『リゾナントリゾートin利曽南島 4日目昼―うれしめでたし大合流―』


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夏だ!
海だ!
リゾートだ!

てなわけで、リゾナンター13人はひと時の休暇を終えて帰路につこうとしていた。
行きと同じく帰りも交通費をケチるので、一行は駅のホームで1時間に1本の電車を待っている。

しかし、そんなリゾナンターたちに迫る4つの影。
大きな柱の後ろに重なるようにして、少し離れたところからじっとリゾナンターの姿を見つめている。

「よし。行くよ、みんな」
「いやー・・・もうちょっと待ったほうが・・・」
「なんだよ、近づいて声かけようって言ったの亜佑美ちゃんじゃん」
「それはそうだけどさあ」

愛らしい容姿に似つかぬ低い声の少女が、その後ろの長い黒髪をまっすぐ伸ばした勝ち気そうな少女に文句をつける。
そんな二人の様子を、雑誌モデルばりに線の細い少女がおろおろと、実に純朴そうな大和撫子風少女がニコニコと見守っていた。

「ねえ、メシはどう思う?いつ声をかければいいか、最年長としてバシッと決めちゃってくんない?」
「え~、歳は関係ないよ。ていうかね、メシってあだ名はやっぱりどうなのかなって・・・」
「じゃあメッシ」
「そういうバロンドール的なのもかっこいいけど。でももっともう、ガーリーな」
「じゃあはうたん」
「う~ん、悪くはないんだけど・・・ちょっと恋愛体質っぽいかなあ」

「まぁちゃんのジョーカーどっか行った」

「「はい?」」
「まぁちゃんのジョーカーどこだろ~」


話がズレて、お年頃の乙女としてはそれなりに深刻な問題を話し合っていた低音とモデル。
そこに、ニコニコ少女が割って入った。
だがその割り込み方はあまりに脈絡がなく、二人は暫し呆気にとられてしまう。

沈黙を破ったのは、先程まで低音と言い合っていた黒髪ロングだった。

「あ、もしかしてまぁちゃん、トランプのジョーカー失くしちゃったの?」
「うん」

ニコニコ少女がいっそうニコニコと笑ってみせる。
どうやら、持参したトランプの中にジョーカーが見当たらないらしい。

「ホテルに置いてきちゃったのかな。昨日の夜みんなでババ抜きしたんだから、その時まではあったよね」
「ちゃんとケースに入れたよ」
「じゃあケースのフタが外れて荷物の中に紛れちゃったとか。ちょっと探してみようか」
「うん。あゆみん優しい」

二人は荷物を開けてごそごそとジョーカーを探し始めた。
そのうち「私も手伝うよ」と言って最年長らしいモデル少女も捜索隊に加わる。
3泊4日の泊まり荷物の中からカード1枚見つけ出すのは、結構大変なのだ。

「あゆみん優しい。はるなんも優しい。だからくどぅーの負けー!」
「なんでだよっ!」
「くどぅーも一緒に探そうよ。みんなで探したら早いよ、きっと」

4人でいると、いつもこうなる。
低音がなにかを仕切ろうとすると負けず嫌いな黒髪が張り合ってきて、
ニコニコがわけのわからないことを言い出しモデルがみんなをまとめる。
たまにパターンは変わるけど大体こうだ。
“くどぅー”と呼ばれた低音少女は、それが悔しくもあり心地良くもあった。


4人はいつだって一緒。
この夏の大冒険「東京から利曽南島・鈍行列車ほかの旅」も4人で挑戦し、成功を収めようとしている。

夏の海を遊び倒す中で、不思議な存在感を示す集団に気がついたのは誰だったか。

砂浜で遊びまわっていたら、怪しげなチャラ男どもを一蹴するお姉さんたちがいた。
海の家に行ったら、一生懸命に接客するお姉さんたちがいた。(なんか不純な目で見てくる人もいたけど)
ビーチバレー大会をチラ見したら、並み居る強豪に引けをとらない勝負をする姉さんたちがいた。
島を散歩していたら、すごい勢いで獲物を釣り上げまくる姐さんがいた。
帰りの電車を待っていたら、ずっと憧れの眼差しを送っていたあのアネキたちがいた!

声をかけようかかけまいか。
そもそも道中どこまでご一緒できるのか。
あれやこれやと葛藤しつつ、今4人は“まぁちゃん”のジョーカーを探している。


「あったー!」

“くどぅー”が達成感に満ちた大きな声を上げる。
手には、トランプの札を収納する専用のケース。

「ケースの底に張りついてた!ちゃんと見なきゃダメじゃん、まぁちゃん」
「えへへぇ~」

ジョーカーが収納ケースの底にぴたりとはまっているのを見せる。
おそらく“まぁちゃん”は、ケースをひっくり返して出したトランプの札を見てジョーカーがないと慌てたのだろう。
まったく人騒がせな。


だが、おかげで決心がついた。
この中でジョーカーを見つけた人の意見に従おうと、“くどぅー”はひそかに思っていたのだ。
“あゆみん”が見つけて「もう少し待とう」と言えばそうしたし、“まぁちゃん”が見つけて「このままがいい」と言えばそのつもりでいた。
“はるなん”が見つけたら・・・メシと呼ぶのをやめてあげてもよかった。

でも、見つけたのは“くどぅー”だ。
だから今は、自分の思う通りに行動する。

「ジョーカーも見つかったし!みんな、行くよっ!」
「ま、待ってよ、くどぅー!」
「心臓がポクポクしてきた~」
「くどぅー待って!荷物荷物!」
「後で受け取る!はるなん持ってきて!」
「えぇ~!・・・ってあれ?“はるなん”?」

荷物も持たずに飛び出した。
憧れの彼女たちの元へ向かって一直線に走る。

彼女たちが何者かわからない。
どこに帰るのかだって知らない。
それでも、この出会いは4人にとって一生忘れられないものになる。
きっと4人の転機になる。
そんな予感に満ち溢れ、“くどぅー”の足は止まらなかった。


                              --完--