おれは伊豆の高原に咲くあじさいだが
れいの通りちと言いたいことがある
はっきり言わせてもらいたいことがある
なんでも言いたいことがある
ぜったい言ってしまいたいとも言える

はるばる高原に遊びにきてまで
るんるん気分でキスなどするくせに
におう草木の吐息をなぜ嗅ごうとしない
はた迷惑も考えずに二人の世界ときたぞ
さっさと山を下りてネオンきらめく海辺のホテルあたりで
けつでも月に晒しておねんねしなよ
ぬすむのは恋の花ばかりというわけかい

ひどいことをしてくれるもんだ
かなしくて堪らぬおれの気持ちを知るなら
げんきづけてくれても良さそうなのに
もういいかげんに悲しいよ
のってのられてのられてのってかい

なにも言う気も起こらないけれどね
つっぱてみたところで自分にふりかかるしね
にんげん様の気まぐれにかなうものはないしで
もうどうにでもしてくれ
さけんでみたところで路傍の身じゃあ
けんかにもならないときてる
ずいぶんと罪なことをしてくれるじゃぁないか

つるんで疾走するふたりの高原の路肩で
ゆれながら身体いっぱいに排気ガスを吸っているというのに
とべるものなら海辺の湿地に帰りたい
きっと楽しいに違いないとわかっているのに
ええかっこしいでここで生きているというわけでもあるが
ゆくゆくは立派な天を突く木になってやると
くるしい胸の内を分かってくれないのが淋しいのだ