(70) 820 名無し募集中(断片的なイメージ)


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れいなと香音が同じタイミングで耳を塞いだその時、愛佳が両手で目を覆った。
れいなの手から包丁が滑り、指の薄い皮膚を撫でながら床に落ちる。
白い指先から真っ赤な血が溢れ出すその刹那、絵里の指先からも鮮血が生まれ
それが流れ落ちるより早くさゆみが能力を開放した。

キィィィィ、と耳元で電車が猛スピードでカーブに差し掛かる。
鉄が強い力で擦れ、火花が散る。
轟音を響かせながら、車両が何台も途切れることなく通過していく。

香音が耳を手で塞いだまま顔を歪め、目をきつく瞑り天井を仰いだ。
あまりの音にれいなは蹲り、歯を食いしばった。声にならない声が漏れる。

愛佳の脳裏に映し出されるいくつもの映像。
重なり、混じり、走馬灯のように流れていく。
そのスピードに追いつけず愛佳は突っ伏し幾度となくカウンターに頭を打ち付けた。



「生田!!!!」

そう叫んだのは愛だったか、里沙だったか。
リゾナントが紫色の光で覆われた時、3人は同時に意識を失い見えない何かから開放される。

「ダレ!?」

拳を握り立ち上がるジュンジュンとリンリン。それにつられ里保も腰をあげ鞘を握る。
意識を失った所為でバランスを無くし椅子ごと倒れそうになった香音の身体を聖が支えた。 

「小春、光井の映像映せる?あたし光井の中に入っていくから。」

里沙の言葉に小春が頷き、カウンターに突っ伏したままの愛佳に触れる。
愛は全神経を愛佳の、里沙の意識に集中させた。

紫色の中にピンクが生まれ、そしてその中にオレンジが混じる。
絵里は能力を開放しさゆみと衣梨奈の力を風に乗せた。

「きたっ」

小春が叫ぶ。
愛佳の見た映像が小春の能力によって目に見えるものとして映し出される。



 重なり、混じり、ものすごいスピードで流れる映像。


 大声で泣き叫ぶ少女。振り上げられる拳、噛み付く。血飛沫
 暗い大きな部屋。蔑む視線。砂埃、細い足、抉れた膝。
 強いフラッシュ。靡く長い髪。笑顔。ニコリ。吊り上げられた目。罵倒。
 充血した瞳。鋭い眼光。歪む世界。空が…落ちる。闇、闇、闇。


 誰か、ねぇねぇ。誰か―――…



 新しい未来が動き出す。それは、光か。それとも闇か。