はまだ知らない。 夜、華音が予定していた分の勉強を終了し、ベッドに身を預けていたその時である。 不意にインターホンが鳴った。 こんな時間に誰だろうという疑問が脳裏をよぎる。 何度も何度も鳴らされるインターホンに痺れを切らし、母は何をやっているのだろうと思いつつ階段を降りていくと、玄関では今し方来たであろう母が訪問者の相手をしていた。 そして訪問者の顔を見た時、華音は戦慄した。 ―――そこにいたのは、紛れもなくシンヤの姿だった。 恐怖のあまり華音はすぐさま自室に戻り、携帯電話から助けを乞うメールを菜月に送った。 その間も玄関で母を相手に意味不明な事を叫ぶシンヤの声が聞こえて来た。 「うわあああああああああ貴方は…貴方だけは!」 「ふざけんな! 誰にだって自由はある!」 「『彼女の家に止まる』ってブログに書いたんだよ!」 華音はただ、祈るように返信を待ち続けた。 鳴り響く着信音、画面に浮かび上がる「新着Eメール1件」の文字。 表示された本文は、ただ一言。 「すぐ行く」 菜月はメールを見るとすぐさま家を飛び出した。 母親のこんな時間にどこへ行くんだという質問に答える余裕はなかった。 こんな事になるなどとは微塵も思っていなかった。 あのシンヤにそれほどの行動力があるとは思えなかったからだ。 (華音に指一本…いや、髪の毛一本でも触れようものなら、その時はボクがキミをどこかの救世主みたいに16分割してあげるよ…!) 菜月は心の中で呟いた。 しかし、その原因となったのは紛れもなく自分自身だ。 自分の軽率な行為が華音を不幸に陥れてしまった。 彼女はそんな自分を殴りたくて仕方がなかった。 菜月は華音の家に着くと、制止を振り切り今にも家屋の中に入ろうとしているシンヤに延髄斬りを食らわせた後、襟首を掴みんで彼を引き倒した。 「扉…閉めてください! …早く!」 菜月の渾身の叫びに圧倒されつつも、華音の母は家の扉を閉めた。 乱れた息を取り戻した後、足下で頭を地面にぶつけ気絶しているシンヤを見つめ、菜月は 「どうしようかな、これ…」 と呟いた。 警察に通報することも考えたが、それではなおさら華音に迷惑をかけてしまう。 仕方なく菜月はシンヤを引きずり、近くの公園のベンチに放置したのち帰宅した。 「…バカだなぁ、ボクって」 家への帰り道、暗い夜空の下で、菜月はぽつりと嘆いた。 むしゃくしゃしてやった。 超展開だと自分でも思う。(´・ω・) 8/18加筆修正 ちなみに私の脳内での華音のイメージは[[これ>http://imepita.jp/20100818/422030]]で、菜月のイメージは[[こんな感じ>http://imepita.jp/20100818/421680]]です。 絵を書きたいと仰っていた方がいらっしゃったので参考にでもなれば… - かのんあんまり可愛くないな -- 名無しさん (2010-09-12 20:35:25) - ラクス似?? -- 名無しさん (2010-09-12 20:35:53) #comment()
華音や菜月達は義務教育課程の最終段階たる中学3年生だ。 故に将来の進路について真剣に考えなくてはならない時期でもある。 このご時世において、最終学歴が中卒というのは社会に出るときに大きな足枷となる。 家庭の事情などで泣く泣く進学をあきらめざるを得ない一部の生徒を除けばほとんどの生徒が高校をはじめとした上級学校への進学を希望しているのだ。 故に、華音をはじめとした進学を希望する生徒たちは受験に向けて一層努力をしていかねばならない。 最近は周りの生徒達もどこの学校へ進学するかなどといった話題をよくしている。 何気ないその会話の中から、ふと華音にとって興味深い発言が飛び出した――― 「そういえば、ハヤブチってどこの高校行くんだろうね?」 ―――確かに興味のある発言だ。 万に一つ、シンヤと同じ高校に進学してしまったら、彼女は現在と変わらず彼の迷惑行為におびえて過ごさねばならない。(違う学校に進学したところでシンヤが迷惑行為をやめるという保証もないが) 「あいつに行ける高校なんてあんのか?」 「本人は徳島商業行きたがってるらしいけど…」 「徳商!? 無理無理、あいつは三好でも厳しいだろ…」 三好高校とは徳島県の高校において偏差値が極めて低い部類に入る高校である。 確かにまともな勉強すらしていないように思えるシンヤの事だ、そう言われても仕方のないことだろうと華音は心の中で頷く。 「面接で先生が吉備高原勧めたらキレたらしいよ」 「ハヤブチにキレる権利なんてあるのかよ…」 少なくともシンヤと同じ高校になってしまう可能性はないと言う事を確認し、華音は安堵した。 とはいえ、現在進行形でシンヤが華音に対しアクションを起こしているのが彼女にとっての懸案事項であるのは未だ変わりない。 少なくとも高校進学までの約半年の間、彼の一方的なアプローチは続くだろう。 それを如何にして食い止めるか、それは彼女自身にとって重要な課題としてのしかかってきた。 それこそシンヤのブログの内容は文字通り「やりたい放題」であった。 ある日には「彼女と花火大会に行った」、別の日には「彼女と旅行に行った」…他にも犯罪行為を自慢するような内容や、罪のない他人を執拗にバッシングしたり、見るに耐えないものばかりだった。 ホームページの中身もそれはそれは華音にとって卒倒しかねないものだった。 自分がシンヤの事を「テストの成績もクラスで1番で、スポーツもできて」なんてべた褒めする光景を想像することができない。 「1番」というのが「ワースト」なら(それもそれで華音の性格からして言うことはないと思われるが)まだ現実的である、だがそれに続く「スポーツもできて」という発言から、恐らくシンヤ本人は「ベスト」のつもりで書いたものと推測―――否、断定できる。 また、ホームページのキャラ紹介の文面から「彼女」というのが自分の事を指しているのだという事が発覚した。 こんなナルシストな妄想をできる人物を華音は今まで見たことがない、むしろ見たくはなかった。 しかし、この後さらなる不幸が襲いかかることを彼女はまだ知らない。 夜、華音が予定していた分の勉強を終了し、ベッドに身を預けていたその時である。 不意にインターホンが鳴った。 こんな時間に誰だろうという疑問が脳裏をよぎる。 何度も何度も鳴らされるインターホンに痺れを切らし、母は何をやっているのだろうと思いつつ階段を降りていくと、玄関では今し方来たであろう母が訪問者の相手をしていた。 そして訪問者の顔を見た時、華音は戦慄した。 ―――そこにいたのは、紛れもなくシンヤの姿だった。 恐怖のあまり華音はすぐさま自室に戻り、携帯電話から助けを乞うメールを菜月に送った。 その間も玄関で母を相手に意味不明な事を叫ぶシンヤの声が聞こえて来た。 「うわあああああああああ貴方は…貴方だけは!」 「ふざけんな! 誰にだって自由はある!」 「『彼女の家に止まる』ってブログに書いたんだよ!」 華音はただ、祈るように返信を待ち続けた。 鳴り響く着信音、画面に浮かび上がる「新着Eメール1件」の文字。 表示された本文は、ただ一言。 「すぐ行く」 菜月はメールを見るとすぐさま家を飛び出した。 母親のこんな時間にどこへ行くんだという質問に答える余裕はなかった。 こんな事になるなどとは微塵も思っていなかった。 あのシンヤにそれほどの行動力があるとは思えなかったからだ。 (華音に指一本…いや、髪の毛一本でも触れようものなら、その時はボクがキミをどこかの救世主みたいに16分割してあげるよ…!) 菜月は心の中で呟いた。 しかし、その原因となったのは紛れもなく自分自身だ。 自分の軽率な行為が華音を不幸に陥れてしまった。 彼女はそんな自分を殴りたくて仕方がなかった。 菜月は華音の家に着くと、制止を振り切り今にも家屋の中に入ろうとしているシンヤに延髄斬りを食らわせた後、襟首を掴みんで彼を引き倒した。 「扉…閉めてください! …早く!」 菜月の渾身の叫びに圧倒されつつも、華音の母は家の扉を閉めた。 乱れた息を取り戻した後、足下で頭を地面にぶつけ気絶しているシンヤを見つめ、菜月は 「どうしようかな、これ…」 と呟いた。 警察に通報することも考えたが、それではなおさら華音に迷惑をかけてしまう。 仕方なく菜月はシンヤを引きずり、近くの公園のベンチに放置したのち帰宅した。 「…バカだなぁ、ボクって」 家への帰り道、暗い夜空の下で、菜月はぽつりと嘆いた。 むしゃくしゃしてやった。 超展開だと自分でも思う。(´・ω・) 8/18加筆修正 ちなみに私の脳内での華音のイメージは[[これ>http://imepita.jp/20100818/422030]]で、菜月のイメージは[[こんな感じ>http://imepita.jp/20100818/421680]]です。 絵を書きたいと仰っていた方がいらっしゃったので参考にでもなれば… - かのんあんまり可愛くないな -- 名無しさん (2010-09-12 20:35:25) - ラクス似?? -- 名無しさん (2010-09-12 20:35:53) - 糸甲の「かのん」と改変の「桜木華音」は別物って話だろ -- 名無しさん (2010-09-12 21:09:57) #comment()

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