■ ニュウフェンスギミック -亀井絵里- ■


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 ■ ニュウフェンスギミック -亀井絵里- ■

「先生とか看護婦さんの反応にしたってそうだよ。あんなこと出来るのガキさんぐらいだと思ってたよ。」
「新垣さん…。あ、でも、それ誤解ですよ亀井さん。」
「ふえ?」
「多分、新垣さんにとっては難しい事だと思います、アレを実行するの。私にとってはカンタンですけど。」
「おー言うねぇウチのガキさんと張り合いますかぁ」

「んふふっ。ちがいますよ。だから誤解ですって。
あのですね、一見、同じような部類の能力でも、その仕組みや、得意とする行為、結果までの過程、
こういうのが全然違う事ってあるんです。」
「どゆこと?」
「新垣さんの【精神干渉】は、とてつもなく強大な力をもっています。
そりゃもう私なんかじゃとても太刀打ちできないほどのパワー。
新垣さんに比べたら、私の【能力】なんか、もう、ぺらっぺらです。」
「ふえ?。なのにキミだとカンタンで、ガキさんだと難しいの?」

「はい。いいえ、だからこそ難しいんです。」
「んー全然みえてこないよー。どゆこと?」

「一時的に、そう、新垣さん自身がリアルタイムで、相手の精神をねじ伏せ、支配する。
これはきっと新垣さんにはカンタンなはずです。強大なパワーのままに力を振るえばいい。
もっとも、新垣さんはその強大なパワーを、ものすごく繊細に使いこなしてますけど。」

「繊細って?」

「そうですね…、支配されている当人が自発的に行動していると錯覚するように偽装する、とか
それを複数、というか十数人同時に、とか、そういう離れ業です。
例えて言うなら新垣さんは、ブルドーザーみたいなものをつかって梨の皮むきを一度に10個ぐらい出来ちゃう、
そういう【能力者】なんです。
この方面に関しては、私なんか足元にも及びません、まさに化け物ですよ、新垣さんは。」
「そうそう、ウチのガキさんはすごい化け物…って化け物とはなんじゃい!」


「…でもそんな新垣さんが『記憶』の改竄や、直接の監視なしに他人を『操作』するということになると話は変わってきます。」
「おっと、いまさらっとキミ流したね?えり渾身のノリつっこみ…いや、いいんだ、うん。」

「んふふ…。他人の記憶を書き換えること、これ自体を新垣さんは嫌がるはずです。
なぜなら、新垣さんにとってその行為は、最終的に相手を破壊してしまう行為だから。」

「破壊?」

「他人の記憶を書き換える、この行為で一番難しいのが、その『記憶の維持』です。
人間は、自身の記憶を反芻する生き物ですから、何度も何度も、色々な記憶を再生していくうちに、
書き換えた記憶と、それ以外の記憶との矛盾をあっという間に発見してしまうんですね。」

左耳、ピアスがキラキラと揺れる。

「もちろん、本人にとってさしたる価値のない些細な記憶であれば、ただの思い違いかな?、程度の話ですから、その矛盾を自力で処理できます。
ただ、それが、日常生活を送るにあたって非常に重要であったり、本人の深い所に根差した記憶なんかの場合、自力では記憶の矛盾を処理できなくなる。
こうなってしまったら、人間なんて脆いものです。ぽーん!ってこわれちゃいます。」

「ぽーん…ねぇ。ふーむ。
てことは、つまり、キミが看護婦さんや先生にかけたのは『記憶』の改竄ってこと?で、ガキさんはそれが苦手なの?」

「改竄っていうか…、まぁ、おおまかにはそうですね。
新垣さんに関してはその通り、苦手、というか相手を壊したくない…
優しい人なんでしょうね。
要するに、新垣さんにとって、多数の人間の『記憶の一部だけ』を都合よく改竄する、というのは、
危ないし、めんどくさいばっかりで、ちっとも実用的ではない、ってことなんです。」


「わかるようなわからんような…、とりあえずガキさんだと難しいのね。
ふーん…んー?あれ?じゃキミぃ!、そんな危ないもの、先生たちにかけちゃって大丈夫なわけ?」

「大丈夫です。それは――」

コンコン。

ドアを看護婦がノックする。
「亀井さーん。回診ですよー。」
「え?あ、はっはーい。」

「(あれ?亀井先生って設定はどうしちゃったの?ねぇ)」
小声で耳打ち。

「んふふ。この話は、またの機会にしましょうか」



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投稿日:2013/11/10(日) 11:42:03.21 0