第二話 妹とカレーと板ばさみ?


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入学式が終わり放課後になって綾と一緒に図書室に向かう

椋は瑞季ちゃんと一緒に先に帰ってしまった

「資料室にあるダンボールに入った本をとってきたらいいんだな?」
「はい、なので御陵君は本探し頑張ってくださいね、私はすぐ終わると思うので」
「ああ」

とは言ったもののそういうわけにはいかないのだ
数分で終わりそうなものを数十分にするのが綾

仕事は早いほうなのだが…妙なところで抜けていることが多い
特に他人に何かしてあげるときはしっかりしているのだが自分のこととなると…
まぁこれも遠まわしに他人に何かしてあげることになるんだろうが…何か微妙な線引きがされているようだ

「やっぱり俺が行こう、力仕事だしな」
「ああっ駄目ですよ!私が行きますからっ」
「いいから待ってろって」

なんとか綾を抑え3階もある資料室に向かう
どうして3階建てなんだろうか、まぁ圧倒的な本の数だがここまでしなくてもいいと思う
こんなところに綾が行けば、ダンボール箱を見つけるだけで常人の2倍は時間をかけるであろう

「ほんと…世話焼きというか何というか…」

そうブツブツ呟いていると・・・そこに奴はいた。

カビでも生えてそうな着物姿、明らかにこの学校の関係者ではない
整った顔立ちと鋭い眼光を放つその目は目の前に開かれた書物に向けられている

「・・・誰だよ」

思わず一言漏れてしまう
本を読んでいる男はそれに気づき顔を上げる

「エロスを語ろうとする割には直接表現を避ける。滑稽だとは思わないかね」
「・・・失礼しました」

危ない人だ。と思いその場を逃げ去ろうとする
あったあったこのダンボールを下に持っていけば俺の勝ちだ
さぁ急げ俺、この男に関わったらすこぶるまずいと本能が告げている

「私は名をかくりごとしろしめすおおかみという。」
「かくりごとしろ・・・は?」

一瞬の間。・・・っていうか怒ってないかコイツ

「まぁ、陳腐にいえば縁結びの神だ」

悔しそうな顔というより嫌そうな顔といったほうが適切か

「・・・で、その縁結びの神様が一体何の用なんだ」

本を閉じ窓際から近づいてくる

「貴君ととある女性の仲を取り持とうと思っている。申し訳ないが、協定に反するので相手方の名は明かせない」
「協定ってなんだよ・・・おいっ」
「私にも面子というものがあるということだ。頑張ってくれたまえ」

呼びとめようとするも既に男はカーテンたなびく窓際に立っていた

「作戦終了、引き上げるぞ。」


こうして少しカビ臭い、つむじ風の様な嵐は去って行った



「どんな本読んでるかと思えば…広辞苑て…エロい言葉に蛍光ペンで線引いてるし…」

そしてさらにそこにはカレーの具材らしきものも置いてあった
そして一言、エラい達筆で。

―晩御飯に使え―

「なんで・・・知ってるんだ・・・?」

―――――――

「やーんっ御陵君が自分からウチにご飯を食べに来てくれるなんて私、嬉しいわぁっ」

妙にくねくねしながらテーブルに料理を並べる美紀さん

「いやいやいや・・・」

そう言うしかない、そう言うしかなかったんだ。

「今日は晩ごはんも食べる予定なんだし…もうウチでゆっくりしていきなさいな?」
「いえ…さすがにそれは…着替えないといけませんし…」
「あら?もう御陵君のお洋服ならあるわよ?」

そう言うと後ろから俺の私服が出てくる

「ちょっと…一体どうやって…」
「鍵は私が持ってるんだから、当然でしょ?」
「む・・・」

何かあった時のために鍵を一つ美紀さんに預けてあったのだが…裏目に出てしまった
というか裏目に出るのは当然なのにどうして預けてしまったんだろう

「とにかく、これでウチでも着替えられるからゆっくりしていきなさいね」
「・・・はい」

渋々頷くと横で綾が話しかけてくる

「御陵君っそれなら後で…私の部屋で…アレの続き…しませんか?」
「アレ・・・?」
「あらあら?2人ともそういう関係だっ「バーチャ○ンか」

美紀さんの発言を遮り"わざと"大きな声で言う

「俺のテムジンは強いぞ?」
「私のサイファーは止まりませんよ?」

バチバチと謎の火花が2人の間に飛び散る中美紀さんが。

「なんだか楽しそうねぇ…嫉妬しちゃうっ」

そう言い放つと美紀さんは自らの双丘に俺の顔面を埋め込んだ

だからどうしていつも…食後に…

――――――――
キュィィィイィイイィィン

バーチャロ○の効果音が響く中、携帯電話が震える

「あ、もしもし?」

親戚の家からの電話だった
今度、実妹の"古林 奈々子"(こばやし ななこ)が遊びに来る予定があるのでそのことだろう

「うん、観光と・・・ああ、わかった」

綾の部屋を出て廊下で話す

「奈々子と代わるの?わかった」

すると電話の向こうから元気な声が聞こえる

「お兄ちゃんっ」
「ん、元気そうだな」

この声を聞くと元気が出る
俺のたった一人の家族、俺の大切な妹の声

「あのね、お兄ちゃんといっぱい遊ぶからねっ」
「うん、楽しみにしてるな」
「あとね、お風呂にも一緒に入って…一緒に寝るのっ」
「ん…ああ、そ…そうだな」

他愛もない会話、だがとても心が落ち着く
そんな時間はすぐに去っていくものだ

「それじゃぁねっお兄ちゃんっ」
「ああ、それじゃあな」

…風呂。
風呂?

いっしょに・・・風呂?

奈々子と…風呂?

兄バカなんてもんじゃない
世間一般的にみても美少女の奈々子と…風呂?

何を言っているんだ俺っ妹だぞ?そんなこと…

「俺は…どうすれば…」
「うふふっ御陵君ったら妹さんにはすっごく優しいのね」
「美紀さん」
「そして今は…」

「うーん」と唇に人差し指を当てながら暫く時間が経つ

「一緒にお風呂に入ろうと誘われて一線を越えてしまいそうな自分にドギマギしているとみた」
「・・・!?」
「あら、本当に正解?」

適当に言ったことが当たってしまい流石の美紀さんも驚く

「私は…その…人の愛の形は様々だとは思うけど…」
「勘違いですからっ」
「そうよね…?いくら何でも…ね?」
「俺を何だと思ってるんですか…」
「カ…カレー出来たわよ?綾を呼んできてくれると嬉しいんだけど…」

珍しく美紀さんから話題を変えてくる、というかあの美紀さんが動揺している
まぁ助かったけれども、このまま勘違いされちゃぁこっちもたまらない…

「まぁともかく…わかりました、呼んできますね」

―――――――――――