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GJチームお見合い提出用 2

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namu

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だれでも歓迎! 編集

舞台裏にて

投稿者:スゥ・アンコ

強制的であろうとも、彼と出会う機会が出来た。
己の想いをぶつける機会が出来たという事は、何よりのチャンス。
これだけ皆にお膳立てをしてもらって、中途半端な結果に終わっては、皆に後からぶん殴られるというもの。
いや、殴られるだけじゃすまないか。半殺しかも。晒しもの?

パイロット席で頭を抱える脚立や、何やら妙に不穏なオーラを感じる朝倉は不思議でならないが、
とりあえず今は告白に集中すべきだ。

まず、席を急にたったかと思えば、パイロットの脚立に無理な要求を一つ。
姫、とか呼ばれるここ数日の間で、すっかり調子に乗ってしまったのか、その要求の仕方は容赦がない。
最初こそおろおろしていた脚立も、そのうち諦めがついたのか、アンコの要求をのんで進んでいく。

進む先は――、お見合いを終えたばかりという、同じるしにゃん王国の南無がいる場所。
そこでコパイロット席から突如地上へと降り立ち、残りのメンバーへと指示を出した。

先に、お見合い席のセッティングをしておいてくれ、と。
かならず時間には間に合わせるから、と。
心配をかける事になるだろうが、どうしても必要な準備があったから。
その為には南無の力がどうしても必要だったから。


皆と別れ、南無と二人きりになったところで話を持ちかける。
少女――、のような男は、その話に眼を丸くしたり、やめておきなよ、と遠まわしに止めてきたりしたが、
基本、気の弱いこの男が女の気の強さに叶うはずもなく。
たった数分で話はついた。

いざ、指令が下れば、この男は何よりも早く任務をこなす。
昔から仕込まれた忍の腕は、基本的につかいっぱしりに何とも便利だ。

とりあえず数分は、何処かの小屋で待機だな、と。
アンコは鼻歌交じりに空き小屋目指して歩き出す。



そして、数分後。
きっちり与えられた任務をこなし、彼女が要望する――、白いドレス、俗に言わなくともウェディングドレス、というものを準備し、
南無は集合場所へと戻ってくる。
全く持って感心する程の下っ端根性に満足げに頷けば、一人ではとても着付けられそうにない衣装を着付けさせる。
コロッケ練習の為にすっかり体にまとわりついたラードの匂いだけはどうしようもなかったが、とりあえず見た目だけは誤魔化せるようになった。
普段のチャームポイントの麻雀牌のピンも取り、お団子を巻いている白い布地もリボンも取り。
唇に塗られた桃色のグロスや、しっかりマスカラもついて巻かれた睫毛。華やかさを演出する暖色系のアイシャドー。

「アンコちゃん、綺麗。」

全ての準備を行った(当然化粧も含む)南無が、満足げに一つ頷いて、感想を零す。
黙っていればそこそこ見れる(と思われる)格好で、けれど不敵に笑った。

「当然アルよ。恋は女を綺麗にする最高の材料アル。
 じゃあ、行ってくるアルよ。仲間待たせてるアル。」

長いドレスの裾を、が、と掴み。
何とも色気のない格好ではあるが女は歩き出す。

愛しき人と。愛しき仲間がいる場所へと向かって。

(スゥ・アンコ 画)


更に舞台裏にて

投稿者:南無@るしにゃん王国


(びっくりした)

見合いの席から庭園へと降りて、つい先刻まで話していた相手のことを思い、南無は胸を抑えながら、ほうとため息をついた。
あんな風に喋ってしまう自分は想定していなかった。
あの人は、あれほど不審な自分を拒絶しなかった。
普通に接してくれた。

(びっくりしたなぁ…)

なんだか顔が熱いように感じて困った。
あの人と別れてからずっと、胸の奥がもやもやとしている。
もう一度会えば、少しはそれが晴れるだろうか。

(そうだ、お手紙を……

「南無!」

「はあうぁ!?」

すっかりのぼせあがっていた為か、ずかずかとやってきた女の気配にも気付けない。
唐突に声をかけられて思わず悲鳴で返してしまった。余韻、台無しである。
慌てて振り返るとそこには見慣れた同僚の姿。
あれだけ派手に動いていたのだから知っている、グリーンジャケットに属している筈の彼女だ。

「あ、アンコちゃん……っ? え、え、何?」

妨害する席を間違えては居ないだろうか。
それとももしかして改心してくれたのだろうか、いやそれはないか。
自分に予測できる程彼女の行動は真っ当ではないので、さっぱり想像は追いつかず、
がしっと捕まれた腕を振り払うこともできないまま、ずるずると物陰へと引っ張って行かれる。
そして増量された胸をはってアンコは言った。

「特別任務、アル!」

明るくも重々しいその言葉は付き合いの長い南無には、拒否権はない、と聞こえた。


/*/


人の恋路の邪魔をするのは良くない。
大体ちょっと前倒しに過ぎる。
まずは健全なお付き合いから云々

と、たしなめてはみたものの、一度こうと決めたら曲げないのがスゥ・アンコだ。
いつも通りに折れたあと、南無はまず最初に着替えた。
見合い援助資金で購入した振り袖は、こんな機会でもなければ縁のない高価なものだ。
汚すわけにはいかないし、いくらなんでも動きにくい。
生を受けて17年、たまに着替えたりなどはしつつも、毎日毎夜、忍者としての修行を積んできた男である。
世界忍者装束に着替え終えるまでたいした時間はかからなかった。
異様なスピードで丁寧に畳んだ着物と帯はそっと重ねておいて、最後に名残惜しげに一撫でしてから、
もう一つのあるべき姿へと戻った南無は控え室より姿を消し、頼まれた物資の調達に向かったのだった。


/*/


着替えの間、散々文句を言ったりだれたりなどしていたが、無事に仕上がった化粧を見て彼女も満足してくれたようだった。
贔屓目かもしれないが、確かに彼女は綺麗で可愛い。
既製品を大急ぎでサイズ合わせしたから、そう長持ちはしないだろうけれど、ドレスもよく似合っている。
自分の抱く花嫁のイメージとは大分かけ離れているが、自信に満ち溢れた笑顔で見合い会場に戻って行く、その姿は誰よりも輝いて見えた。

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(南無 画)

「――じゃあ、行ってくるアルよ。仲間待たせてるアル。」

「うん。頑張ってねアンコちゃん」

片手にアンコの畳まれた衣服を抱えて手を振るが、既に前進を始めた相手には見えていないだろう。
振り向かない性格は彼女の欠点だが長所だ。
人の相手を奪い取る愛、というのはちょっと受け入れがたいが、既に戦いを始めてしまったのなら全力で挑ませてあげよう。
それが友人として出した結論であった。
ドレスを着ているとは思えない速度で見えなくなった背中を思いながら小さく笑う。

(お手紙を書こうと思っていたけれど…)

自分も、あそこまでえらい勢いにはなっていないが、会いたい人ができてしまった。
本当はすぐに戻って筆をとりたい。
けれど

「待ってるよ。一緒に帰ろうね」

興奮冷めやらぬうちに祝辞を述べる役が必要だ。
万が一のことがあるなら、八つ当たりの相手もいるだろう。
警備や妨害に回った他の国民も、彼女を待っているはず。
だから自分も待っていることにするのだ。

手紙の書き出しよりも先に、今は、大好きな彼女の喜ぶ言葉を考えながら。
心配しなくとも、きっと、大量のコロッケとおじさんと共にすぐにアンコは帰って来る。


NEXTステージ
今度こそお見合いへ続く

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