■ ブランケットチワワ -工藤遥- ■
誰にも、みられたくなかった。
風呂から上がった工藤はそのまま毛布をかぶり、一人震えていた。
「どぅ……?」
「う…うるさい!あっちいけー!」
自分がなさけない。
動けなかった。
怖くて、怖くて、何もできなかった。
矢島さんのさわやかな笑顔が脳裏によみがえる。
また、『怖い』があたまをもたげてくる。
ちくしょー!、ちくしょー!
涙が出てくる。
もし、はるなとあゆみだったら、どうしたろう?
はるなはメッチャ弱いヘナチョコであゆみはバカだ。
でも、二人はハルとまーちゃんを助けてくれたって言ってた。
二人とも傷だらけだったって。
特に、はるなは全身を撃たれて、生きてるのが不思議なくらいだったって。
間にあって本当に良かったって。
はるなが戦った敵は「舞」って名乗ったっていう。
だとしたら、『萩原さん』だ。
話した事はないけど、顔と能力は知っている。
セルシウスには『二人の不死身』と『二人の無敵』がいる。
その『二人の無敵』のうちの一人。
【慣性歪曲】の、萩原舞。
『無敵』の、あの人から、たった二人でハルたちを助け出した。
それにくらべてハルはなんだよ。
なんで声が出なかった!
なんで動けなかった!
なんで、『怖い』と、戦わなかった!
泣き疲れて眠るまで、工藤は、自分を責め続けた。
投稿日:2013/12/29(日) 21:50:18.49 0
最終更新:2013年12月30日 13:14