『colorfull戦隊リゾナントガールズ(仮)④(終)+米 2.5話』



ハo´ 。`ル<前話のおさらいだよ
突如現れた悪の集団とそれを指揮する関西弁の女ボス
そんな奴らを倒さんと正義の味方が現れた!その名も『(株)リゾナントガールズ」』
相変わらずのボケボケなヒーローに耐えきれず、女ボスの雨嵐のようなつっこみが炸裂!!
そんななか(株)リゾナントガールズの女社長、ももち色こと譜久村は自己紹介ついでに敵に贈り物を!
それはリゾナントガールズオレンジこと工藤遥
そう、譜久村は正義の御旗のもとでオレンジ色を手に入れるための戦いへと何気なくすり替えたのだ
さあ、いよいよ悪の集団とリゾナントガールズが戦うぞ!オレンジ色の行方は?そしてはるの運命は?

「・・・長いな」
「そうでしょうか?全話のあらすじがこれだけにまとまるくらい事の方が珍しいと思いますが」
女ボスの率直な感想に対して可愛らしく首をかしげてももち色は答えた
「要点かいつまんで書かれていますし、オレンジ色の行方を巡っての戦いということが簡潔に」
「そやない」
「ではどういうことですか?」
「・・・前の更新からの期間や!前の話でたのいつや!去年の年末や!2012年や!半年過ぎてとる!
 この話忘れてるホゼナンターぎょうさんおるで」
何も言い返せない5人の(有)リゾナントガールズの面々

「おい、ももち色、地味に名前また変えたやろ」
「はい・・・アットホームを掲げるために、規模縮小して有限会社にしましたわ
 社長のももち色、副社長のハニー色、専務のレッド、係長のグリーン、パン屋のブルー」
「・・・突っ込み待ちか?せんで」
「私は満足していますよ!いくらでもパン焼き放題です!理想の味、フランスの味、石田パン」
「朝食に」「石田パン」「昼食にも」「石田パン」「ご飯のお供は」「石田パン」
「・・・」

そんな譜久村と女ボスの様子を少し離れた場所から眺めている鞘師は首をかしげた
「どうしたの、里保ちゃん。なんか表情険しいよ」
「あ、香音ちゃん、なんかね、雰囲気が違う気がする」
「え?聖ちゃんが?」
「ううん、あの女の人の方」
「フフフ・・・これはあれっちゃね」
話を盗み聞きしていた新垣グリーンの生田が話に割り込んできた
「あれってなんなんだろうね?」
「ずばり!更年期っちゃね。女性としての自分が失われることへの恐怖!
 女じゃなくなる、愛されなくなる!ああ、もっと愛して 愛して!」


「ほんとなんだろうね。いつもならここでエリちゃんの身に何かがおこるのに」
「いやな予感がするね」
「でもそうはならなかったと!!」
同期二人の愛の鞭として生田の腹にグーパンと峰打ちが捧げられた

「パン! パン! 石田パンいかがですか?」
しつこいくらいのパン推しの石田に女ボスは近づく

バシンッ 「うぎゃっ」

気持ちいいくらいの音と共に石田は崩れ落ちた
「あゆみちゃん!」「なにをするんですか!いくらうざくてうざくて仕方ないといっても!」
「「ありがとうございます!!」」
頭をさげてお礼を述べる社長と副社長
「・・・で、戦うんやろ?」

「・・・突っ込みもしないんですなんて」「やっぱりおかしいんだろうね」

「も、もちろんですわ!覚悟しなさい!ダークネス!そして裏切り者の工藤」
慌てて構えを構えるももち色
「・・・やって。さて、オレンジ色はどうするんや?」
「は、はるは・・・戦う」
「ほう、どっちとや?」
「それは・・・」

腰に手を回し、女ボスと対峙する工藤
「お前とだ!ダークネス!!」
手にはナイフが握りしめられている

「ええんか?お前、裏切り者扱いされているんやで。あいつの仇にされとうのに、それでもももち色の味方するんか?」
「そんなこと関係ない!はるははるだ!たとえ、みんなから嫌われても心はリゾナントガールズ(仮)だ!」
両手でナイフの柄をしっかり掴み、視線は女ボスから外そうとしない
「くどぅー、いやオレンジ色、そんなに私達のことを・・・」

「正義の名のもとにはるは戦う! 覚悟!ダークネス!!」
そして工藤はナイフを手に飛びかかる

女ボスは退屈そうに胸の前で十字を切る
「『space―」
女ボス目がけて駈け寄る工藤の前に突如、空間の裂け目が生じた
「なんだよ、これっ」
「lipper(空間裂隙)」」
そして、その空間に飛び込んだ工藤は裂け目ごと姿を消した

「「「「「オレンジ~」」」」」「DOどぅ~」
仲間達の悲痛な叫びが響く
「・・・これでどうや?うちはお前らの敵で、仲間の仇にもなった」
相変わらず冷めた声の女ボス
「心おきなく戦えるやろ?」

「・・・許さない。私達は心から繋がっていたのに、それを消そうとするなんて許しませんわ」
体を小刻みに震わせるももち色
「「「譜久村さん」」」「フクちゃん」「みずき」
しゅびしぃぃっと小指を女ボスにむけるももち色
「たとえオリオン座が許しても、私が許しませんわ」

「おいおい、なにいっとるんや?さっきまでどこのどいつや?オレンジ色は裏切り者っていうとったのは?」
「そ、それは」
「オレンジ色を守るために工藤を倒すとか」
「や、やめて」
「今後のためにうちらに工藤を差し出したのも」
「やめてください!それ以上言わないでください」
膝から崩れ落ちるももち色

「本当は工藤のことすきなんやろ?」
「・・・」
「なのにオレンジ色、亀井という幻想にいつまでもしがみついて、今をみれなくなっとる」
「・・・」
「不器用やな、おまえ。素直に言うたらええんや、『工藤が大好き』やって」
「遥ちゃんが大好きです!」
大声で叫んだももち色に続く仲間達
「私も」「私も」「香音も」「私も」「えりも」「まーちゃんだって」「「「「「「大好きです」」」」」」

「くだらん・・・せやけど嫌いやないな」
舌打ちして、吐き捨てるように女ボス
「だからお願いです。オレンジを返してください」
「・・・会いたいか?」
「もちろんです!!」
「お前らもか?」
「「「「「「はい」」」」」」

「逢わせたろうか?おまえらこっちに集まれ」
7人は女ボスの元に集まる

そして・・・

★★★★★★

ドシンッ

「イタッ」
背中から床に叩きつけられ思わず工藤は声をあげてしまった
(くそっ、油断して変な空間に閉じ込められてしまった。でもここどこだろう?)
打ちつけた腰をさすりながらゆっくりと立ち上がる

薄暗い室内と目の前に並んだ無数のモニター
遠くて良く見えないが、どうやらどこかの建物をモニタリングしているようだ

そしてその前には机と椅子が置かれ、その椅子には手にグラスを持って誰かが座っている
工藤に背を向けているが、その後ろ姿に見覚えがあった

「!! おまえ、さっきは油断したが、今度はそうはいかないからな!」

ゆっくりと振り返る椅子の人物
「・・・なんや、工藤か」
関西弁のその人物はゆっくりと机にグラスを置き、振り返る

「なめたマネしてくれてるんじゃねえよ!今度こそおまえを倒し、リゾナントガールズとして認められるんだ」
「『リゾナントガールズ』?・・・そういうことか」
「なに知らねえフリしているんだよ!こっちからいくぜ!」
ベルトに忍ばせておいたナイフを女目がけて投げつける

ナイフが眼前にせまっても女は眉一つ動かさずに、その軌道を目で追い、そして-消えた
「ほう、この工藤はナイフを使うんや。おもろい」と呟きながら
通り過ぎたナイフは部屋の奥にあるモニター画面に当たり、一つの小さな画面を砂嵐に変えた

「消えた?だけど、はるの『千里眼』からは逃れられないよ」
能力を解放し、部屋を俯瞰できる視覚へと移す

(どこだ?前か?後ろか?それとも上か?
 さっきのあれは『空間裂隙』で自分の姿を消しただけだから、すぐに姿を現すはず
 そこを撃ち抜けば、楽勝だ)

頬に一陣の風を感じた
(!! 視えた!! はるの左斜め後ろ、1メートルほど上に出た)

左足を一歩さげ、勢いよく体を反転させる。
そして、その遠心力を利用して、目的の場所めがけて、ナイフを投げつける
何百回、何千回と練習したんだ、外れることはない

「ハズレ」
気がつけばいつの間にか女は椅子の上に戻って、工藤に背を向けて座っている
「残念やったな。終わりや」

(な、何をいってるんだ!この手に持ったナイフで)

そこで工藤の思考は一旦停止する

(あれ?おかしくね?はる、今、ナイフを投げるために後ろ向いたよね?
 なのになんで、この椅子の上にいる女をみていられるんだ?)

そして、視界がグラリと揺れ、見ている世界がゆっくりと下がっていく

(ん?はる、倒れようとしている?でもおかしくね?なんも痛くないんだけど)

どんどん床が迫ってきたため、床に叩きつけられるのを防ごうと手を伸ばした
―にも関わらず、顎を強打してしまう
「イテッ」
そして続いて、何かが倒れる音

-受け身が取れなかった、というよりも体が動かない?そして天井をなんで見ているんだ?

視線を横に逸らすと無機質な床が眼に映った

-立ち上がらないと。戦わないと

そう思い反対側に眼を向けると奇妙な『モノ』が手を伸ばした格好で倒れていた
マネキンのようだった。上から下まで黒を基調とした衣装で着飾られている

-変なもの置いてあるなあ?・・・あれ?こんなのさっきまであったっけ?

そう思ったのも仕方がないだろう、マネキンには首がなかったのだから

―ん?マネキンの手に何かあるな?
―これ、まぁちゃんからもらった指輪に似てる?
-・・・いやいや違うよな。偶然だよ。偶然

そう思いながらも心の中に不安が生まれ、改めて千里眼を発動する

-嘘だよね?

先程と同じく天からの俯瞰の視野を眼に写す

-ありえないよね?だってはるだよ?リゾナントガールズだよ?

ゆっくりと姿を現していく全体図

―嘘だと言ってよ。ねえ、お願い!

無数のモニターと壊れた小さな一画面、机といすに座る女性、そして・・・床に倒れ込む首の無い身体と生首

―嘘だ、嘘だ、嘘だ 嘘だね! 絶対違うから!

眼の前に倒れている首の無い身体が自分のものだと納得できない工藤

―だって、はるがいなくなったら?どうするの?

そこに低い特徴的なアクセントの関西弁が響く

「・・・『space」

次に何が起こるのかを瞬時に察知した工藤だが恐怖のあまり声が出ない

「lipper(空間裂隙)」」
親指を首の前で横にラインを引くようにすべらせた

咲き誇る血しぶきで眼の前が紅く染まり、工藤の意識は永遠の闇に落ちた

★★★★★★

「ちょっと、なにしてるん?せっかくうちが見つけてきた面白いヤツなのに」
「・・・お前か」
ゆっくり立ち上がり向かい合う二人
「うわっ、床真っ赤っ赤やんけ!」
その顔は鏡合わせのように全く同じ。

「邪魔やったんや。こいつ」
倒れた工藤を指差す
「面白そうな工藤だったんやで。あんたの計画にちょうどええやろと思ったんやで
 仲間から裏切り者扱いされて、ナイフ使いで、ちょっと気が強い千里眼の工藤
 なかなか調べがいあると思うんけど」
「遅い。お前のとこ、半年も経っているやろ?もう始めてるんや」
「・・・なかなかうまいこといかんくて」

「ところで、それ、なんや?」
今、現れた女が手にしてる袋を顎でしゃくって示す
「あ?これはな」

袋の開け口を下に向けると何か球状のものが7つ落ちてきた

「仲間に『逢いたい』いうたから連れてきた」
「・・・気色悪い趣味やな。こんなことするとは最初からお前も消すつもりやったんちゃう?
 他のやつはこんなことせえへんかったで」

7つの球を工藤の傍に黙って置きながら女はもう一人の女に問いかける
「で、どうや?計画は?」
「その工藤のせいで一画面見えへんくなった」
「あのナイフ投げか?やっぱこの工藤の方がええんちゃう?」
「工藤は普通の工藤でええんや・・・で、お前はどうするんや、これから」

並び終えた女はゆっくりと立ち上がり、もう一人の元へと近づく
「なんていうかな、もう『飽きた』。せやから、知識渡してうちは休ませてもらうわ」
「わかった。ほな、お休み」
そう言い同じ顔をした二人は手を重ね合った

一瞬黒く淡い霞が舞い上がり、二つの姿は一つになった
「・・・くだらねえ世界造りやがって。あいつも暇やな。
ま、これで世界がまた一つ消えたことになる、か。さて、観察の続きや」

部屋の中には机と椅子とグラスと女
工藤の死体と7つの球、投げられたナイフに床を濡らした赤い液体も跡形もなく消えていた

モニターに映るは鞘師、譜久村、生田、鈴木、飯窪、石田、佐藤、工藤の8人
ロボットの残骸と白い床と壁に囲まれた奇妙な舘
一つだけ壊れたモニター以外の無数の画面があらゆる角度から彼女たちを映しだしていた




投稿日:2013/07/05(金) 08:22:46.18 0




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最終更新:2013年07月05日 12:40