『リゾスレ4周年突破記念 傷と能力複写を持つ少女』


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ブチュ!
「うーん!かわいいの!」
「ああ・・・完全にピンクの悪魔だ、こりゃあ。」

絵里は自分の家で酔っ払っているさゆみを見て、あきれ返っている。
酒に酔いピンクの悪魔と化したさゆみを自分の部屋のあるスペースに幽閉している。

そのスペースにはさゆみの隠し撮りも含まれる巷の美少女たち(リゾナンターも)の写真が張り巡らされている。
ピンクの悪魔はその写真にむかって口づけをし続けている。

「こんなんで明日からの定期検診にたちあえるのかな?」

翌日、結局のところさゆみの酔いはさめず、絵里はひとりでさゆみの両親の経営する病院へと定期健診に向かった。
すると病院の院長を務めているさゆみの父が誰か男の人と話しているのが見えた。

「ご援助のほうありがとうございました。わざわざ、ご当主のお孫さんまでお越しになられて・・・」
「お嬢様は道重さんの病院の仕事をぜひ見てみたいとおっしゃられていたので・・・」

と男はさゆみの父にひとりの少女を紹介していた。
だが、どうも少女の目はうつろに見えた。

「あら、絵里ちゃん。来たわね、さゆみはどうしたの?」
「家で酔っ払ってますよ。」
「もうあの子ったら・・・」

絵里に話しかけてきたのはこの病院の婦長をしているさゆみの母であった。
自分の娘の情けない行動にあきれる始末だ。

「おばさん、それより誰なんですか?あの人たち?」
「ああ、大財閥の譜久村家の人よ。今、お父さんと話しているのは秘書の方だけど、その隣にいるのが財閥の会長の孫娘の聖さんよ。」
「へぇー。」
「それじゃあ、健診の準備しましょうか。」

そして絵里は奥の部屋の方へと向かった。
絵里が聖という少女とすれ違った瞬間、聖はポケットからカードを取り出した。
聖はそれをじっと見つめていた。

「よし、あともう少しで終わりだよ。」
「ありがとう、先生。」
「いや、それにしても絵里ちゃんに迷惑かけてすまないね。さゆみの奴が・・・」

さゆみの父もさゆみのピンクの悪魔という悪行を聞いたらしい。

「いえいえ、大丈夫ですよ。昔は手に負えなかったですけど、今はなんとかなってますから。(鞘師ちゃんがさゆを押さえつけてくれるから昔みたいにキスされなくなったしね。)」

健診が終え、世間話をふたりでしていると・・・

「先生!大変です。」
「どうしたんだね?」
「患者さんの怪我が急に治っているんです。」

その頃、さきほどの少女・聖はふらふらの状態になりながら病院の屋上へと向かっていた。
見るからに聖の顔色は悪い、さきほどまではそんな様子はみじんも感じられなかった。

「これで私も少しは・・・人のためになれたのかな?」

「えっ、女の子に触れたら自然と怪我が治っていた?」
「そうなんじゃ、わしも不思議で仕方がなかったんじゃが・・・」
「もしかして、さゆ?」

絵里とさゆみの母はこの異常事態の原因を探るために怪我が治ったという患者から話を聞いていた。

「あの子ったらやたらに力を使うなってあれほど言っておいたのに!」
「いや、婦長さんのお嬢さんよりももっと若かったよ。たぶん、まだ高校生か中学生ぐらいじゃろう。」
「じゃあ、誰か別の人が・・・」

絵里が事態の謎に頭を悩ませていると・・・

「お嬢様!お嬢様!」
「あの人は確か、財閥の・・・何かあったんですか?」
「お嬢様がさきほどからお姿が見えないんです。もしもお嬢様の身になにかあったら・・・」
「じゃあ、絵里が探してみます。」

患者の怪我が治る謎も気になったが、人がいなくなったとなればそちらを優先すべきだろうと考え、絵里は病院の中を探すことにした。
しかし病院のどこにもいなかった。

「本当に病院内にいるのかな・・・あっ、そういえば屋上見てないや。」

絵里は病院の屋上を目指した。
するとふと脳裏にあの日の出来事を思い出していた。

「あの時は・・・愛ちゃんに迷惑かけたし、さゆやれいなにも救われたなぁ。」

それはまだ絵里が自分の傷の共有や病気に悩まされていたころの出来事であり、絵里は苦しんだ挙句、自殺の選択をした。
しかし、それを止めようと愛がやってきたが、絵里の力で傷つけたあげくにダークネスの襲撃があった。れいなによってダークネスは撃退されるが、自分は傷の共有でぼろぼろ。
駆け付けたさゆみによって救われたのだ。

「あれ?こんなところに血が・・・」

絵里は想い出を振り返っているとその場にあるはずのない血痕を見つけた。
そしてあることに気づいた。

(怪我は治癒能力だけで消えるわけじゃない・・・絵里のような傷の共有でも・・・もしそうだとしたら・・・・)

絵里は急いで屋上へ上がった。
自分の力だからこそわかる。あの力を多用しすぎるのは命に関わることだと・・・

「あ、人が倒れてる!もしかして!」

絵里は屋上に着くと、少女が屋上に倒れているのを見つけ、急いで駆け寄った。

「しっかりして!やっぱりさっきの子だ。」

絵里は顔を確認して、倒れている少女が聖であることを確認した。
そして彼女の体も調べた。
するとやはり絵里の予想通り、体中にさきほどまでなかった傷跡ができている。

「やっぱり絵里と同じ傷の共有を使ったんだ。早くなんとかしないと・・・でも、さゆを呼んでる時間ないよ。やっぱりここは・・・」

絵里は自ら傷の共有を使用した。
命にかかわる、この力を仲間たちからはなるべく使用しないようにきつく言われていたが、背に腹は代えられなかった。
今、目の前で消えようとしている命をみすみす失わせるわけにはいかないのだ。

「くっ・・・やっぱりきついかな・・・」

聖から移される傷の痛みが絵里にも容赦なく襲いかかってくる。
しかし聖の傷はあまりにも多く、それでもまだ聖の命のともしびは消えかかっている。

「やっぱり、絵里が犠牲になるしかないのかな・・・さゆに怒られるかな?」

絵里はさらに能力を発動しようと力をこめる。
ガシッ!
誰かが絵里の腕をつかんだ。

「絵里、無茶しないで!あとはさゆみがやるから。」

そこにはさゆみがいた。
すっかり昨日のお酒は抜けている様子だった。
さゆみは自らの治癒能力を発動した。
するとみるみると聖の傷が治っていく。

(よかった・・・さゆが来ればもう安心だよね。)

安心したおかげか絵里はその場で気を失ってしまった。

「う・・・うーん?ここは?」
「病室よ・・・絵里が無理して力を使うから気絶したの。」
「さゆ・・・」

絵里の寝ているベッドの横にはさゆみが座っていた。
これはここ数年おなじみの光景であったが、今のさゆみは確実に怒っている時の顔であった。

「ああするしかなかったんだよ。それよりもあの子は?」
「自分の目で見たら・・・そこで寝ているの。」
「えっ?」

絵里が隣のベッドを見ると聖が眠っている。

「傷も全部さゆみが絵里の分まで治しておいたから、大丈夫なの。」
「そう、それはよかった。でも、なんでこの子、絵里と同じ力を持っているんだろう。」
「それはたぶん、絵里の能力を写し取ったんだと思うの。」
「どういうこと?」
「実はこの子、ジュンジュンにもあったことあるみたい。」

さゆみがこの一件を仲間たちに知らせたときにジュンジュンにはある心当たりがあったのだ。
能力を複写できる少女のことを・・・
その時はそのまま行方をくらませており、その後はわからなかったが、まさか財閥の人間だとは思いもよらなかったらしい。

「でも、ジュンジュンの話だとその子自分が誰だかもよくわかってなかったらしいの。」
「そうなんだ・・・さっき見たとき絵里はこの子の笑顔がぎこちなく感じてたけど、何か悲しみを抱えているのかも。だから、自分の体を犠牲にしてまでみんなを癒そうとしたのかも。」

絵里は自分と同じ力を使い、苦しみを味わった少女の抱えている悲しみをなんとか晴らそうと考えを巡らし始めていた。
しかし、この出会いからリゾナンターの大きな運命の歯車が動き出そうとしていたことはまだ誰も知らない。