早○田の食客 ◆3zWaseda2A氏による文藝春秋2009年7月号書き起こし その2

民主四天王直撃! 鳩山政権で大丈夫?@文藝春秋09年7月号
長妻昭/馬淵澄夫/細野豪志/福山哲郎
司会:田崎史郎(時事通信社解説委員長)

司会:今日お集まりいただいた四人の方を、民主党の次代を担う「生え抜き四天王」として勝手に選抜いたしました。
    これから10年でかつての竹下派七奉行のような実力者に育つ可能性を秘めているからです。
    「生え抜き」とは1998年の新・民主党誕生以降に初当選したという意味で、
    衆院では三回以下、参院では二回以下にあたります。年長は長妻さんと馬渕さんですね。
長妻:私はコンピュータの営業マン、「日経ビジネス」の記者を経て、政治の道に進みました。
    衆院選で東京7区(渋谷区、中野区)から初当選を果たしたのはちょうど40歳のときで、現在三期目、48歳になります。
司会:「消えた年金」問題で先頭に立って追求し、民主党の「次の内閣」では
    年金担当大臣兼内閣官房副長官と唯一人兼務し、期待されている。真淵さんも同い年ですね。
馬渕:私も同じ48歳ですが、当選回数は二回です。
    建設、コンピュータ関連などに数社で会社員、役員などを経験し、43歳のときに生まれ育った奈良1区(奈良市)から初当選しました。
司会:05~06年の耐震偽装問題では、国会でマスコミも報じていない「隠し球」を使って追求し、一躍有名になった。福山さんも同世代ですね。
福山:私は、お二人より一学年下の47歳で、証券会社から松下政経塾を経て
    98年の参院選で京都選挙区から初当選。現在二期目になります。
司会:福山さんも、長妻さん同様の「次の内閣」官房副長官です。さらに若いのが細野さん。
細野:私は三和総研(現・三菱UFJリサーチ&コンサルティング)を経て、2000年に完全な落下傘候補として
    旧静岡7区(現在静岡5区、三島市など)から出馬して初当選し、衆院三期目ですね。
司会:最近、世襲に対する批判は益々高まっていますが、皆さんは世襲ではなく、それぞれに人生経験を積んで政治の世界に入った。
    もう一つ共通点は、全員民主党の政策立案を担う政策調査会の中心メンバーです。
    長妻さんと福山さんが政策調査会長代理、細野さんは筆頭副会長、真淵さんも副会長。
    今日はこの四名で、小沢一郎前代表の辞任と代表選挙の総括、さらに総選挙への展望と「政権交代」のビジョンを語っていただきたいと思います。
    5月16日の代表選を経て鳩山新体制が誕生しました。あの代表選は本当に国民に開かれたものだったのか、
    小沢さんの辞任表明が5月11日、そこからわずか5日後に代表選が実施されました。
馬渕:開かれた選挙戦だったか、と問われれば「ノー」としか答えようがありません。
    投票権を誰に与えるのかというルールを直前に変えるのは無理でも、日程に関しては異論がありました。
    16日の土曜日に投開票ではなく、週末に地元の声を聞いた上で18日、月曜日に投開票でも問題ないはずでした。
    私は両院議員総会でもそう発言しました。そういう意味では非常に残念です。
長妻:ただ,我々も自民党の安部晋三元総理、福田康夫前総理による放り投げ辞任の際には
    「総裁選に長く時間をかけるべきではない。会期中だ」とさんざん主張してきた経緯もあった。
代表戦の舞台裏で何があったか
司会:代表選の日程を決めた5月12日の役員会で小沢氏が長妻さん、福山さん、野田佳彦氏、安住淳氏の4人を一人ひとり指して
   「お前らいっつも反対反対と。最後ぐらい言うことを聞け!」と発言したという報道がありました。
福山:私も役員会で「日程についてご一考を」と発言した一人ですが。
   「反対しているのは4人だけだ。他の役員は反対していないんだから、常任幹事会に上げる」と言い方はされました。
   政治の議論の場面ではよくあることで、取り立てて騒ぐことでもありません。
   ただし、短期間での代表選について、小沢さんに何らかの意図があったとしたら、ちゃんとした手続きを経た中でルールメイクをして勝負をかける、
   すでにそこから権力闘争は始まっていたわけです。そういう政治の厳しさ、非情さを我々は小沢体制の3年間で注入してもらったともいえます。
司会:結局、選挙の実態としては、小沢氏の影響力をできるだけ残そうとする勢力と、排除しようとする勢力の対決という側面は間違い無くあったと思います。
馬淵:我々が「勝手にマスコミが言っているだけで、親小沢も反小沢もないんです」と主張しても、それが国民にすんなりと受け入れられるとは思えない。
   それよりもむしろ、親小沢、反小沢という対立構造があぶり出されたならば、それは明らかに権力闘争なわけですから、
   堂々と受け止めて、覚悟を持って戦うことも必要じゃないかと私は思ってました。
細野:もう終わったことですから詳細は申しませんが、私は一時、第三の候補擁立に向けて動いたことがあった。
   ただ残念ながら今回の代表はまさに次期総理候補になるわけで、そこまでいくだけの人物が居なかったのが実態です。
司会:細野さんは結局どなたに?
細野:それはあえて申し上げずに、今後、全体のことを考えていきたいと思います。
司会:長妻さんは、岡田さんの応援演説もされました。福山さん、馬場さんも岡田支持でしたね。
   一昨年の参院選も小沢代表の指揮下で勝利しただけに、参院は圧倒的に岡田氏不利といわれていましたが。
福山:確かにそういわれていましたから、それをどう盛り返そうと多くの皆さんに声をかけた。世論調査などで岡田さんの支持が圧倒的に高かった。
   民意が岡田さんという方向なら、総選挙直前だからこそ、それに総意のが我々の役目ではないかと申し上げました。
   自民党にとってはそれは一番嫌だろうとも思った。だからお一人お一人に電話をしたり直接お会いして訴えました。
馬淵:私は今回あまり派手に動きませんでした。私自身には「岡田さんに」という思いはありましたが、一方で大きな疑問が自分の中にあったんです。
   我々は「自民党的」なるシステムに鉈を振るっていかなくてはいけない。それは何かといえば、金権政治と派閥政治の二つです。
   なのに、これと対峙しなくては行けない我々自身が、代表選になると何々グループは何人いて岡田支持、何々会は何人いて鳩山支持と見事に派閥で色分けされる。
   そこで、私は自分が声をかけていくと言うことに疑問を持ったんです。
新体制での小沢氏の役割
司会:金権政治といえば、福山さん以外の三人は、個人献金だけで企業献金は一切もらわない、という方針でやっていますね。
   今回の西松建設からの巨額献金事件はまさにその企業献金が問題になった。
   「なぜあれほどの巨額のお金をもらうのか」「何に使ったのか」という疑問については小沢さんはまったく説明をしていない。
   党内でそれを解明し、国民に知らせる必要があった。皆さんは普段、政府与党を厳しく追求するのに、身内には甘かったのではないですか。
細野:私は、役員室長として2006年度前半の半年間、比較的近くで小沢代表(当時)を見ていました。
   今回の西松事件は、事件としては小沢さん個人の問題ですが、そこで集められたお金のメリットという意味では我々も一定の責任を負っています。
   例えば07年の参院選で小沢さんが各地に自分のスタッフを派遣したのは事実だし、
   日中、日米外交についても個人的な活動継続によって一定の役割を果たしてこられたのも事実です。
馬淵:私は、もし小沢さんが個別のお金の使途を、これはいつ何に使った、ということまできちんと説明されても、
   それで国民が納得するかといえば、そうではないと考えています。
   結局、小沢さんがどういう動機でお金を集めたのかが問題でしょう。
   そのお金が派閥形成につながり、政治を数の力で動かしていくイメージに繋げて見られている。
   ですから、説明責任も大事ですが、それをいつまでも言うよりも金権、派閥政治を今後どうしていくのか、
   その議論をしっかりやることが肝要だと感じます。
司会:「政治とカネ」の問題で一旦失脚した小沢前代表が新執行部で代表代行という要職に就き、
   政権の根幹である「選挙」を担当するのはおかしくありませんか?
馬淵:小沢さんの選挙に対する執念が民主党をここまで押し上げてきたことは事実ですが、
   世間から見れば奇異に映る部分はあるでしょうね。
細野:ただ、選挙担当の代行ですから役割は限定される。
   政権を獲るにあたって、実際に権力を動かした経験がある小沢さんにある程度陣頭指揮を執っていただくのは必要だと思います。(続く)
司会:それは小沢さんが持っている力を利用するということですね。
細野:そうです。永田町で小沢さんがあとどれだけ活躍されるかはわかりませんが、
   その間に盗めるものは盗む、というほうが民主党にとっては長い目で見てプラスになると私は思います。
福山:これから鳩山新代表が小沢さんをどううまく活用されていくのか。
   新幹事長の岡田克也さんをいかに国民の前に出し、鳩山-岡田新体制をアピールしていくかに尽きると思います。
長妻:新執行部について、顔ぶれは同じで席順が変わっただけじゃないかという批判がありますが、その見方は全く違う。
   次の総理大臣候補が小沢さんから鳩山さんに劇的に変わったんですよ。政権交代というのは生半可なものではありません。
   政権を獲るということは、すなわち、警察権、検察権まで含めた国家権力を握るわけです。
   それを望まない勢力は当然霞ヶ関にたくさんいるし、これからまだ一波乱も二波乱もあるでしょう。
   ですから総力戦で内外を固めてやっていくと言うことだと思います。
司会:選挙は本来幹事長が仕切るものですが、例えば候補者の誰にいくらお金を渡す、というのは小沢さんと岡田さんのどちらが握るのか。
福山:そこはまだ分かりません。少なくとも一つ言えるのは、岡田克也さんはお金の流れを自分で見ずに、ノーチェックで通す人ではない。
   誰か一人がお金の権限を握って差配するような状況はあり得ないと思います。

福山:小沢前代表の局面、局面での政治判断は、やはり「すごい」と思わざるを得ないところがある。
   例えば昨春、暫定税率が失効となり、一時的にガソリン代が25円下がった。
   国民からもマスコミからも「混乱を招く」と批判があっても「一度ガソリン代を下げるという権力行使を国民に見せるんだ」と腹を決めたら突っ込んでいく。
   その後、暫定税率は復活しましたが、事後に批判はほとんど無かった。
   その豪腕ぶりに「なるほど」と思う場面は他にもありました。小沢さんが役員でいることは決してマイナスではない。
民主党政権で何が変わるか
司会:結局民主党の言う「政権交代」は、政権を自分たちに寄越せ、と言っているに過ぎません。
   もし民主党が政権を獲ったら何がどう変わるのか具体的なイメージ、ビジョンを教えて下さい。

福山:よく民主党に政権担当能力があるのか、と聞かれますが、我々の最大の武器は、この十年間野党を続けてきたことです。
   官僚がどうやって政治家をだまくらかすのか、どう無駄遣いを隠蔽し、どうやって天下り先を確保してきたのか。
   それを必死になって暴いてきたこと自体が最高のトレーニングでした。
   与党で、当選二回で政務官、散開で副大臣とコースを巡り、役人にヨイショされ、
   国会の質問もほとんど自分で考えないまま政治活動を10年やって来た与党議員と我々とでは、
   同じ二回生、三回生でも骨の髄から違う。そう自負しています。
   与党になれば、その経験を持って役人と対峙する。
   無論、役人を痛めつけることが目的ではありません。
   しがらみで動けなくなっている役人に、国民のために仕事をしよう、ということです。
細野:例えば、官僚の天下り後の「渡り」の問題に対しても、1977年の日経新聞は
    「福田(赳夫)首相ら政府首脳は近く渡り鳥行為の実態調査を行った上、閣議で全面禁止措置を正式決定する意向である」と
    一面で報じているんです。それなのに、32年間何も変えられなかった。
長妻:わたりを禁止するどころか、もっと天下りが膨張してきたわけです。
    つまり、これまでは誰が首相になってもこの国は変わらなかった。
    これまでの自民党政治では、誰も官僚の手綱を握れていなかった。なぜか。
    政治家に実質的な人事権がないからですよ。人事評価基準もすべて官僚に丸投げしてきた。
    その結果、どんな人物が出世したか。天下り団体を数多くつくり、予算を全額使い切り、要らない規制を作って部署を増やす人が出世する。
    つまり省益のためにやればやるほど出世するが、それほど国民の利益には反するわけです。
    もし我々が政権を取れば、人事評価を政治が決める。だからすべての評価が逆になります。
    天下り団体を無くし、予算を効率的に使って余らせ、不要な規制を無くして役所をスリムにした人間が出世するようにする。能力のある官僚が誇りを持って働けるようにする。
司会:年金問題や居酒屋タクシー問題などの役人の不正を追及し、役人からマークされている長妻さんが言うと、大変重いですね。
長妻:その上で、政権交代の意味を一言で言えば「帳簿をつける人間が変わる」ということです。帳簿とは皆さんの税金の使途です。
   今までは自民党がずっとつけてきて、そこはいつの間にか裏帳簿まであった。
   年金の帳簿を一部調べただけで、宙に浮いた年金記録が5000万件も出てきたわけです。
   政権交代すれば、別の人間がチェックし直すわけで、お金の流れが劇的に変わる。
馬淵:ただ、我々が「ここに税金の無駄遣いがあるぞ」といっても、それだけでは変わらない。
   政権交代というのは国民自身が「よし、変えよう」と思うことなんです。
   そのために我々がどれだけポジティブなメッセージを出せるかが問題となる。
   私は、もっと皆さん方の生活がよくなると言いたい。
   この国は今、高コスト構造で出来上がってしまっている。それを一つ一つ暴いて、具体的に下げていく、
   すると皆さんの所得が増えたり、負担が減ったりして生活がガラリと変わる。それを明確に示すのが、マニフェストです。
司会:政権が民主党に変われば、その瞬間からこう変わるという話ですね。
馬淵:ただし、気をつけなければならないのは、今年秋までに政権交代が成ったとしても、
    平成21年度予算は麻生政権の予算ですから限界はある。
    確かに減額修正して補正予算として通すことはできるが、大幅な改変は難しい。
    となると、私たちは複数年度に渡った取組みを国民に示さなくてはいけない。
    まず政権に就いて即座にできるのは情報公開です。これを徹底的にやる。
    各省に踏み込んで、天下りのリスト、口利きリスト、全部一晩で押さえ込む。そこまでやります。
    それから天下り禁止。これもお金は特にかかりませんから、天下り根絶法案を通して即座に目に見える形で実現する。
    これが第一段階です。そして第二段階で高コスト体質にメスを入れる。
    ここを具体的に分かりやすく説明できた瞬間に、国民に「変えよう」というインセンティブが働き、政権交代に踏み出していただけると思います。

自民党政治の弱点
司会:今の麻生政権、自民党政治をどう見ていますか?
細野:約14兆円の補正予算ですが、国民には実はほとんど届かないんです。
   内訳を見ると、独立行政法人、公益法人などの天下り先に約3兆円ものお金が投入され、
   天下っている約900人の役人を温存する予算になっています。
   また、46基金に約4.3兆円が投入されますが、うち6基金の運営は官僚の天下り団体に丸投げされています。
   さらに公共事業費に約1兆8000億円、施設整備費、つまり箱モノに約3兆円ですよ。
   自民党は高度成長期には国民のお金をうまく分配したのかも知れませんが、
   今はこれだけ経済が厳しいのに、その分配すらできなくて、国民に意味のある形でお金を届けることができなくなっている。
   天下りや箱モノ、様々なしがらみにがんじがらめになってしまっているんです。
司会:鳩山新代表は
   「(各省庁の)局長クラス以上には辞表を提出させ、民主党の政策を遂行してくれるかどうかを確かめたい」
   と発言していますが本当にできますか。
馬淵:現行の公務員法上、実際に辞めさせることはできません。
   政治主導を確立させるために、具体的方策を考える必要があります。
長妻:ただ、議論の筋道としては当然のことではあるんです。
   自民党的発想で言うと、官僚を辞めさせるなんてとんでもない、と思われるかもしれません。
   しかし、今度は政権選択のマニフェスト選挙です。ぜひご理解いただきたいのですが、
   マニフェスト選挙というのは、単に公約を緻密にするだけではない。
   もし民主党のマニフェストが支持を受けて政権交代となったら、
   それはもはや一政党の政策ではなく、国民からの政府にたいする命令書になる。
   国民と政府の契約書です。それをやりたくない官僚がいたら、やはり辞めていただかないと筋が通らない。
   逆に言えば財源、スケジュールを含めて詳細に規定したマニフェストのもとに戦って政権が変われば、
   それを錦の御旗にして物事をどんどん進めていくことができる。
福山:具体的な話をすれば、いわゆる骨太の方針が6月にも出される。8月には各省庁の概算要求が出揃う。
   その前後に総選挙があるわけです。政権交代となれば、その概算要求は一度ご破産にせざるを得ない。
   12月の税制改正も、来年度の予算に民主党のマニフェストが反映できるよう考え直すことになる。
   ただその前に、アニメの殿堂や基金を廃止する減額修正予算の提出も考えなければなりません。
長妻:私が一度財務省に2008年度予算を基に試算させたら、
   国民が100万円税金を払うと、直ちに35万円が借金の返済に消える。
   つまり65万円しか今の時代に使われない。
   「代表無くして課税無し」は民主主義の鉄則なのに、
   自分たちが代表を選ぶ前の話で、35万円が即座に消える。
   「HAT-KZシステム」というのは、税金を無駄遣いするシステムを指す私の造語です。
   Hはひも付き補助金、Aは天下り、Tは特別会計、Kは官製談合、Zは随意契約。
   これを温存してきたのが自民党政治です。民主党政権になれば、この借金漬け、先送りの無責任政治を止めます。
馬淵:肝腎なのは焦らないことでしょう。憲政史上初めての変化ですから、
    マスコミからも、その時の野党からも、「混乱をきたしている」と批判の大合唱になる。
    それでも慌てずに、四年間の信任を得たのだから堂々と、四年後まで見据えてやっていく。
    例えば官僚政治打破のため、国会議員百人が内閣や各省庁に入ると民主党は主張してきましたが、
    それも紆余曲折があって構わない。我々は政治家であって役人とは違いますから、
    無謬性にこだわる必要はない。大いに試行錯誤していけばいいんです。
司会:肝心のマニフェストはいつ出す予定ですか。
福山:去年の9月にはベースはできています。
   第一に、官僚の天下りと税金の無駄使いを無くす。
   第二に、底の抜けた年金・医療・介護のセーフティネットを整備する。
   第三に、子育て支援を含め、家計収入2割アップをめざす。
   第四に、地球温暖化対策による新産業を創造し、雇用の不平等を無くしていく。
   第五に、農村漁業の生活不安を無くし、食と地域を再生する。
   基本方針は変わりませんが、新たな争点として、企業献金の禁止や世襲制限が加わり、
   さらに、政権移行プランも示し、鳩山色を入れて近々発表できると思います。
   もちろん、財源と工程表を明示します。
司会:先に出すと自民党が良い部分と取り入れるから
   衆院解散の日にならないと発表しない方針とも聞きました。
福山:確かに今の自公政権は恥も外聞もなく我が党の案を取り入れます。
   子育て手当も高速道路の休日千円もそうでした。
司会:それでも早く出して、国民に吟味してもらった方が良いのではないのですか。
長妻:私は、解散の日に発表でも構わないと思います。
   最大40日間の猶予がありますから。
   解散まで経済状況なども見ながら、ベストの案を煮詰めていく。
   「生活者の立場に立つ信用できる政府をつくる」という大方針は、
   これまでに民主党が出してきたものと変わりませんからね。
司会:ところで民主党の皆さんは、政権交代に向けて日々どんな研鑽を積んでいらっしゃるのですか。
長妻:私は最近、40歳前後の官僚の方と結構会ってますね。
   夜、割り勘でお酒を飲みながら意見交換をする。私も官僚全員に嫌われているわけではない(笑)。
   役所は腐っていて内部からでは変えられないから外圧でどんどんやってくれ、と期待してくれる方もいます。
馬淵:私は地元が奈良で4時間以上かかるんです。
   だから月曜から金曜は徹底して国会で質問するテーマを追いかけている。
   私は政策オタクで、道路問題なら現地にって調査し、
   国交省の役人を呼んで説明を聞き、大学の先生に会いに行くなどしている。
   週末はとにかく地元活動。街頭演説をやり、タウンミーティングをやる。
   とにかく行く先々で、支持をお願いするとともに、自立した政治活動のための支援をお願いしています。
細野:私は静岡ですから新幹線で一時間と近い。
   だから平日でも、夜に地元で会合があれば、マメに帰っています。
   最近特に心がけているのは、全く異なる世界の方と会うことですね。
   学者、官僚、政治家とは嫌でも知り合う。すると時に袋小路にはいることもある。
   だから、文化人や思想家の方とか、政治とは少し離れてもいいから、
   自分の幅を広げられるような出会いを意識しています。
福山:実は私は、地球温暖化問題をライフワークにしようと決めて議員になりました。
   それに関わる学者、役所、業界、NPOなどとの付き合いが一つの核になる。
   もう一つは、一昨年に参院で(野党が)過半数をいただいて以降、
   我が党の議員立法はまず参院で提出して通過させ、衆院へ送る。
   若しくは与野党で修正協議をして成立させる。そういう機会が増えました。
   この議員立法の中身の精査なども増えています。
長妻:衆院はそうでもありませんね。参院はねじれ国会以降、官僚がかなり説明に来るようになったと聞いています。
細野:役所もそうですが、民主党に意見を言ってくる様々な業界団体の顔ぶれも変わりました。
   中には献金を申し出てくれる人もいて、私は残念ながら毎回お断りするのですが。
   そういう経験が我が党にはあまりないので、場合によってはナイーブな話にもなる。
   そういった際の判断力、筋の通し方を意識しておかないと、自民党と変わらないじゃないか、という話になりかねません。
鳩山代表はどんな総理になるか
司会:官僚や業界団体の方が皆さんのところに行く分、自民党議員は「陳情客が2,3割減った」と嘆いています。
   さて、先の代表選で「また同じ顔ぶれか」と思った人もいるでしょう。
   ポスト鳩山というと、いかにも気が早いのですが、
   実際今回も長妻さんや馬淵さんの名前を挙げる人がいた。
   その気持ちはありますか。
馬淵:私は、派閥政治から脱却して新しい政治をまず自分が体現するために、
    代表選後の5月18日に所属するグループに退会届を出しました。
    どこのグループにも派閥にも属さず、一人ひとりの国会議員に自分の考えを訴え、連携をしていきたい。
    まずは今の立場で全力を尽くしたい。
長妻:私も、そう言っていただけるのはありがたいと思いますが、まずは官僚との大戦争に勝つことで頭いっぱいですね。

司会:最後に総理候補として民主党が選んだ鳩山由紀夫さんとは、率直にどんな方ですか。
福山:一つ言えるのは、この世界であんなに誰からも悪口を言われない方は珍しい。
   これからの包容力のある国をつくっていくために、象徴的な方だと思います。
   飄々として見えますが、実はスパン、スパンと決断される方なので、
   官僚組織にも優しい顔をして大胆にメスを入れると思います。
長妻:私も当選する前、新党さきがけの時代からご指導いただいていますが、
   民主党を作る際も世間から「排除の論理」と言われた厳しい決断をされました。
司会:96年9月の旧民主党結党に際して、鳩山さんらが、
   さきがけ代表(当時)の武村正義さんらの入党を拒んだ一件ですね。
長妻:そうです。また岡田さんが「こうだ」と自ら主張されるタイプなら、鳩山さんは最初からは意見を言わないタイプ。
    だから周囲が「私はこれを提案しよう」と意見を言いやすい。皆の力を引き出して収斂させていくタイプのリーダーです。
馬淵:この三年間、幹事長など支える側の仕事を一生懸命やられたことで、さらに何でも呑み込む懐の深さが生まれたような気がしますね。
細野:鳩山さんには、えもいわれぬ明るさがあります、それが今の日本社会においてすごく生きてくると思う。
   今度の選挙は鳩山代表にとっては最後のチャンスでしょうし、我々にとっても本当に政権が取れるか否か、崖っぷちの挑戦です。
   この勝負にかける執念、心の強さをこれから選挙までの間に、ぜひ鳩山新代表に出していただきたい。(了)