『この地球の平和を本気で願ってるんだよ!』 9~12


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「これで全員、揃ったな」

あたしと粛清人Rと氷の魔女3人は、ダークネスの会議室に転送された

円形の卓を囲む様に、10人の幹部が席に着く

「急にすまんな。連絡した通り、行方不明だったg923が現れた。現在もi914と交戦中や。しかも、場所は住宅密集地に近いときた」

リーダーが場所を懸念するのも当然だろう
能力者の存在が世界に知られるには時期が早いからな

「……どうして今なのかしら」
「あの子の考える事は、よくわからないわ」

〝不戦の守護者〟と〝銀翼の天使〟が疑問を口にする
ダークネスを抜けた理由もわからないままだしな

「とにかく早急に対応しましょう」
「そうは言っても、何をどうするのさ?」

〝詐術師〟はともかく〝刹那の考察者〟は事の重大さを理解している

「まさか……倒しに行くの?」
「えーっ!? 勘弁してくださいよー!」
「お前らに行けなんて誰も言わないっつーの」

粛清人Rも〝運び屋〟もビビり過ぎだろう
氷の魔女の言葉に同意はするが

「ここはミラクル・ルーキーの出番ですね!」
「「「「「「「それはない」」」」」」」

実力は認めるが、お前1人でg923と渡り合えるとは思えない

「落ち着くんや。あたしらの目的は?」
「「「「「「「「「能力者の理想の世界を創る」」」」」」」」」

だが、その為の準備が足りない
だから、今の段階で能力者の存在を広めてはならないんだ

「i914はともかく、g923は周りを気にせず戦うやろ。相当な範囲に被害が出るはずや。あたしらの目的にも影響が出てしまう。さて、どうしたものか」

あの2人を止めるには、今のダークネスでは力不足だからな
あのi914でさえ、g923を止められるとも思えないが

「あんたの意見は? 傀儡師」

あたし自身に考えがあるとわかった上での質問だな

「僭越ながら。2人の戦いは止めなければならない。しかし、今のダークネスには止める戦力は無い。銀翼の天使ですら手こずるでしょう」
「だから、このミラクル・ルーキ
「黙って聴きな」
「今のあんたの目付きなら、g923も少しは怯むかもしれへんで、氷の魔女」

冗談はさておき

「内に無ければ、外で用意する」
「成る程ね。あの子達か」

刹那の考察者は理解が早い

「〝リゾナンター〟をぶつけるんか」
「そうです」
「バカじゃないの。あんなガキばっかになった集団が相手になる訳が無いじゃん。呼び名と一緒に脳みそも変えたんじゃないの」

あなたの脳みそよりはマシだと思いますよ
詐術師さん

「リゾナンターがg923を倒す必要は無い。最終的に止められれば良い」
「確かにそうや。具体的な作戦は?」
「まずはg923とi914を住宅密集地から離します」
「え? そんな事が出来るんですか?」

運び屋、考えてから発言しろよ

「お前の能力を使うんだよ」
「あ、なるほどー……って、えーっ!? g923と鉢合わせするじゃないですかー!?」
「我慢しろ」
「そんなー……」

今にも泣きそうな顔でこちらを見る運び屋

「気にせんでええから、続けてくれ」
「はい。住宅密集地から離すにしても、移動先が戦える場所でなくてはならない。そこでB.D.K.の使用許可を頂きたい」
「〝Bud-Dock-Can〟ですって!」
「本気なの?」

騒ぎ出す幹部達

Bud-Dock-Canは、能力が開花していない者を修練する施設だ
能力が暴走しても、外部に影響が無い様に出来ている

「冗談にも程があるわよ、よっすぃー。一度ダークネスが解体した場所でなんて……」
「あの戦いでも耐えた施設だ。それに、無能力者に見られる心配もない。これ以上に最適な場所は他にありません」

そもそも選択肢が無いんだ
結果は

「ええやろ」
「「「「裕ちゃん!!!!」」」」

決まっているさ

「縁起が悪い気もするけど仕方ないやろ。決断が遅くなる程、戦いを見られる危険があるしな。英断やと思うで」
「ありがとうございます」
「作戦の指揮は傀儡師、あんたに任せる。幹部なり構成員なり好きにしてええよ。必要ならあたしも出るし」
「わかりました」

主に戦うのはリゾナンターだ
また工藤と接触するか
新しい情報があると良いが

その前に

「運び屋はB.D.K.に移動し、g923とi914を転送せよ」
「……はーい」
「刹那の考察者と詐術師も、B.D.K.に移動、別命あるまで待機してください」
「「了解」」

この2人のサポートは必要になるだろう

「他はここで待機。状況次第で順次転送します」
「「「「「了解」」」」」

さて
次は工藤だな

「運び屋、頼む」




投稿日:2013/06/11(火) 22:50:37.45 I


10



「聖達、前も一緒にいた事がある様な気が……」

ハルと譜久村が一緒にいたのは、今日を除いてエッグの頃だけ
譜久村の記憶は消してあるはずじゃないのか?

「き、気のせいじゃないですか。譜久村さんと会ったのは2週間前ですし、ハルは今日まで大抵は田中さん達といましたし……」
「でもこの手を繋いだ感じ、懐かしい感じがするの!」

譜久村が強く手を握ってきた

まさか、記憶が戻りかけてるのか?

「あのね、聖はリゾナントに来るまでの記憶がないの。でも、記憶がなくても、手の感覚? が何か覚えてる感じがするの。遥ちゃん、何か知らない? 聖の事。何でも良いの! 思い出す手がかりになりそうな事!」

冗談じゃない!
思い出されたらハルは調査が出来なくなる
スパイをクビになるだろ!
エッグからダークネスに入れるチャンスなんだ
思い出されてたまるか!

思いっきり腕を振って、譜久村の手を振りほどく

カランコロン!

リゾナントのドアを開けて飛び出す

「遥ちゃん! 待って!」

バレる前に譜久村から離れないと!
一緒にいたら思い出すきっかけをつくりかねない!

──



あんな逃げ方したら、後ろめたい事があるって言ってる様なもんじゃね?
これはマズイ……
ちょっと落ち着こう

近くの花壇に座る

今気付いたけど、ここって氷の魔女様に襲われた公園じゃん

ハルの任務はここから始まったんだったっけ

スパイを始めて2週間
こんな形で終わる、なんて事にならないよな
あーもーどーすればいいんだ!

足元の小石を拾って、目の前の噴水に向かって投げる

チャポン

「噴水に物を投げちゃ駄目だよ」

声がした方を見ると、鞘師里保と鈴木香音がいた

「1人になっちゃ危ないよ」
「まだ狙われてるかもしれないんだから」

とりあえず、まだバレてない?

「すみません」
「フクちゃん、怖かった?」

ん?

「強引に聞き出そうとしたって言ってたから」

ああ、そういう事になってるのね

「そうですね。何か必死だったって言うか、あんな譜久村さん見るの初めてだったし。そもそも、ハルがわからない事は答えようがありませんし」
「それは気にしなくて良いよ。フクちゃんの事、嫌いになった?」
「いいえ、大丈夫です」

でも、本当に思い出されても困るしな……
少しくらい牽制? 突き放す? みたいな事しても良いよな

「でも、今すぐ会うのはちょっと怖いです」

これくらいなら言っといても大丈夫だろ

「そっか」
「でも……聖ちゃんの気持ち、少しで良いからわかって欲しいな」

鈴木が少し下を見ながら呟いた

気持ちって、何だよ

「どう言う事ですか?」
「聖ちゃんね、リゾナントに来るまでの記憶がほとんどないんだ」

まあ、それは知ってる

「だから、自分の過去がわからないの。自分の事がわからないって、きっとすっごくすっごく不安になると思うんだ」

記憶をなくした事がないからわかんねーし

「あたしも記憶がないって経験がないから、聖ちゃんの事をわかってあげられてないかもしれない。だけど、聖ちゃん見てると、時々寂しそうな顔をする時があるんだよね」

うーん、あったかな?

「いつも口には出さないけど、やっぱり記憶を取り戻したいんだよ。だから、必死になる気持ち、わかって欲しいな」

……ふーん
裏切り者に同情する気はないけど

「わかりました、大丈夫ですよ」
「本当? 良かった!」
「良い子だね、遥ちゃんは」

喜んで跳びはねる鈴木香音
笑顔でハルの頭を撫でる鞘師里保

子ども扱いするな!
お前らと1コしか違わないんだぞ

「あー、仲良いところ邪魔して悪いんだけど」

急に後ろから声がした

「「ダークネス!!」」
「え!?」

2人の視線を追って振り返る

傀儡師様!
何でここに!?

「こいつ、貰って行くから」

傀儡師様がハルの腕を掴む

え?
まさか任務終わり?
急に?

──精神干渉──ダイブ

(工藤、あたしの声が聴こえたら心の中で返事しな)

傀儡師様?

(繋いだ腕からあたしの精神を送っている。リゾナンターの調査、進んだか?)

はい
新入り4人のトレーニングを見学しました

(その時の事を思い出してくれ)

わかりました

(……OK、大体わかった)

はい?

「その手を離しなさい!」
「遥ちゃんを返して!」

2人が構える

「子ども2人であたしとやり合う気? いいよ、来な」

(下がってろ、巻き込まれない様にな)

「うわっ!」

傀儡師様がハルを突き飛ばした

「行くよ、香音ちゃん!」
「うん!」

鞘師と鈴木が向かって来る

──水念動力──リキッド

鞘師がかざした右手の前に、拳くらいの大きさの水が飛んで来た

噴水から呼び寄せたのか

「行けー!」

ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン!!!!!

水が5つの球に分かれて傀儡師様に向かって行く

「同時に5つか。やはり成長しているな」

傀儡師様が右脚で回し蹴りを繰り出す

バシャーン!!!!!

5つの水球が一瞬で飛び散った

「今だっ!」

鈴木が傀儡師様を避けてハルに向かって来る

「遥ちゃん、こっちに来て!」
「甘い」

傀儡師様が走り、鈴木に追い付く

「早い!?」

傀儡師様が鈴木の腕を掴み後ろに投げた

「うおっ!?」

鞘師の方に飛ばされる鈴木

ドサッ

「うっ!」
「香音ちゃん!」

鈴木に駆け寄る鞘師

傀儡師様スゲー……
ハルじゃ叶わないと思ってた2人が太刀打ちできないなんて
これが、ダークネス幹部の力なんだ

「大丈夫?」
「平気。あの人、強いね」
「けど、ウチらは諦めない」
「そうだね」

2人が立ち上がる

──部分獣化──マンティス・アーム

鈴木の両腕がカマキリの腕に変わった

まだやる気かよ
勝てる訳ないだろ

「勇ましいお嬢さん達だ」

傀儡師様が左手でハルの腕を掴み、右手で携帯を取り出す

「もしもし、運び屋か。頼む」





投稿日:2013/06/21(金) 23:07:59.33 I


11


急に景色が変わった

「ここは、どこ?」
「わかんない……あたし達、さっきまで公園にいたよね?」

鞘師と鈴木も戸惑ってるみたいだ
周りを見ると、階段状に並んだ座席がたくさんあった

「ようこそ。闘技場〝Bud-Dock-Can〟へ」

ブドーカン?
傀儡師様がハル達をここへ?
確かに、今いる場所は2階席みたいだけど

ドゴン!

下の方から大きな音がした

「「何!?」」

2人が1階部分を覗く
ショートカットとロングヘアの女がいた

「「高橋さん!!」」

高橋って、リゾナンターのリーダーの高橋愛か?
2人の視線からすると、ショートカットの方が高橋愛だな

高橋が急に後ろに跳ぶ

ドン!

高橋が居た地面が凹んだ

ロングヘアも能力者か?

「あいつが、お前達をここに連れて来た理由だ」

傀儡師様がロングヘアの女を指して言った

「あいつはg923、以前は〝黒翼の悪魔〟と呼ばれていた能力者だ」
「「〝黒翼の悪魔〟!?」」

誰だ?

「ダークネスの元幹部の……」
「ダークネス史上最強と言われていた能力者……だよね?」

そんな伝説みたいにスゲー人なのか
ん?
〝元〟幹部?

「なんだ、知っていたのか」
「高橋さん達から話は聞いていたので」
「知ってるなら話が早い。g923を倒せたらこの子を返そう」

そう言って、傀儡師様がハルを引き寄せる

元幹部を倒すって……粛清!?
しかもリゾナンターにさせるのか!?

「そんな約束、信じられません」
「信じなくてもやってもらうさ。どっちにしろリーダーは助けに行くだろう? 早くしないとやられるぞ」

傀儡師様が2人の後ろに見える階段を指す

「……わかりました。約束ですよ」
「ああ」

2人がハルを見る

「遥ちゃん、必ず迎えに来るからね!」
「待ってて!」

えーと、今のハルは人質の設定なんだよな
この場合は……

「わかりました、待ってます」

で、良いんだよな……

振り返って階段を降りて行く2人
2階にはハルと傀儡師様だけになった

ダークネスの元幹部……g923か


傀儡師様
どうしてg923はダークネスを離れたんですか?

(方向性の違い、ってやつさ)

なんか、グループの解散理由みたいっすね

(簡単に言うとな。さあ、この戦いを見逃すな。最強クラスの能力者同士の戦いを──世界の未来を賭けた戦いをな)

は、はい!




投稿日:2013/07/08(月) 20:31:53.48 I


12



里保ちゃんと1階に降りて来た

いた!
高橋さんと、黒翼の悪魔だ!

「「高橋さん!!」」
「鞘師に鈴木!? なんでここに!?」
「……可愛らしいお仲間だね」

黒翼の悪魔があたし達を見る

「あの子らに手を出すな!」

高橋さんがジャンプして飛び蹴りの体勢になる

──光速移動──テレポーテーション

高橋さんが黒翼の悪魔の目の前に移動した

「はあっ!」

黒翼の悪魔に向かって飛び蹴りをする

ガッ!

左腕で受け止める黒翼の悪魔

「まだまだぁ!」

着地した高橋さんがパンチやキックの猛ラッシュで攻める
黒翼の悪魔は全て避けた

「くそっ!」

黒翼の悪魔が右ストレートを放つ

「くっ!」

後ろにジャンプで下がり距離を置く高橋さん

凄い……
あたし達とはレベルが違う……
でも!

「ウチらも行くよ、香音ちゃん!」
「OK、里保ちゃん!」

高橋さんと、遥ちゃんを助けるんだ!

「うおおおお!」

──部分獣化──マンティス・アーム

2人で黒翼の悪魔に向かって行く

「へえ、獣化能力か」
「2人共、駄目やって!」
「「はあっ!!」」

黒翼の悪魔のお腹を狙って腕を伸ばす

バシッ!

「「うわっ!!」」

黒翼の悪魔が右手の甲であたし達を弾いた

「鞘師! 鈴木!」

ドサ!

勢い良く床に叩きつけられた

「いたたた……」

黒翼の悪魔が居る場所から10メートルくらい後ろまで飛ばされてた

強い!
あたし達の事、虫でも払うみたいに……

「香音ちゃん、大丈夫!?」

里保ちゃんがあたしに駆け寄る

「なんとか、ね……」

里保ちゃんは流石だね
上手く受け身をとったみたい

「鞘師に鈴木?」

後ろから声がした

「愛ちゃんに……黒翼の悪魔!?」
「一体どう言う事ったい……」

振り返ると新垣さんと道重さんと田中さんが居た
いつの間に?

「あれ、ここどこ?」
「わからん。衣梨達リゾナントにおったやろ。あ、高橋さん達みんな居るっちゃ!」

3人の後ろに聖ちゃんと衣梨ちゃんが現れた

「ガキさん達、なんでここに?」
「そんなのこっちが訊きたいわよ。さゆみんの家に居たのに突然……」

新垣さんが辺りを見回す

「ちょっと、ここって!?」
「……そうや。絵里達を失った場所や」

絵里って……亀井絵里さん?

「リゾナンター大集合、かな」

黒翼の悪魔があたし達を見る

「ちょうど良かった。会いたかったんだ、あんた達に」

黒翼の悪魔が振り返って高橋さんに向く

「あんたに何かあれば、仲間が集まると思ったから」
「それであーしを襲ったんか!?」
「そう」
「愛ちゃんに手を出すと、ただではおかんったい!」

田中さんが黒翼の悪魔に向かって行く

「れいな! ちょっと待ち!」

高橋さんも黒翼の悪魔を挟む様に向かって行く

「2人掛かり? 何人でも良いよ」

田中さんが低い姿勢から素早いパンチで攻める
黒翼の悪魔には全然当たらない

「腕を上げたね」
「あの頃とは違うと!」

高橋さんが黒翼の悪魔の真後ろまで迫る

「まあそれは、あたしも同じだけどね!」

ドドン!

黒翼の悪魔の回し蹴りが高橋さんと田中さんに当たる

「「ぐっ!!」」

2人がガードしながら後ろに飛ばされた

ザザッ!!

「やっぱ強か!」

上手く着地した2人

「まだまだ行くけんね!」
「れいな、落ち着きって!」

──光速移動──テレポーテーション

田中さんの前に現れて肩を掴む高橋さん

「何で止めると!? あっちが先に襲って来たっちゃろ!?」
「この状況おかしいやろ! ほとんどがここに集められて、何か目的があるはずや!」
「そうだね。あたしも話したいから、じっとしててもらおうかな」

黒翼の悪魔が両腕を広げる

──重力制御──グラビテーション

「「「「「「「「うわっ!!!!!!!!」」」」」」」」

ドン!

急に体が重くなって地面に押さえつけられる様に倒れた

立ち上がれない!
自分の体重が何倍にもなったみたい……
これが黒翼の悪魔の能力、重力を操る力!

「聴いてもらうよ。あたしがあんた達に会いたかった理由」





投稿日:2013/07/26(金) 00:10:25.40 I