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● 42度エヌ丘の上にバーがある。夜になると突然に現れる愛の箱舟の無機質な金属色した階段を昇る。カーン・カーンと二月の冷気が足元の継ぎ目を震わす。赤いハイヒールさえ視界から遠い-秘密の箱へのエントランス。銀色の扉の肌が細い月の吐息を吸い込む気配がし、静かにロックが外れる。微かな声がする。扉を開けた男は影のように控え目なしもべ。いざなわれた男と女は肩を寄せ合ったまま漆黒の部屋に滑り込む。影が耳元でささやいた。肩を寄せ合ったままで男が応える。女は黙ったままパノラマの夜に見入っている。無数の星が輝き-数え切れない街が燃えている。カウンターに肘をついたまま女が呟いた。男の視線が女の視線の先で交差する。輝き燃える漆黒に浮かぶ永遠がある。運ばれてきたのは蒼と橙のふたつの愛のポイズン。官能が湧き出る腺。愛は夜を超えて朝に眠るとでも。愛は次の夜には新たなポイズンを-この夜のポイズンよりなお強く求めると。肩が音楽を吸い込み吐き出している。静かに-なお静かに吸い込み吐き出している。その度に星がひとつ砕ける。永遠の単音を真っ直ぐに暗黒へと放って。ふたりが永遠の欠片を手にするなら星は命をいとわない。音楽はどんな言葉をも拒みながら流れ去る時となる。そのとき視界のどこかで舞うもの。白い微かな希望の形。この夜にしかない形-壊れる形だ。寄り添う時間だけが永遠として記憶される。真っ直ぐ砕け去った星のように行方は漆黒のかなた。男はこの夜のポイズンに沈黙を与えられ。女はこの夜の輝くものに希望を与えられ。瞬間に似た官能が褪せる時間閉塞という今-過ぎたことだけがポイズンとなる。互いに名を閉じ-不語の朝を迎え昼を過ごしている。