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>あいうえお、カキクケコ、サシスセソ、01234、ABCDE、abcde
>abcde,ABCDE,01234,%&@/*-^\
>「…………。――――。○△□☆・●▲■★・┌┬┐┣╋┫」『』【】!?<><<>>()
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透き通った黒を深く湛えた夜空に、白々と輝く満月がぽっかりと穴を開けるかのように浮かんでいた。
降り注ぐ月光は空虚な街並みへと降り注ぎ、そこかしこを濡らすように蒼く照らしている。
壁面をガラスで覆ったビルディング。薄灰にまで色を落とした道路。季節を感じさせぬ深緑の街路樹。
置かれたまま錆付いた自転車。倒れて中身を吐くゴミ箱。月光は何もかもを平等に蒼と影とに切り分けている。
そして、そんな雑多でありながら深い海の様に静かな夜の街の中から一柱の塔が天を突いている。
塔の名前は通天閣。高さは100メートル丁度で、異形でありながら街に馴染む姿は大樹のようでもあった。
頂点からは更に針の様なアンテナが立ち、そして――その先端にひとつの人影が存在していた。
存在の有様はストライダー。名前を飛竜。
藤色をした着物の様な装束に、口元を覆い隠す真紅のマフラー。
曝されている両目にはえも言えぬ力が篭っており、忍者を彷彿とさせるその男はやはりそれに近い存在であった。
だがしかし、近くはあってもその存在は果てしなく深く、濃い死色に塗れた不吉なものである。
見た目にはまだ少年としか見えぬ男は塔の上から月光に沈む街並みを睥睨する。
そしてしばらくの後、男は音を立てずに塔の頂上より飛び降りた。
ストライダーが夜の中に放たれる――……
×◆×◆×◆×
「……ったく、なんだってこんなことに」
夜の街中。それも交差点のど真ん中でその男は誰となしにそう呟いた。
さて見知らぬ街の中にてどちらへと進みだしたものか。
全く当てはなく、とは言え臆するかというとそんなことなく、気づいて数分ほどで男はその足を踏み出し始める。
「ストリートファイトならいつだって歓迎。……まぁ、たまのオフの日には遠慮してもらいたいが」
真紅に染め上げた袖のない空手着に金髪。意志の強そうな太い眉毛に、いつでも不敵さを失わない表情。
男の名前はケン・マスターズ。
そこにいたのは全米格闘技選手権チャンプの肩書きを持つ、知らない者はいないヒーローたる有名格闘家であった。
「バトルロワイアヤル形式――いいだろう。不意打ちだろうが囲み討ちだろうがルール無用――まぁ、これだってOKだ」
しかし殺し合いなんかは真っ平御免だとケンはギリと歯を鳴らした。
痛みを堪え拳法を身につけたこと、恐怖を押さえつけストリートファイトに明け暮れたこと、
自由を捨ててトレーニングに励んでいること、それらは全てファイトを楽しみ、誰かに打ち勝つ為のものだ。
ケン・マスターズの拳は決して誰かを殺す為に磨き上げられているのではない。
「とはいえ、どうにかする当てがあるわけでもないしなぁ……」
頭を掻き、もう片手で首に嵌った環をいじりながらケンは冷たい道路の上を歩いてゆく。
気がノらなければファイトをキャンセルすることも珍しくはなかったが、今回はそういうわけにもいかない。
首輪という枷を嵌められ、ファイトを拒否すれば存在ごと抹消されてしまうのだ。しかも簡単には外れそうもない。
「まぁ、いいか。出会う端からKOをしていけばその内どうにかなるだろう」
結局……というほどもなく、早々にしてケンは自分がするべきことをそれだと決めてしまった。
ファイターなのだからファイトする。全戦全勝ノーコンティニューでオールクリアすればハッピーエンド。
なんとも彼らしい結論で、シンプルな方法論である。
「とりあえずは……――よっと!」
掛け声から少し後、小さな水音があたりに響いた。
橋へと差し掛かったケンが支給品として宛がわれていた拳銃を川へと放り投げた音だ。
ファイターなのだから殺し合いなどはしない。あくまで狙うのは対戦相手のKOで、欲するのはファイトによる勝利。
これも彼らしい意志の表れであり、素晴らしい決意表明であった。
――Get Ready for the New Comers!
そして、先ほどの水音を聞きつけたかは定かではないが、新しい挑戦者が橋の向こう側から現れた。
×◆×◆×◆×
「初戦の相手としては丁度いいところだな」
「ナンバーワーン! (そこにいるのはケン・マスターズか?)」
相手もこちらに気づいたと知ると、ケンは肩にかけていたバッグを投げ捨て橋の上を駆け出した。
ステージ1の対戦相手はマッスルパワー。
ケンほどではないが、USAにおける有名格闘家のひとりであり、本業のプロレスならばその経歴はケン以上でもある。
――ROUND 1 FIGHT!
「ウォーミングアップさせてもらうぜっ!」
「ナンバーワーン! (それはこっちの台詞だ!)」
臨戦態勢に入ったマッスルパワーの筋肉がぎゅうと絞られ、身体中に力の篭った筋が浮かび上がった。
名前の通りに、そしてレスラーらしく彼は筋肉ダルマと表すべき身体の持ち主で、それを惜しげもなく披露している。
普通に考えるならば、レスラーである彼の得意間合いは投げ技の使える至近距離。
実際にその認識は間違っておらず、ならばこの場合は距離を取って慎重に戦うのが常道ではあったが――
「おぅら!」
「フガー! (いいパンチだ!)」
ケンは一直線に突っ込むと、跳躍からマッスルパワーの顔面へと拳を打ち込んだ。
飛び道具である波動拳を用いて待ちに徹するのが確実な勝利の方程式ではあったが、ケンはそれを選ばない。
激しく派手なファイト。そして最後には常にケン・マスターズが勝利している。それが彼の流儀であった。
「ふっ、せいっ――」
「グッ! (やるな!)」
続けざまに右のボディフック。左のショートアッパーを叩き込む。
右の拳からはモンスタートラックのタイヤを叩いたような感触が、左の拳からは相手の首の筋肉がいかに太いかが伝わってくる。
まるで人間を相手にしているようではない――心地よい感触であった。
ケンは打ち込んだ両拳を合わせて腰の横へと引くと――
「――波動拳!」
「ダー! (ぐおー!)」
身体中から掻き集めた気を瞬く光弾として掌から発し、マッスルパワーの胸板へと撃ちこんだ。
一瞬の閃光。そして大きな破裂音が鳴り響くと、巨大なマッスルパワーの身体が僅かに傾げる。
だがレスラーのタフネスはこれぐらいで尽きるものではない、そしてケンもこの程度で攻め足りるほど大人しくなかった。
「せいやっ!」
「フンッ! (いつまでもやられていると思うなよ!)」
空を切る一文字蹴りがマッスルパワーに叩きつけられる。だが、ケンに返ってきたのはコンクリートの様な感触だった。
調子に乗って大振りすぎたか。反省する間もなく、蹴りをガードしたマッスルパワーが反撃をしてきた。
自分のより一回り大きな拳が繰り出されてくる。洗練さもなく鈍い一撃だ。だが避けきれない。
「――っ!」
「ダー! (今度はこっちの番だ!)」
鉄アレイをぶつけられたかのような衝撃にケンは眩暈を覚える。
遅れて激しい痛みが脳を駆け巡った。ぬるりという温かい感触。鼻血が噴出している。鼻が折れているかもしれない。
色男が台無しだ。だが――
「やってくれるじゃねぇか!」
「ナンバーワーン! (まだまだ終わらないぞ!)」
――楽しくなってきた。大の男同士が、時には女相手にただぶん殴りあう。それが愉快でならない。
時に理由をもって、またはただの気分で、場合によっては人生すら賭けて、対戦(ストリートファイト)する。
それのなんと楽しいことか。殴って蹴って強い弱い。まるで子供だ。だがそれがいい。
「竜巻旋風脚!」
「ダー! (そんなものがきくものか!)」
マッスルパワーのラリアットをガードし、ケンは連続飛び蹴りをお見舞いし返す。
対戦の興奮に血潮が滾る。どうして今戦っているのか、そんなことは何も気にならない。ただ対戦を楽しむだけだ。
屈みこんだマッスルパワーに強烈な鎌払いを――と見せかけて、稲妻踵落とし!
ノってきた。マッスルパワーの頭上に☆が明滅している。ケンはマッスルパワーの巨体を掴むと、投げ飛ばそうとして――
「な――?」
「ナンバーワーン! (いくぞ!)」
――”投げ返し”をくらった。
「うおおおおお……っ!?」
「フンフンフンフンフンフンフン……! (フンフンフンフンフンフンフン……!)」
ジャイアントスイングだった。足首を掴まれたケンの身体がマッスルパワーを中心にしてグルグルと振り回される。
そもそもとして、この回転自体にダメージはないが……、
「(嘘だろ……おいおい……!?)」
まるでヘリコプターの様に、マッスルパワーが自身を支点に掴んだケンごと空中へと浮き上がってゆく。
1メートル。2メートル。どんどんと上昇してゆく様はとても常識内の光景ではない。
この状態で投げ飛ばされればダメージも尋常ではないだろう。だがしかし、ケンには別の不安があった。
「(川には投げ込んでくれるなよ。リングアウトなんて格好がつかないぜ)」
今ファイトしている対戦ステージは橋の上で、勿論のことその下には川が流れている。
ケンが普段行っているストリートファイトにリングアウトなんてルールはないが、しかしここでもそうだという保証はない。
世の中にはリングにトゲが生えてたり、試合に負けたらハゲにされるところもあったりするのだ。
ましてや、今は本来ルール無用のバトルロワイアル形式。このまま川に叩き込まれても文句は言えないのだった。
「――ぐはっ!」
「ナンバーワーン! (どうだ!)」
だが、幸いにも叩き落されたのは硬いアスファルトの上であった。もっとも、ダメージで言えばこちらの方が強烈であったが。
ケンは痺れる身体に鞭打ち立ち上がる。すぐ頭上にはボディプレスをしかけるマッスルパワーの姿があった。
対空するか。しかしダメージがその判断を一瞬遅らせる。
「ぐっ!」
「ダー! (これでとどめだ!)」
ガシリと、ボディプレスを喰らってよろけた身体をマッスルパワーの両腕が力強く吸い込んだ。
大技がくる。ケンは予感に身を強張らせるが、しかしどうしようもない。
最初に来たのは強烈なヘッドバッドだった。金属バットで殴られたような衝撃が走り、2度目で身体の感覚が消えてなくなる。
「フンッ! フンッ! フンガー! フンガー! フンフンフンフンフンフンフン…… (どうだこのコンビネーション!)」
次に上下の感覚が逆転し、急加速とともに物凄い衝撃が身体を襲った。
ここまできてようやく、ケンはマッスルパワーの『スーパーデンジャラスジャイアントブリーカー』を喰らっているのだと気づいた。
以前、彼の試合を見ていた時に喰らってる相手が随分と気の毒で大笑いした超必殺技だ。それを今自分が喰らっている。
再びの衝撃。首の後ろでゴキリという嫌な音がした。全く少しは加減ができないのかとケンは心中で愚痴る。
「ダー! ハッ! ナンバーワン! ナンバー……ワーン! (決まったぞ!)」
連続パワーボムからジャイアントスイング。更に空中へ飛び上がっての2連続バックブリーカー。
見た目の豪快さに劣らぬ恐ろしい威力の技だった。
特に頚椎から背骨全般へのダメージが深刻だ。普通の人間なら明日からタコとして暮らす羽目になっていただろう。
常日頃から鍛え上げているケンの身体は五体無事ではあったが、しかしすぐに起き上がれる状態というわけでもない。
冷たい道路の感触を背中に、ケンは己の断末魔の残響を頭の中で繰り返し聞いていた。つまり――
――K.O! Muscle Power WIN!
×◆×◆×◆×
――ROUND 2 FIGHT!
勿論。ケン・マスターズはやられたままで終わるような男ではない。
むしろ勝負はここからだ。ワンサイドゲームばかりじゃ観客も喜びはしない。時にはあえて負けて見せるのも演出である。
そういうもんだろう? と、頭の中で自己弁護し、口の中に溜まった血を吐き捨ててケンは立ち上がった。
「OK。ウォームアップは終わりだ……」
「ナンバーワーン! (また叩きのめしてやるぜ!)」
地響きを立ててマッスルパワーが突進してくる。
別に待っているというつもりはなかったが、未だ足がふらつくケンにとって向こうからやって来てくれるのはありがたかった。
呼気を整え身体中に新しい力を満たしながらケンはいかに勝利するのか、その行程をイメージする。
そう言えば、まだ昇竜拳は一度も決めていない。
ここまできたらいっそ最後の締めまでとっておくか、いやそれともドラゴンダンスを見せてやるか。
拳を握る。深くは考えない。突っ込んでくる相手がいるならぶっ飛ばすだけだ。できるだけ派手に、できるだけ格好よく。
重要なのはノリだ。リズムさえ刻んでいれば後はセンスが補ってくれる。重ねたトレーニングの成果を信じればいい。
駆け引きはいらない。負けることをイメージするな。勝つためには昇竜拳。昇竜拳。そして……昇竜拳だ!
「よし、きやがれ!」
「ダー! (うおおおおおお……!)」
迫るマッスルパワーの巨体が加速した。気迫が熱気のように圧し掛かってくる。
向こうにも負ける気などはさらさらないらしい。さすがはワールドヒーロー。その英雄としての気質は羨ましいぐらいだった。
だが――
「いくぜ、しょう――……っ!?」
「オワー! (……………………)」
だが――……?
光の軌跡が一閃。ケンの目の前でマッスルパワーの首に何かが走り、その首が撥ねられた。
何が起きたのか?
空白。そして水面に何かが落ちる音が聞こえた。考えている通りならばそれはマッスルパワーの首だ。
理解が追いつかない。
まるでカートゥンのように首を無くしたマッスルパワーの身体がドタドタと隣を駆け抜け、思い出したかのように倒れる。
――Get Ready for the New Comers?
そして、闇の中にストライダー飛竜の姿があった。
×◆×◆×◆×
「てめぇ……!」
ケンは突如として現れたストライダー飛竜の姿を見据え呻き声を漏らした。
そして、自分達がどういった現実の中にいたのかを今更ながらに思い出し、痛感した。
裸足の足の裏にマッスルパワーの血が触れる。目の前の男は何をしたのか? 何をしたのか――言うまでもない。
文句を言う筋合いもないだろう。ここはそういうルールなのだから。怒る義理もないだろう。別に友人だった訳でもない。
だがしかし。
「てめぇ……!」
ケンの中で怒りの炎が燃え上がる。
誰かが殺されたことが許せないのか。ファイトを途中で邪魔されたからなのか。逆転シーンを横取りされたからなのか。
ただ目の前の男の無感情な顔が気に喰わないからなのか。その男の暴挙を止められなかったことが悔しいのか。
奴が構えるサイファーの刃に恐れを抱いている自分に対してなのか。それともそれら全てに対してなのか。
「――貴様らのお遊戯に付き合ってやるつもりはない」
瞬間。閃光が煌き、プラズマを纏った光剣の刃がケンの首元を掠めた。
「何を考えてやがるッ!」
「…………」
言ってから、随分とナンセンスなことだとケンは自嘲した。相手はストライダー飛竜なのである。問う必要も意味もない。
何より、もうすでに目の前で一人殺されているのだ。まだ話が通じるなどと考える方がおかしい。
「(弱気になってるのか……俺が?)」
サイファーの一閃を紙一重で避けてケンは考える。
恐怖を感じているのかもしれない。それはストライダー飛竜に……ではなく、殺し合いそのものに対して。
負けることにも、殺されることにだって恐怖は感じない。しかし、殺しあうということは恐ろしい。
誰かをその手にかけた時、自分は自分のままでいられるのだろうか?
もしこの殺し合いに勝ち残ったとして、自分はその手を汚したまま家族の下へと帰れることができるのだろうか?
そんなことを無意識のうちに考えていたのかもしれない。だからこそ、ファイトに興じることにしたのかもしれない。
マッスルパワーとて同じだったかもしれない。アイツはああ見えて子供受けを気にするベビーフェイスである。
だから、二人してファイトを始めた。俺達は殺し合いなんかはしないぞという意思表示のように。
そうしていれば現実は通り過ぎて行くと信じて――いたのかもしれない。
「……ふっ!」
大降りの一撃に合わせ、ケンは前転でサイファーの下を潜った。
一軍を単独で殲滅するストライダーとて、何もファイトにおいてまで完璧な存在という訳ではない。
無論、対戦相手としても恐ろしいのは変わりないが、ファイトの中でなら勝機はあるとケンは前へと出た。
「…………っ!」
隙の大きな技に前転を合わせ、懐に潜り込んだところで昇竜拳。それがケンの常勝パターンであったが、
ケンが前転を終えた時、ストライダー飛竜の姿は空中にあった。
「(読まれていたのか……!?)」
飛竜の位置は遠くはない。ほぼケンの頭上に近い位置にいる……が、決して近くもない。
この距離では昇竜拳を出してもサイファーの軌跡を掻い潜れるかどうかは不明――いや、確実に斬り落とされる。
あの飛竜が間合いを誤るなどということがあるはずがない。つまり、ひとつ前の大降りすらもこの為の布石だったのだ。
どうするのか? 判断に迷っている時間は寸分たりともありはしない。
サイファーをガードするのか? しかしこの距離からその後に続くだろう猛攻を凌ぎ切れるのか?
もう一度前転をして下を潜るか? だが前転を終えるより飛竜が着地するほうが早い。後ろから斬りつけられることになる。
「昇竜――――」
何が正解なんて考えている暇はなかった。だから、ケンは得意技である昇竜拳を打つことに決めた。
後からこの戦いを見る者がいれば、または現在この戦いを俯瞰する者がいれば、彼を愚かだと言うかもしれない。
しかし彼自身を責めることは誰にもできない。何故ならば、その選択の報いを受けるのは彼自身に他ならないのだから。
縦一直線の軌跡がケンの昇竜拳と重なり、そして――鮮血の紅が夜闇の中に迸った。
ノックアウトのアナウンスは流れない。これは殺し合いなのだから。
×◆×◆×◆×
「ハァ……、ハァ…………」
飛竜の一閃はケンを絶命にまでは至らしめなかった。
だがしかし、彼が血の海に沈んでいる姿を見れば追撃の必要がないと誰でもわかるであろう。
実際に、丸めた身体を震わしているケンを他所に飛竜は彼とマッスルパワーの落としたバッグを回収している。
「ハァ…………、ま……待てよ……、まだ、俺はK.Oされちゃ、いねぇぜ…………」
こんなことを言っても意味がないというのはケン自身もわかってはいる。
状況が引っくり返る可能性なんて考えてはいない。
ただ、ケン・マスターズとしての生き様を真っ当したいという気持ちの表れであった。
殺そうとしたのでもなく、殺されたのでもなく、あくまでストリートファイターであり、その結果の中で敗れ去りたい。
それが死に瀕したケンの行える最後の抵抗でだった。
「貴様の夢はその血溜まりのように温かろうよ」
ストライダー飛竜はケンの顔を見ることもなくその場を立ち去った。
(――イライザ。俺は格好よかったか?)
そして、ケン・マスターズはその華やかな人生を夜の街中で、誰に看取られることもなくひっそりと終えた。
ストライダーが夜の街に放たれる。全ての命を刈り取り、最後には次元意志の命を刈り取ろうと――……
&color(red){【ケン・マスターズ@CAPCOM VS SNK 死亡】}
&color(red){【マッスルパワー@ワールドヒーローズ 死亡】}
【大阪府/街中/1日目深夜】
【ストライダー飛竜@VSシリーズ】
[状態]:健康
[服装]:スタンダード
[装備]:基本装備(光剣サイファー、万能鎌クライムシクル、その他オプション)
[道具]:基本支給品一式x3、ランダム支給品x2
[思考]
1:参加者を皆殺しにして、次元意志を抹殺する。
※ケンに支給されていた「ジルの拳銃@VSシリーズ」は川の中へと沈んでいます。
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