『Simple Mind』


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優樹と遥は呼び止められた。

「ちょっと、あなた達」
「はい?」


この日2人は、ショッピングを楽しんでいた。

「ここ、たなさたんに教えてもらったお店ー」
「へーそうなんだ」

限られたお小遣いを有意義に使う為、色んな店を見てまわっては、慎重に吟味していた。
何軒目かの店を出た時、それは優樹の目に止まった。

「ねー!どぅー!どぅー!あれよくない!?」
「え?何?」

優樹の指差す先には、
“本日限り大放出 有名ブランド品多数5千円福袋 先着50名様限定”
との文字が踊っていた。

「えー、福袋なんて何が入ってるかわかんないじゃん」
「だからいいんじゃん!これにしよ!これにしよ!」

優樹によって半ば強引に、福袋を求める列に並ぶこととなった。
あれだけ慎重に吟味していたのは何だったのかと遥は思いつつ。
そして福袋の販売が始まり、2人は50名ギリギリのところで手にすることができた。

「あれ?結構いいじゃん!」
「でしょ?でしょ?ほら、まさの言うとおりにしてよかった~!」

福袋の中身を確認する2人。
金額以上の充実した内訳に、満足げだった。


「あ!あの人も同じ袋持ってる!」

賑やかな通りから少し離れた道で、同じ福袋を持つ女の子を見つけた。
その声に、女の子がこちらを振り向いた。
そして2人と目が合い、こちらに歩み寄ってきた。

「これ、あげます」
「え?」

女の子は、2人よりやや年上といったところだろうか。
自分が持つ福袋を、2人に向けて差し出した。

「え、でも…」
「いいから、あげます」

強引に福袋を受け取らせると、女の子は駆け足で去っていった。

「なんなんだろう…?」
「なんか目がちょっと泣いてたよ」

渡された福袋の中身を覗くと、自分達が買ったものとは全く違って寂しい内容だった。

「え?何これハズレ?それで泣いてたの?」
「それはないでしょ。でもなんなんだろう…」

そんな時、2人は呼び止められた。

「ちょっと、あなた達」
「はい?」

2人の前に現れたのは、1人の女と、その脇を固める数人の男たち。
とりあえず、これから楽しい事は起きなさそうなのは確かなようだ。

「あなた達もあの店行ったのね」
「はぁ、はい」
「何か用?」
「アタシの福袋イマイチでさ、ちょっとあなた達の見せてくんない?」
「あ、サイズの合わないやつの交換とかありますよね」
「そう。だから、あなた達の見せて」

取り巻きの男が、2人の持つ福袋を取り上げようとする。

「ちょっと!まだいいって言ってないんだけど!」
「何すんだよ!触んなよ!」

予想外の抵抗を見せる2人に、男たちは全員がかりで向かってきた。
そして、手荒な手段に出てくる者もいた。

「なめんな!」
「怒ったなぅ~!」

本気になった2人は、たちまちに男たちを地に這わせた。
それを見た女は意外そうな顔をしながらも、焦った様子は見せなかった。

「スゴいじゃない。タダ者じゃないみたいね」
「てめぇさっき別の人にも無理矢理交換させただろ!?」
「あれ、何で知ってんの?」
「さっき泣いてたもん!」
「返しにいけよ!」
「…ヤダって言ったら?」
「力づくでも!」

遥が先に、女に挑んでいった。
鋭いパンチ、キックを繰り出す。
しかし女は、その全てを受け止めた。

「な…なんで!?」
「アタシね。心が読めるの」

女は不敵に微笑んだ。
遥はなおも打撃を繰り出すが、その一挙手一投足を女は全て受け止めてしまう。


  身体を動かそうとすると必ず目が動く
  筋肉も動く
  気配も動く
  その一瞬一瞬を見切れば、心を読むも同然


遥の顔が疲れを覗かせたその瞬間、女は一撃を鳩尾に見舞った。

「ぐふっ…、うぅっ」
「どぅー!!」
「お友達はかかってこないの?」
「どぅーを…どぅーをいじめるな!」

余裕の表情で返す女。
しかし、優樹と対峙した途端、その表情は一変した。


(心が…読めない!?)


女が、初めて焦りを見せた。
まっすぐな瞳で女を見つめたまま、じりじりと間合いを詰めようとする優樹。
心が読めず、後ずさりすることしかできない女。
ところが、優樹の視線が女の後方へと動いた。

「隙あり!!」

女が優樹に飛び掛かる。


ヒュウーン・・


その時、女は背後に迫る気配を感じた。

バフッ

その瞬間、飛んできたサッカーボールが頭に命中。
女の身体はバランスを崩し、伸びたままの右腕を掴んだ優樹は、そのまま女を放り投げた。


ばんっ どさっ

建物の外壁にしたたかに打ち付けられた女は、気を失った。



「すいませーん、ボール取ってくれませんかー?」

声のする方を見ると、塀の上から顔を出している小学生くらいの男の子。

「いいよー!いくよー!」

優樹は見事塀の向こう側にボールを蹴り返した。

「ありがとうございましたー!」
「こちらこそー!」
「えっ?」


このまっすぐさと、運の強さ。
これが優樹の生まれもっての強さなんだろうなと、遥は思うのだった。


从*・ 。.・)<ねぇ、ケーキの数が合わないんだけど?
川; ^_〉^)<え?えっ、えっ?
ハo´ 。`ル(…そういうのはすぐ顔に出るんだね)





投稿日:2013/10/14(月) 19:52:27.14 0