『リゾスレ4周年突破記念 共鳴の戦士と邪眼の少女』


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「まったくいくらたたきつぶしても懲りない連中やざ。」

そう愚痴をこぼしながら愛が見つめていたのはとある宗教団体の会合である。
この組織はかつて愛佳の予知能力に目をつけて、喫茶リゾナントを襲撃して、れいなに重傷を負わせたのだ。
その行為が愛を怒らせ、一度愛の手によって施設が襲撃されたのだ。

だが、組織は懲りずに能力者を使っての組織の拡大を図っていた。
そしてそれを担っていたのが・・・

「飯窪春菜・・・あの組織が地下で育成していた能力者の子供たちのひとり。」

データによるとその春菜は愛に会っているはずだ。
愛は以前に組織の施設に潜入したときに組織が育成している能力を持った子供たちの部屋に飛んだことがあった。
その時に外の世界に向かうように促したこともあった。

「でも・・・そう簡単にはいかないやよ。やはりあーしらが導かんといけんか。」

そういうと愛は瞬間移動をした。

宗教団体の会合が行われた本部ビルの最上階に愛の探している少女・飯窪春菜はいた。
見た目はモデルのような体で目が大きいのが印象的だ。
服装は神社の巫女のような格好だ、どうやら宗教団体の神輿に担ぎ出されたようだ。

シュン!
春菜は後ろの気配に気づいた。

「あなたは・・・確か、3年ほど前に施設に現れた。」
「どうやらあーしのことを覚えているようやね。飯窪春菜ちゃん、あなたを助けに来た。」

愛は手を差し伸べた。
すぐさま、瞬間移動でここを去るつもりなのだろう。
しかし春菜はその手を握ろうとしなかった。

「駄目です。私が逃げたら施設にいるみんなが危ない目に会うんです。」
「やはり・・・組織は子供たちを自由にしなかったんか・・・」
「はい・・・あなたの言葉でみんな外の世界への憧れを抱きましたが、組織は・・・いや教祖様は私たちを外にだそうとせずに自分の手駒にしようとしました。」

愛の顔を暗くなった。
自分の一言が余計にあの子供たちを苦しめたのではないかと考えてしまった。

「私は教祖様のためにこの力で組織を大きくしないといけないんです。見つかったらあなたも大変です。私のことはかまわず逃げてください。」
「そうはいかないやよ。」

愛が春菜の手を無理やりにでも握ろうとすると・・・

ウィーン!
愛と春菜の周りをガラスの壁が囲んだ。

「しまった!」

愛は急いで瞬間移動しようとするが、その体はガラスの壁に阻まれた。

「そのガラスの壁は中では能力を使えるが、君のような瞬間移動能力者は外に出られないようにできているのだよ。」
「教祖様・・・・」

開かれているドアの向こうにこの新興宗教団体の教祖が立っていた。
スーツの上に宗教の装束を羽織っている。
その恰好から政治にでも乗り出すつもりなのだろうか・・・

「高橋愛・・・・われらの救世主になるはずだった予知能力者を奪い、またしてもわれらの救世主を奪おうというのか!」
「奪ったのはあんたのほうやろう!宗教に事借りて人々を惑わすペテン師め!」

愛は明らかに教祖に怒りを持っていた。
能力者を自分の欲に利用しているだけに過ぎないこの男のような奴を愛は一番許せないのだ。

「神の力を恐れぬ不届き者め・・・春菜、おまえの邪眼の力でこの女を地獄を見せてやれ。この女の過去はすさまじいらしい、よほど恐ろしい地獄を見せれるだろう。」
「でも・・・教祖様・・・」
「おまえの仲間がどうなってもいいのか!」

教祖の恫喝に春菜はおびえている。
春菜は従わざる得なかった。

「春菜ちゃん・・・構わんよ、あーしにその力を使っても・・・」
「でも、そんなことをしたら!」
「大丈夫やよ、あーしはそう簡単に死なんよ。地獄は何度も見てきたから。」

そのやり取りを見て教祖はほくそ笑んでいた。

(馬鹿め・・・自ら死を選んだか。)

「高橋さん・・・・ごめんなさい!」

春菜は愛に力を使った。
目から愛に力が伝わっていく。
その瞬間、愛の脳裏に様々な光景が写しこまれていく。
i914としてダークネスの生態兵器として生まれ、その実験で多くの命を無作為に奪ってきた。

そして組織から逃げ延びた後、能力者として迫害をうけてきた。
自分を守ってくれた祖母の死、リゾナンターの結成。
そして傷つく仲間たち・・・

愛には多くのつらい過去があった。
それが春菜の力で一気に流れて行った。

「く・・・ああー!」

愛は頭を抱えて、倒れた。
春菜の眼には涙が流れていた、おそらくこれまでもこういった経験があったのだろう。

それと同時にガラスの壁は下ろされた。
教祖の部下たちが愛を回収に向かった。

「御苦労だったな、この女は川底にでも沈めよう。」

そういって男たちは愛を抱えて、部屋をでていくのを春菜は黙ってみるしかなかった。

「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」

そしてそれからしばらくして教祖は春菜を隣の席に座らせて、全信者の前に現れた。
「諸君!われわれの神がこれからの未来を導いてくださる。」

すると教祖が春菜に合図をした。
これは春菜の邪眼によって信者たちを操れというものだった。
春菜はためらっていた。今からしようとしていることは絶対やってはいけないことであると・・・

(春菜・・・何をしておる!子供たちがどうなってもいいのか!)

教祖が目で恫喝していると・・・
カチャ!
「動くんやないやよ!」

教祖の後ろで愛は銃を構えていた。

「貴様!始末されたのでは!」
「あんたの仲間は今頃川遊びをしているころやざ。さぁ、この子を渡してもらうやよ。」
「ふふふ、春菜!もう一度こいつに邪眼を使え!子供たちがどうなってもいいのか!」

教祖はまだ余裕たっぷりであった。
どうやったかは知らないが、愛は確実に邪眼の力で戦闘不能になっている。
次もうまくいくはずだ。

「往生際が悪いやつやよ。春菜ちゃん、この電話にでてくれない。」

そういうと愛は銃を持っていない方の手に持っている携帯電話を差し出した。
春菜は恐る恐る携帯を手にする。

「春菜お姉ちゃん・・・」

そこには何人もの子供たちの声が聞こえた。

「その声は・・・みんな無事なの。」
「うん、かっこいいお姉さんたちに助けてもらったんだ。」

その声はまさしく春菜とともに能力育成をさせられていた子供たちの声だった。

「あーしの仲間たちが見つけ出して、助けたんやよ。もうこんな奴の言うことを聞く必要はないやざ。」
「はい!」「き、貴様!」

怒り心頭の教祖が愛に殴りかかろうとしたが、愛はその手をつかんだ。
その手は力強く握りしめられていた。

「あんたはもう終わりなんやよ。この子もほかの子たちも明るい未来に進ませるんや!」

そういうと愛は春菜の手もつかみ、教祖もろとも瞬間移動した。
すると宗教団体の本部の外にでていた。
しかしそこに教祖の姿はない。

「助けてくれ!」

教祖は誰の手が届きそうにない高いアンテナの上にひっかけられている。
服だけで体を支えているので下手に動けば地面にまっさかさまだ。

「あいつはいずれ来る警察に引き渡すやよ。さぁ、あなたは仲間のもとにいくやよ。この先にいるから。」
「高橋さん・・・」
「あ、そうや。もしも何か困ったことがあったらこの喫茶店に来るやよ。必ず力になってあげるやよ。」
「はい・・・ありがとうございました。」

そういうと春菜は深々とおじぎをして、仲間たちのいる場所へと走り去って行った。
愛はこれから明るい未来に行くであろう少女の後ろ姿を静かに見守るのであった。