『モリゾナンター参上!』


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。



「ただいまー」

食材の買い出しから帰ってきたさゆみ。
とは言え、時間はまだ11時。メンバーの大半が学生であるリゾナンター、店内に誰もいないのも当たり前。
さゆみがただいまと言ったのは、かつての名残。全員が学生を卒業していた昔は、この時間に誰かがぶらぶらしていても
当たり前の時間帯だったのだ。

「…あれ?」

そんな誰もいないはずの喫茶リゾナント。
なのに、どこからかガチャガチャと妙な音がする。

音がしたのは、窓際のテーブル席。
目を凝らしてみると、そこに人影があるのを確認した。

その人物は、何かを食べている模様。
しかし店内の電気は消灯しているのでいまいち様子がわからない。


さゆみは、そのこんもりとした影から、相手を推測する。

もう、鈴木ったら勝手に食材出して食べて…

育ちざかりと言うにはあまりにも…な後輩・鈴木香音。
喫茶店の手伝いと称してキッチンでつまみ食いするのは日常茶飯事。そろそろリーダーとして一言注意せねばと思ってい
たのだ。
いざという時に体のキレが鈍ってしまうと、戦闘において不利を招く。
さゆみは意を決して、照明スイッチに手をかけた。

「鈴木!また勝手に食材引っ張り出して!!今日という今日は…」

しかし。
テーブルに座って皿にかぶりついていたのは、香音とは似ても似つかない巨漢の女性だった。
そういえば、香音にしてはシルエットが大きすぎるかなとは思ってはいたが、育ち盛りだからそういうこともあるのかな
と自らを納得させていたのだが。

「よぉ」
「え…よぉって、あんた…誰?」

テーブルに皿を重ね、ひたすら食べ物を口に運んでいる女性。
その様子はまさに食い散らかしているという表現を使ってもいいくらい。
口の周りを油やらソースやらでぎとぎとにしながら、ひたすら女性は食事を続けている。

「大島ー!冷蔵庫にまだ食材あった!!」

さらに、キッチンの奥から別の女性が現れる。
こちらも負けじ劣らじの巨漢だ。

「黒沢さんもそこ座って食べれ。料理はそこのねーちゃんが作ってくれっから」
「は、はぁ!?」


何だ。何なんだ、この図々しさは!!

目の前で繰り広げられてる状況がありえなさすぎて、頭に入ってこない。

まさかダークネスの手先?いや、でもそんな物騒な連中がのんきに店の中で食事なんかしてるだろうか。
しかも、勝手に店の食材を引っ張り出して…って、もしかして泥棒?いや、こんなに太ってるのに泥棒とかありえないし。
そうだ!食材!食材は!!

考えがまとまらないまま、キッチンの冷蔵庫へと走るさゆみ。
嫌な予感は、的中していた。
冷蔵庫の中は、空っぽだった。

「そんな…」
「気にすんなよ。まだねーちゃんが買ってくれた食材もあるし」
「気にしてることはそんなんじゃないの!!!」

限界だった。
この不埒な侵入者たちを何とかしなければならない。
たとえ能力者だって構うものか。リゾナントは、愛ちゃんやガキさんから託された喫茶リゾナントは、さゆみが守る!!

「あんたたち、何者なの?返事次第では、力づくでもこの店から追い出してやる!!」

叫びながら、構えの体制を取る。
いつまでもメンバーの薬箱なだけではいられない。さゆみは自らの戦闘能力を高めようと、里保や亜佑美に近接攻撃の手ほどきを受けていたのだ。
大抵はさゆみのセクハラになってしまうのはさておき。わずかながらその成果はあがっていた。


しかし。やる気満々のさゆみに対し、髪の短いほうの巨漢は構わず飯を食っている。
しかも、何やってんだこいつ、という感じの冷めた視線のおまけつきだ。
もう一人の巨漢もまたさゆみを弾き飛ばすかのように横をすり抜け、同じテーブルについた。

「もう!さゆみのこと無視しないで!!勝手にお店の食材食べないでよ!!!」
「なーに言ってんだよ。うちら『仲間』じゃねーか」
「は?」

こんな肉まんじゅうと仲間になった覚えはない。
確かにリゾナンターに新戦力、というのは願ってもない話だが、さゆみとしては小学校低学年から高学年くらいの小さくてかわいらしい少女を所望していた。

「おーおー、もう来てくれたんか」

そんな中、おなじみの関西弁が聞こえてくる。

「つんくさん?」
「道重。こいつら、新メンバーや」
「ええっ!!!!」

突然店に現れたつんくが、「モリゾナンター」と書かれた紙をどや顔で広げる。
それを見て、にやにやとする二人の豊満すぎる女性。
これはなんだ、どっきりか、大人の事情か。
あまりにもありえなさすぎて、さゆみの意識は次第に遠のいてゆく。

助けて、お姉ちゃん…

さゆみは失いゆく意識の中で、もう一人の人格に助けを求めた。
このインチキ中年もろとも、この事実を滅びの世界へと。
そんなさゆみの願いに、「姉」は笑いながら首を横に振る。
そう言えばこの人もそういうの好きだった。

がっくりと項垂れながら、さゆみは真っ白な灰になった。




投稿日:2014/01/22(水) 12:36:00.64 0