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ミハ子の祝福

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皆が雄たけび、祈り、叫び声を上げる中、眠りについていた一人の少女が、その歓声によって目を覚ます。

「もォ、…何よこんな時間に。」

世間の良い子はもう皆が眠る時間。
こんな時間に騒ぐ大人数は何処のどいつらだと、別世界から少女はその世界を覗き込む。

その世界はアイドレス。
声を荒げる人たちは、この世界の全ての人々。
世界の皆が、ダイスの目、という数字一つに嘆き、喜び、悲しみ、湧きあがっていた。

「何なのかしら。この馬鹿騒ぎする人たち。…ダイスの目一つに一喜一憂するなんて馬鹿なんじゃないの?」

長い髪を二つに結った少女は、その光景を見て呆れたように溜息をつく。
目線を一度はそこからそらせるけれど、…けれど、その声に引き寄せられるように、再度目線がその世界へと注がれる。

舞台は重要な局面を迎えていた。
この場で失敗すれば、多くの人が塞ぎこんでしまうような、そんな悲しい出来事が待ち受ける場面。
皆が、ダイスの神に祈っていた。

そして。
その声は、確かに神である少女に届く。

そう。mihaと呼ばれる少女に。

「もう。しょうがないわね。今回1回きりよ? …べ、別にアンタたちの声に心動かされた訳じゃないんだから。
 ただの気まぐれなんだから。…勘違いしないでよね!」

そう呟きながら、ダイスの出に――小さな祝福を与えた。

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(スゥ・アンコ 画)


【ミハダイスの祝福】

「もう、き、今日だけなんだからね!」
「・・・しょ、しょうがないわね。いいわよ。やってあげても」
「べ、…別にアンタたちを皆助けてあげたいわけじゃないのよ。で、でもこれじゃ、後味が、その…あんまりにも悪いかなって…」
「何よその顔は! 素直にお礼の一つも言ったらいいじゃない…っ!」
「ち、ちょっと手が滑っただけなんだから! べつにあんたたちの為に出目低いわけじゃないんだからっ」

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