『闇からの挨拶』


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「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

里保は焦っていた。
仲間のひとり・生田衣梨奈が心の声で襲われていることを知らせてきた。
もちろん、ほかの仲間たちもこれを聞いて駆け付けているはずだ。
だが・・・

(だれの声もさっきから聞えない。まさか・・・)

里保は嫌な予感がしてならなかった。
足が自然と速く動いている。
そしてやっと現場へと到着した。

「みんな・・・」

眼の前には聖をはじめとする7人の新生リゾナンターの仲間たちが横たわっていた。
その中には最初に心の声を発した衣梨奈の姿も・・・

そして奥には背の高い金髪の女性がたっていた。

「まったくなってねぇぜ、新生リゾナンターは・・・あんたは期待にこたえてくれるのか?」


シュッ!
言い終えると同時に女は素早い蹴りを里保の顔面に浴びせた。

バシッ!
蹴りが顔に吸い込まれる直前、里保は両腕で女の蹴りをガードした。
それでも数メートルは体を飛ばされ、腕がしびれている。

「さすがじゃねぇか。こっちのおチビちゃんふたりはこの蹴りで一撃だったけどな。」

女は顎で近くで気絶した優樹と遥を刺した。

(まーちゃんの瞬間移動、くどぅーの千里眼でもこの人の攻撃はよけられない。わたしも受け止めるので精いっぱいだった。)

里保はたった一撃で女の実力がわかった。
自分はいまとんでもない女と戦っていることも・・・

「どうした?おじけづいたか?」
「いいえ、あなたの実力がわかって、少しうれしい気持ちがあるんです。久しぶりに手強い人と手合わせできることが・・・」

里保は水軍流を極めた猛者である。
生半可な相手ではまず歯が立たない。
だが、戦いの中でいつしか里保は自分と互角に戦えるような猛者に会いたいという気持ちも芽生えていた。
そして今、眼の前にその猛者に出会えたのだ。


「水軍流を極めたあんたにそういってもらえて光栄だが、あんたはうちからしたらまだひよこだよ。未熟なひよこさ・・・」
「ひよこでも油断したら痛い目を見ますよ。」

こんどは里保が仕掛けた。
手元のペットボトルのふたを緩めて、中から水を噴出させた。
水は矢のごとく女の頬を掠めた。

「ひゃあー、あぶねぇ、あぶねぇ。心を引っ張ったが、ギリギリだったぜ。」
「引っ張った?あなた、精神系の能力者?」
「ああ、そこにいる熱血漢はうちに心を引っ張られて負けているから起きたらそうとう悔しがるんじゃないのか?」

女は衣梨奈や亜祐美のほうを見ていた。
亜祐美ならともかく精神系の能力について里沙から厳しいトレーニングを積んでいた衣梨奈がいとも簡単に心を操られて、敗北するなんて・・・
この人は能力面では新垣里沙に匹敵、いやそれ以上かもしれない。

「これをよけられたくらいで驚いているのか?」
「ええ、実のところ少し・・・でも、私は負けるつもりはありませんよ。」
「へぇ、そうかい。」

里保は強烈なパンチを女に浴びせた。
しかし女は手をポケットにいれたまま、片足で里保のパンチを止めた。

「まだまだだな。」


女は余裕の表情だ。
足だけで里保を倒せるぞと言っているようにも見えた。
だが、里保はそれに動揺せず、攻撃を繰り返すが、女の蹴りですべて防御されている。

「けっ!うちはまだ本気をだしてねぇぞ。うちを本気にさせるいい一撃をな。」
「わかりました。」

里保は突如、力を込め始めた。
実はまだ試作段階だが、研究している技がある。
今まで里保の力は水を弾丸のようにするなどのものであったが、これはその力を応用したものだ。

「なんだ、面白いものでも見せてくれるのか?」
「ええ、あなたも驚くと思いますよ。」

すると里保の足元に水が集まっていく。
そして里保は拳を前に突き出している。まるで剣術の突きのような構えだ。
その構えを見て、女の表情が変わった。

(どうやらとんでもない一撃が来そうだな。)

ジャー!
すると里保の足元の水がまるでジェット噴射のように暴れだした。
そしてその勢いのまま、拳を女の胸板にたたきつけた。
里保はその一撃に確かな手ごたえを感じた。

「へへへ、確かにいい一撃だったぜ。お礼と言っちゃなんだけど、うちのとっておきを味あわせてやるよ。」


すると女はポケットから手を出した。
その手には光が輝いていた。

バキッ!ボキッ!ズコッ!
女は眼にもとまらぬ速さで里保の体に拳をぶつけていく。
拳のダメージだけではない、手から発せられている光弾が里保の体にさらなるダメージを負わせていく。

(早い!とても防ぎきれない!)

バン!
顔面に強烈な一撃が入った。
里保はその場に崩れ去った。

「ふぅ、さすがに8人抜きは疲れたぜ。だが、おまえらはあいつらに比べればまだまだだな。」

女はそのままその場を立ち去ろうとする。

「待って・・・あなたは何者?」
「えっ?おまえ、あいつらからうちのことは聞いてないのかよ。」
「・・・」
「しょうがねぇなぁ・・・うちは吉澤ひとみ。詳しいことは田中や道重にでも聞いてくれ。そろそろあいつらも来るころだろうから。」
「私は・・・あなたを倒します。今より強くなって必ず・・・」
「そうかい、じゃあ期待して待っているぜ。」

そういって女はその場から消えた。
そして里保の意識もそこで途切れた。


「ほ・・・り・・・ほ・・・りほ・・・りほ・・・りほりほ。」
「はっ、道重さん?」
「よかった、目が覚めたのね。」
「ここは?」
「リゾナントと。あんたらが倒れているのを見て、ここに運んだと。重かったと。」

目の前にはさゆみが今にも泣き出しそうな顔をしており、れいなが奥で肩を叩いていた。
自分の体を見ると傷が治っている、おそらくさゆみが治してくれたのだろう。

「道重さん、みんなは?」
「大丈夫、命に別条はないの。みんな休んでいるの。」
「心の声を聞いて駆け付けようとしたけど、変な奴に邪魔されて遅れたと。」
「何があったの?」
「吉澤ひとみという人と戦いました。」
「「!!」」

その名前を聞いて、さゆみとれいなは驚愕の表情を浮かべた。

「やっぱり知っているんですね。本人も自分のことはおふたりに聞けって・・・」
「そう、吉澤さんが・・・」
「何者なんですか?」
「れいなたちのかつての仲間で敵になった人と・・・」

ふたりの話によると吉澤はかつてリゾナンターとして活動していたが、ある事件を機に突如ダークネスとして現れたのだという。


「でも愛佳が得た情報だと今はフリーの傭兵みたいなことをしているみたいなの。」
「そうですか・・・あの人、まるで私たちを試しているかのようでした。」
「そうかもしれんと、今のリゾナンターがどれだけできるのか。本当に強い人やけん。」
「私、あの人に言ったんです。必ず倒すと。」

さゆみたちの話を聞いて、さらに決意を固めた里保を遠くから吉澤は見つめていた。

「そうだぜ、強くなんないとな。うちを超えるぐらいはしないと闇に飲み込まれちゃうぜ。」

そう言って吉澤はリゾナントから離れて行った。

(終)