■ ランナーアンドライアー -亀井絵里- ■


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 ■ ランナーアンドライアー -亀井絵里- ■

「おはようございます亀井先生!今日もジョギング精が出ますね!」
いやーどーもどーもー

「あっおはようございます亀井先生!今朝も徹夜だったんですか?」
えへえへーいやー

「あー先生、おはようございます」
どうもおはようございますえへへ

通用口から院内へ。
首に巻いたタオルで汗をぬぐう。
シャワーを浴び、素早く着替え、白衣を羽織る。
どこかこそばゆい気持ちで、廊下を歩く。
見慣れた看護婦や先生方とあいさつ。

やがて、ある患者の個室の前へたどり着く。
ネームプレートには――

「たーのもー!」

……。


「え?まさかのスルー?」
「なんか反応した方がよかったですか?」
「いやぁまあいいけどさぁ」
「で、どうでした?」
「んー自分でも、ちょっと信じられないよねぇ『亀井先生』って…」
「どれくらい走ったんです?」
「ん。んー、病院の前の遊歩道の外周けっこうぐるぐる回ったから…3キロ、ぐらい?」
「すごいじゃないですか。病室出るときは外まで歩ければいいやとか言ってたのに。」

「んーまぁねぇーすごいっていうか、すごすぎてさぁ……。」
「なにか?」
「やー、やっぱコレ、えり、ヤられてるよねぇ」

亀井絵里は白衣を脱ぐ。
下には、おろしたてのパジャマ。
汗で濡れたTシャツと短パンを金属のロッカーに放りこみ、
ごそごそとベッドへともぐり込む。

「んふふ、『最初ご提案した事』以外、なんにもしてませんよ。」
童顔の少女は、おかしそうに笑う。

「だぁってさー。キミの話が本当ならだよ?
どう考えたって、えりをヤっちゃったほうが早いっていうか、えりならヤっちゃうとおもうもん」
「意外と心配性だなぁ、んふふっ。そう…、考えても見てください。
亀井さんの言葉を借りれば、その『ヤっちゃってた』としたら、そもそもそんな疑問すらわかないわけですから、
疑問を持てるという事は、『ヤってない』ってことじゃないですか?
お約束したように、亀井さんには包み隠さず、全部、正直にお話ししてますよ。
だから、安心してください。」
「なるほどなるほど、それなら安心…って、えー無理だよー、
そんな満面の笑みで『安心してください。』とか言う人、絶対無理だってー。」
「んふふ。大丈夫ですよー。わたし、生まれてから、一度も嘘ついたことないんですから。」
「ほらー。もー嘘じゃんそれー。絶対ヤってるってー。」


「ふふっ。」

丸い顔、微笑み。

揺れる、オニクスのピアス。

微笑み、小麦色の肌。

青い空。

透き通る汗。


病室、二人、晴れ。



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投稿日:2013/11/08(金) 17:12:56.07 0