濫読者の羅針盤 @ ウィキ
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nhoshi
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#016 The Adventure of Sherlock Holmes / Arthur Conan Doyle
シャーロック・ホームズの冒険 / コナン・ドイル
- A Scandal in Bohemia / ボヘミアの醜聞
- Red-Headed League / 赤毛組合
- A Case Of Identity / 花婿失踪事件
- The Boscombe Valley Mystery / ボスコム渓谷の惨劇
- The Five Orange Pips / オレンジの種五つ
- The Man with the Twisted Lip / 唇のねじれた男(もう一つの顔)
- The Blue Carbuncle / 青い紅玉(青いガーネット、青いルビー)
- The Speckled Band / まだらの紐
- The Engineer's Thumb / 技師の親指
- The Noble Bachelor / 花嫁失踪事件(独身の貴族)
- The Beryl Coronet / 緑柱石の宝冠
- The Copper Beeches / 椈屋敷(ぶなの木立)
説明の不要な一冊。探偵の代名詞でもあるシャーロック・ホームズがここで登場する。
収録作もなかなかの粒ぞろい。ホームズは全部で5冊の短篇集があるが、後半は正直面白くない。しかしこの一冊は絶対に読む価値がある。
収録作もなかなかの粒ぞろい。ホームズは全部で5冊の短篇集があるが、後半は正直面白くない。しかしこの一冊は絶対に読む価値がある。
ぜひ多くの人に読んでほしい。というのも、探偵小説の新たな地平を切り開いたこの作品集が、陰惨な事件や壮大なトリックよりも、実は日常の奇妙な謎に主眼を置いていることに気づかされるから。殺人事件について捜査するのは「ボスコム谷の惨劇」だけ。過去の殺人事件まで対象を拡げても「まだらの紐」が追加されるぐらい。それどころか事件だかなんだかわからないものもある。純粋な謎と解決の物語。細かく見ると傷はあるが、100年以上読まれ続ける理由をもっている。
ただ、これを読んで子供の頃ホームズが嫌いだった理由を一つ思い出した。ホームズにしかわからない事実を使って解決するところが気に入らないのだ。人物の人相を聞いただけで「それはxxに違いないね。ロンドンで最も危険な悪党の一人だよ。」なんて言われても。知るか。
あと、女性の扱いがいまいちですね。ほとんど従属物、持参金としてしか扱われていない。結婚前は親の金づる、結婚後は亭主の金づる。なんだかなぁと思わなくもないが、時代のせいなんでしょうなぁ。
私は新潮文庫版で読みました。しかし新潮版はもともとの『冒険』がすべて収録されていません。「技師の親指」と「緑柱石の宝冠」が『叡智』という日本独自編纂の短篇集にまわっています。訳文も古いので批判もあるようです。私は気になりませんでしたが。新潮文庫を選んだ理由はリニューアル後の装丁が気に入ったというだけです。
今から買うなら2006年に新訳が出た光文社文庫版が評判が良いようです。他にも文庫なら早川、創元から出ています。