パロロワ


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「じゃあ行ってくるよ」

玄関のドアを開けるとのどかな春 というより初夏に近い空気を感じる。
春。何かにつけて新たな始まりがやって来る季節。
去年学園に入学してから丸一年を怠惰に過ごした俺は今年こそはと、
これといって目標があるわけでもなく意気込んでいた。

「去年はクラスで空気だったからなぁ。
 今年こそは可愛い彼女でも・・・無理かなぁ」

そんなこんなでまた同じ一年になってしまいそうな不安を抱えたまま学園へと歩き始めた

道には桜の花びらが絨毯のように敷かれている。今年の桜は早咲きだったのでもう殆ど散っていた。
そんな絨毯の上を俺は同じ学園の生徒の中に紛れて歩いていた。

アオイ「おーい! おはよっ!」
せいや「よぉ 久しいな。ずっと家に閉じこもってたか?」
「ういっす せいや、アオイ。
 新学期からラブラブかよ。いいねぇ」

この二人は去年のクラスで唯一親しかった奴らだ。
と言ってもこの二人はできているらしく俺の踏み込む余地はない。

せいや「なーに言ってんだ。こんなのいつもの事だろ」

この一言で女の子と並んで歩いたことの無い俺がどんなに傷ついたか
せいやには分からんだろうな。

アオイ「ほ、ほらそんなことよりクラス発表だよ!早く早く!」

校門を通った先にある広場。そこに張り出されたクラス表の前には既に大勢の人だかりが出来ている。

校門を通った先にある広場。そこに張り出されたクラス表の前には既に大勢の人だかりが出来ている。

アオイ「あー!せいやクン!同じクラスだよ!やったぁ!」
せいや「分かったから俺の手をとってそんなにはしゃぐなって!」

せいやめ。何だかんだで嬉しそうな顔しやがって。

「さぁて、俺はどのクラスかな」

アオイ「ほら見て!同じクラスだよ!やったね!」
せいや「だってよ。今年もよろしくな」
「じゃあ今年もお二人の邪魔をさせていただきますか」

この二人のいちゃつきぶりを見せられるのかと思いつつも
親しかった者と同じクラスになれた事にほっとしていた。

隣でまだはしゃいでるアオイの他にもいたる所から歓喜の声が聞こえてくる。

ポケお「っしゃあ!遂に憧れのアオイさんと同じクラスだ!」

サゴニゴン「えっと俺のクラスはー。おやおやこれまた随分と賑やかなクラスになりそうだね~」

ユウ「あ!せいや君と同じクラス!でももうせいや君には・・・。はぁ・・・」

サン「(またミヤビノと同じか。これでご飯とパシリには困らないねぇ)」
ミヤビノ「あの、サンさん今年も同じクラスですね。よろしくお願いします」
サン「やったねミヤビノ君!今年もよろしくね~」

トリトドン「アランくん。同じクラスだよー。よかったぁ」
アラン「よし!この奇跡を記念撮影といこうか!」

ルクス「おっ 俺のクラスにはアオイ、ユウ、サンと上物揃いだな。
    誰から落とそうかな~っと」

アオイ「ねぇそろそろ中入ろーよ。新しいクラスに一番乗りぃー!」
「いや、この時間じゃもう一番乗りは無理でしょ」


アオイに引っ張られたまま教室に行ってみたが一番乗りなど出来るはずもなく
既に数人の生徒が居た。

ドンッ
「あ、悪い」
ナカーマ「おいちゃんと前見ろや。あーだりぃ・・・」

教室の入り口でぶつかった生徒が俺を睨みつけるようにして出て行った。
どうにも態度の悪い奴らしい。それにあの格好いい悪ぶってるつもりか?
こっちも気分が少し悪くなったのでさっさと自分の席に座ろうと思った。が・・・

カゲ「このクラスだとすると・・・そうだな、ぶつ・・・ぶつ・・・ぶつ・・・」
「あのー・・・そこ俺の席なんだけど退いてもらえるかな?」
カゲ「ん?君か。そうだ。ちょっと聞いて欲しい。あそこだ。
   あの位置は黒板が見えずらと思ってだな・・・」

俺の席に座っていた奴は延々と訳の分からない独り言をいい始めた。要約するとどうやら席を取り替えて欲しいようだ。

「あー言いたいことは分かったけどそれは担任に言ったほうが・・・」
カゲ「ふむ。まぁそれもそうだな」

じゃあ何故退かない・・・。まぁいいや。もう皆教室に入ってきたみたいだし他の奴の顔でも・・・

ガラガラガラ

見に行こうとしたとき中年の男性が勢い良くドアを開けて入ってきた。
どうやら担任のお出ましらい。

「ほらー。お前ら席につけー」

それからしばらくの間始業式などこれからの日程を、大量のプリントを渡されながら聞いてた。

バタッ
突然生徒が一人机に突っ伏すように倒れた。さっきの柄の悪い奴だ。

バタッバタッ
次々と教室内の生徒がさっきの奴と同じように倒れていく。それは俺の斜め前に席のアオイも同じだった。

「おい!アオイっどうたんだ!?それに他の人も・・・」
その時強力な眠気が俺を襲った。そうか・・・これで皆も・・・
いつの間にか教師はマスクを付けている。

「一体・・・何が・・・?」

そして俺の意識も途切れた。最後に目に入ったのは少し開いたドアからちょこんと出ている
キノガッサの尻尾らしきものだった。


「ん、ふぁ・・・。あれー何で寝てんたんだ・・・?
 ・・・そうだ教室で!」
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目を覚ますと其処は見慣れた学校の教室とは違う、全体が白で塗りつぶされている部屋だった。
俺や他の生徒はそれぞれのイスと机に座らされていた。

せいや「おい・・・」
アラン「え、え?何?何?ここ何処?」

どうやら皆目を覚ましたらしい。殆どの者が状況を飲み込めずパニック気味になっている。

アナウンス「皆さんお目覚めでしょうか」

突然部屋に取り付けられたスピーカーから男の声が響いた。直後全身を黒で覆った
兵士が数人入って来た。その手にはゴミ袋のようなものが引きずられている。

アナウンス「皆さんにお集まり頂いたのは、いや集めたのはあることをやって頂くためです。

      それは・・・戦闘実験第六十七番プログラム・・・」

「戦闘実験第六十七番プログラム」それを聞いたとき俺は自分の体から血の気が引くのがわかった。
他の席からも数箇所、ガタンと机の震える音がした。

アナウンス「もうお分かりの方もいるでしょう。今日皆さんにやって頂くのは
       殺人ゲームです」

せいや「なっ・・・殺人ゲーム?」
アオイ「せいやクン何なの・・・?」

アナウンス「ご存じない方には説明いたします。前のモニターをご覧ください」
そうして戦闘実験第六十七番プログラムが制定されるまでの経緯、目的などが簡単に説明された。

アオイ「そんなの・・・酷い・・・」

アナウンス「それではルール説明に移ります。ルールは簡単。今からランダムに与えられる武器とポケモンを使い
       最後まで生き残ればいいのです。無論ここで他の生徒を殺害しても罪にならないのでご安心を」

案の定教室内は一斉にざわめき始めた。「何故こんなことをするのか」「そんなの聞いてない」

アナウンス「お静かに。皆様には法的に従う義務があります。もし我々に逆らうのなら・・・」

兵士が持っていたゴミ袋の中身を出した。出てきたのはさっき担任に決まったばかりの男。
生きている人間にはあり得ないほどに体は青白く、首には何かに噛まれたような痕があった。
部屋は一旦静かになったが、担任が死んでいることに気付くと今度は悲鳴や叫び声が聞こえてきた。

コトンッ
一人の兵士がモンスターボールを床に落とした。
その中身は実体化する前に姿を消し教室に異様な風が流れる。
誰かが立ち上がって何かを言おうとしたとき、そいつの机が真っ二つに切り裂かれた。
それとほぼ同時に他の数名の生徒の机も豆腐を細切れにする様にバラバラになっていた。
切り口はどれも滑らかだ。こんなものに触れたら骨すら簡単に切断されてしまうだろう。

兵士「静かにしろ。次に騒いだ奴は体を切り刻むぞ」
そう言った兵士の横に紫のコウモリのようなポケモン クロバットが姿を現した。

F「エアスラッシュかよ・・・これ。流石は軍用のポケモン。これ程の威力とはね」
BOYY「先公の傷跡もアイツか。血液を吸い尽くされたんだな」

アナウンス「あぁそうそう。こちらの先生ですが我々が頼んだ生徒を眠らせるという仕事の後
      急にこのプログラムに反対したので残念ながらこの様な対応をとらせて頂きました。
      全く、出会って間もない生徒達を守ろうとする姿勢は教師の鑑というべきでしょうね」

せいや「てめぇ・・・このやろっ!」
「やめろせいや!そんなことしたらお前も!」
せいや「くそっ!」

アナウンス「お静かになったところで続きを。舞台となるのはこの島。本土から500キロ離れた無人島です。
ここまでは数匹のエスパーポケモンでの力で転送いたしました。行動範囲は島なら何処でも自由です。
制限時間は40時間。時間内に勝者が決まらない場合は残っている全員に死んでいただきます。
そう、ちょうど今あなたがいじっているその首輪を爆発させてね」

やまけん「ヒィッ!」

首輪をいじっていたそいつはすぐに手を離した。
そういえば俺も含め今までこの首輪に気付かなかった奴は結構いたようだ。まぁパニックだったからしょうがないか。

アナウンス「それでは物資を配布しますので一人ずつ並んで、貰った人から外に出てください。  
      全員が外にでたら開始の合図をします」

アオイ「どうなっちゃうの?私達・・・。お家に帰りたいよぉ・・・ぐすっ・・・」
せいや「大丈夫。俺が絶対最後まで守るから」

テリー「ああ、神のご加護があらんことを・・・」

ん「大丈夫・・・。俺ならやれるさ。きっと」

「はぁ どうすりゃいいんだろうな。まったく・・・」

このままじゃどうにもならない事は分かっている。かと言って如何すればいいのかも分からない。
とりあえず今は奴らに従っておくしかないか・・・

アナウンス「全員外に出揃ったようですね。皆さんのご健闘をお祈りします。
      ご家族にはこのプログラムに参加していることは連絡済です。生き残って元気な顔で帰ることがここのお土産ですので。
      それでは、用意・・・スタート!!」

スタート!!と言われても誰も動かない。皆キョロキョロとお互いの顔を見ながら立ち尽くしていた。
当然いきなり殺し合えと言われても普通の人間ならそう簡単に出来るモンじゃない。

「ますは荷物の確認でも・・・」
タカオミ「はぁぁ!?何で俺のポケモンがこんな雑魚なんだ!?」

タカオミの声がこの場の静寂を切り裂いた。自分のポケモンを見て驚愕したようだ。
彼が引いたのはビッパ。なるほど、あれじゃ使い物にはならんな。
これなら大して怖くないだろ・・・と思っていたが怖いのはトレーナーの方だった。
タカオミは短刀を振りかざし、声を荒げてこっちに突っ込んでくる。

タカオミ「てめぇらのポケモンよこせぇぇぇぇぇぇ!!!・・・・え・・・?」

突っ込んで来るタカオミの横を黒い影がすれ違った。
そして彼の動きが止まったと思うと、その首に赤い線が走り勢いよく鮮血が噴出した。

数名の女子がその光景を見て悲鳴をあげた。
倒れて動かないタカオミの傍には爪を赤く染めたマニューラが立っている。

サン「早速ご苦労様。なかなかいい動きね」

サンは満足そうにその二つを見ていた。誰もが唖然としている。

せいや「お、おい・・・。何でいきなり殺したんだよ・・・」
サン「何で?じゃあアンタが素手で止めてくれたの?」

せいやはそれ以上何も言えなかった。サンがタカオミを殺さなかったら自分や他の生徒が被害にあっていただろう。
それだけは紛れもない事実だった。

アナウンス「開始5分 22番死亡を確認しました。お分かり頂けたでしょうか。やらなければやられるのです。
皆さんも友情を築いた友と殺し合うのは辛く、ためらいがあるでしょう。それらをなるべく軽減し、そして
スムーズにゲームが進行する為に貴方達がまだ他人同士のこの日を選んだのです」

せいや「見知らぬ人間だから殺せる?ふざけんな!」

アナウンス「殺したくないならそれで結構。貴方が死ぬだけです。しかしご家族の方は如何思われるのでしょうか。
      さぞ悲しまれるでしょうね。貴方が無事帰って来ることを願っているのですよ。他の誰を殺してでも・・・」

せいや「・・・」

アナウンス「あぁ。お気付きでしょうか。プレイヤーが死んだ瞬間、ポケモンは我らのところへ転送されます。
プレイヤーを殺せばポケモンに襲われる心配は無いのです。それとポケモンは道具ではなく大切なパートナー。
貴方達は半運命共同体。プレイヤーが死亡すれば後でそのポケモンは同じように処分されます。
勝ち残った者のポケモンだけが自由を得るのです。
ただしポケモンが死んでもプレイヤーが死ぬという事はありません。それでは引き続きお楽しみください。」

サン「さ~て 次はアンタみたいな馬鹿を殺っちゃおっかな。 マニューラ!」

サンの命令でマニューラがせいやに襲い掛かる。

せいや「くそっ! 何でもいいから出て来い!」
地面に叩き付けたボール。その中から出てきた赤い腕がせいやに振り下ろされた爪を弾き返した。

サン「むぅ ハッサムとは相性が悪い・・・。マニュ!
   そいつはいいから早くトレーナーを仕留めて!」

マニューラがハッサムを飛び越え再びせいやに爪を繰り出そうとする。
ハッサムはそれを叩き落し、今度はサンを切り裂こうと鋏を突き出した。

サン「ひゃあ! あぶないあぶない」

サンは身を捩ってそれをかわし、鋏は空を切った。

サン「やっぱ相性悪いかぁ。ここは退くよ。マニュ ねこだまし!」   

ハッサムの目の前で勢い良く擦り合わされた爪から火花が炸裂した。それに目がくらみ動きが停止した隙に
サンとマニューラは森の中へと走り去って行った。

せいや「ふぅ。何とかしのいだか。アオイ大丈夫か?・・・・・アオイ?」

返事はない。そこにはアオイだけでなく他の生徒さえ誰もいなかった。

皆の目の前で繰り広げられていた異常な光景。
ポケモンが相手のトレーナーを本気で殺そうとする異常なポケモンバトルに恐怖を感じた彼らは
既にその場を離れていた。

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ポケお「さ、ここまで来ればもう大丈夫だよ」
アオイ「もういいから放してっ!」

スタート地点より少しはなれた森の中。アオイは掴まれていた手を振り解く。皆があの場から逃げる混乱の中、
ポケおはアオイの手を強引に引いてここまで来ていた。

ポケお「何処行くの?危ないって」
アオイ「せいやクンの所に行くの!私を守ってくれるって言ったもん」
ポケお「あんな野蛮な奴のとこ行ったら殺されちゃうよ? ・・・いや、
    どうせ俺たちは生きて帰れないんだ。だったら最後に女一人くらい好きにしたっていいよな・・・ヘヘヘ」

ポケおはナイフを持ちながらアオイに詰め寄った。

アオイ「え、え?何するの!?」
ポケお「安心しな。肉を裂くわけじゃない。服を裂くだけだからよぉ!」

逃げるように後ずさっていたアオイだが
大きく盛り上がった気の根っこに足をとられて転倒してしまった。

アオイ「いやぁ!来ないでっ来ないで!」
ポケお「遂に夢が叶う時が・・・。これなら死んでもかまわねぇ!」

犯そうと迫るその手がアオイに触れようとしたその時

ポケお「うおっ!?」

何処から現れたのか、ヤミラミがポケおを背後から羽交い絞めにしている。

アオイ「キ、キミは?」
ヤミラミ「オマエのパートナーだよ。ボールが開いたから勝手に出させてもらったぞ」

ぺたんとしりもちをついているアオイは傍らには転んだ拍子に腰から外れた
ボールが落ちていた。

ポケお「こらっ放せっ!」

その小さな体のどこにそんな力があるのか。いくらもがいてもヤミラミはびくともしない。

ヤミラミ「おいアオイ。リュックの中にナイフでも入ってるだろ。
     それでコイツを殺せ」

アオイ「そんな・・・無理だよ。私には出来ない・・・」

ヤミラミ「今オレが手を放したらオマエが襲われるかもしれないんだぞ?
     はーやーくしろっ!」

アオイ「やだ・・・。そんなこと・・・したくないよ・・・」

ヤミラミ「チッ。しょうがねぇな。アオイ顔を上げろ」

アオイ「え?」

二人の眼が合った瞬間、ぼうっとヤミラミの眼が怪しく光る。

ヤミラミ「さぁ、今すぐコイツを殺せ!」

アオイ「ハイ」

生気の無い瞳になったアオイがナイフを握り、ポケおに歩み寄る。

ポケお「畜生!何とかしないと!」

1.アオイに殺されるなら本望。諦める

2.ヤミラミに媚びる

3.後頭部を思い切りヤミラミに打ち付ける

ポケお「いや~ヤミラミさんってすごく男前ですよねぇ」
ヤミラミ「・・・・」
ポケお「ミカルゲなんざ目じゃないっすよ~。ヘヘヘ」
ヤミラミ「そんな事言ってもアオイはとまらねぇぞ
     だから諦め・・・  っ!!」

ポケおを捕らえていたヤミラミが突然飛び退き、ポケおも反動で前方に倒れる。
そして今まで二人がいた空間を巨大な腕が通り過ぎた。

テリー「くそっ!外したか!カビゴン もう一度!」

どこからともなく現れた少年とカビゴン。
一度は外したものの今度はアオイとポケおに向かってそのを体で圧し掛かろうとしている。
だがその動きはとても鈍く、アオイは簡単にかわし、ポケおは四つん這いのまま逃げていった。

ポケお「アオイさん!俺が迎えに来るまで生きててね~」

あまりにも情けない格好で逃げていく彼を後目にアオイ達は新たな敵と対峙している。

ヤミラミ「そんなのろまなポケモンじゃ俺たちには勝てねぇぞ?
     あの野郎みたいに逃げたらどうだ?まぁ逃がさねぇけどな」

テリー「俺はもうどんな事からも逃げたりしない!!」

俺は今まで自分に不利な状況になるとすぐに逃げ出していた。
手術を恐れずに受ける事を決心したテリ子の姿を見るまでは・・・

テリ子「お兄ちゃん 私頑張るから見守っててね!」

妹の手術は3日後。俺はそれを見守ってやらなければならない。
だから俺は・・・

テリー「生き残って帰るんだー!!」

雄叫びを上げながらアオイに拳を振り下ろす。だが
アオイ「ザンネン」
テリー「ぐがっ!!」

その拳はアオイの左手のナイフで貫かれて止められてしまった。

アオイ「サヨウナラ」

そのままの状態でアオイは右のナイフでテリーの胸を刺し、左のナイフを拳から抜いて喉を切り裂いた。

ヤミラミ「コイツはすげぇ。こんな最初からこんないい動きするとはな」

うつ伏せで倒れたテリーは既に喋れないのか、口をパクパクさせていた。

テリー「(すまないな・・・照り子。俺はもう帰れなくなっちまった。
    お前は俺の分まで長生きしろよ・・・)」

アオイ「あれ?私は確か変態さんに襲われて・・・。きゃあ!!何・・・これ・・・」

意識を取り戻した彼女は目の前の惨劇に悲鳴を上げた。

ヤミラミ「よぉ。すげぇなオマエって奴はよぉ」
アオイ「これ・・・キミがやったの・・・?」
ヤミラミ「あ?何言ってんだ。お前がやったんだろ。手を見てみろよ」
アオイ「手? っ!? あ、あ・・・」

アオイの両手はいつの間にか真っ赤に汚れている。同じく赤に染まったナイフを握りながら・・・

アオイ「大丈夫!?ねぇ大丈夫!?」

慌ててナイフを投げ捨て完全に動かなくなったテリーを揺すり呼びかける。

ヤミラミ「大丈夫なわけねぇだろ。オマエが殺しちまったんだからな」
アオイ「ホントに私が・・・殺した・・・」

その場にへたりこんだアオイの足元には温かい水たまりが出来ていた。

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ナカーマ「こんなプログラムをやるなんてこの国は間違ってる!
     俺が変えるんだ!!」

思春期特有の考えを持ったこの少年。まずは他の生徒の様子を伺うことにした。

ナカーマ「さ

突如空から降ってきた閃光に彼の体が包まれる。光が収まった後、そこに存在していた
少年は跡形もなく消滅していた・・・

この島には小高い山がある。ちょうどその位の高さをカイリューが
小柄な少女を乗せて飛んでいた。

ユウ「どこかな~あの女は。早く消し飛ばしてあげたいな~」

私が昔からずっとずっと大好きだったせいや君。遂に決心して彼に告白しようと
思ったときにはあの女がいとも簡単にせいや君と付き合っていた。
そのときは積極的になれなかった自分が悪いと思って諦めていた。
でも・・・
  • ここで他の生徒を殺害しても罪にならないのでご安心を-
この言葉で私の中にあの女に対する殺意が芽生えた。
既に二人殺した。もう後戻りは出来ない。

私が昔からずっとずっと大好きだったせいや君。
それを奪ったアオイ。消してあげるからね。

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アナウンス「えー突然ですが皆さんに連絡があります。少々ルールの変更を。
殺したプレイヤーのポケモンが消える前に自分が所有すると宣言した場合、 
そのポケモンをゲーム終了まで使うことが出来る事に致しました。どんな言葉でも構いません。
自分のものにするという旨のことを言って頂ければ結構です。それでは引き続きお楽しみください」


せ略「だってよ。これでお前のポケモンは俺の物だな」
カゲ「ん?それはどうゆう意味だ?」

川の畔に少年が二人。ポケモンが二匹。
一人は殺気満々だがもう一人はそうでもない。

せ略「お前が死ぬってことだよ!」

ハッサムの手刀がカゲ向かって振り下ろされる。

ガキン!
しかしそれは届かない。カゲをぴったりガードするダイノーズによって何度も攻撃は防がれた。

せ略「チッ」
カゲ「はっはっは!無駄無駄。 ほれ!」

カゲが手榴弾のピンを外し、ダイノーズの後ろから投げつけた。
それは目標に当たる前に飛び出してきたハッサムに触れ炸裂する。
少しして煙が収まりほぼ無傷のハッサム現れた。

せ略「お前だってそんな爆弾じゃコイツの体は傷を付けられねぇよ!
   ハッサム 羽休め!」

さっきから二人はこんな攻防を繰り返している。どちらもガードが固くお互い無傷のままだった。

せ略「(これじゃあ埒が明かないな。俺の武器は毒針の吹き矢だけ・・・。
   そうだ!次の手榴弾の煙で視界が悪くなった時、横に回って奴に打ち込んでやる。長期戦なら毒は効果的なはずだ。)」

カゲ「よし。次のいくか」
せ略「(さぁ 来い!)」
カゲ「ダイノーズ マグネットボムだ」
せ略「何っ!?」

ダイノーズの鼻から丸い物体が4つほどゴロゴロと出てくる。
それは宙を漂い、やがてせ略の両手両足に一つずつくっ付いた。

せ略「何だこれ!取れねぇ!」

どれほど引っ張っても腕を振り回してもそれが外れることは無い。

カゲ「じゃあまずはその危ないものを持ってる右手からだな」

カゲがパチッと指を鳴らすとマグネットボムの一つが爆発しせ略の右腕を吹き飛ばした。

せ略「がああああああ!」

カゲ「ようやっとダメージ与えられた。さて次はどこにしよう」
せ略「ヤ、ヤバイ・・・このままじゃ殺される!ハッサム!逃げるぞ!」

死の危険を感じた彼らはこの場から逃げ去ろうとした。
しかし二人の体はこの場から全く動かない。

せ略「なんで・・・体が・・・。!! ダイノーズか!」

せ略に付いたマグネットボムとハッサムの鋼の体。二人はダイノーズが発する
強力な磁力に完全に縛られていた。

カゲ「ふむ。次は逃げようとしたその足だ。ほれ」

両足が同時に爆破され、支えを失った体が地面に叩きつけられた。

せ略「ち・・・くしょ・・・」

彼はカゲの顔を見上げた。
最後に目に映ったのは少し嬉しそうなカゲの顔。最後に聞いたのは指が鳴らされる音だった。

残りの左腕の爆弾が炸裂し、四肢を失ったせ略の体が宙に舞う。
それを止めとばかりにダイノーズの電磁砲が貫いた。
どさっと落ちたそれが死んだ証拠にハッサムの体は消え始めている。

カゲ「うん。僕の勝ちだ。あ、ハッサムはいらん。鋼ポケモンはコイツだけで十分だからな」
先程まで戦っていた者の死体には目もくれず、カゲは満足そうにダイノーズの鼻をこつんと叩いた。