「サマーナイトタウン」


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「サマーナイトタウン」(かなしみの人ver)

【次回予告】
そして 加護は無数の光となり消えた・・・

親友を喪ったれいなは どうする事も出来なかった自分を責め
静止しようとするメンバーを振り切り 飛び出していってしまう

夜の街をあてもなくさまよう  それはリゾナンターに入る前の自分と
同じ姿・・・ 大キライな自分の姿・・・
   気付くと 元の加護がいた場所へ戻ってきていた

 そこでれいなは 地面に描かれた地図を見つける

「メッセージ うけとったっちゃあいぼんはれいなの中で生き続けるけん」

れいなは確信していた この地図の示す所に倒すべき相手がいる事を!


次回かなしみ戦隊リゾナンター「サマーナイトタウン」




「なんでいってしまったとよ・・あいぼんなんか
大キライ 大キライ 大キライ      ・・大スキ」




【本編】
「サマーナイトタウン」(四字熟語の人ver)

「あいぼん!あいぼん!」

れいなの悲痛な叫びが木霊した。
ダークネスの時限破壊プログラムによって、加護の身体は崩壊を始める。
れいなたちリゾナンターは見ているだけでどうすることもできない。
ただただ、己の無力さを噛みしめるだけ。
しかし、そんなリゾナンターの苦しげな表情とは対照的に、加護はとても穏やかな顔で微笑んだ。

「わがまま聞・・・てく・・・て、ありがと・・・な。・・・・・・も、ひとつ・・・わが、まま・・・」
「あいぼん!・・・・・・あいぼんっ!!」

加護の身体が光に包まれる。
否。包まれているのではない。
加護の身体そのものが、光と化していたのだ。
光の範囲が拡がるに従い加護の姿は薄れていく。
もはやれいなは叫ぶことすらできなかった。

そして、加護は無数の光となり消えた。
最期の“わがまま”を、伝えきることのないままに。



「うわああああぁー!!」

耐え切れず、れいなはその場を飛び出した。
制止しようとするメンバーを振り切り、遠くへ、遠くへと、走り去っていく。

――――何もできなかった!
――――守れなかった!親友を!
――――もういない。あの優しかったあいぼんは・・・・・・もういないっ!

やりきれなさと不甲斐なさで心をいっぱいにして、れいなは走り続けた。

ようやく足が止まり、気がつけばそこはネオン輝く夜の街。

夜の街は明るくて賑やかで・・・どこか寂しい。
本当は灯りを落として静かに眠りたいくせに、それができなくて無理してカラゲンキを振りまいているようで。
こんな風に思うのは自分だけなんだろうか。
今、夜の街にはこんなに大勢の人がいて、「寂しい」なんて考えているのは自分だけ?

ふと、灯りを落とした店のほうへ歩いていって、店先のショーウインドウを見つめた。
夜の闇を受け、ショーウインドウは鏡の役割を果たす。
そこに映っていたのは、リゾナンターに入る前の自分の姿。
居場所を失くしてあてもなく夜の街をさまよっていた、大キライな自分の姿だった。



気付くとれいなは元の加護のいた場所へ戻ってきていた。
先程までこの場所にいた仲間たちも今はいない。
飛び出していったれいなを捜しに行ったのか。それともれいなに愛想が尽きて去っていったのか。

どっちでもよかった。
なにもかもどうでもよくなった。

全身から力が抜けて、れいなはその場に座り込む。
夏だというのに、座り込んだ地面はとても冷たかった。

「・・・あいぼんはもう、『冷たい』って感じることもできないっちゃね・・・」

あの子は何も感じない。
『冷たい』と感じるのに必要な身体すら、ない。

改めて加護がいなくなった事実を実感し、れいなは涙をこぼしそうになった。
だけど、泣きたくない。
泣いたらそれで終わりのような気がして。
涙を流したら、そのまま思い出も全部流れていってしまいそうな気がして。

「・・・いかんっ!こんなのっ!!」

弱気な自分を、めちゃくちゃに振り払った。
この場にいても、空しくなるだけだ。
れいなは立ち上がろうとした。

しかし。

「・・・え?」

地面に何やら落書きのようなものがあることに気付き、れいなは再び身を屈める。

「なん、これ?・・・地図?」

そこに描かれていたのは地図だった。
地図の真ん中には、一際大きな印が示されている。

一体これはどこの地図?
誰が、なんのために描いたもの?

            • そんなの、考えなくたってわかる。


「あいぼん・・・」

この地図は、れいなの大切な親友が残したメッセージ。
崩壊の光に包まれて、それでも決して笑顔を失うことのなかった愛すべき友の、最期の願い。

――――かなしみの連鎖を、断ち切る。

もう誰も戦いに利用されることがないように。
もう誰にも大切な人を失わせないように。

れいながこれからするべきことは、己の無力さを嘆くことじゃない。
もちろん、二人の思い出を涙で流してしまうことでもない。
この地図の示す所にいる相手を倒すこと。
それこそが、れいなが加護にしてあげられる最大限の弔いの方法なのだ。

      • そして、もうひとつ。
れいなが加護のためにできること。

「メッセージ、うけとったっちゃ。・・・・・・あいぼんはれいなの中で生き続けるけん」

それは、『決して親友を忘れない』こと。


加護が光となって消える前、れいなと加護は結婚式の真似事をした。
結婚とは、愛し合う二人が一生を共にすることを誓い合う儀式。
加護はその“結婚”の相手に、れいなを選んでくれた。
死ぬまで一緒に生きていく相手として。

加護はもういないけど、れいなは確かに生きている。
れいなの中にはまだ、加護との誓いが残っている。
だかられいなが生きている限り、加護の想いが消えることはない。
いつまでもいつまでも、二人は一緒にいられる。
ずっとずっと。
二人で、一緒に―――



朝になってリゾナントに戻ったれいなを出迎えたのは、仲間たち8人の笑顔だった。

「あ~!れいな朝帰りだぁー。いーけないんだーいけないんだー。ガーキさんに言ってやろ~」
「いや、カメ。言われなくても知ってるから。見りゃわかるから」

れいなを茶化してはしゃぐ絵里と、そんな絵里を見て呆れたように笑う里沙。
そして、それを温かく見守るみんな。
何ひとつ普段と変わりない、日常の光景だ。

「あの、なんでみんな・・・普通なん?れいなのこと、怒ったりしとらんと・・・?」
「どして私たち怒るですカ?」
「あー・・・その・・・・・・みんなを置いて勝手に出てったり、とか・・・」

ヤンキーみたいと評される見た目に反して、存外ビビりな田中れいな。
実はこの店の扉を開けるのだって、結構勇気がいったのだ。
無視されたらどうしようとか、出て行けって言われたりしないかなとか、不吉な想像をめぐらせてみたり。

しかし、想像とは違って現実のみんなはいつもどおりに接してくれる。
なんというか・・・拍子抜けだった。

「だいじょぶっすよ田中さん。あんなんで怒ってたら仲間なんてやってらんないですって」
「田中のことだカラ、どうせすぐ帰ってくると思てたヨ」

すぐ感情的になる小春やジュンジュンでさえ、これなのだ。
れいなはただただ驚くことしかできない。

「あんたら、えっらい上から目線やなぁ・・・あ、愛佳は信じてましたよ。田中さんは逃げたりせん人やもん」
「正直さゆみは半信半疑だったけどねー。あの地図を見るまでは」
「えっ!みんなもあれ見つけよったと!?」
「うん。だからあーしらはひとつになれた。『れいなは絶対地図を見つける、そして絶対ここに帰ってくる』って」


愛たちも、あの地図を見つけていた。
あの地図があったから、みんなはれいなを信じてここで待っていてくれた。
なんだろう。
なんだか、それって。

「加護さんが導いてくれたのかもね。みんながバラバラにならんように、ってさ」

優しく響く、愛の言葉。
れいなはぐるりと店内を見渡した。
里沙が絵里がリンリンが小春がジュンジュンが愛佳がさゆみが愛が、みんながいた。
いないのはあの子だけ。
置き土産を残して、れいなと仲間を繋いでくれたあの子だけ。

「・・・なんで、いってしまったとよ」

呟きが漏れる。
こんなの、ただの愚痴だ。
口にしても仕方のないことだとわかっていても、吐き出さずにはいられない心の奥の声。

「あいぼんなんか、大キライ」

こんな置き土産を残す余裕があったなら、もう少しダークネスの力に抵抗してみればよかったんだ。
そうしたら、一緒にいられたかもしれないのに。
誓いや想いだけじゃなくて、身体ごと。

「・・・大キライ」

ケンカをしたり仲直りをしたり、もっと笑い合っていたかった。
肩を組んだり手を繋いだり・・・もっと温もりを感じていたかった。
だけど、それをすることはできない。
あいぼんはもう、れいなの隣にはいないから。

「大・・・キライ」

気がつくとれいなの背中には愛の両手が回されていた。
どこかあの子のものに似ているその温もりが切なくて、でも嬉しくて。
れいなは、自分の中で張りつめていた何かがすっと頬を伝って流れていくのを感じた。


「・・・・・・大スキ」



【解説】
かなしみ戦隊シリーズの特色の一つとして、登場人物の多彩さについて触れないわけにはいかない。
いわゆる高橋体制の娘。メンバーは勿論のこと、数多くのOGメンバーがキャストに名を連ね、かなしみ戦隊SSでは真野恵里菜、現時点(2010年6月5日)における最新シリーズ「かなしみ戦隊リゾナンターミラクルズ」では、平家みちよやメロン記念日に加え市井紗耶香という他の作家が取り上げてこなかった面々を起用している。
ここにもう一人数多くの顔ぶれを描いてきた作家がいる。
四字熟語の人 である。 自らの作家名として名を残すことになった「四字熟語」シリーズでは、リゾナンターの9人とダークネスのほぼ全員を網羅し、(25)552では、真野恵里菜やBerryz工房、℃-uteを登場させ、(32)651では、名前こそ特定していないものの、当時芸能界に復帰した市井紗耶香と想定される人物の心情を描いている。
二人の作家に共通するのは、ハロプロ全体を包み込む大きな愛であろうか。
勿論他の作家に愛が足りないという意味ではない。 だが数多くのメンバーを単に登場人物として名を使うだけでなく、各々の特性やエピソードに精通し、それを作品に織り込む熱意を惜しまないという点において、かなしみの人と四字熟語の人の二人はリゾスレに名を残した作家陣の中でも突出している。
そんな四字熟語の人がかなしみの人へのトリビュート作品としてセレクトしたのは、「サマーナイトタウン」だった。
リゾナントに身を寄せる以前のれいなの親友だった加護亜衣。
ダークネスとの戦いに巻き込まないために、敢えて連絡を絶っていた加護が敵としてれいなの前に現れた。(「みかん」)
れいなとの思い出が甦り、攻撃を止めて姿を消した加護が、友人としてれいなの前に現れた。しかしその肉体には消滅プログラムが組み込まれていて、僅かな時間しか残されていなかった。(「AS FOR ONE DAY」)。 結婚式の真似事をしてみたいという加護の希望を叶えたれいなだったが、遂にその時は来た。 (「ハッピーサマーウエディング」)
光となって消えた加護。 友を救えなかった無力感に苛まれたれいなは、仲間を振り切って一人夜の街を彷徨う。 やがて辿り着いた場所、そこは…。

四字熟語の人によって「サマーナイトタウン」本編が上げられた時期、モーニング娘。の田中れいなのことを憂う声がスレに上がっていた。
別に事件や不祥事があったわけではない。
開設してから日に数回から多い時には10回近い更新が当たり前となっていた公式ブログの更新が途絶えていたからだ。
更新が途絶える前の記事の内容が、舞台の練習の為に好きな番組の収録が減ってしまうことを嘆くというプロ意識を問われかねない内容だったことから、れいなの去就をネタにしたスレが面白半分で娘(狼)に立てられた。 心あるファンが穏やかならざる心境に陥った時期に、一人苦しんでいたれいなが仲間の許に戻る「サマーナイトタウン」本編を書上げた四字熟語の人。

その視線はハロプロ離脱の経緯ゆえにか、OGメンバーでありながらリゾスレの作品への登場機会の少ない加護亜衣に優しい視線を注ぎ続けたかなしみの人と相通ずるものがある。



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