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私には顔がある。
しかし目の位置も鼻の形も頬の膨らみも失せている。
ただの文字と化した顔だけがある。
男でもあり女でもある顔がある。
考えようによっては、無数の顔があることで、かろうじて現実世界にぶら下がることが出来ているのかも知れない。労働の対価によって部屋を借りることが出来、飯を食うことが出来る孤独な私だが、この世にいられるだけで充分に幸せだと言える。たとえ明日命を失うにしても、今ここでこうして文字に何かを託しながら、有り得ないもうひとつの顔の輪郭を作り出す作業を繰り返す己を愛しいと思う。
すべてが労働の合い間に行われる絶望的な作業であるにしても、限りない自由を感じさせてくれるのだ。
労働の時間に比べたら少なすぎる時間だからこそ、私は根気よく作業を繰り返せるのだ。
命がどこまでいってもこの己自身の中でしか脈打たないのだとしたら、たとえそれが耳鳴りによって感じ取られる命の鼓動であってもいい。己の中で鳴っている早鐘を聞こうと思う。
胃に穴のあく苦しみも、くったくのない笑いも命こそだ。
脈打つ血液の流れを感じ取ることが出来るのは、この激しい耳鳴りのお陰だ。
もう長い時間つきあってきている脈動する耳鳴りがどんな病を暗示しているのか知る由もないし、知りたいとも思わない。
今、文字をただダラダラと打ち紡ぐ己の中では、何かしらの想念に溢れている。
たぶん、生きたいという想いだ。
永遠という"顔"を造り上げるまでは、脈動する耳鳴りと共に生きていたいという・・・・・・。(糞文ッ!)