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今日は小笠原に遊びに行く日である。東西天狐はakiharu国のジャングルの中の広場で剣を振っている。
別に今日は冒険に行って狩をするわけではないし、特に危険なことをするつもりもない。ただ迷っている。
何に迷っているのかも分からないからとりあえず剣を無心に振ろうとしている。しかしいくら振っても結城火焔の顔がちらほらと浮かんでは消えてするのでまったく集中できていない。
振り払おうとして強く振るほどに余計に鮮明になってしまって悪循環に陥っていた。結局1時間もしないうちに剣を鞘に収めて手近な岩に座り込んでしまう。

「なにやってるんだか・・・」

この男、これまで人付き合いを嫌って生きてきた期間が長かったためずいぶんと不器用であった。こと色恋沙汰に関しては中学生並みである。何せ生まれてこの方患者と家族以外で女性の手を握ったことすらないのである。
風の音が吹き抜けていった。いっそのこと今回は見合わせておこうかなどと考え始めた頃、凶悪なエンジンの爆音が聞こえ始めた。
最初はそれを空耳かと思っていたが、その内その音が明らかに自分に近づいて来ていると気づくと流石に立ち上がって辺りを見回しはじめたまさにその時、右手の茂みからド派手にして凶悪にスタイリッシュな外観の車が飛び出した。そして左手の茂みへ消えた。
絶句すること数秒、左手より爆発音。慌てて走っていくと巨木に突っ込んでばらばらになった車らしきものの残骸が転がっている。
しばらく考えてから合掌して見なかった事にしたかった。が。

「テンヤァ、こんなところに居たのか。思わずakiharu国中を最速で探し回ってしまったぞ」
「玄霧さん、俺はテンコです。いったいいつになったら覚えてくれるんですか・・・と言うかキャラ変わってますよ」

その巨木の枝に一人の男が立っていた。銀糸のような髪にフルオーダーメイドの小笠原分校制服、赤紫色のド派手なサングラス。男の名を玄霧という。とう、とジャンプするとそのまま東西目掛けてとび蹴りを放った。

「ッハッハァそれにしてもテンヤァ!ずいぶんとしけた顔をしているじゃないか。まるでこれから失恋しに行くようだぞ!」
「蹴るかしゃべるか、どっちかにして、下さいぃ!それと、余計なお世話だぁ!」

東西、固めた拳で受け止めるとそのまま殴り返す。玄霧、空中で一回転して華麗に着地。

「無様だな。いつもいつも言ってることだがお前には足りないともかく何もかもが足りていない。そう、お前に足りないのはッ!情熱思想理想思考気品優雅さ勤勉さ! そして何より――
速 さ が 足 り な い ! 」
「いや、アンタいっつもそれが言いたいだけだろ・・・」
「はっはっはよく分かってるね」
「まあそれなりに」
「しかし、だテンヤァ」
「テ・ン・コだァ!」
「そんな中途半端な状態で火焔ちゃんに会いに行かせるのはこのNW最速の私が許さん」
「なん、ですって?」
「今のお前はただの腑抜けだ。いつものお前以上に速さが足りていない。スロウ過ぎてあくびが出るほどに、な」
「言って、くれますね。つまりは俺の火焔ちゃんへの想いが軽い、と?」
「ああ、その通りだ。さあ、どうするテンヤ?」
「テンコだ。なら、この拳でアンタに刻むだけだ。この想いを!」
「・・・いつかはお前とも決着を付けなきゃならなかったからな」
「俺だって、いつまでもアンタの背中を追いかけてるばかりじゃない」
「そう思うだろうお前も!」
「そう思うだろうアンタも!」
「テンヤァ!!」
「ゲンムゥ!!」


激突。
二人の男は愛する少女のために戦う。
それが、周りに果てしなく迷惑を振りまくことになろうとも。
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