『カラフルリゾナンター ~VSデカイツリートリオ~』


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二時の方向にダークネスの反応があると聞き、リゾナンターは現場へ急行した。
現場は、地下鉄「萌えーお江戸線」の某駅前だ。
迷ったり乗り継ぎでミスしたりして「地下鉄は複雑過ぎるわっ!」とツッコミを入れながらも、なんとか某駅に辿りついたメンバーたち。
だが、時すでに遅し。
そこはもう、ダークネスの悪意によって支配されていたのだった。

「キャハハハハ!いらっしゃーい、東京デカイツリー×3開業でーす!今ならオープン記念で入場料がお安くなっておりまーす!」

駅前で道行く人に宣伝のうちわを配っている、ちっちゃくてうるさい女がいた。
良くも悪くも耳につく声だ。
チキンのチェーン店のCMなどを任されてもおかしくないかもしれない。

さて、駅を出ると真っ先に目に入るのがこの女なのだが、よく見るとその背後がまたすごかった。
数百メートル先にそびえ立つ三つの塔。
2012年に開業した東京下町の新名所に似ていなくもない。
っていうか、そのものじゃね?

「ダークネスめ!何を企んどると!」

れいなが勢いよく前に出る。
まだまだ若いもんにセンターは譲らん!といった気概が見えた。

「あー?・・・なんだおめーらかよ。ほら帰った帰った。商売の邪魔だ」
「商売?」
「みなさーん!下町タワーは混んでて入場券買うのも一苦労ですよー!こっちのツリーに昇ったほうがおトクですよー!」

ちっちゃい女はれいなを相手にせず呼び込みを再開した。
女の宣伝の甲斐あってか、夏休みで暇そうにしている通行人がぞろぞろと下町タワーもどき×3に向かって歩いていく。

「どうも、下町電波塔の営業妨害を狙ってるみたいですね」
「まーちゃんもデカイツリー昇りたい!」
「バカ。ダークネスの作戦に乗っかってどうすんだよ」
「とにかくまずはポーズ決めましょう!戦隊ヒーローモノの基本ですよっ!」
「それもそうだね。じゃあ」

「やらせるかぁ!」
「わー!!」

ダークネスのちっちゃい女が全身でツッコミをかます。
さすが黄金期のツッコミ担当、と言わんばかりのキレと素早さだった。

「こっから10行も使わせるわけないだろ!全員分の決め台詞考えるほうの身にもなってみろ!」
「えー・・・・・・」

ヒーローモノの定番である登場シーンは都合によりカット。
ガッカリした顔をしているメンバーもいるが、これはそういうものだと思ってあるがままに受け入れてもらうしかないのである。

「れいなが先走って声をかけなければ、邪魔されずにできたかもしれないのにね」
「ちょ!れいなのせい!?」
「これでは、このお話のメンバー構成が読んでる方に伝わりませんわ。シクシク」
「今のリゾスレはそこを明示しないと、いつの時代の話なのか混乱するヤシ。グスグス」
「うっさい!あいつが10行って言いよるけん、2012年夏現在の10人ってわかるやろ!ってかそこ!嘘泣き!」

話を戻そう。

ダークネスという組織は、営業・広報力に定評のありそうなちっちゃい女を使って墨田区の営業妨害をしている。
その目的はいったいなんなのだろう。

「こんなものまで売ってましたからね。向こうは本気みたいですよ」

香音と春菜の二人がすっと前に出る。
香音の腕に抱えられているのは、焼きそば、たこ焼き、りんご飴、チョコバナナなど。
さらに春菜の左手首にかけられたビニール袋の中には、ツリーのマークが入ったクッキーや饅頭の箱などが入っていた。

「みんながコントやってる間に偵察してきました。この食べ物類は、その辺の屋台で売っていたものです」
「そこの“東京ホラマチ”っていうお店の中では、キーボルダーなんかも売ってましたよ。
 全10色だからみんなの分も買ったんですけど、やっぱりチョコレート色はないですね・・・」
「こここ、こんなに買い物するなんて・・・。二人のお小遣い、月いくらなんですか・・・」
「大丈夫だよ亜佑美ちゃん。全部経費で落とすから」
「私も!私もちょっと偵察に!!!」
「いや、もう充分だし」

今にも駆け出しそうな亜佑美を生温かい目で見守りながら、さゆみはダークネスの狙いを分析する。
これだけ多様な店を出店料の高そうな「萌えーお江戸線」の駅前に集めたのだ、連中も遊びでやっているわけではない。
そうだ、女は先程「商売」と言っていた。
ということはつまり。

「やいダークネス!おまえたちの狙いはなんだ!」
「ちょっと!そんなはっきり!」

さゆみが真面目に考えてる横から、衣梨奈が単刀直入に疑問をぶつける。
リーダーらしくシリアスな顔でキメてるところだったのに。
空気読めよこのKY、とさゆみは口の中で毒づいた。

「ふん。我がダークネスは“萌えーお江戸線”と業務提携してるんでな。あっちの沿線にばっか人が集まるのは面白くないんだよ」

しかも、あっさりと狙いを教えてくれるっていう。

「いくつか催眠をかけてあるからな。客は東京デカイツリーに昇ったつもりで、実は333m塔に昇ってるって寸法だ。
 帰りに“ホラマチ”でお土産のデカイちゃんグッズでも買ってくれたら、言うことないね!」
「この悪党!」
「邪魔するなら容赦しねーぞ。あそこに見えるデカイツリー×3は完全な幻ってわけじゃないんだ。行け!一号、二号!」

ちっちゃい女の合図で、三つの塔のうち左右の二つが動き出した。
ズシン、ズシンとこちらに迫ってくる。

「頑張れ、ダーリン!やっちゃえ、モトコサン!」

“ダーリン”と呼ばれた一際大きな木偶の坊と、“モトコサン”と呼ばれたジャイアントがリゾナンターに襲いかかった。
二つのデカイツリーに手が生えて、右パンチ左パンチ右アタック左アタック。
あまりに長大なそのリーチに、リゾナンターはただ逃げ回ることしかできない。

「うわわわわ!怪獣映画かよ、くっそー!」
「キャー!まだりほりほのスク水写真集完成してないのに潰されるのはイヤー!」
「ダメじゃダメじゃー!フクちゃんのありとあらゆる肌に頬ずりするまでは死ねーん!」
「私の最期は道重さんの腕の中って決めてるのに・・・!それが無理なら、ハアハア、小学5,6年生くらいの、女の子たちに囲まれて・・・ハァハァ」
「いろんな意味でもうダメだ!!」

絶望感に包まれるリゾナンター。
しかし、まだ諦めていないメンバーが一人。

「諦めるにはまだ早いっちゃん!この10人だからこそできる必殺技があるやろ!」

木陰に隠れて顔だけ出したれいなが凛々しく叫ぶ。
そうか、その手があったか。
他のリゾナンターもれいなにならい、木陰に隠れる。
そしてデカイツリーの手が届かない奥のほうで、10人は最新のフォーメーションを組んだ。



「リゾナントバスター改変版!“リゾナント・カラフルキャラクター”!!!」



※モーニング娘。の最新アルバム『(13)カラフルキャラクター』は、9月12日(水)発売です。

「「グワァァー!!」」

新必殺技“リゾナント・カラフルキャラクター”が見事に決まった。
崩れ落ちるデカイツリー一号と二号。
するとあら不思議、それまでデカイツリーだったものが見る見るうちに人型に変化していく。
どうやら催眠幻覚で必要以上に巨大に見せていただけで、ベースは正真正銘の人間であったようだ。

「ああ!ダーリン!」

ちっちゃい女が、恋する姐さん女房顔で元デカイツリー一号に駆け寄る。
倒れた男と介抱する女。そのカットだけ切り取ってみれば、まるでドラマのワンシーンのようだった。
ちなみにその隣では元二号も倒れていたが、新婚さんがそっちを振り向くことはないので以下省略。

「ツリーの横に333mタワーが見える!まだ戦いは終わってない!まさかあのツリーも催眠をかけられた人間なの!?」
「おそらくそうです!聖の持つ聖なるパワーで、くまくました可愛い女性が視えます!」
「聖にそんな能力設定あったっけ」
「そこは空気読んでください、生田さん!」

デカイツリー×3ということで、敵はまだあと一塔残っている。
しかし、最強の必殺技を放ってしまったリゾナンターに力はもう残されていなかった。
このままでは、夏休みの最後を安近短で済ませようとする人たちのお金がダークネスの手に堕ちてしまう・・・!

「ねー、くどぅー。夏休みの宿題終わった?」
「え。いやまだ数学と美術が残ってるけど」
「まーちゃんはねー、英語が終わったんだよー」
「英語“が”?まさか終わってるの英語だけ!?」

「・・・・・・宿題?」

最年少コンビの和やかな会話。
それに反応を示す声が、上空からひらり。

「くまくまー!!!」

奇声を発し、最後のデカイツリーが人間の姿に戻っていく。
だがリゾナンターは何もしていない。
ちっちゃい女も、傷つき敗れたダーリンと愛を語らうことに必死で、何かした様子は見られない。
いったいデカイちゃんの身に何があったというのか。

「ふう。弟の夏休みの宿題見てあげる約束をすっかり忘れてたよ。お姉ちゃんが約束やぶっちゃダメだよね」

綺麗な女子大生風のお姉さんの姿になったデカイちゃんは、そのまま何事もなかったかのように去っていった。
きっと彼女はこれから家に帰って、約束どおり弟さんの宿題を見てあげるつもりなのだろう。
真面目だ。実に真面目な性格だ。
故に、「宿題」の一言で我を取り戻したのかもしれない。
夏休みの終わりに聞く「宿題」という言葉は、学生であればあるほど結構ビクッとする。
彼女も例外ではなかったのだろう。

「えっとー・・・一件落着ってことでいいのかな、れいな」
「れいなに振らんでよ。れいなはリーダーの判断に従うけん」
「ずるーい。こういう時だけさゆみのことリーダー扱いして」

「じゃあ早く本部に帰りましょう!まーちゃんに宿題やらせないと!」
「でも~、今日の出動報告書、まーちゃんが担当だからぁ~」
「そんなもんだーいしが代わりにやってくれるって!ねっ!」
「・・・うん。それは別にいいけど・・・・・・」
「あゆみん、屋台への未練が視線に表れてるよ」

「別に宿題なんかやらなくても高校生になれるのに」
「聖って案外アホっちゃんね~。数学のテスト6点やったっけ?」
「その後は42点に上がったもん!っていうかそうじゃなくて、学校なんておじいちゃんに頼めば大丈夫ってことを聖は言いたかったの!」
「うわぁ・・・」
「ああ香音ちゃん!そんな残念なものを見るような目で見ないで!」
「アハハハ!」
「・・・他人事だと思っとるみたいじゃけど、香音ちゃんはえりぽんにも結構そういう顔しとるよ?」

何はともあれ、悪の手は退けた。
酷暑だろうが酷ネタだろうがオチてなかろうが、リゾナンターは今日も往く。
今日も往くのだ!


おしまい