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nhoshi

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#013 My Adventure in the Flying Scotsman / Eden Philpotts
フライング・スコッツマンの冒険 / イーデン・フィルポッツ


イーデン・フィルポッツは日本では「赤毛のレドメイン家」で有名な推理作家である。

実際には著作が250以上あって、そのうち50作程度がミステリ、ということなので、当時の評としてはミステリ作家という枠には入っていなかったのではないか。wikipedia を見ても novelist であり、Dartmoor を舞台にした小説や詩が多いと紹介され、最後の方に "He also wrote a number of mystery novels" と付け加えられる程度である。

しかし日本では圧倒的にミステリ作家としての評価の方が高いだろう。江戸川乱歩が「赤毛のレドメイン家」をベスト1の推理小説に選んでいたからだろうか。「闇からの声」も含め、名前は聞いたことがあるという人も多いのではないだろう。(ヴァン・ダインが選んだリストにも入っているので、欧米で特に評価が低いというわけでもないのとは思うが。)他にハリントン・ヘクスト名義でもいくつか推理小説を出している。

さて、それらの作品の発表年を見ると、
1923「赤毛のレドメイン家」、「テンプラー家の惨劇」(ヘクスト名義)
1924「誰が駒鳥を殺したか?」、「怪物」(ともにヘクスト名義)
1925「闇からの声」
となっていて、いわゆる黄金期に集中していることがわかる。

ところがここでリストアップされているのは1888年のデビュー作、「フライング・スコッツマンの冒険」である。

フライング・スコッツマンはロンドン-エディンバラ間を結ぶ長距離鉄道の愛称である。1862年の開通時には10時間半、1888年には7時間半程度で走破した(ちなみに現在は4時間半)らしい。きかんしゃトーマスに LNER 4472 という番号の入った炭水車が出てくるが、これがフライング・スコッツマンである。まぁ1888年当時はこの番号ではなかったようですがね。

この鉄道をPRする小冊子に掲載されたフィルポッツの中篇がクイーンの定員No.13にリストアップされているのだが...。レア中のレア。こんなん普通手に入らないでしょう。クイーンのコレクターとしての性格がこの本をここに入れたとしか思えん。ただ一応 "Q" はついているのですよね。読んでみたいのですが...。

光文社文庫版解説には、88年も経ってから(1976年)アメリカで500部限定出版されたとの記載があります。これは古書で入手可能(但し出版社の表記が異なるので限定版と別の形態があるのかも)です。また、 Mysterious Railway Stories という 1984年のアンソロジーにも入っていたりします。これも既に絶版です。

日本語訳はもっと珍しく、加瀬義雄さんの発行する「ROM」という雑誌に掲載されたことがある、という情報しかありません。これのバックナンバーは既に品切れです。

というわけで、未読です。


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