たったひとつの肩口に - PRESENILE

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　その肩口
　　なだらかな線
　　　白いほどに白い骨の包みを見てしまった

はっ
　　とした
そして
　たまらないほどの涙を鼻の奥に保存した
溢れ出そうになったとき
　　　「ゴメン…」と言った
若い女たちが
　まるで蛇の群れのようにザワザワする廊下を抜けて
小さな紳士用トイレに入ると
手にクルクルと巻紙撒き紙巻き
　　　ぐずぅううッ
と鼻をかむ
保存した鼻水を空にする
　　　スルスルと蛇群れの廊下を
走り戻る

はっ
　　としたあの背中に
再び
　　はっ
　　　　として
「ああ、そうだった…あれはソックリ同じ背中なのだ」

　二度と逢わない
　　石のようにトグロを撒いた
たったひとつの
愛
　があった

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