何者でもない彩とアヤの綾は言葉のあやであでやかアナログ昔の夢想か今の夢幻こ そのいのち輝く夕暮れの赤土あかつち血の色に鉄の味と幽かな幼さを眼裏に刻む刻々時々の履歴は何も書かれない年代記薔薇の季節に目を細めるほどに輝く陽の燃えさかる 弾む少年と少女の航跡飛翔する繋がれた手と手は伝わる汗の馨しく匂う純粋
 パーティーでの叫びは嫉妬する男と女の群がる虚しい笑い顔を引き攣らせた二人だけが愛そのものとなり鼓動の激しさに我を失いながらふたりは抱き合った机上に当たる天からの光射すホログラムが虹色の熱きいのちそのもの
 走り去る境内の石畳に残っていた足音かすかなひとときさえ今は消えてしまい澄ましても澄ましても耳に届かぬ下駄の鼻緒は赤く途切れた時間が転がったままカランと乾いた夜の参道を向こう側の松の森に消えてしまった 化身の狐がコンと闇夜に鳴 く
 晩府の孤独という冷たき河ボーと佇む氷結する水面を渡ると人魚の骨化石の反り返る無邪気な笑顔ばかりの公園のベンチでは風が零度のまま吹き抜ける早春を背に受けながらサンドウィッチをゆっくりと口元に運ぶ家族連れを見つめる孤独な男