(86)331 名無し戦隊風(ダークネス邪鬼の復活)


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Aパート


「カニラ~、餌の時間よ~。はいっ」

聖が飼育ケースの中に差し出した魚の切り身をカニラのハサミがグッ、と掴んだ。
カニラはお利口さんねぇ~、母さんは危ないからやめなさいって言うけど
カニラはいい子だから絶対聖の手を挟んだりしない。よしよし

それを見て台所でなにやらまくし立てる母さん
はっはっはっ、と笑いながらコーヒーを飲む父さん

譜久村家の平和な日常
しかしそれはあの日、一瞬にして崩れ去った

ガガガ、ガリガリガリッ!

突然玄関の方から聴こえてきたその異音にガタっ!と父さんが椅子から立ち上がる

バゴーン!!!

「きゃあっ!」

有り得ない爆音が室内にこだました。ダダダダダダダダダっ
階段を駆け上がって来る沢山の足音・・・何なの?怖い・・・

「何だねキミ達は!」

父さんの声が聞こえる
聖は震える手を握り締めてそっと台所の入口から顔を出す

「何度かご連絡を差し上げているのですが色よいお返事が頂けないもので・・・こうして訪ねさせて頂きました。譜久村博士」


女の声・・・台所には数人の鬼のような面を被った黒ずくめの男達と白衣を着た丸顔メガネの女性が父さんと対に佇んでいた。
この黒ずくめの人達、何かで見たことがある・・・確かニュースとかで・・・

「キミ達がダークネス邪鬼か?いや、滅びたダークネス邪鬼の名を騙る偽物だな!」

そう、ダークネス邪鬼・・・1年前、かなしみ戦隊リゾナンターが倒した悪の組織だ!
でも父さんの言うようにダークネス邪鬼は滅びたはず。じゃあこの人達は一体!?

「偽物とは心外ですねぇ博士。確かに1年前、我々の地上拠点は壊滅しました。が、組織は健在ですよ?」

メガネを直しながら白衣の女性がニヤリ、と笑った

「申し遅れました。私はDr.マルシェ、以後お見知り置きを」

うやうやしく礼をする白衣の女性
しかしその顔には相変わらず不敵な笑みが浮かんでいる

「おいマルシェ!うだうだごたくはいいからとっととこのおっさん達拉致ろうぜ!いけお前ら!」
「イー!」

男達の中に埋もれていた道化師のような珍妙な姿をした小柄な女性の号令で
黒ずくめの男達が一斉に父さんと母さんに掴み掛る

「何をするやめろ!」
「離して!」

白衣の女性が眉間を抑え、ふぅ~、と溜め息をついた

「ヤグマリッド、博士にはこれから色々とご協力頂かなければなりません。手荒な真似は控えて下さい」
「あ?マルシェのくせに大幹部のおいらに指図すんなよ!」

「私は!」


父さんが大声をあげた

「私はキミ達に協力などしない!」
「なんだとぉ!」

ザッ、と前に出ようとした小柄な女性を制して白衣の女性マルシェが言い放った

「奥様の命がどうなっても宜しいということですか?最悪ご協力頂けなくても『R』細胞のサンプルだけ頂ければ・・・」

ちらり、と父さんが私の方を見た・・・じっと私を見つめる
二コリ、と微笑む父さん、父さん・・・

いやあああああああああああああああっ!!!

「イー!イー!」

慌てる邪鬼達
ゴフっ、父さんの口から溢れる血潮
そんな、そんな・・・

「コイツ、舌を噛みやがった!」
「まだ間に合います。脳が生きている間に冷凍保存して・・・」

「あなた!あなたぁ!」

倒れた父さんに泣きながら縋り付く母さん
これは夢よね、きっと悪い夢

「あー邪魔だババア、アンタに用は無い。消えろ」

吐き捨てるように言い放った小柄な道化師が持っている錫杖が虹色に光った


「あぁ・・・あぁぁ・・・」

その綺麗な虹色の光を浴びた母さんは溶けるように消えた
私はへなへなと力なくその場にへたりこむ
必死に考える。何だろうコレ?何だろう?
突然のこと過ぎて理解が追い付かない
そして・・・私の中で色々な感情が乱れ飛び、入り混じっている
悲しみ、恐怖、絶望・・・そのどれもを感じているようでもあるし
何も感じていない感じもする

「また無駄な殺生を・・・PCは念の為押収しましょう。他に研究資料ももしあれば。ん?」

白衣の女性がこちらを見た。気付かれた!
ドクン、と鼓動が大きく鳴った
私の中に入り乱れていた感情が一つに定まった。これは・・・恐怖!
逃げなきゃ、でも足が竦んで・・・

「ご子息の方ですか?我々としては平和裏に話を進めたかったのですが。このような出会いになってしまい残念です」

白衣の女性がツカツカと部屋に入ってきた
言っていることの10割は私の頭の中に入ってこない
後にして思えば感情のこもっていないどうでもいい挨拶だったように思う

「ふむ、普通の部屋ですね。普通の女子高生の部屋だ。お父様の研究など知らないであろう人の部屋だ。」

父さんが大学教授であることは知っている。生物学や細胞学の教授であることも知っている。
だけどそれだけだ。どんな研究をしているのか聞いたこともないし父さんは仕事の話を一切しようとしなかった。

「もし何かご存じでしたら・・・いや、ご存じないですよね。失礼致しました。我々は急ぎますのでこれで・・・ん?」

部屋をあれこれ見回していた女性のメガネがある一点に向けられピタリ、と止まった


「カニを飼育されているのですか?珍しいカニですね。見たことのないカニだなぁ」

カニラ?カニラの事を言っている?

「このカニ・・・恐らく新種ですね。このカニはお父様から貰ったものですか?」

確かにカニラは父さんが去年沢で拾ってきたカニ。
先代カニラが亡くなって寂しがっていた私に父さんがくれたカニ。
新種?なにそれ?カニラはカニラなんだけど?何を言っているんだこの人は?

「・・・喋れませんか。無理もありませんね。ご両親が目の前で亡くなったのですから」

ご両親が、亡くなった

亡くなった

「アァ・・・アァァ・・・」

頬に涙がつたった
恐怖は消え、私は悲しみに支配される
父さんと母さんは、死んだ
現実なんだ、死んだんだよね、死んだ

「あ、ごめんなさい。私デリカシーないってよく言われるもので、本当にすみません」

白衣の女性はほぼ棒読み口調でそう言いながら懐から何かを取り出した
何か・・・それは刑事ドラマや戦争映画でしか見たことのないもの

拳銃

私は反射的にビクっ、と身を竦める


「あー安心して下さい。撃ったりしませんよ、お嬢さんを撃ったりはね」

そういうと女性は拳銃をある方向に向ける
カニラの飼育ケース

(「やめて―!」)と叫ぼうとしたが声が出ない
貴方達は父さんと母さんを私から奪った上にカニラまで奪おうというの?

パン!パン!パン!

乾いた銃声が響いた

同時に

キン!キン!キン!

と硬い音が響いた

ケースが弾を防いだの?いや、あれはただの飼育ケース。ただのガラス
やはりケースのガラスには銃痕があり、穴が開いている

「カニラぁ!!!」

やっと声が出た

「ふふふ・・・」

白衣の女性が笑った。何が可笑しいの?拳銃でカニなんか、いやカニラを撃って
貴方達は鬼なの?悪魔なの?私から全てを奪って、幸せな家庭を滅茶苦茶にして何で笑えるの?

「やはり思った通り・・・あ、カニラちゃんっていうんですか?この子?」


譜久村家襲撃とほぼ同時刻、ブティック『ピンチャボー』

ピリリリリ、と懐で鳴った携帯を取り出す店長、新垣里沙
着信画面の電話番号・・・これは!

「もしもし!」
「新垣さん、『D』警報発令です」
「な、なんだってー!?」

やはり同時刻、喫茶『リゾナント』

ピリリリリリ!フォーン!フォーン!

「なに?」
「火事か!?」

くつろいでいた常連客達が慌てふためく

「安心して!誤報やけん!」

店長の田中れいなが客たちを落ち着かせる

「誤報か、久し振りだな」
「修理したんじゃなかったのかよ、れいなちゃん」

古い常連客達はなぜかスムーズに納得した
1年前まではしょっちゅう鳴ってたけんね、コレ
れいなはいそいそとエプロンを外す

「店長・・・?」
「ちょっと急用が出来たけん、飯窪!後は任せたっちゃ!」
「ちょ!店長!、私ただのバイト・・・」


田中れいなは飯窪の返事も聞かずに店を飛び出し、店の前のバイクに飛び乗った

更に同時刻、SATOYAMA『ナチュラルシード農場』

「愛佳ちゃ~ん、なんかキミに電話だぞー!Rなんとかって会社から」

畑の向こうの岡から手を振る農場の主、石井さん
あっちゃー!携帯持ってくればよかったー、完全に油断したわー
でも今更何で?奴らは1年前に・・・

そして同時刻、洋菓子店『サユミンランドール』

ピリリリリリ!
おわっ!とっとっと!仕上げ中に誰よ!?
生クリームずれたじゃない!

「ちょっともしもし?えっ!?いや店が・・・それどころじゃなさそうですね」

生クリームを放り出し、走り出す道重さゆみ

「追加、作れなくなったからキャンセルして。お客さんにはお詫びの別のお菓子でも渡しといて!」
「店長!?」

スマートフォンの画面に表示された地図を見ながら大通りに飛び出すさゆみ

「割と近い・・・あ!」

手を挙げてタクシーを留める

「お客さん、どこ・・・」
「○○町○○庁目○○番地の譜久村家までお願いします!」


一気に捲し立てるさゆみ

「えっと・・・」
「早くしてください!!!」

あああっ!こんなことなら免許取っておくべきだった!
何このタクシー!?今時カーナビも付いてないの!
いいから早く車出しなさいよー!!!

コンコン、タクシーの窓を叩く手

「さゆー?」
「れいなー!!!」
「どうせこんなことになっとると思ったけん、迎えに来てやったとよ」
「ありがとー!」

バッ!タクシーを飛び出すさゆみ

「あ、お客さーん!」

れいなの差し出したヘルメットを被り、バイクの後ろに跨る

「飛ばすっちゃよ!しっかり掴まっとき」
「きゃーこわーい!」

車の間を擦り抜けるように超高速で走る青いバイク『リゾナントブルー』
明らかに法定速度を越えているが警察は彼女達を追わない

警視庁、警察庁のDBに登録されている超法規機関『R機関』所属の特務車両
しかし、そのれいな達のバイクを追うように走ってくる1台のバイクがバックミラーに映る

「来たっちゃね」


黄緑色の弾丸『ドリームチェイサー』、これもまた法定速度を無視したしょうがない夢追い人である

「勝負っちゃ!ガキさん!」
「ちょっとやめてよー!ここで張り合ってどうすんの?ってゆーかさゆみ死んじゃうし!」
「ちっ、さゆが居なければ・・・」
「ちょっとー!」

あれよあれよという間に黄緑色の弾丸は追い付いてきて並走する

「コーラー!2人乗りでそのスピードは危ないっしょ!」

ヘルメットに付いている通信機から懐かしい声が聴こえる

「ガキさん!」
「緊急事態っちゃ、手段は選んでおれん」
「まったくもー!いつも無茶して・・・命は一つなんだよ?」
「結局命懸けっちゃろ?アイツらがまた出てきた以上」

全員、その言葉の後に押し黙ってしまった
1年前、私達はこの手で確かに次元の壁を越えてこの世界に具現化しようとしていた暗黒邪神ダークネスを倒したはずだ
愛ちゃんとえりという大きな犠牲を払って・・・

「誤報であって欲しいけどね」
「D反応レーダーが誤報を知らせたことは今まで1回もなかよ・・・アイツらは生きとる」

確かにあの時、引っ掛かりが無かったかというと嘘になる
邪神はこの世界から消滅し、闇の組織『ダークネス』の地上拠点は完全に爆破した。
しかし、大幹部の何人かの最期を直接私達は見ていない。基地の爆発に巻き込まれた。
そう思い込んでいたのだ。もしそうでなかったとしたら・・・

「そろそろ市街に入るわよ、減速して」
「言われんでもわかっとぅ!」

市街地に入ると、程なくしてそれとわかる譜久村家が見えてきた

「情報通り庭に電車があるわ・・・」
「都心にこんな家あるんかい!」

そして譜久村家からぞろぞろと出てくる黒ずくめの男達

「ダークネス邪鬼!!!」
「間に合ったようね」
「このまま変身して突っ込むわよ!」
「ちょ!嘘ぉ!」
「レッツ、リゾナント!」

新垣の掛け声で新垣、れいな、さゆみのブレスレットがそれぞれ
黄緑、青、ピンクに輝き全身がその光に包まれる

光を纏ったバイクは減速しない、そのまま猛スピードで黒ずくめの男達に突っ込む
ガガガガン!ガガッ!ガン!

「イイッ!?」
「イーッ!!!」

次々にバイクに跳ね飛ばされる男達

「ちょっとー!荒っぽ過ぎー!」
「さゆすけ、これが正義よ!」

男達を轢いた後、光を纏ったまま後方宙返りでバイクから飛び降りる三人

「「「とーっ!」」」

スタタッ、と華麗に着地する黄緑、青
着地後ちょっとよろけるが何とか持ちこたえるピンク

「生命の萌芽っ!リゾナントライトグリーン!」
「共鳴の青っ!リゾナントブルー!」
「私が一番可愛いっ!リゾナントピンク!」

それぞれ名乗り、決めポーズを取る
その身体にはブレスレットから噴き出た粒子が物質化した強化スーツが纏われていた

「「「悲しみ戦隊っ!リゾ・・・」」」
「ちょ、待った~!」

ゴーン、と高速で上空を横切るヘリから落ちてくる人影

「神秘の輝きっ!リゾナントヴァイオレット!」
「愛佳!」
「すんません、田舎すぎて間に合わへんからヘリ出してもらいましたわ」
「よかよ~、ギリギリセーフやん」
「よし、揃ったわね・・・いくわよ!」

横一列に並び、ポーズを取る四人

「「「「悲しみ戦隊っ!リゾ、ナンター!」」」」

ボーン!
なぜか掛け声と共に彼女達の背後で起こる各々の色の爆発
粒子爆発・・・R粒子の運動が高まると起こる現象だ

「現れたなリゾナンターぁああああ!!!」

激情を滾らせ、小さな道化師が憎々しげに吼える

「ヤグマリッド!やっぱり生きとったとか」
「当たり前だー!お前らごときにやられるこのヤグマリッド様ではないわー!」

さゆみが新垣に耳打ちする

「アイツ、最終決戦で真っ先に逃げてませんでしたっけ?」
「最後まで戦ったアヤンツ将軍に比べて・・・ねぇ・・・」
「おいそこ!何を話してやがる!お前達、殺れー!」

イーッ!という声と共にリゾナンターに襲い掛かるダークネス邪鬼達
しかし、大半がバイクに跳ね飛ばされたダメージでかなり弱っている

「とうっ!リゾナントワイヤー!」
「イーッ!」

ライトグリーンの操るワイヤーにズタズタにされ、次々と爆発する邪鬼

「リゾナントシューター!」
「イーッ!」

ブルーの持つ光線銃の光に貫かれ、次々に爆発する邪鬼

「リゾナント、キック!」
「イーッ!」

ヴァイオレットの蹴り技で吹き飛ばされ、次々に(ry

「リゾナント・・・あれ?」

ピンクは構えを取った後に気付いた。既に邪鬼が全滅していることに

「さゆー、サボりすぎー」
「みんな早い~」
「ぐぬぬぬぬぬー!」

地団駄を踏むヤグマリッド。1年前と何ら変わらない風景
いつもならここで怪人が出てくるはずだけど・・・

「ガーニー!!!」

玄関から、異様な姿の人影・・・いや、人じゃないものが現れた
怪人、キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
カニ、カニの怪人だわ!珍しい、今回はメカじゃなくて生物ベースなの?
そしてまたまた懐かしい顔

「お久し振りです、リゾナンターの皆さん」
「Drマルシェ!」

メガネ、白衣、丸顔、冷たい視線、慇懃無礼な態度
 ・・・どっからどう見てもあのDrマルシェだ

「お前!何を企んどると?」
「リゾナントブルー、相変わらずですね・・・自らの企みを話すバカは居ませんよ」
「なら力づくで聞き出しちゃる!リゾナントシューター!」

シューター!しかし、れいなが早射ちで放った光線はマルシェには届かず巨大な体躯に阻まれた
チュイーン!その身体、いや装甲に弾かれた光線が跳ね返り庭の電車を直撃し爆発する

「コイツ・・・」
「カニラ、いやダークカニラは手強いですよ、リゾナンター」

カニの怪人、ダークカニラの甲羅の装甲はシューターをも弾き返した
一体何で出来てるんだろう・・・?とにかくコイツは硬そうだ!

348 名前:名無し募集中。。。[sage] 投稿日:2013/10/14(月) 17:23:02.72 0
「何かヤバそうねコイツ、一気に決めましょう!リゾナントバズーカ、転送!」

上空に真っ黒な穴が開く。それは次元のゲート。膨大なエネルギーを消費するため
滅多には使えない次元転送機が作りだしたゲートからゆっくりと私達の最終兵器が降下してきた

『リゾナントバズーカ』

私達全員のR粒子を圧縮して撃ち出す『リゾナントバスター』を放つための必殺武器だ
これで私達はあらゆる怪人、怪物を打ち倒して来た。いくらあのカニでもこれなら・・・
全員で降下してきたバズーカをキャッチし、構える

「R粒子注入!」

私達の身体からR粒子がバズーカに流れ込んでいく
力を吸い取られるような、辛い時間・・・でも!

「ターゲット、マーク!」

さゆみは照準器越しに敵を捉えた。
カニ、どう見てもカニ・・・沢ガニ?それとも深海の・・・いや、そんなことはどうでもいい

「R粒子圧縮、完了!」

愛佳の声が響く。発射準備はOKだ。
後はガキさんの合図でれいなが引き金を引くだけ。さよなら、カニさん

「ファイ・・・」

とガキさんが言いかけたところで、照準器から見える景色が変わった
ぽよん・・・ぽよん?

「やめてーーー!!!カニラを殺さないで!!!」





投稿日:2013/10/14(月) 15:54:49.26 0


Bパート


「ちょっと、あなた!どきなさい!」

スコープに入ってきたのは女の子の胸だった。大きい、明らかに大きい。さゆみよりも・・・
いや、それはどうでもよかった!ガキさんの警告にも耳を貸さず、女の子は射線からどかない

「カニラは、カニラは悪い奴に操られているだけなんです!カニラを撃たないで!」
「はよどきぃ!そいつはダークネスの怪人っちゃ!」
「ちがう!カニラです!私のカニラなんです!」

ガキさんれいな相手に一歩も引かない・・・なかなかの度胸だわあの子
顔立ちは優しいのに。まぁ堂々した体格ではあるけど

「仕方ありません、一端射撃を中止してあの子を保護しましょう」

さすが愛佳、こんなときでも冷静な助言。ホントはさゆみがこういうこと言うべきなんだろうけど

「オッケー、射撃保留。私があの子を保護するわー。さゆとれいなはそのままの体勢。愛佳はカニの注意を惹きつけて」

ガキさんと愛佳のホールドがバズーカから離れる。とっとっと・・・グッ、とバズーカの重みが私のれいなの肩にのしかかる

「さゆー、しっかりしい。傾いとるとよ~」
「む、無理ー、れいな高さ合わせて~」
「さゆが屈めばいいっちゃろ!」
「・・・行きます!」
「オッケー」

私とれいなの言い合いにすこし呆れながらも、愛佳が真っ直ぐにダークカニラに突っ込む
同時に、ガキさんが両手からワイヤーを展開する

「でやあっ!」

愛佳の渾身の飛び蹴りがダークカニラにヒットした


しかしダークカニラはまったく微動だにしていない

「硬いな、お前・・・ならこれでどうや!?やややややややややややややややややややや!」

もの凄いスピードで連続蹴りを繰り出す愛佳

「今だっ!」

カニラの注意は惹き付けられた、と判断したガキさんが女の子にワイヤーを伸ばす
するすると女の子の身体に巻き付くワイヤー

「なっ!?」
「釣るわよー、抵抗しないでねっ、と!」

ぽーん!と女の子の身体が宙に浮いた
カツオの一本釣り?いやマグロ?そもそも一本じゃないか
とにかく女の子はワイヤーで釣り上げられ私達の後方にどさっ、と落ちた

「あうっ!」
「ゴメンねー、手荒な真似はしたくなかったけど。これも任務だから」

振り向いて女の子にウィンクするガキさん
いや、わかってるならもうちょっと優しく釣った方がいいんじゃ・・・

「ああああああっ!!!」

前から叫び声が聞こえた。愛佳!?
愛佳の足がダークカニラのハサミに挟まれている。マズいわ!これ!
私とれいながバズーカを捨てたのはほぼ同時だった


「「リゾナントシューター!」」

2人でダークカニラを一斉射撃する
チュインチュインチュインチュイン!・・・やはり全くシューターが効かない!

「どうしましたリゾナンター。早くしないとヴァイオレットの足、千切れちゃいますよ?」

マズい、マズい!強化スーツの防御力で持ちこたえてるけどこのままじゃ・・・

「クッ、リゾナントワイヤー!」

ガキさんがダークカニラの身体にワイヤーを絡み付かせる、が

「コイツ・・・超重くて釣れないっ!それに斬れないっ!」

そうこう焦っている内に愛佳のスーツの紫の光が明滅し始めた、マズいっ!粒子パワーが切れたらスーツの効果は・・・

「やめ・・・」

ゴキいっ!

「ぎ、ぎゃあああああああああああああああああああぁ!!!」

足の骨が折れる鈍い音、そして愛佳の絶叫
私はその残酷な光景思わず目を覆う

「さゆ!何とかせんとホントに愛佳足千切られるとよ!接近戦っちゃ!」

れいなが私の手を引っ張ったその瞬間、後ろからバイクのモーター音が聞こえた

「えっ!?」


ガキさんが声を挙げる。
ファーン!とひとしお激しいエンジン音を立ててそのバイクは背後から私達を飛び越して、宙に舞い上がった
そして、そのバイクに乗っている人物の姿を見て、私とれいなも思わず声をあげる

「リゾナント・・・レッド!?」
「愛ちゃん!?」

飛び上がったバイクから、更に戦士は身を躍らせる。赤い強化スーツを纏った戦士。
ヤグマリッド、マルシェもそれをぽかーんと見ていることしか出来ない

-RESONANTBLADE SETUP-

ヘルメットの通信機から聞こえてきたのは低い声の機械的な音声だった
リゾナントブレード、光の剣。ホントに、ホントに愛ちゃんなの?

レッドの手に、光を纏った刃が現れる
そしてレッドが身を躍らせた先は・・・

ガシャーン!

バイクがそのまま譜久村家の2Fバルコニーに突っ込むのと同時に、レッドはダークカニラに躍りかかった
赤い刃が、愛佳の足を掴むハサミの腕にインパクトする

      • 斬れないっ!
そんな!リゾナントブレードでもあのカニの装甲は斬れないというの!?

-BLADE FULLBURST-

またも機械的な音声・・・そして、ブレードの色が真っ赤に変わった
あれ?あんなのあったっけ?うっ!!!赤い光の奔流が周囲一体に迸る

ヴォーンヴォーンヴォーンヴォーンヴォーンヴォーン!


光と音と、振動。激しく周囲の大気が揺れる、揺れはどんどん激しくなっていく
パリーンパリーンパリーンパリーン!一斉に周囲の民家の窓ガラスが割れた。
あれはブレードの粒子エネルギーを極限まで増幅している?あんな機能あったっけ?
あああっ耳が痛いっ!でも・・・
でも紅の刀身が、エネルギーを迸らせながら除々にダークカニラの装甲へ食いこんでいく
これは・・・いける!

「でやぁああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

初めて、レッドが声を発した。雄叫びをあげた、というべきか
ん?愛ちゃん?ちょっと声低くなった?・・・いや、違う!
あれは・・・あの子は愛ちゃんじゃない!

ジャッ、キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!

紅の刀身が、玄関のコンクリートの地面にめり込んだ
切断されたカニの腕と共に、落下する愛佳

-BLADE OFF-

レッドがブレードの刀身を消し、身を翻して愛佳の身体をキャッチする

「あ、アンタ・・・」

喋ろうとした愛佳を無視して、身体を抱えたままレッドがこちらに近付いてくる

「何ね、お前」

れいなももう気付いている。このレッドが愛ちゃんでない事に
レッドは私達の前まで来ると愛佳の身体をゆっくりと地面に下ろした。


そしてダークカニラ、マルシェの方をスッ、と向くと刀を抜刀するようなポーズをレッドは取った

「再生の炎っ!リゾナントレッド!」

えっ?そこで名乗り?一応お約束は守るんだ・・・
しかし違う、やはりこの声は愛ちゃんではない。低めだけど・・・何か幼い声にも聞こえる
名乗りも愛ちゃんとは違う。再生の・・・炎?
この子は、この子は一体誰なの?

「アナタ、一体何者?」

私達の心の声を代弁するかのように、ガキさんが言い放った

「新垣さん、詳しい話は後です。早く奴にリゾナントバスターを!」

バキッ、バキンバキンバキンッ!何?今度は何の音?

「ガーニー!!!」

斬り落とした切断面からダークカニラの腕が・・・生えてきてる!

「カニやエビには手足を切り離した後、再生する能力があるとか。
 しかし奴の再生能力は尋常じゃありません!早くリゾナントバスターを!」

へーそうなんだ、カニって再生するんだー・・・って感心してる場合じゃない!

「わかったわ・・・みんな、リゾナントバスターよ!愛佳?いける?」
「な、なんとか・・・踏ん張りはききまへんけど支えるぐらいなら」

愛佳の右足は完全に折れてぷら~ん、としている。無理よそんなの!

「光井さんは下がって下さい。バズーカは私が支えます」
「アンタ、支えるだけじゃないのよ?粒子圧縮は・・・」

しかしそのガキさんの言葉をレッドが遮る

「マニュアルは全て頭に入っています。大丈夫です」

なんだかすごく自身あり気な言い方。
この子、きっとマスクの下でどや顔してんじゃないの?そんな口調だ。

「わかったわ、愛佳はフリーで後ろでこのお嬢ちゃんを見てて。ミスりそうだったらフォローして」
「了解。アンタ、誰やか知らんけどさっきは助かったわ。ありがとうな」
「お礼など要りません、任務ですから。それに私はミスなんかしません。」

うっ、固い・・・いや、なんかエラそうというか、もうちょっとその、ほら言い方が

「なかなか頼もしいわね。じゃあいくわよ、ひよっ子レッド」
「頼りにして頂いて光栄ですがひよっ子ではありません」

うぅ・・・お互い引かない。でもなぜだろう?この感じ、なんか懐かしい感じ
そういえば愛ちゃんとガキさんっていつもこんな感じだったっけ
キャラは違うけど、実はこの子愛ちゃんに似てるのかも

「R粒子注入!」

再び粒子を注入する。さっきのチャージがまだ残っているからここはすぐに済む

「ターゲット、マーク!」

照準器越しにダークカニラを捉えた。
もうすぐ腕の再生が完了しそうだ。間に合え!

「R粒子圧縮・・・」

ん?あれ?なかなか終わらない。やっぱこの子不慣れ?いや・・・

「ちょっとぉ!?アンタ何してんの?」
「圧縮率、120%・・・150%・・・」
「圧縮し過ぎや!暴発するで!」

嘘ぉ!ここで全員爆死!?嫌なの嫌なの!さゆみそんなの嫌なの!

「コラーもうやめなさい!愛佳、圧縮を強制オフして!」
「まだです!奴にダメージに与えるには通常の圧縮率では足りません!
 あの装甲、そして再生能力。追共鳴爆発を起こして完全に破壊するには300%は・・・」
「そんな賭けに乗るわけにはいかないわ!ここで私達が全員死んだら誰が奴らを止めるの?
 れいな、トリガー!」
「れなも珍しくガキさんに賛成っちゃ。ここでれな達は死ぬわけにはいかん!!!」

れいなの指がその引き金を引く

『ファイナルリゾナント、バスター!!!』





投稿日:2013/10/16(水) 01:04:48.19 0