2009年9月16日の首相就任会見


このたび、衆議院、参議院両院におきまして、総理に選出をいただきましたその瞬間に、
日本の歴史が変わるという身震いするような感激と、さらに一方では、大変重い責任を負ったという、
この国を本当の意味での国民主権の世の中に変えていかなければならない。
そのための先頭を切って仕事をさせていただく、その強い責任も併せて感じたところでございます。

社民党さん、国民新党さんとともに、民主党、中心的な役割を果たしながら、
連立政権の中で、国民の皆さま方の期待に応える仕事を何としても、していかなければならない。
強い使命感を持って、仕事にあたりたいと感じているところでございます。

言うまでもありません。この選挙、民主党、あるいは友党は、大きな戦いに勝利を致しました。
しかしこの勝利は民主党の勝利ではありません。国民の皆様方が、期待感をもって
民主党などに対して1票を投じていただいた結果でございます。

まだ歴史は本当の意味では変わっていません。
本当の意味で変わるのはこれからの私たちの仕事如何だと、そのように感じております。
私たちは、今回の選挙、国民の皆さん方の様々なお怒り、ご不満、悲しみ、
全国各地でそのようなものをたくさん頂戴を致して参りました。
何でこういう日本にしてしまったんだ、こんなふるさとにしてしまったんだ、と。
その思いを私たちはしっかりと受け止めていかなければなりません。
そして、そこに答えをしっかりと出さなければならない。
大きな役割を私たちは担わなければなりません。

 すなわち、今回の選挙の勝利者は国民の皆さん方でございまして、
その国民の皆さまの勝利というものを本物にさせていただくためには、
とことん、国民の皆さまのための政治というものを作り出していく。
そのためには、いわゆる脱官僚依存の政治というものを
今こそ世の中に問うて、そしてそれを実践していかなければいけません。

私たちはさまざまな仕組みの中で脱官僚依存、すなわち官僚の皆さんに頼らないで、
政治家が主導権を握りながら、官僚の皆さんの優秀な頭脳を使わせていただく。
そういう政治を送り出していきたい。
その先には、言うまでもありません、国民の皆さんの心と接しているのは政治家である。
その気概を持って、国民の皆さん方の様々な思い、政治を変える。何のために変えてもらいたいのか、
その思いを受け止めて、私たちが大きな船出をしっかりとしていきたい。
そのように感じているところでございます。

そのためには、今までのように、国民の皆さんもただ1票を投じれば良いんだ。
そういう発想ではなく、ぜひ政権に様々ものを言っていただきたい。政権の中に参画をしていただきたい。
私たちが皆様方のお気持ちを、いかにしっかりと政策の中に打ち出していけるか否かは、
国民の皆さんの参加次第にかかっているとも、申し上げていいと思います。

私たちはそんな中で、今まではマニフェストというものを作り上げてまいりました。
子ども手当の問題にしろ、ぼろぼろになった年金を何とか正していく、こういったテーマにしても、
そのための財源をどうするのか、その思いの中で私たちは無駄遣いを一掃しなきゃならん、
まずは無駄遣いを一掃するべきだ、その発想の中で行政刷新会議というものを作り上げてまいりました。
また、国家戦略室というものも作り上げていきたい。
そして、そこによって国民の皆さん方に必ず国家的な、大きな役割を、指針というものを見いだしながら、
国民の期待に応えてまいりたい。そのように感じているところでございます。

多分、いろんな試行錯誤の中で、失敗することもあろうかと思います。
ぜひ国民の皆さんにも、ご寛容を願いたいと思っております。
何せまだ、ある意味での未知との遭遇で、経験のない世界に飛び込んでまいります。
政治主導、国民主権、真の意味での地域主権の世の中を作り上げていくために、
様々な試行実験を行ってまいらなくてはなりません。
従いまして、国民の皆様方も、辛抱強く新しい政権をお育てを願えれば、大変幸いに思っております。
私どもは、そのような思いの中で、連立政権を樹立をする決意を固めた次第でございます。

 あくまでも国民の皆様のご期待に応えるような新しい政治を作りたい。その思い一つで連立政権を樹立いたした、
その思いをみんなでかみしめながらスタートして参りたいと思っておりますので、
国民の皆さん方にもご辛抱の中で、ご指導ご支援を戴きますことを心から祈念いたします。
どうぞよろしくお願いいたします。

 【質疑応答】
(共同通信:木下)
 ――鳩山政権で当面最も重要視する政策課題は? 子ども手当では依然、財源の問題が言われる。
予算の執行停止などで、景気の腰折れが懸念されているがどう折り合いをつけるか?

 まず、重視する政策課題でありますすが、言うまでもありません、先ほどもちらっと申し上げましたけれども
マニフェスト、ま、これは連立政権でありますから、連立政権の中では、
その、合意をいたした中身をしっかりと実現していくということでありますが、

民主党としては、その中での、特に先ほど申し上げたような子ども手当、或いは暫定税率の撤廃とか、
国民の皆様方の家計というものを、刺激する施策というものをまず真っ先に行いながら、
今お話がありましたように、景気の先行きが極めてまだまだ、見えてこない中で、
国民の皆さんにとって「ああ少しは懐具合が良くなっていきそうだな」と、「この政権に期待が持てるな」と
思って頂けるような施策をいち早く実現していくこと、それに尽きるのではないかと思っております。

そうなりますと財源の問題が出て参ります。
従って私たちは事業仕分けをしっかりと行っていくための行政刷新会議をすぐに稼働させていきながら、
いわゆる行政のムダはないか。各省庁に対して徹底的に無駄をなくす方向で努力を願いたいと考えております。
それなりの目処というものは、立ちつつある状況ではないかと考えておりまして、
財源の問題は、私たちは少なくとも初年度分、7兆円あまりでありますが、十分にめどがたつのだ、そのように確信しています。

それから、景気対策、補正予算というものを私たちは徹底的に見直さなきゃならないと考えております。
従いまして予算の執行停止を求める部分も、これから出てくると思います。
それはしかしながら、もうすでに執行しているような地方において、地方の活性のためにお使いになって戴いているものに対しては、
基本的に地域の活性化に役立つという判断であるならば、続けて執行していただきたいと思っておりますが、
必ずしもそうでないもの、まだ執行が始まっていないもの、というものに対しては大胆な見直しが必要ではないかと
そのように考えているところであります。

私たちが申し上げたいのは、今申し上げたように、すでに地方で仕事がなされているものに対して、
それを止めれば、相当大きな影響が出てくる、出てきかねないと思っておりますので、
そこに対する配慮は行っていきながら、我々が考えていく中で、無駄だとか、或いはもっと有効な使い道があるのではないか、
そのように思われているものに対しては見直して、そしてもっと有効な手だてというものを構築していきたい。
私たちはそのように考えております。

(東京新聞:佐藤)
――総理は脱官僚政治の実現への強い意欲を改めて示されたが、
これには官僚の強い抵抗が予想されます。国家戦略局の位置づけも含めて、
具体的にどのように、この脱官僚政治を実現させていくおつもりかお聞かせください。

はい。まず、私どもは大臣、副大臣、政務官、そのいわゆる政務三役という方々に、
それぞれの役所において政治主導の立場から、政策の意思決定を行っていただきたい。そのように考えております。
言うまでもありません、優秀な官僚の皆さんの、国民のために頑張っていただくものに対して、
それをけしからんという術は私たちは持ち合わせてはおりません。

しかし、必ずしもそうでないものに対して、基本的に政治家が主導しながら
役所の事業というものを、むしろ政治家が指導して意思決定を行っていくというシステムを作り上げていく。
是も申し上げたと思っておりますが閣僚委員会というものを作らせていただいて、
特にこれは、いくつかの役所にまたがるようなプロジェクトに対して閣僚委員会で意思決定をほぼ行い、
最終的に閣議というものでで最終決定をする。
事務次官会議は廃止をしておりますから、必ずしも官僚の皆様方の抵抗によって大きく曲げられるということにはならない。
そのように考えております。

国家戦略局、あるいは行政刷新会議、このあり方も、その中で政治主導で参ることは言うまでもありませんし、
特にこれ、予算の骨格を議論する国家戦略室、菅大臣にその仕事をお願い致すことにしておりますが、
菅大臣の大変強いリーダーシップに大いに私は期待を申し上げたい。
また、行政刷新会議は仙谷大臣のリーダーシップを大いに発揮していただきたいと思いますし、
いわゆる各省の副大臣クラスの方々にも行政刷新会議の中での役割というものを任じていただきたい。

そして事業仕分けを始めとして、いわゆる無駄だと思われているような事業を徹底的に排除するように、政治主導で行っていきたい。
そのような様々なやり方を駆使しながら、いわゆる脱・官僚依存の政治を行ってまいりたい、と考えております。

(不明)
――来年のマニフェストについては、7.1兆円のめどが立ったというようなご発言がありましたが、
来年度予算の編成が喫緊の課題になると思いますが、まず、シーリングについてゼロベースで見直しをされるのか。
それと年内編成を行うのか、そして年度内成立を目指すのか、そのへんのスケジュールについてはどのようなお考えでしょうか。

これは財務大臣、さらには国家戦略室の菅大臣を中心に、これから早急に議論を詰めていくということが、基本的なスタンスであります。
私からあえて申し上げれば、当然のことながら、今までの手法というものはゼロベースで考え直していくということでありますので、
シーリングのやり方などというものも基本的に考え直していきたいと考えておりますし、
そうは言っても、このようなある意味で遅れてスタートはいたしますが、
年内で編成ができるようなスケジュール感で臨んで参りたい。
現在はそのように考えております。

(読売新聞:川嶋? 川島?)
――国連総会に対しまして、訪米をされて日米首脳会談に臨まれることになるんだろうと思いますけれども、
日米関係を深めていくために具体的などのような方針で臨むおつもりなのか。
連立与党の合意でも日米地位協定の改定の提起と言うことを盛り込まれていますけれども、
それについてはテーブルに載せるおつもりはあるのかどうなのか。具体的にお聞かせ願いたいと思います。

まだ、日米首脳会談の日程がセットされることを期待をいたしておりますが、
どのような時間をいただけるか、まだ必ずしもわかっていない状況であります。
その上で仮定の中で申し上げるとすれば、わたくしはまず、オバマ大統領と信頼関係を構築をするということが第一歩であって、
今回の訪米はそういった意味で、お互いに率直な意見交換をすること、
そのことによって信頼感というものを高めることが一番重要なことではないか。そのように思っております。

いわゆる、この日米の地位協定などの問題に関して、わたくしども今、考えておりますのは、
当然、基本的な方針は変えるつもりはありません。
この連立のなかでの合意のところでも、改定に向けて努力をすることがうたわれているのも事実でございます。
ただし、今回は信頼関係を醸成していくということが主眼でございますし、
いわゆる日米間の様々な懸案問題、安全保障関係の問題に関しては、
包括的なレビューというものを少し時間かけて行うことが重要ではないか、
そのように思っておりますので、このような時間かけたなかで議論を進めていくことが大事であると。

一番私たちがカギに思っておりますのはやはり、信頼関係の構築だというように理解をいただきたい。
そのためには、くどいようですけれども、お互いにですね、相手に対して遠慮しないでものをいう立場というものを築き合うことだ、
このように考えております。日本がややもすると受け身的な日米関係に今までなりつつあったわけでありますが、
そうではなくて、能動的な立場でですね、われわれとしてもこう考えているんだということ、率直に話し合えるような関係をつくりあげていきたい。
そのなかでの結論というものを導いていくように努力をしたい。そのように考えております。

(産経新聞:阿比留)
――政府の拉致問題に対する姿勢をお伺いいたします。今度の鳩山内閣には北朝鮮の拉致実行犯、横田めぐみさん拉致実行犯である
シン・ガンス元死刑囚の釈放嘆願書に署名した菅さんと千葉さんというふたりの閣僚がいます。
これから北朝鮮に拉致問題の解決を迫るときに誤ったメッセージを送りかねないという気もするのですが、どうお考えでしょうか。
またこのお二人に拉致被害者や被害者家族に対する反省なり謝罪なりを求めるお考えはありませんか。

私は、過去の経緯というものは事実としてあろうかと思います。
ただ一番大事なことは、北朝鮮に対しては拉致問題を現実的に解決に向けて進めていくということが肝要であります。
そのためにも今回、国家公安委員長になりました中井洽さん、中井大臣に拉致問題担当大臣というものを命じているところでございます。
彼が今日まで拉致問題に対して大変積極的に行動して参ったということに、私は重きを置かしていただきながら、
拉致問題をうまく展開させていくために努力を惜しまない、このように考えておりまして、
過去のことに関して、私はいま2人の大臣に問うことを考えておりません。

(朝日新聞:前田)
――先ほどの予算編成の絡みで1点確認と、もう一つ内閣について1点あるんですが、予算編成が当面、喫緊の課題となるわけですが、
その司令塔が国家戦略局が司令塔なのか、財務省が担うのか、ということ。今後、どっちが司令塔なのかというのと、
もう一つは、総理が幹事長時代に西松建設の違法献金事件を巡って、「国策捜査だ」ということをおっしゃいました。
今回政権をとられて、その考えが変わらないのかという点と、法務大臣のポストを選ばれる時に、
国策捜査ということのご認識に立たれるのであれば、考慮された点があるのかどうか、という点についてお願いします。

まず、予算編成に関してでありますが、私は国家戦略室にいわゆる骨格というもの、予算の骨格というものを議論していただくと。
いわゆる詳細に対する設計というものではなくて、骨格の設計を国家戦略室にお願いを申し上げたい。
そのように思いながら、国家戦略室を作った次第であります。

従いまして、その骨格に対して、しっかりとした骨組みから、精緻な内容に仕立てあげていくのが
財務大臣、あるいは財務省中心とする役割だと、そのように認識しております。

ただ、双方がですね、またある意味での、行政刷新会議も含めて、
どのくらい無駄遣いというものを削減することができるかというものも絡んでおるものですから、
その三者が、ある意味で一体的に議論を進めながら、役割分担というものをおこなっていくべきだと、そのように考えております。

それから、西松建設に対して「国策捜査」という言葉を一度使った次第でございますが、私は二度は使わなかったつもりでございます。
すなわち、一度使ったことに対する、ある種の反省の思いを含めて、その言葉を遠慮しているところでございますので、
そのような立場だとご理解を願いたい。

(なんとかザーニュース?:不明)
――総理が提唱されている東アジア共同体なんですが、
それは今後の外交日程の中で、どういった形で国際社会に提起していくお考えなのか? 
共同体がですね、アジア共通施策というか、考えがですね、
アメリカでは、アメリカ離れとか、ドル離れを指向しているのではないかという見方もされているようですが、
こういったことに対して、どのように答えられるか?

ご案内の通り、ある意味での友愛という精神というものがスタートラインでありまして、
それがEUにおいては共通のユーロという通貨まで展開をしていったということでございまして、
私はある意味で、かなり体制も違う国々もあるわけではありますけれども、
アジアにおいて、特に東アジアにおける共同体というものを中長期的にみて構想することは、
私は正しい道のりだと、そのように考えております。

その発想は決してドルというものを、あるいはアメリカというものを除外するつもりではありません。
むしろ、その構想の先に、私はアジア太平洋共同体というものを構想するべきだと、そのように思っておりまして、
アメリカ抜きで必ずしもすべてできると思ってもおりません。

このような構想はできるだけ早い時期に、すべて、どこまで詳細にお話しするかということは別にいたしまして、
何らかの形で今度、国連でも演説をする予定でもございます。
そのような中で、頭出しぐらいはしてみようかな、そんな風に考えているところでありますが、
まだ、そこのところは詰めている状況ではありません。

(朝日新聞:村松)
――故人献金問題についてお伺いします。故人献金問題について、鳩山総理は説明責任を十分果たしたという立場を一貫してとられていますが、
臨時国会等でですね、野党の厳しい追及を受けるのは必至だと思います。この故人献金問題を抱えたままでの政権運営への影響についてと、
今後の新たな説明のお考えはあるかどうか、についてお願いします。

はい。この問題に対して、国民の皆様方に色々とご心配をおかけしたこと、
おわびを申し上げながら、私なりに修正、あるいは訂正をいたしたところでございます。
なかなか国民の皆様方にはご理解いただいていないことは事実だと思っておりますので、
それはもっと説明をつくす努力はして参りたいと思っておりまして、今後の展開というものも様々考えながらですね、
私なりの思いを国民の皆様方に、できるだけ正確に、正直にお伝え申し上げて、ご理解を深めていただきたい、
そのように努力をいたしたいと思っています。