■ カウンターフィット -辻希美- ■
『外の世界』にあこがれたのは何がきっかけだったんだっけ。
辻希美は考える。
そもそもきっかけなんてあったんだっけ。
あんな無謀な脱走をするほど強いきっかけなんて…
あーあ、自分のことも覚えてないなんてほんとバカじゃん、のん。
組織を逃げ出して得た今の生活に不満はまったくない。
かつては想像すらしたこともなかった伴侶さえ、今は傍らにいる。
だけど不安は消えない。
『自分』を消し去り、戸籍も姿形も『別人』になってなお、追われる恐怖は消えない。
あいぼんも今ごろ同じこと考えてたりするかな…
もう一つ消えないもの。
元『相方』への、愛憎入り交じった複雑な感情。
先に組織から姿を消した加護亜衣の行方は、知る限り不明のままだった。
外部の誰かと手を結んで、組織に砂をかけていったという事実が残っているだけで。
あれほどの『裏切り』をした者を捕まえ切れない事実が信じられなかった。
ひいては、組織が緩やかに綻んできているのを感じずにはいられなかった。
急に色褪せて見えた組織。
でも思えばそれは、そこから加護の存在がなくなったことこそが原因だったのかもしれない。
『外の世界』へのあこがれは、ただ単に加護の向かった世界へのあこがれというだけだったのかも……
だとしたら……『自分』なんて、消し去る前からいなかったのかな。
■ カウンターフィット -辻希美- ■
【贋作(カウンターフィット;counterfeit)】
自身を任意の人物の姿に変えることができる、いわゆる変身能力。
ただし、変身できるのは自身の手で触れたことがある相手に限られる。
能力はDNA単位にまで及び、肉体そのものが変質するため、能力阻害も受け付けない。
......嘘だから
言わなくても丸わかりだけど『贋作』だから
一行目で期待した人ごめんなさい保全だから許して
保管しないでねw
投稿日:2014/02/20(木) 17:21:22.23 0
最終更新:2014年02月22日 17:09