マングローブのようにはいかなかった
             トドマツのむくろ林
辺りを覆う霧のあたり
晴れていれば海の辺り


その中に一本の屍骸がすっくと立っている
葉はなく拡げる枝もなく
その身躯で真っ直ぐ死んでいる樹がある


あなたの死にザマは例えようもなく哲学的な美に満ちている


そのように立ち枯れたいものだと
そのように立派に立ちながら死にたいものだと


あれから十年が経って
       気付かされた
ようやく気付かされた
       死は絶望的な生の途絶であるが
そのように死ぬことも出来るのだと


気になって仕方なく
 なぜ気になるのかも分からないまま
  あの日、あなたの前で立ち竦んでしまったのでした


 その気がかりを一枚の四つ切印画紙に留め置いて十年


私は今この時になって
  気になっていた意味と意図を知らされた生きザマ


たった一本で立つ死は美しい
仲間から外れてたった一本で死んだ姿は真っ直ぐ天を指すのだと