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*#019 Prince Zaleski / M.P.Shiel プリンス・ザレスキーの事件簿 / M・P・シール しばらく更新していなかったのは、この項を書き上げてアップロード→送信エラー→文書喪失、という自体を2度ほど経験して厭世的な気分になっていたためです。中身が辛口だったからでしょうか。ザレスキーの呪いとか。 +The Race of Orven / オーブンの一族 +The Stone of the Edmundsbury Monks / エドマンズベリー僧院の宝石 +The S.S. / S・S プリンス・ザレスキーは世界初の安楽椅子探偵である。王位を継ぐ身にありながら、あまりにも不幸な恋に殉じ、自ら流謫の道を選び、朽ち果てた僧院に一人の従者とともに静かに暮らしている。彼はシール(作者)が持ち込む難問を居ながらにして解き明かす。おぉ、こう書くと面白そうだ。 しかしなぁ...正直いいとは思えない。なぜこれに"Q"がつくのか。 まず文章自体が難物。やたらと比喩が多く、関係ないところまで話が飛ぶので読みにくい。やたら多くの(マイナーな)固有名詞が出てくるが、本筋とは全く関係がない。(おかげで山のような註釈が付く。) 創元推理文庫版『プリンス・ザレスキーの事件簿』では、訳者の中村能三氏が「あとがきに代えて」という小文を寄せているのだが、なんかこう行間から苦労がにじみ出てくるようで、日本語になっても読みにくいのは決して訳者のせいではなく、お疲れ様でしたとしか言い様がない。 さらに、探偵としてのザレスキーには論理自体に納得できない部分が多い。第一作の「オーヴンの一族」では、ザレスキーの「ではこの事件について一緒に検討してみよう」という言葉の後、4ページにわたって事件そっちのけで社会だの文明だの教養だのについて演説をぶちかました挙句、肝心の事件については「貴族の子息というものは、実際、人殺しなどしないものだ」。だから被害者の息子は容疑者から除くよ、と言う。...ここ、笑うとこ? 「S・S」の暗号もすごいの一言。謎解きのさわりだけ紹介しよう。 Z「私はかねがね、Sという文字は蛇の形から作られたと思っている」 (まーそーゆーこともあるかもね) Z「だからこの絵の蛇は"S"をあらわす」 (え!?「だから」って何?)。 Z「だから他の絵もアルファベット1文字を表していると推理できる」 (をいをい!)。 こんなのはまだ序の口。自分の意見が次の瞬間には事実に変化する牽強付会の妙。ここから一つの絵を二重三重に解釈して強引に文章を作り上げていくのだ。そして導き出される真相はほとんどトンデモ本の世界。普通の人間なら「妄想」の一言で片付けるようなもので、これを小説の中では「事実」として扱われるので、なんか落ち着かない。ホームズのライヴァルであることは間違いない。ただし本家シャーロックではなく、シュロックの方だ。 # S・S自体はメフィスト賞のアレを連想する... 創元推理文庫版『プリンス・ザレスキーの事件簿』では、上記3作の他に原稿自体が数奇な運命を辿った「プリンス・ザレスキーの復活」と、カミングス・キング・モンクものを含む他のシールの推理短編が収録されている。ザレスキーものはこの4つで全部のはず。2004年に復刊していたのだが、どうやら絶版になったようですね。しばらく復刊はないだろうなぁ。ちなみにM・P・シールは没年が1957年なので、まだ著作権が切れてません。私自身は、安楽椅子探偵というジャンルを作ったという点にのみ、歴史的価値を認めたい。 さて、「ザレスキー」と言われると、実は私自身は「プリンス・ザレスキー」ではなく「ザレスキー公爵」という方が耳に(目に)馴染んでいる気がする。しかしどこでこの言葉に馴染んだのか全く覚えがないのだ。調べてみると講談社文庫『安楽椅子探偵傑作選』には4作目の「復活」が「ザレスキー公爵の復活」というタイトルで収録されているのだが、私がこの本を入手したのは『プリンス・ザレスキーの事件簿』読了より後だ。ジュブナイルもので「ザレスキー公爵」という表記を使ったりしていたのだろうか?だいたいPrinceを公爵って訳すのが自分の頭から出てきたとは考えがたいし...なぜ? [[QQ018]] ← [[QQリスト]] → [[QQ020]] #mailform
*#019 Prince Zaleski / M.P.Shiel&br()プリンス・ザレスキーの事件簿 / M・P・シール しばらく更新していなかったのは、この項を書き上げてアップロード→送信エラー→文書喪失、という自体を2度ほど経験して厭世的な気分になっていたためです。中身が辛口だったからでしょうか。ザレスキーの呪いとか。 +The Race of Orven / オーブンの一族 +The Stone of the Edmundsbury Monks / エドマンズベリー僧院の宝石 +The S.S. / S・S プリンス・ザレスキーは世界初の安楽椅子探偵である。王位を継ぐ身にありながら、あまりにも不幸な恋に殉じ、自ら流謫の道を選び、朽ち果てた僧院に一人の従者とともに静かに暮らしている。彼はシール(作者)が持ち込む難問を居ながらにして解き明かす。おぉ、こう書くと面白そうだ。 しかしなぁ...正直いいとは思えない。なぜこれに"Q"がつくのか。 まず文章自体が難物。やたらと比喩が多く、関係ないところまで話が飛ぶので読みにくい。やたら多くの(マイナーな)固有名詞が出てくるが、本筋とは全く関係がない。(おかげで山のような註釈が付く。) 創元推理文庫版『プリンス・ザレスキーの事件簿』では、訳者の中村能三氏が「あとがきに代えて」という小文を寄せているのだが、なんかこう行間から苦労がにじみ出てくるようで、日本語になっても読みにくいのは決して訳者のせいではなく、お疲れ様でしたとしか言い様がない。 さらに、探偵としてのザレスキーには論理自体に納得できない部分が多い。第一作の「オーヴンの一族」では、ザレスキーの「ではこの事件について一緒に検討してみよう」という言葉の後、4ページにわたって事件そっちのけで社会だの文明だの教養だのについて演説をぶちかました挙句、肝心の事件については「貴族の子息というものは、実際、人殺しなどしないものだ」。だから被害者の息子は容疑者から除くよ、と言う。...ここ、笑うとこ? 「S・S」の暗号もすごいの一言。謎解きのさわりだけ紹介しよう。 Z「私はかねがね、Sという文字は蛇の形から作られたと思っている」 (まーそーゆーこともあるかもね) Z「だからこの絵の蛇は"S"をあらわす」 (え!?「だから」って何?)。 Z「だから他の絵もアルファベット1文字を表していると推理できる」 (をいをい!)。 こんなのはまだ序の口。自分の意見が次の瞬間には事実に変化する牽強付会の妙。ここから一つの絵を二重三重に解釈して強引に文章を作り上げていくのだ。そして導き出される真相はほとんどトンデモ本の世界。普通の人間なら「妄想」の一言で片付けるようなもので、これを小説の中では「事実」として扱われるので、なんか落ち着かない。ホームズのライヴァルであることは間違いない。ただし本家シャーロックではなく、シュロックの方だ。 # S・S自体はメフィスト賞のアレを連想する... 創元推理文庫版『プリンス・ザレスキーの事件簿』では、上記3作の他に原稿自体が数奇な運命を辿った「プリンス・ザレスキーの復活」と、カミングス・キング・モンクものを含む他のシールの推理短編が収録されている。ザレスキーものはこの4つで全部のはず。2004年に復刊していたのだが、どうやら絶版になったようですね。しばらく復刊はないだろうなぁ。ちなみにM・P・シールは没年が1957年なので、まだ著作権が切れてません。私自身は、安楽椅子探偵というジャンルを作ったという点にのみ、歴史的価値を認めたい。 さて、「ザレスキー」と言われると、実は私自身は「プリンス・ザレスキー」ではなく「ザレスキー公爵」という方が耳に(目に)馴染んでいる気がする。しかしどこでこの言葉に馴染んだのか全く覚えがないのだ。調べてみると講談社文庫『安楽椅子探偵傑作選』には4作目の「復活」が「ザレスキー公爵の復活」というタイトルで収録されているのだが、私がこの本を入手したのは『プリンス・ザレスキーの事件簿』読了より後だ。ジュブナイルもので「ザレスキー公爵」という表記を使ったりしていたのだろうか?だいたいPrinceを公爵って訳すのが自分の頭から出てきたとは考えがたいし...なぜ? [[QQ018]] ← [[QQリスト]] → [[QQ020]] #mailform

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