Rs『Help me!!』1 side R-Suzuki







里保ちゃんと昇降口を出て校門に向かう

「早く歩いてよ里保ちゃん。あたし達2人、結構遅れてるよ」
「えー、そうかな?」
「里保と香音ちゃん、遅ーい!」

校門前で腕を組み、あたし達に叫ぶ衣梨ちゃん

「ほら」
「えりぽん、なんか怒ってる?」
「そりゃそうでしょ。15分も待たせてるし」
「そんなにゆっくりだったつもりはないんだけど」

いやいや
あたし達が教室を出る頃は誰も残ってなかったから!

「「おまたせ」」
「遅い!」
「ゴメンゴメン。でもさ、優樹ちゃんもどぅーもまだ来てなくない?」

確かに
いつもくどぅーが優樹ちゃんを引っ張って来るのに

「さっき職員室に寄るってメールが来たと」
「あ、そうなんだ。じゃあウチ達もゆっくり来ても良かったんだ」
「里保は反省するところやろ! 衣梨1人で待っとったけんね!」
「遅くなった原因は、里保ちゃんが宿題のプリントをなくして探してたっていうね」
「はあ? どうしたら直前の授業でもらったプリントをなくせると?」

同感


「お待たせしましたー!」
「しましたー!」

くどぅーと優樹ちゃんが走って来た

「遅い! 何してたと?」
「え、まさし言えません」
「「「誰だよ〝まさし〟って!!!」」」
「つーか待たせたんだから言えよ! すみません。実はですね、まーちゃんが配られたプリントを鞄にしまった時にビリビリに破って、新しいプリントをもらいに職員室へ行ったら先生に叱られて遅くなりました……」

こっちもプリント絡みか!

「遅くなると衣梨が田中さんに叱られるっちゃん!」

衣梨ちゃんはこの中で最年長だからね

「早くリゾナントに行きましょう。お店を手伝わないと──

(助けて、誰か)

え、今の……

「みんな聴こえたと?」
「これって〝共鳴〟だよね?」

って事は能力者の声?

「助けてって言ってた」
「場所は……ここからちょっと遠かったみたいだけど」
「道重さん達に知らせて指示を
「いや、衣梨達だけでやろう」
「なんで!?」


は!?
衣梨ちゃん何を言ってるの!?

「道重さんと田中さんはリゾナント、高校生組はまだ学校やろ?」
「動けるのはハル達5人、ですね」

確かにそうだけど……

「ハル達だけでも行きましょう! 迷ってる時間が惜しいんで! 生田さん、声がした場所まで繋げられますか?」
「どぅー、誰に言ってると? 世界一の能力者を目指す衣梨に不可能
「ドヤってないで早くしてください!」
「はーい」

──空間誘導──スキップ

衣梨ちゃんが作った黄緑色の光の壁をみんなで通る

「倉庫がたくさんっちゃね」
「人影はないみたい」

誰もいないって事は、使われてないのかな

潮風?
海が近いのかな

「港に近い倉庫か」
「悪い事をするには持ってこいの場所っすね」

──透視──トランスペアレント

「いた! あの倉庫の中、男が5人と女の子が1人いますね。女の子は柱に縛られて動けないみたいです」


聴こえてきたのはきっとその子の声だね

「男が女の子に話しかけてるな」
「優樹ちゃん、会話の内容を教えてくれる?」
「任せてくださーい!」

──音響分析──アナライズ

「えーっと……〝それにユーカイした目的はミニシロキンだけではない〟」
「〝ミニシロキン〟って何?」
「多分〝身代金〟じゃないっすか?」
「ああ、なるほどね。さすが優樹ちゃんの通訳ったいね」
「〝どーして自分の思ったことが伝わっているのか〟……聴きながらしゃべるのムズカシーなーう」

確かに
聴きながら話すのって頭を使うよね

「あと、シーセンカーノンの人がいるんですって」
「優樹ちゃん? なんて言ったと?」
「香音ちゃん?」

へ、あたし?
いやいや、違うでしょ

「……それ〝精神感応〟の事だろ」
「あ、そーそー。さすがDoどぅー」
「バカ! 全然違うじゃんかよ!」
「全然じゃないもん! ちょっとしか違わないし!」
「とにかく、能力者が能力者の女の子を誘拐して身代金を要求しているのは間違いなさそうだね」

他にも目的はありそうだけど……


「中に入りましょう。あいつらの近くに空のコンテナがあるので、そこからならハル達も聴けると思います」
「向こうは精神感応が使える。気持ちの乱れに気付かれないようにみんな集中して」
「なんで里保が仕切ると? 最年長は衣梨なのに……」
「いいから、移動しよう。えりぽんお願い」
「はーい」

──空間誘導──スキップ

全員で光の壁を通り暗い場所に出た
多分ここはコンテナの中だね

『俺達の目的は、能力者が正統な存在と認められる世界を創る事だ』

あ、声が聴こえる!
これで状況がわかるね

『能力者の存在が認められれば、自分が自分として、能力者として堂々と生きていける。今までの人生をやり直せる』

(これってどこかで聴いた内容だよね?)
(まず間違いないでしょう。どうします?)
(他にも能力者がいるかもしれない。ウチ達5人で対抗出来るか知りたいから、あいつらの能力を把握しよう)
(あーもー我慢出来んと!)

衣梨ちゃん?

(あいつらをこらしめる! 里保! このコンテナ、吹っ飛ばすったい!)

*1))

『できる。その為には資金が必要だが、もっと重要なのは仲間を、能力者を集める事だ。お前も
「そうはさせんっちゃ!」


こいつ声を出しやがった!

(……こうなったら仕方ないね。みんな行くよ!)

──水念動力──リキッド

ドカーン!




投稿日:2014/03/01(土) 15:57:24.10 0




















最終更新:2014年03月03日 03:37

*1 ((えー!!!!