無責任 Part.X

シュシュ

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musekijin

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シュシュ


忘れ物のことも忘れて よくもまあ暮らしてるわと
前の見すぎで 背中を気にしなくなる
振り返ったら 僕の彼女が 君の彼氏が いるとしても
目の前の輝きは 強くて離れない

周りに人がいないこと その悔しい思いを
白熱灯にぶつけて お先真っ暗
誰かの背中に張り付いてやりたい気持ちは
通りすがりの巡回が事情聴取することで崩れる

また駅前のベンチに財布を忘れたところで
親切にも追いかけてきた学生たち
だけどベルは終電を告げる 遊びすぎもいかんよと
言えても言いづらい改札前 ホームから見える光

覗き込んだ黄色い線の外側 線路に弱音を吐き捨てて
そいつを遠慮なく轢いてもらえたら 幸せ者にもなれる気がして

渋谷みたいなところの 109みたいなところで
109通りの幸せが 夜の街をうろついて騒々しい

周りに人がいすぎること その混雑に足を託し
ぶつかる人の顔は 若さ故の笑顔か
落とした定期券探す隙見つけられた時と
落とさなかった自分を盗まれる隙はだいたい同じ

背中から狙われたって わかるわけないじゃないか
自分の未来を必死で探してるのは一緒じゃないのか

思い出したくもないことを 何度となく思い出すのは
それがいけないことだったこと その時気づいていなかったから
忘れたままにされてしまうのは まだ怖さを知らないから
記憶を取り扱うことが出来るのは 本物の幸せだけ

終電に揺られながら 今度は誰かの忘れ物
さすがに届けられないだろう まもなく終点が告げられる
きっとそこにあるものは その人に必要なもの
その人がその人であるための 大切な自分の姿

覗き込んだ窓の外 やけに光の当たるゴミ捨て場
いくつもの記憶がまた 埋められることでしょう

死ぬまでは自分を忘れない その一部を忘れたとしても
吐き捨てたい弱音は 引き出しの中で忘れればいい

歩いて帰ったその道に 何度世話になるのでしょう
街頭を壊さぬように 深呼吸して
ゆっくりと ゆっくりと

忘れ物のことも忘れて よくもまあ生きているわと
夢の見すぎで 自分を忘れたところで
振り返ったら 手を振ってくれる君を
落としたとしても 必ず拾いに行くから
とにかく忘れないから


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