(80)815 りほかのvs安倍さん的保全


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「とても勇ましいお嬢さんたちだね。 でも君たちはわたしのことを傷つけられない」

鞘師里保と鈴木香音。
リゾナンターの若き精鋭は喫茶リゾナントのある町の駅を見下ろすマンションの屋上で一人の能力者と激闘を繰り広げていた。
その能力者の名は安倍なつみ。
“銀翼の天使”としてその名を馳せた彼女に付けられしもう一つの名は“言霊使い”。

きっかけは里保と香音の二人が駅前にある業務スーパーへ買い出しにやってきたことから始まった。
JRの駅から降りてくる家族連れの父親が尽く暗い顔をしているのだ。
大型連休の旅先で楽しい思い出を作ったであろうにもかかわらず思いつめたような顔をしている父親たちの姿に里保は違和感を覚えた。

「帰省からのUターンで疲れてるのかもしれないけどちょっと極端すぎると思わない、香音ちゃん」
「確かに明日から仕事が始まるけど…」

一家の大黒柱の暗い表情は他の家族の顔にも暗い影を差している。
幼い子供たちの心配そうな顔は里保の心を締め付ける。
幾つもの家族を悲しみで覆うような大事故や災害が起こったのかどうかを確認するためにスマフォでポータルサイトを開いてみたがそれらしいニュースは無い。

      • まさか精神干渉?あるいは催眠?

能力者による攻撃を疑った里保に耳を澄ませていた香音が話しかける。

「誰かが囁いてるよ。 明日から仕事、会社には行きたくないって」

その囁きが父親たちを見舞った異変と関係するかどうかはわからないが、真相を突き止めるために二人は香音の超聴力を頼りに声の主の居場所を探すことにした。
そして行き当たったマンションの屋上にいたのが安倍なつみだった。
明るい春物のワンピースの上にカーディガンを羽織っている安倍なつみの姿は悪の組織の幹部とはとても思えない。
もしも何かに例えるなら幸せな若奥様といったところか。


「あのお父さんたちから表情を奪っているのはあなたの囁きなんですか!」

目尻を吊り上げて詰問する里保に安倍なつみは穏やかな笑顔を向ける。

「ああ見つかっちゃったんだね。あ、そうかそっちの香音ちゃんっていう子の超聴力で嗅ぎつけられちゃったんだ」
「今すぐやめてください。それだけじゃなくあの人たちを元に戻して」

腰に提げていたホルダーから外したペットボトルのキャップに手をかけながら能力の解除を要求する里保に安倍なつみは困ったような顔をした。

「ゴメンねそれはできないんだ。 ガキさんみたく精神に干渉したわけじゃなくただ囁いただけだから解除の仕方なんてわからなくて」
「ふざけないでください。じゃあどうしてあんなことをしたんですか」

里保以上に険しい顔をした香音の剣幕に安倍なつみは及び腰だ。

「ただ何となく面白そうかなって。でも別に命に別状はないんだからいいじゃんさあ」
「面白そうだって。 自分が面白そうだからだってそれだけの理由で貴重なGW最後の一日にあんなにたくさんの家族から笑顔を奪ったあなたなんか天使なんかじゃない」

悪魔だと糾弾する香音に対して安倍なつみは困り果てた顔を見せた。

「別に自分で自分のことを天使だって言った覚えはないしね。それに君は知っている? キリスト教で悪魔とは堕落した天使のことを意味するって」
「あなたが天使だろうと悪魔だろうと関係ありません。 みんなの笑顔を奪うのをやめないならあなたを倒して止めさせるだけです」

自分に対して戦意を向けてくる二人のことを愉快げに見つめながら安倍なつみは託宣した。

「かわいらしいヒーローさんたち、君たちに言霊の力って奴を見せてあげるよ。 君たちは私を傷つけることはできない。 天使だろうと悪魔だろうと翼で翔ける者に君たちの手は届かない」


 …的な保全w




投稿日:2013/05/06(月) 19:48:35.30 0