(65) 769 名無し募集中(囚われの愛)


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目次


2012/02/19(日) 更新分

ピンポーン!
「はーい!」

里沙のマンションに荷物が届いた。その中身は・・・

「キター!ついに来たのだ、期間限定ネズミーマウスグッズ!最近、ネズミーに会えてないなぁ。」

かねてよりネズミーランドのファンである里沙だが、ここのところ忙しくなかなか夢の国に行くことができないでいた。

「このレアグッズは我が家の家宝にするのだ・・・うん、これは・・・」

里沙はネズミーランドのレアグッズの入れてある箱にある紙を見つけた。
それを拾い上げ、読み上げる。
その瞬間、里沙の表情が暗くなった。

「この時がきたか・・・」

数日後、里沙は愛を連れ出して、外出をしていた。

「いやー、里沙ちゃんから遊びに誘われるなんて久しぶりやざ。」
「愛ちゃん、ここのところ休みなしでしょ?たまには田中っちたちに任せて羽を伸ばせばいいの。」
「そうやの、今日は里沙ちゃんと一緒に楽しませてもらうやざ。」

すると里沙が急に頭を抱えて苦しみだした。

「里沙ちゃん、どうしたやよ!」
「苦しい!」
「待っとき、すぐに助けを・・・ウッ!」

愛は背後から殴られて気を失った。
するとそれを見届けた里沙が平気な顔をして立ちあがった。
そして里沙の目の前には・・・

「御苦労さま。」
「はい、指令通り愛ちゃんは渡しますよ。」

氷の魔女・ミティであった。
そう里沙はリゾナンターの敵対組織ダークネスのスパイなのだ。
ミティは愛を抱きかかえて、転送ゲートを開いた。

「愛ちゃんをどうする気ですか?」
「あんたの知ったことじゃないでしょ?あとは誘拐されたリーダーを心配するサブリーダーでも演じてなさい。」

そう言うとミティは愛を連れて転送ゲートの奥に連れていった。

「私・・・本当に愛ちゃんを・・・裏切ってしまった。」


喫茶リゾナント
里沙は少し憔悴しきった顔でリゾナントの前に立った。

(今は少しでもここのコーヒーでも飲んで落ち着こう。)

里沙は明らかにスパイとしての心の均衡を崩しつつあった。
スパイとして探りながらも心の中では愛の事を親友として慕っていた。
そんな彼女を敵に引き渡してしまった罪の意識が里沙に覆いかぶさっていた。

「あ、がきさん。愛ちゃんと一緒に出かけてんやなかと?」
「途中で喧嘩しちゃって、愛ちゃん拗ねてどっかいっちゃった。」

里沙はとっさにれいなからの問いかけにいい訳をした。
このいいわけには自分の罪の意識から逃れようとする意味合いもあった。

「がきさんも愛ちゃんもどこかおこちゃまですよね、うへへ。」

絵里のとぼけた笑いは里沙にいつも笑顔を取り戻させてくれるが、今日はとてもそんな気持ちにはなれなかった。

「がきさん、愛ちゃんが戻ったら謝った方がいいの。愛ちゃん、頑固だから愛ちゃんの方から謝ることしないと思うの。」
「そうよね、戻ったら謝るよ。」

無理だ。愛ちゃんは敵の手の内、たぶんもう二度と帰ってこない。
謝れないよ。私はダークネスのスパイだから。

ガランガラン!
小春と愛佳が学校帰りのようで制服のままリゾナントにやってきた。

「こんにちぱ!」
「こんにちは。田中さん、ポストに手紙が入ってましたで。」
「おう、ありがとう愛佳。うん、手紙か。差出人の名前がないと・・・うっ、これは!」

れいなは明らかに動揺している。

「どうしたの?」
「愛ちゃんが・・・」

れいなが手にしている写真には氷の魔女・ミティの側にロープで体を縛られて、口に布をかまされている愛の姿が映し出されていた。






         ◇         ◇         ◇

2012/02/20(月) 更新分



里沙は一応、メンバーを招集させた。
もちろん、愛を誘拐されたことに対する対策を決めるためである。

「愛ちゃんを絶対助けだす。(でも、私が手引きしたんだよね。あの人たちの考えがわからない。愛ちゃんを誘拐して、わざわざこんな写真まで送りつけて何も要求してこないなんて)」
「ダークネスの狙いは何なんだろう?高橋さんを誘拐して、写真を送りつけるなんて!」
「たぶん、私たちに動くなってイウつもりなんだろう。汚いヤツラだ!」

小春とジュンジュンは明らかに憤っている。
元々ふたりはメンバーの中でも汚い手段を使うことを嫌と思っている。
人質をとるといった手段をとったダークネスを許せないのだ。

「高橋さんが敵の手の内にあるんですから、愛佳たち、下手に手を出せません。」
「そうなの、愛ちゃんは安全な状態じゃないの。」
「どこに連れさらわれたんだろう?絵里たち、ダークネスのアジトも知らないんだよ。」
「下手に動けんうえにこっちから助けにもいけんと!どうすればいいと!がきさん!」
「う、うん・・・」

里沙はれいなたちの言葉がほとんど耳に入っていなかった。
とてもこの中に加わって議論する気にはなれなかった。
すると・・・

「ニイガキサンはたぶん、タカハシサンが攫われて、ショックを受けてマース。少し奥で休むといいデ―ス。リンリン、付き添います。」
「そう、ありがとう。」

里沙はリンリンに言われるまま2階の魅惑の水さんルームに行った。

「考えてみれば、最後まで愛ちゃんと一緒にいたのがきさんだった。」
「ショックが大きくて当然っちゃ。」

れいなたちは疑わなかった。
里沙が愛誘拐の手引をしたことを・・・

魅惑の水さんルーム
「少し休んでくださーい。」
「ありがとう、休んだすぐ行くから。」

ガチャ!
だが、リンリンは部屋を出ていくどころか部屋の鍵を閉めた。
里沙はそれを不審に思った。

「リンリン?」
「ニイガキサン、見損ないました。あなたなら、こんなことにならずになんとかごまかすと思ったのに!」
「いったい、何の事?」
「ニイガキサン、私は知っているんですよ・・・あなたがダークネスのスパイであることを・・・」
「!!」

衝撃が里沙に走った。
リンリンの衝撃発言だけではない、さきほどまで穏やかな顔をしていたリンリンが険しいものになっていった。
戦いでもこんな表情は見たことがない。
今にでも里沙を殺しそうな勢いだ。

「あなたは、ダークネスのスパイでありながら、
嘘と真を混ぜ合わせた報告で私たちができる限り不利にならないようにしてくれていました。それなのに・・・あなたという人は・・・」
「リンリン、いつから気がついたの?」

里沙はもう隠し通るのをやめた。
リンリンの前ではもうどんな嘘も通用しないだろう。

「半年ほど前です。確信は持てませんでしたけどタカハシサンから聞いて、ハッキリしました。」
「どういうこと!」
「あなたがスパイであることに最初に気付いていたのはタカハシサンです!」
「!!」

里沙は再度の衝撃に襲われた。
愛が知っていた、自分がスパイであることを・・・
里沙にとっては一番自分がスパイであることを知られたくなかった人にスパイであることを知られていた。

「私は取り返しのつかないうちに手を打とうと提案しました。ですが、タカハシサンはその時、何って言ったと思いますか!」

「あーしは里沙ちゃんを信じるよ。たぶん、スパイをしているのも何か事情があるんやろう。
リンリンもしっとると思うけど、里沙ちゃん、報告するとき嘘ついとるから。あーしは里沙ちゃんをリゾナンターとしてだけでなく、友達としても信頼している。共鳴で出会った仲間が敵とは思えんよ。」

「愛ちゃん・・・」
「正直、その時リンリンはこの人はとんでもないお人好しだと思いました。ですが、リンリンはタカハシサンの言うとおり口をつぐみました。私もあなたを信じていたから!」
「・・・」

里沙はもう何も言えなかった。
ここまで自分を信じてくれた仲間を取り返しのつかない形で裏切ってしまった。

「もしも、タカハシサンの身に何かあったら私はあなたを許さない!」

リンリンは黙って、部屋から出ていった。

「リンリン、何があったん?」
「ミツイサン・・・」
「何か上で大声をだしてたんみたいやけど・・・」

リンリンは心の中で落ち着きを取り戻そうとした。
柄にもなく大声をだしたようである。

「いいえ、リンリンも少し冷静じゃありませんでした。」
「琳、ごまかすな。何かあるな、この誘拐の裏に・・・」

他のメンバーももはや何かを察しているようであった。
リンリンはもはや観念した。

(タカハシサン、すいません。もうリンリンも隠しだてができません。やはりもうここで打ち明けるべきです。)

「みなさん、実は・・・」

ガタン!
上の魅惑の水さんルームから何か大きな音が聞こえた。

「上からなの!」
(ニイガキサン・・・まさか!)

リンリンは急いで魅惑の水さんルームにいくと、窓が開いており里沙の姿がなかった。

ミティのアジト
そこはミティの作りだした暗闇と氷の世界。
その傍らには縛られて、口を猿轡でふさがれた愛の姿があった。

「あら?私の部屋は気にいってくれないの?ずいぶんと震えているけど・・・」
「うーー、うっ・・・」

愛はこの低温下の寒さで苦しんでいる。
拘束を解こうにも縄は愛が動くたびに締め付けていく。
能力を発動しようとしてもそれに反応して、締め付けがひどくなっていく。

「さすがにずっと口をふさいでおくと苦しいか。ほれ・・・」
「はっ!はっ!美貴ちゃん、あーしをどうするつもりや・・・」
「さぁね、モルモットにされるんじゃないの?マルシェが逃げられないように死なない程度に弱らせとけって言うからさぁ。
この部屋に閉じ込めているけど、それにしてもあんたもお人好しよね。あんたは知らないと思うけどさぁ、この誘拐を手伝ったのは・・・」
「里沙ちゃんやろ?あーしが知らんと思ったんか?」

ミティは意外だった。
愛は里沙をとことん信頼していると思っていたからだ。
愛の力の精神感応はスパイに対しては危険であったが、愛は仲間にほとんどその力を意識的に使わない。

「へぇ、あんたを少しは見直したよ。あんたでも人を疑うことがあるんだ。」
「疑ってたわけやない。里沙ちゃんがスパイしているのに気付いたのは偶然やよ。」
「だったらもう少し警戒するべきだったね。ふたりきりでデートしたいと言った時に何かあると思うべきよ。まぁ、どのみちあんたの負けだろうけど。」
「あいにくやけど、あーしはまだ負けたつもりはないやよ。それにあーしは信じとる。」

愛の眼はまだ希望を失ってはいなかった。
完全にダークネスの手中にありながら、意気揚々としている。

「信じる?はん、新垣以外の役立たずどもか・・・」
「あの子らは役立たずやないやよ。それにあーしは里沙ちゃんも信じとる。」
「うるさい!」

ミティは冷気を愛に浴びせかけて、倒れた隙に口に布をかませなおした。

「そんな減らず口はもう二度と叩けないと思え!どうせ、お前はもうおしまいだ!」

          ◇          ◇          ◇

2012/03/13(火) 更新分

喫茶リゾナント・魅惑の水さんルーム
里沙は考え込んでいた。

「私はどうすればいいの?愛ちゃん・・・それとも安倍さんか・・・」

里沙がスパイをしている理由はダークネスに捕らわれている恩人・安倍なつみである。
里沙も元々は正義のために戦っていた。
だが、恩人であるなつみを人質にとられてから、ダークネスに従うしかなかった。

(がきさん・・・)
「安倍さんの声が・・・どうして・・・」
(なっちを誰だと思ってるだべ?幽閉されてても少しの間ならこうやって話すこともできる。聞いたわ、高橋の事・・・)
「安倍さん・・・私・・・私・・・」
「まだ遅くはないわ。高橋を救うのよ、そしてあなたはダークネスのスパイをやめなさい。」
「でも、そんなことをしたら安倍さんは・・・」

里沙がダークネスにそむくということはなつみを見殺しにするのと同じことだった。
恩人に対してそんなことができない。

(だめよ!未来を生み出すためにも高橋たちを犠牲にしてはいけない。あなたたちがするのはダークネスから人々の未来を守ることにあるの。私よりあなたたちが正義を貫くことが大事。)
「安倍さん・・・」
(行きなさい。あなただって、心の中では高橋を救いたいんでしょ。そろそろ話せなくなるわ。がきさん、あなたの中の蒼き正義を高橋も信じているわよ。)
「安倍さん!安倍さん!」

里沙がいくら叫んでもなつみの声はもう聞こえなかった。

「安倍さん・・・わかりました、あなたの声で決意しました。私、愛ちゃんを助けます。でも、今回はみんなの力を借りません。こうなったのも私の責任。私ひとりで愛ちゃんを救います。」

そして里沙は水さんルームの窓から仲間たちの気付かれないようにこっそりとリゾナントを出ていった。

(おそらく愛ちゃんを幽閉しているのは海上の孤島。そこにいくにはダークネスの転送ゲートを使う。まだ私の裏切りには向こうも気づいていない、ならば緊急事態を装って転送してもらう。さむなければ精神干渉で・・・)

だが、里沙の目の前にひとりの少女が立ちはだかった。
背が里沙よりも高く、目が大きい。まるでモデルのような体系である。

「やはりこうなったか、新垣里沙。」
「あなた・・・ダークネスの手のものね。」
「ダークネス諜報部隊・壇はう。裏切り者・新垣里沙。貴様を海上の孤島に連行する。」

海上の孤島
ダークネス諜報機関のボスである吉澤ひとみは退屈しのぎにサッカーボールをけっていた。

「失礼します。」
「なんだ、あまり面倒なことがごめんだからな。」
「報告にあがりました。新垣里沙が反乱容疑で海上の孤島に連行されることになりました。」
「そうか・・・誰が連れてきた。」
「壇はうです。」
「ご苦労。」

部下が去った後、吉澤は深いため息をついた。
(やはり、そっちに傾いたか・・・新垣、お前はやはり情を捨てきれなかったな。)

今回の誘拐はリゾナンターに揺さぶりをかけるというよりも里沙がどっちに与するつもりなのかをはっきりさせる意図があった。
前々から里沙のスパイ活動に疑いがあるとして、組織上層部から里沙への調査を要請する旨が何度も来ていたが、吉澤はそれを無視し続けていた。

(あいつは大きな変化がないかぎり、スパイとして動く。多少の嘘は交じっててもな。それが今回のようなことをすると飼い犬に手を噛まれるようなことになるんだ。まぁ、どうやら噛む隙すら与えなかったようだが・・・)

その頃、里沙は手錠をはめられて海上の孤島内を歩かされていた。
その前を里沙をとらえた壇が歩いていた。

「ねぇ、あなたはどうしてダークネスに入ったの?」
「・・・」

里沙の問いかけに壇は答えない。
精神干渉能力者の質問に下手に答えることは洗脳のきっかけを作りかねないと思っているようだ。

「安心してよ、能力阻害の注射を打たれているんだから。答えても安心よ。」

そう言われても壇は答えるつもりはなかった。
相手は名うてのマインドコントローラーだ。

「あなた、名前を偽っているようだけど、それが組織に入ったわけに関係ある?」
「どうしてそのことを・・・はっ!」
「さすがに気付いたわね。もう、あなたは私の術中にはまっているの。さぁ、この手錠を外して自分につけなさい。」

里沙の命令通りに壇は手錠を外して、自分につけた。

「さぁ、私と服を交換しなさい。そしてわたしがいいと言うまでは自分のロッカーの中で眠りなさい。」

そういうともはや人形のように壇は里沙の言うとおりの行動をとり、里沙は自由の身になった。

「並の能力阻害剤は私には効かないわ。いざという時のために訓練しているんだから。」

里沙は銀色が基長の戦闘服を身にまとった。
ついでに帽子もあったのでかぶった、これで多少のことでは正体がばれないだろう。
だが、油断はできない。

(愛ちゃん、必ず助けるから。)







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