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宝石泥棒3




山奥に 人がかろうじて住める程度の小屋から、

小さな小さな声が聞こえてくる。



「きっ・・・ じょ・・ぶ・・ ・・だい・・じょ・・


 ・・・きっと・・ だいじょうぶ・・・・─────」






   宝 石 泥 棒 3







昼。がやがやと明るい町並みに、

女の悲鳴が聞こえてきた。



「きゃああああ!! 私の! 私のダイヤの指輪がないザマス!」



声をあげたこの女性は、

着飾った洋服に、ぶくぶくとした体型の女性。

どうやら、大切にしていたダイヤモンドの宝石を

なくしてしまったらしい。


そこで、後ろにいるお付きの男性がその婦人の機嫌をとる。



「ブーズ様、ブーズ様、 大丈夫ですよ、

 あなた様の豪邸に、ダイヤは腐るほどあるではございませんか。」



ブーズと呼ばれるこの婦人は、

お付きの男性をキリリとにらみつけてこう言った。



「いやだ、何言ってるのセバスチャン。

 私は曜日事に指輪を変えている 凝り性なのザマスよ。

 一つでも欠けたなんて、とんでもないザマス!

 今すぐにピンクダイヤモンドの指輪を特注しなさい!」



きぃきぃと鳴いている婦人に、

お付きの男性はおろおろと困った顔をするばかり。


その婦人達が騒いでいる中で、 1人、街を歩いている少女が居た。

その小柄な少女は、薄いピンク色のダイヤの指輪を片手に

何食わぬ顔でその場を歩いていた。



「ふぅ・・。 こんな指輪ごときでギャァギャァ騒ぎすぎですぅ。

 しかも曜日ごとに指輪を変えるなんて、図々しいにも程がありますぅー。


 ・・・それにしても、可哀想なブーズ婦人。

 今日の指輪だけじゃなく、今夜 泥棒に宝庫の財宝全部盗まれるんですからぁ・・・。」



そう呟いた少女は、町をさっそうと歩いていった。





─────────────────────────────────────────────



数時間後





警察署前。






「はぁ!? 15歳ぃいいいいい!?」



軽い楓の声が、警察署内に響き渡る。



「そ。 元旦のあの泥棒。15歳くらいのれっきとした少女らしい。

 出身地不明。住居地不明。家系も不明!不明ばっかりよ! 何なのあいつ。

 てんで住んでいるところがはっきりとしないのよ。

 解っているのは性別が女だということだけ・・。

 名前と年齢もはっきりしないのよね・・。」



紅葉は、不満な表情を隠しきれていない。

いつもになくご機嫌斜めらしい。


楓は首をかしげた。



「ちょ、ちょっと、何ですかそれは?

 年齢はともかく、名前は何故なんですか?いくら隠しているからと言って、そんな話・・・」



紅葉が面倒くさそうに楓の方を向いた。



「都合の良い仮名をあちこちで使っているらしいわ。

 【ムース】【オリビア】【ノラン】【ルビニカ】【マリ】

 ・・・世界中の情報によるとね。それぞれ5つの名前を使い分けてる。

 どれかが本名だとは思うけどね。」



「そんな・・・。 このような名前の人なんて

 どこにでもいそうじゃないですか・・・。」



「だっから探すのに苦労してんだよいい加減気づけえええええ!!!」



「ぎゃああああ!!! なんですかいきなりぃいいいい!!!」



「五月蝿いわね。じゃ、あんたさっさとそっちのほう調べといてよ。

 一つでも見つけられなかったらぶっ殺すから。」



そう言って、紅葉はさっさとその場を出た。

まだおびえてる楓に、他の従業員がこうささやいた。



「さっき 紅葉さん、

 『あの店主のオセロジジイ

  今度は1人将棋やってて宝石の8割をまた泥棒に盗まれやがって』

 ってぶつぶつ言ってたけど、・・・楓ちゃん 何か知ってる事ない?」



その言葉を聞いて、

楓は 紅葉が血相変えてオセロ店主のところに行っているところが目に浮かんだ。

ああ、だからいつにもまして機嫌が悪かったんだ・・と 納得までしていた。



「はぁ・・・。 まったく 部長は。」



大きなため息をついて、

楓はさっさと宝石泥棒の事を調べていった。















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