『My Private“Jealousy”』


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。



120 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/03/02(土) 18:54:18.45 O
夜がくる

121 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/03/02(土) 19:59:18.28 0
お話も来る

122 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/03/02(土) 20:27:27.76 O
でもそうはならなかった!

123 名前:名無し募集中。。。[sage] 投稿日:2013/03/02(土) 21:00:35.61 0
と思わせて投下!










「なんそれ?」

その日、リゾナントへとやってきた春菜は何やら小包を抱えていた。

「はい、あの、昨日家に届いたんですけど…」

箱に貼られた伝票には、届け先だけが書いてあり、依頼主の欄は全くの空欄だった。

「え、何これ。気味が悪いの」
「そうなんです。だから私も怖くて開けられないんですけど…」
「でも要冷蔵ってあるやん。食べ物じゃなかと?」
「そう思わせるカモフラージュかもしれないですよ」

意を決して小包を開くことにした。
一同を緊張感が包む。静寂の中、カッターの音だけが響く。

ゴクリ。
唾を飲む音が聞こえる。
そして開封した瞬間―――

ほのかに甘い香りが溢れた。

「…いちご?」
「…ですね」


緊張が“?”に変わり、一同が狐につままれたようになっている中、その空気を破った者がいた。

「わぁ~!おいしそ~!」

優樹がいちごに手を伸ばし、その一つをつまんで口に運んだ。

「んん~!おいひ~!…あれ?みんなどーひたの?」

優樹の行動に、あっけにとられる一同。

「いや、まーちゃん!毒とか入ってるかもわかんないんだよ!?」
「え?普通においしかったよ?」

仮に毒などが入っていたとしても症状がすぐ出るとは限らないので、いちごはひとまず冷蔵庫にしまわれた。
そして、春菜は心当たりを明かした。

「ストーカー!?」
「帰り道とかお家とか、誰かに見られてるような気がする時があるんです。気のせいかもしれないですけど…」
「絶対そいつやろ!?住所も分かられとるやん!」


警戒の為、春菜の帰路には誰かしらが付き添うことになった。
しかし、何らかの気配こそ感じるものの、ストーカーが姿を見せることはなかった。

何日か経ち、この日は亜佑美が春菜に付き添っていた。
同じ高校生で普段から仲が良いこともあり、自然と亜佑美が付き添うことが多かった。

「ただいまー」
「おじゃましまーす」

リゾナントへ経過報告に寄ったことで、この日は帰りが幾分遅くなった。

「今日もストーカー出てこなかったね」
「やっぱり気のせいなのかな…」
「そんなことないよ、じゃあ何でいちごが送られてくんのよ」
「ただ単に名前書き忘れただけかもしれないし…」
「う~ん…。ねえ、顔洗うから洗面所借りるね」
「うん、いいよ~」

洗面台の前に立つ亜佑美。蛇口をひねり、水を出す。
ジャバジャバと、顔を水にさらす音が響く。


「ふぅ。あれ、タオル…どこだ?タオル…」

その時、亜佑美の顔にタオルが触れた。

「あぁ、ありがと」

春菜が来てタオルを渡してくれたのだと思った。
顔を一拭きして、回りを見る。ところが、今タオルを渡してくれたはずの春菜の姿はない。

「…はるなん?…おかしいな」

そう呟いて正面の鏡に向かった瞬間だった。

「ヒッ!!」

亜佑美の口から、短い悲鳴が漏れた。
鏡には、その前にいるはずの自分の姿ではなく、見知らぬ女性の姿が写っていた。
全く状況が理解できない亜佑美。その時、鏡の中から両手がニュッと伸びてきた。
女性の両手が亜佑美の首を掴む。さらに女性の顔が、そして全身が飛び出し、完全にこちら側へ抜け出してきた。


「ぐっ…あなたは…」
「あなたは邪魔なの。私とはるなんの2人だけの世界。私ははるなんと双子になるの」

首を掴む手に一層力がこもり、亜佑美の顔は次第に苦悶に満ちてゆく。
その時、異様な物音に気付いた春菜が洗面所にやってきた。

「あなたは!?…彩ちゃん!?」

その声に、女性が春菜を見やった。そして、不気味に微笑んだ。

「うらあっ!!」

その隙をつき、亜佑美は女性の腹部に蹴りを一撃見舞った。
首から手が離れ、ようやく間合いを取った。

「彩ちゃんって言ったよね?誰?」
「美術館でお話しした人なんだけど…」

彩と呼ばれたその女性が立ち上がり、口を開く。

「彩ははるなんが大好きなの。はるなんと私の二人だけの世界に行って、そして双子になるの」

不気味な微笑みを浮かべたまま、さっきと同じようなことを口にした。


「何この人、頭おかしい…」

亜佑美がそう呟くと、彩花は顔を強張らせ、再び亜佑美に向かってきた。

「やめて彩ちゃん!こんなことしないで!」

キッ!と春菜は彩花に力を込めた視線を向けた。五感を奪って動きを止めようとしたのだ。
一瞬、彩花の動きが止まったかのように見えた。
しかし次の瞬間、地に伏せていたのは春菜だった。

??!!

驚く亜佑美。その隙をつき、彩花は再び亜佑美の首を掴んだ。

「見えないっ…!聞こえないっ…!」

床に横たわったままもがく春菜。

「あなた…はるなんに何をしたの!?」
「はるなんが悪いんだからね」

この人に話は通じない。早いとこケリをつけなければ。


「リっ…リオンっ…!」

空間が軋む。
大気が凝縮され、それはエネルギーを持った。

「GO!」

彩花の背後から飛び掛かる獅子。
その時、彩花がカッ!と眼をひん剥いた。
その瞬間、エネルギーが霧散する。獅子は消滅した。

「なっ…!」
「無駄よ」

先程の春菜といい、今といい、彩花は受けた能力やエネルギーをはね返すことができるらしい。

「彩ちゃんっ…」

はね返された能力が幾分軽減されたのか、春菜が2人の方を見やった。

「待っててはるなん。もうすぐ二人になれるよ」
「させるかぁっ!」

取っ組み合いになる亜佑美と彩花。
その時、彩花の首からロケットペンダントが外れ、春菜の方へ転がった。
手に取る春菜。

「これは…」


亜佑美は次第に劣勢になっていた。予想のつかない彩花の動きに翻弄されていた。

「ぐっ…」

みたび、首を掴まれる亜佑美。

「サヨナラ」

彩花の手に力がこもる。それでも彩花を睨む亜佑美。
その時、再び春菜は力を込めた視線を向けた。



「…ゆうかりん!?ゆうかりん!!どこ行ってたの!?ずっと…ずっと…待ってたんだから…ウワアアアアアアアン!!!!」

そう言って、彩花は亜佑美をきつく抱きしめた。
亜佑美は何がなんだかわからない。
お構いなしに嗚咽をもらす彩花。その瞳から、涙が流れ落ちた。
涙が床に落ちたその瞬間―――


彩花の姿が霞がかかったようにぼやけ、そして消滅してしまった。

パリン!ガシャン!!

その時、洗面台の鏡が割れ、崩れ落ちた。

「何だったの…?」
「きっと、寂しい人だったんだよ」

そう言った春菜は、手にしていたロケットペンダントを亜佑美に見せた。

「この人が、ゆうかりん…なのかな?」
「きっとそうだよ」

そしてロケットペンダントも後を追うように消滅してしまった。


――もう通わぬ心だから もう届かぬ想いだから――


「あやちょ!あやちょ!」
「ん…?あ、花音ちゃんおはよ」
「おはようじゃないでしょ!また鏡の中でどっか行ってたんでしょ」
「うーん、そうみたい」
「まったく、しっかりしてよね、リーダー」


               --終--


+ クリックで作者のコメント表示