浜辺の小高い丘の上の夏草に寝そべって
わきあがる雲を眺めているのは半ズボンをはいた少年で
真っ黒に日焼けした少年だ
友達を海に残したまま風に吹かれて
白に白を重ねる雲に見入るのは
つややかな黒い瞳の少年で
瞳のまわりが白に白を塗りこめた眼をした少年だ

少年の夏は終わらない
青い青の背景に白に白を重ねていくから
少年の夏は終わらない
やがて灰色から黒へと変わっても
夏草に寝そべる少年はそこにいる


都会のかすむ空の下で幾十もの夏を
夏の夢を見続ける少年は
むせるような匂いの草の上に寝そべって
雲に見入るあの少年だ
青い海と青い空が溶け合うあたりに
むくりむくりとわき上がる
白い白き雲が見えてくる

幾十の夏を忘れてしまっていたのだろうか
湧き上がる白に重なる白の雲が
やがて天に向かってラッパを開き
灰色から黒へと重くなるのをドキドキしながら見つめていたのも
夏草の上に寝そべるあの少年の眼だったのだろうか