■ ロベリア -田村芽実- ■


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 ■ ロベリア -田村芽実- ■

「君の誕生花だよめいめい」
そう言って、先生は、わらってくれた。
ふかふかのベッド、レースのカーテン。
めいの両手には、先生がくれた、お花のかご。

「君の担当になれて光栄だよめいめい」
頭を撫でてくれた。
めいのこと、めいめいって呼んでくれた。
めいめいだって、んふっ、かわいくて、めいすきだな。

「とても特殊な【念動力】の発現だね。人間より重い物に試した事はあるのかい?」
ないよ先生。だって、この力は使っちゃだめな力だから。
めいのおねえちゃんはこの力で――、だから使っちゃだめだって。

「とんでもない!めいめいの【能力】は素晴らしいものだよ」
えっ、すばらしい?先生はめいの力、褒めてくれるの?めいのこと、褒めてくれるの?

「当然だよ。君は特別なんだ。これから二人で、一緒にどんどん使って行こう」
特別……めいは特別なの?めいは先生の特別なの?うん!使う!先生のために、めい使うよ!

――――


「さぁめいめい!どんどん【能力】を使って、いっぱいデータをとろう!」
怖い。怖いよ。先生、ここはどこ?、なんでめいの身体、こんな大きな鉄の塊で動けなくするの?
めいの左手……。
この4本のレール、なに?
ねぇ、レールの上、あれなに?四角い、鉄?
あんな高い所からめいの左手に落とすの?
怖い、怖いよ先生ぇ。

「大丈夫だよ。たった100kgだ。じゃあ、始めようか。」
いやだぁいやだよ。潰れちゃう。めいの手、潰れちゃう。ひぃっ!

「おおー!なんて速度だ!やはり実際見てみると感動するなぁ。凄いじゃないか、めいめい!これは本当に凄い。」
怖いよぉ。めい怖いよぉ。先生やめてぇ。

「よし続けて100kgの耐久試験に入ろう!めいめい、一緒に頑張ろうね!」
いやぁ。また落すの?めいの左手に……、うういやだぁ……。

「何を言ってるんだい?まだ70回じゃないか。まだまだこんなもんじゃないはずだよ。
先生、めいめいの【能力】がどれほど素晴らしいか、みんなに教えてあげたいんだ。
そのためには厳密に『どこまでの事が出来るのか』知っておく必要があるだろう?
それにこの実験を通して、めいめい自身の【能力】も飛躍的に向上していくと思うよ。
これは僕の勘だけどね。ははっ、まさか僕が勘に頼るなんて!
でもそれもめいめいがとても素晴らしい子だからなんだよ。
さぁめいめい、僕のために頑張ってくれるね?」

――――


芽衣は先生のこと、恨んでない。
いまでも、先生の事、大好きだから。

「ハッピーバースディ芽衣」
里奈が満面の笑みで、でも全然やる気なさそうな声で、
フルーツいっぱい山もりのチョコパフェを運んできてくれる。
「なんだかごめんね。一仕事する前にちゃっちゃとすましちゃう感じでさ」
「そんなことないよ!芽衣は祝ってもらえるだけで幸せだよっ!だって施設にいたら…」

そだっ。施設の話はしない。みんなで、そう決めたんだった。

「こっ、ここっていいとこだねっ!街中が全部見渡せる」
「うん、そだね。」
聞こえないふり。里奈はいじわるだけど、とってもやさしい。
「あれっ?里奈なんで芽衣のパフェたべてんの?まだ芽衣食べてないのに!」
「あははー。おいしいよこれ。」
「もー!めいの誕生日のでしょー!」
「あははー」
里奈はいじわるだ。ほんとにいじわる。

 丘の上のカフェテラス。
 正面に回れば『本日休業します』の張り紙が見えるだろう。
 どうやら山もりパフェは勝手に食材を拝借して作ったもののようだ。  

 そのカフェテラスから見下ろせば、このあたりの住宅の中でも大きい部類の邸宅が見える。
 そこから、一人の小さな女の子が駆け出してくる。
 遅れて、やさしそうなお母さん。

「きたよ芽衣」
「うん」


 どうやら乗用車に乗ってお出かけらしい。
 最後にお父さんが荷物をいっぱいに抱えて出てきた。
 お母さん同様、とっても優しそうな笑顔。

そだよっ、芽衣の、先生の、笑顔。

芽衣は先生の事大好き。
だから、安心して先生。
一瞬で、終わらせてあげる。芽衣みたく、痛い思いをしなくて済むように、一瞬。
それに、さびしくなんかないよ。先生の大切な奥さんも女の子もみーんな一緒だから。

カフェテラス。その壁際まで歩き、振り返る。
「じゃあ、いってくるね!」
ダッシュ!全力で駆けだす。そのテラスの向こう、空中へ向かって!

「いってらっしゃーい」
里奈、そう呼ばれた少女が緊張感のない声をかける。

さよなら、先生。

ズガアアアアアン!

爆発、突然乗用車の天井が潰れ、炎上する。
家族も、一瞬で潰れ、そして燃え上る。
そう、みんな、一緒に。

「おほー、ナイスイーン」
緊張感のない里奈の声。

「いいながめだなー、また、ここきたいなー、ね、芽衣?」

――――


ふぅうう、もう、無理ぃ……。頭が、ぼうっとする……。
もう、もう、無理だよぉ。めいの手…めいの手、今度こそ潰れちゃうぅ。

「大丈夫!体組織再生能力者の手配はしてあるんだから。
めいめいは安心して限界まで【能力】を使い切っていいんだ。
そう、『潰れるまで』、やるんだよ。」

いやだぁ……。いやだぁ……。先生ぇ……助けて…助けてぇ…。

ゴゴォン!ブチャアッ!

ぎゃぁあああああ!腕ぇ!めいの!めいのひだりてぇえええ!

「うーん。たった344回かぁ。1000回は行ってほしかったんだがなぁ。
丁度キリがいいしね。
まあ仕方がない。結果は結果だ。
よし、早速、腕の再生と被験体の鎮静、実験台の洗浄、急げ急げ!」

痛いぃ痛いよぉ。
でも、よかった、やっと、終わった。
先生、喜んでくれるかな?これで、まためいのこと、褒めてくれるかな?

めいの頭、撫でて、くれるかな?

なにこれ?お薬?眠くなってきた……。
目が、覚めたら、また先生にあえるのかな…
あの部屋にもどって、また、先生が、やさしくわらってくれて、また……

「急げよ!20分でリスタートだ!今週中に1000kgまで、データ取るぞ!」

また、めいに、お花、くれる、かな?



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投稿日:2013/10/30(水) 23:40:20.78 0