『学園潜入-3』


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救いへの共鳴

「御苦労だったわね。」
「はい。飯田様のお指図どおりに・・・」

鳳卵学院・理事長室には大量の針がケースに入れられている。
そしてそこにはダークネスの予知能力者・飯田圭織の姿があった。

「しかしよろしいのですか?本来の目的はサンプルとなる能力者の確保のはず。針から採取したDNAだけでは実験が・・・」
「いいのよ、これはあくまでの予防措置。この学院にはあの忌々しいリゾナンターもいるからね。吉川、捕えているあの3人を殺してきてちょうだい。」
「よろしいのですか?」

友はどうやらダークネスが敵であるリゾナンターを味方に欲しているのを知っているようだ。

「構わないわ、正直言うと、裕ちゃんの思い通りに事が運ぶのは納得できないから。」
「わかりました。」

友は理事長室を出て行った。
飯田が残された部屋にはさきほどれいなたちと激闘を繰り広げた恵理菜がすやすやと寝息を立てている。

「強大な力を持っていてもそれを制御できずにすぐに倒れてしまう。兵隊には向かわないわね、あなたは・・・」



矢島警備隊本部
れいなたちは檻からだされていた。
しかしピアノ線できつく拘束されたままだ。

「あんたが黒幕だったと!」
「そうね、この針で人を惑わせていたのは事実よ。でも、これはお金をもらってやっていた単なるビジネス。」
「ひどいの!あなたに操られて、心を傷つけられた人が大勢いるの。」
「あなたもそのひとりよね。面白かったわよ、親友の首をしめる姿を見ていて・・・」

友はひとり笑っている。
この女は完全に自分のしたことで楽しんでいる。
おそらくここだけではない、ほかの所でも大勢の人を苦しめていたのだろう。

「くそっ!ぶん殴ってやる!」
「そんな姿で何ができるの?今、楽にしてあげるから。」

友は指先から針をだして、3人に迫る。

「やるなら、私からしなさい!」
「がきさん!」
「大丈夫よ、あんたたちには指一本触れさせないから。あんたたちを死なせるようなことになったら愛ちゃんに顔向けできないから。」
「そう、じゃああなたから死なせてあげる。」

友は針を里沙の急所に向けた。
ボン!
すると友が何かに跳ねのけられて、本部内にある机に頭をぶつけて気を失った。

「何があったの?」
「どうです?ももアタックの威力は?」

そこにいたのは嗣永桃子であった。
どうやら洗脳されている様子はなさそうだ。

「あんた・・・どうして?」
「もう潜入捜査している場合じゃないし、かといってももちひとりでは解決できそうにないんで、助けに来たニャン!」

そう言いつつ、桃子はなれた手つきでれいなたちの拘束をほどいた。

「黒幕は理事長室にいるニャン!」
「よし、がきさん行こう!」

理事長室
ドン!
れいなたちがドアを蹴破って中に入ると・・・

「あんたはダークネスの!」
「やはり来たわね・・・やはりあなたたちとかかわるとろくなことにならないわね。私のプライベートオフィスに土足で踏み込むなんて・・・」
「もしかしてここの理事長って・・・」
「そうよ、数年前からここの理事長になっていたのよ。少しずつダークネスの人材になりそうな生徒を人知れず洗脳していたの。それなのにあんたたちに嗅ぎつけられて・・・」
「だったら、観念するんや!」

れいなたちがすごんでも飯田はまったく感情を出していない。
何やら余裕を見せている。

「ふふふ、m411に敗れたあなたたちで何ができるの?」

すると飯田の傍らに恵理菜が立ち上がった。

「さぁ、m411。こいつらを殺しなさい。」

恵理菜が手をかざした瞬間・・・
ビリビリビリ!
恵理菜の目の前を電撃が走った。

「この電撃・・・もしかして。」
「ヒーローはいいところに登場するもんだよ。」
「小春!」

恵理菜はすかさず部屋の中のものを念動力でれいなたちにぶつけようとはかった。
バキバキ!
「発火!」

目の前にパンダが盾となり、そして緑の炎が物体を燃やしつくした。
そしてそこからできた炎を風が恵理菜に吹き荒らした。

「ジュンジュン!リンリン!」
「絵里!」
「くっ!」

恵理菜が高速移動で里沙に迫った。
パシッ!

「あーしの仲間には指一本触れさせんで・・・」
「あんたの動きは愛佳にはお見通しやで。」
「愛佳・・・愛ちゃん!」

リゾナンター全員集結!

「里沙ちゃん、一樹君からの伝言ちゃんと聞いたやよ。」
「召使い・・・ちゃんとリゾナントにつけたと!」
「やったなの!」

恵理菜はさすがに一歩引いて、リゾナンターを見つめている。
過去に戦ったことはあるが、リゾナンター全員を相手したことはなかった。
すると・・・

「ああ・・・きゃあ!」

突然、恵理菜が発狂し始めた。

「どうしたの?」
「たぶん、力を制御できずに暴走しているのよ。」

今まで恵理菜の力は安部なつみによって抑えつけられていた。
それを友によって無理やり解放されて、その反動がきたのだ。

「ぐわー!」
「ぎゃあー!」

学院中からも叫び声が聞こえる。

「洗脳された人たちもおかしくなっとるけん!」
「洗脳の中枢が狂いだしたのよ、ほかに洗脳されている人達にも影響が出始めている。」



学院の人々のほとんどは恵理菜の洗脳音波で操られている。
恵理菜の影響も音波のように伝わったのだ。

「どうするんですか?これだけの人々の洗脳をいちいち解いている時間はないですよ!」
「高橋さん!新垣さん!愛佳の提案聞いてもらえますか?」
「うん、何?」
「愛佳の案にしては突拍子もないですけど、前、田中さんがいうてたのを聞いたんですけど、田中さん、道重さん、亀井さんが約束してたんですよね。」
「それってもしかして・・・」

それは絵里、さゆみ、れいなのしたひとつの誓いであった。
れいなの共鳴増幅と絵里の風の力でさゆみのいやしの力を世界中に送り届けるのだと

「あれをするんです。これだけ大勢の人々の洗脳を解くにはそれが一番かと。」
「できるかどうか一か八かだけど、やるしかないけん。」

全員がうなずいたのちに円陣を組む、こうしたほうがたがいに共鳴しやすいのだ。

「じゃあ、始めるよ。」

里沙の合図をきっかけに共鳴を始めた。
だが、それを影から友が眺めている。

(おのれ、飯田はすでに私を見捨てて逃げている。もしやこうなることが最初からわかっていたのか。私は単なる使い走りか!だが、このままでは捨て置かないぞ、リゾナンター!)

すると友は針をれいなの顔に向けて、飛ばそうと構える。

「そうはさせないぞ!」



すると駆け付けた一樹が友に組みかかった。
激しくふたりは廊下を転げまわる。

「邪魔をするな!」

友の針が一樹に迫る。

「さぁ、癒しを力を学院に・・・」

リゾナンターの円から光が学院中に降り注ぐ。

それは恵理菜を含め、学院中の人々にも届いていく。
光を浴びた恵理菜は発狂をやめて、静かに眠りにつく。
それに続くかのように学院中の生徒や教員も倒れていく。

光を解き放ち、リゾナンターは円陣を解く。

「うまくいったと?」
「彼女は眠ったの。たぶん、成功したんだと思う。」

周りを見渡すれいなの目に飛び込んだのは・・・

「一樹!」

一樹は胸を針で刺されて倒れていた。
れいなはすかさず駆け込んだ。

「そんな・・・嘘やろ!死ぬんやない!あんたが死んだら、誰がれいなの明太子パンを買ってきてくれると!」

いくら揺さぶっても一樹は目を覚まさない。
れいなの目には一筋の涙が・・・

「ごめん・・・れいなたちとかかわったばかりに・・・関係ないあんたを死なせてしまった。」
「待ってよ・・・勝手に殺さないでくれる!」

すると一樹がぱっちりと目を開けた。
その様子にれいなは驚いている。
それもそのはずだ、位置的に確実に心臓のあたりを刺されていそうだった。

「これのおかげで命拾いしたよ。」
「明太子パン・・・」
「買っておかないと、君に怒られるだろうから。」
「よかったと!」

れいなは一樹に抱きついた。
里沙たちはれいなのあまり見ない光景に少し戸惑っている。
そんな中、愛は一樹を刺した針をゆっくり抜いて、確認をした。

「この針を刺した奴はどこにいったんやざ。」
「走って逃げたと思います。」
「そうか、ありがとう。さゆにきちんと治療してもらってな。小春!」
「はい!」

愛はすごい声で小春を呼びつけた。
小春はすぐさま愛の意図に気づき、念写を始めた。
そしてそれを見た愛はすぐさま瞬間移動で消えた。

その頃、友は学院から走って逃げていた。

「このままじゃあ、終われないわ。いつか必ずリゾナンターに復讐してやるわ!」
「あーしらも終われないんやよ。」

すると友の前に愛が瞬間移動してきた。

「おまえは高橋愛!」
「やっと見つけたやよ。前の時の借りを返させてもらうやよ!」

数日後・・・
喫茶リゾナント

「いらっしゃいませ!」

喫茶リゾナントにれいなの姿があった。
すでに制服ではなくいつものウェイトレス姿だ。

「こんにちは。」
「がきさん、いらっしゃい。元の生活はどうとね。」
「そうね、身元を隠すために歌をわざと音痴にする必要もなくなったからね。楽よ。」
「それ必要なことかいな。さゆはあれから学院を離れたがらんくて苦労したと。鞘師と離れるのが嫌なんやろう。」

あの事件以降、学院の校長はけがから復帰して、飯田が逃亡したことにより理事長席は空白となり、風紀委員も友の暗躍から解放されて、風紀委員は矢島警備隊と統合されることになった。
騒動もなくなり、ひとまずれいなたちの潜入捜査は幕を閉じた。



「ねぇ、愛ちゃん。メニューに明太子パンをいれようよ。」
「駄目やよ、どうせれいなしか食べないんやろう。」
「ぶぅー!」

れいながふてくされて、カウンターから離れると里沙が愛に話しかけた。

「結局、多くの生徒のDNAをダークネスに持って行かれたから、めでたしとはいえないけど・・・」
「そうやね、あの友ってやつはあーしがぼこぼこにして警察に引き渡したからよかったけど、結局ダークネスには手も足もだせんかったやよ。」
「真野ちゃんのこともこれからの課題だし、それに・・・」
「それに?」
「実はあの後、警察に問い合わせたんだけど、潜入捜査官に嗣永桃子というのはいないらしいわ。」
「えっ!」

確か桃子は里沙たちに警察からの応援の潜入捜査官としてやってきたと告げていた。
しかしそんな人物は最初からいなかった、これは里沙がKに確認してわかったことであった。

「うかつだったわ、田中っちたちがうまく潜入捜査できるかに気を配りすぎて、あの嗣永桃子の身元をちゃんと確かめなかったわ。」
「仕方なかったやよ、いろいろあったんやから。このことはれいなたちには内緒にするやざ。余計な心配させたくないし。」
「そうね・・・」

一方、街中を桃子が携帯を片手に歩いていた。

「もしもし?私です。はい、今能力者のDNAサンプルを持って、そちらに・・・ええ、飯田圭織をだしぬけるか心配でしたけど、先生のおっしゃる通りでした。確実に飯田圭織の予知能力は衰えており、事前の対処に遅れが。はい、すべては先生の願いどおりに・・・」

「明太子パンほしいなぁ。」

ガランガラン!
リゾナントのドアが開かれると同時に明太子パンがれいなに向かって、飛んできた。
それを見て、れいながうれしそうな表情を浮かべた。

それは明太子パンが飛んできたことだったのか、それともそれを投げた彼の会えたことに喜んでいるのかはれいなしかわからなかった。

学園潜入 終わり