『学園潜入-2』


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目次

ゴルフ


「もう聖はしっかりしとるんだか、おっちょこちょいなのかわからんと!」

衣梨奈は美術室へと走っていた。
なぜなら美術部に所属している聖に忘れ物を届けるからである。

「ああ、でも今日もたくさんいるんだろうなぁ。男子が・・・」

つい最近男女共学となった鳳卵学院。
それゆえ、男子が増えることによる変化もあった。
実は聖のいる美術室には毎日聖みたさに詰め寄る男子学生が大勢いる。
そのため、その友達である衣梨奈がくると聖との連絡先の交換を迫られるのである。

「もう聖はまったく気にしてないけん。美術室に行くだけでも大変と。」

衣梨奈はある程度覚悟をきめて、美術室の前にたった。
しかし・・・・

「あれ?誰もおらんちゃ・・・聖!」
「あっ、えりぽんどうしたの?」

衣梨奈の呼びかけに聖が美術室から出てきた。
どうやら自分の忘れものには気づいていないようだが・・・

「忘れものっちゃ。それにしてもいつもおる聖目当ての男子はどうしたと?」
「何か別のものにでも興味を示したんじゃないの?」
「ふーん。」

その頃、一樹は相変わらず購買で明太子パンを買わされていた。

「もはや召使いでいることに慣れ始めている。あれは・・・」

ふと一樹の目に入ったのはゴルフバックを下げた少女の周りを男子生徒が群がっている光景であった。

「愛理様!今日はどのコースを!」
「8番のロングコースを・・・今日も飛ばしていきますから。」
「うおおー!」

愛理という少女の周りにいる男子はまるで有名アイドルと一緒にバスツアーにいったオタクみたいに盛り上がっていた。

「いったい・・・どうなっているんだ。」

一方、衣梨奈は急いで自分の所属している器械体操部へと向かっていた。
聖に忘れ物を届けていたおかげで集合時間に遅刻しそうなのだ。

「遅刻!遅刻!もう聖の忘れものを見つけても届けてやんない!」

すると衣梨奈はふと廊下の窓からゴルフ場を目にすると、誰かがボールを打っている。
それを見ていた衣梨奈の中から何かがわき上がっていた。
部活に遅刻しそうな事を忘れるくらい。

ゴルフ場
コーン!
「ナイスショット!」
「いやー飛びますね。」

愛理の周りの男子はそろってナイスショットという掛け声をしており、愛理はそれに聞き惚れているようだった。

「ちょっと待つと!あれのどこがナイスショット!へたくそにもほどがあるけん!」
「なんですって!」

どこからか聞こえてくる批判の声に愛理は怒りを向けた。
その先にはマイゴルフバックを片手に立っており、いつのまにか着替えている衣梨奈の姿があった。

「あなた失礼じゃないの?それにどこのどなた?」
「私は生田衣梨奈!あんたのそのへたくそなゴルフプレーを叩きのめすために来たと!」
「な!ふざけたことを言わないで!あなたはご存じないかもしれないけど、この鈴木愛理は・・・」
「お父さんがプロゴルファーでお母さんも元プロゴルファー!確かにこのふたりで生まれたらゴルフが上手に思えるけど、さっきから見とるとまったくなっとらん!」

どうやら衣梨奈は愛理の経歴をそれなりには知っていた様子。
だが、なぜだ?

「くっ・・・あなたは何様?もしかしてプロゴルファー?」
「違う、私は単にテニスの王子様が好きだったからテニスコートでテニスがしたかったと。」
「はぁ?」

517 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2012/02/11(土) 11:18:54.14 0
急に衣梨奈は空気を読まずに昔話をはじめ、愛理のほか、男子学生たちも急な事でポカーンとしている。
だが、衣梨奈は遠慮せず続ける。

「それでお父さんにテニスコートがついているから、ゴルフ場に連れてってもらったと。それで試しにゴルフをやったらめっちゃ楽しかったと!」
「単なるゴルフ好きじゃない!」
「だからこそプロゴルファーの子供として生まれてきたことを鼻にかけて男をひっかけているあんたに引導を渡しに来たと!」
「いいわ、じゃあ勝負しましょう!プロゴルファーの子として生まれてきた実力を見せてあげる!」

衣梨奈と愛理の間で火花が散っていた。

保険医になりすましていた里沙は急いで体育館へと向かっていた。
体育館で部活をしていた生徒が怪我をしたらしい。

「潜入捜査のためとはいえ、保健室のお姉さんをしないといけないとはねぇ。普段は暇だけど、怪我人が出た時が大忙し・・・うん、あれは?」

里沙の目にゴルフ場で対決している衣梨奈と愛理の姿が映し出されていた。

コン!コロコロコロ!

衣梨奈のボールがピンに近い。
あと一発撃てばはいりそうな距離だ。

一方の愛理はまったくもって、ピンを入れるには程遠い。

「次の一打で終わりと!あんたの実力じゃあ、奇積でも起きん限り勝てんと!」

ギリギリギリ!
衣梨奈の余裕たっぷりとした態度に愛理は歯ぎしりをして悔しがっている。

(ゴルフじゃあ勝てないわ。こうなったら!)
「いけ、お前たち!」

すると愛理の周りにいた男たちが衣梨奈に向かって襲いかかってきた。
運動神経はそれなりによかったので衣梨奈はいきなり攻撃をなんとか避けている。

「反則や!反則!」
「ゴルフの実力じゃあ、負けるかもしれないけど。能力なら私の方がうえよ!私の力は誘惑、一種のマインドコントールよ!特定の相手をメロメロにして操るの!」
「そうか、そうやって男をひっかけてたと!」
「さぁ、私をバカにしたその女を叩きのめしなさい!」

男のひとりが衣梨奈に殴りかかった。

「おりゃあ!」
「きゃあ!」

カン!
何か拳に当たった音がした。
金属音のようだが・・・衣梨奈はそっと目を開けて、目の前の光景にぞっとした。

「ああ!せっかく集めた私のゴルフクラブが!」

なんと男のこぶしをガードするために衣梨奈は自分のゴルフクラブでガードしてしまっていた。
これは衣梨奈は少ないお小遣いからはたいて、買って集めた大切なクラブであった。

「衣梨奈はゴルフで決着をつけたかったのに・・・こんな仕打ち・・・もう許さん!」

衣梨奈は怒りのあまり、精神破壊の力をフルパワーで発揮した。

「ぎゃああー!」

それを受けて、愛理をはじめ男子生徒たちは頭を抱えて苦しみだした。
そこへ様子を見にきた里沙が駆け付けた。

「ああ、なんてことを・・・生田、やめなさ―い!」
「・・・」

里沙の懸命な呼び掛けもどうやら怒り心頭の衣梨奈には聞こえないようだ。
止めるには強硬手段しかなかった。
里沙はピアノ線を衣梨奈の頭のほうにむけて放った。
ピアノ線はまるで蜘蛛の巣に引っ掛かった後かのように衣梨奈に頭についた。

「ぬん!」

里沙が力を入れると衣梨奈は力が抜けたかのように倒れた。
そして愛理たちも同時に倒れた。
里沙が精神干渉で強制的に衣梨奈を眠りにつかせたのだ。

「もうこのKYが・・・私も近づいたら危ないぐらいの精神破壊を使うんじゃないよ。まったく!この子たちも看病もしないといけないとは・・・今日は確実に残業だなこれは・・・」

途方に暮れる里沙は気付かなかった。
愛理の首筋から針が抜け落ちたことを・・・

          ◇          ◇          ◇

転校生


ある日の鳳卵学院、風紀委員の監視が厳しい中ひとりの少女が学院にやってきた。

「ここが新しい学校か・・・頑張るニャン!」

妙にイライラするようなぶりっこを見せながら少女は学校内に入っていく。

2-A組教室
風紀委員の一件以来、学院内ではあらゆるところで風紀委員の目があった。
そのためれいなたちの潜入捜査がやりづらくなっていった。
矢島警備隊の隊長・舞美もあれ以来おとなしくなっている。
そんな時であった・・・

「よーし、ホームルームを始めるぞ。実は今日から新しく転校生が来ることになった。入ってくれ。」

担任に呼ばれて、教室に入ってきたのはさきほど校門にいたぶりっこであった。

「嗣永桃子でーす!とってもかわいいのでみんなよろしくニャン!」

そう言うと桃子は猫のポーズをとった。
それを見たれいなは・・・

「めんどくさっ・・・まるでさゆみたい・・・」
「なんか嫌なの・・・」

それはれいなに対する言葉ではなかった。
さゆみは完全に桃子に対して嫉妬に似たような感情を抱いていた。

それから数日、桃子が学院内で自分がかわいいというアピールを振りまいていた。
それがさゆみを余計にイライラさせていた。


保健室
「本当に嫌なの!あの子、むかつくの!」
「いくらなんでもその愚痴を私に言わなくてもいいでしょうが!」

さゆみは桃子に対するイライラを里沙にぶつけていた。
里沙からしたらいい迷惑であった。

「さゆみん・・・私たちの目的忘れてないよね。私たちはこの学院内で起きる怪事件の真相を突き止めることなんだから、純粋な学園ライフに浸らないでね。」

コンコン!
「嗣永桃子です!鳥海先生おられますか?」
「はーい!」

ガラガラ!
扉を開けると桃子は里沙とさゆみがいることを確認して、何やら笑顔を浮かべた。
さゆみは確実に面倒そうな顔をしている。

「あ、さゆりさんもいましたね。丁度よかったー!」

ガチャ!
すると桃子は保健室のドアの鍵を閉めた。

「えっ?」
「実はお話があるんですよ。新垣里沙さん・・・道重さゆみさん・・・」


グゥー!
その頃、教室で眠りについていたれいなはお腹が減ったことで目を覚ました。

「ふぁー!お腹減ったと・・・召使い、明太子パン買って・・・てっ、いない!」

今や休み時間、一樹にだって自由な時間はある。
しかしれいなにとってみれば一樹はいい使いパシリである。
いつもそばにいると思いこんでいる。

「こんな時にどこに行ったと!召使い!」

れいなが廊下を走っていると、ふと窓から旧校舎の方に目がいった。
なぜならそこに一樹の姿を目にしたからである。
それも周りを気にしながら中に入っている。

「召使い、いったい何しに行ったと?」

旧校舎
一樹は誰もいない校舎の中を歩いていると・・・

「一樹君・・・」


れいなは一樹のいる旧校舎に行こうとしたら・・・
「二―ナ!」
「ああ、さゆ。どうしたと?」
「ちょっと、話があるの。」

さゆみに誘われて、れいなは人気のない場所に向かった。

「まさか、さゆ。またれいなを襲う気?」
「冗談言わないの。それよりあの転校生の話なんだけど。」
「あの桃子とかいうぶりっこの事?どうしたと?」
「実はあの子・・・」

さゆみは耳うちでれいなに伝えた。
「ええー!」


保健室
里沙はさきほどの桃子の告白にいろいろ考えを巡らせていた。

「嗣永桃子・・・警視庁の送り込んだ潜入捜査官か・・・ぶりっこそうに見えたけど、意外とあなどれないわね。」

報告


喫茶リゾナント
愛はこのところひとりで店を切り盛りしている。
れいなが鳳卵学院に潜入中のためである。

「高橋さん、来ましたで。」
「おう、愛佳御苦労さま。」

愛佳がれいなの代わりに店を手伝いに来ることが多くなった。
だが、今の愛佳は手伝いをすることだけが目的ではなかった。

「田中さんたちから報告がありました。」

愛佳はれいなたちのまとめた学院内での事件の報告を愛に渡すのが今の愛佳のリゾナンターとしての役目のひとつであった。

「れいなたちを襲ったどの能力者にも針を刺された形跡があるか・・・やはりあーしの恐れていたことが・・・」
「高橋さんが以前関わった潜入捜査の犯人でしょうか?」
「やり口から見てそうやろう。あーしが調べてもその全容を掴めなかった相手やよ。油断できん。」
「それと高橋さん・・・鳳卵学院について気になることも。」


愛佳は鳳卵学院の資料を取り出した。
それは学院の創設から現在にあたるまでの歴史や出来事に関するものである。

「今の理事長は風紀委員を指導しているそうですが、実際のところ表にでていないんです。」
「表にでていない?」
「誰も顔を見ていないんです。負傷して、療養中の校長先生も見たことがないんです。」

愛は考え込んだ。
報告によれば風紀委員会の動きには何か不審なものがあるというものがある。
それを動かしている理事長も得体が知れない。
何か嫌な予感がしてならない。

「愛佳、さゆの事があるから、あーしらの事も感づかれているかもしれん。聖ちゃんたちも含めて、気をつけるように伝えるやよ。」


その頃、鳳卵学院では・・・

「なんね、あの子ら?」

れいなはれいなそっくりの格好をしている3人の少女に目がいった。

「あの子たちはれいなのファンなの。いいよね、人気者は・・・」
「何、さゆ?嫉妬?」
「そうじゃないの!」

呑気に話しているふたりは気付いていなかった。
3人はれいなのファンのふりをして、れいなたちのデータを秘かにあるところに送っていることを・・・そして今もその状況をパソコンから送っているのだ。

鳳卵学院のあるエリア・・・
「ふふふ、見てなさい。ネズミたち、このエリートの前にあなたたちはひれ伏すのよ。」

          ◇          ◇        ◇

禁断のエリア


鳳卵学院をとりまく謎の怪事件の手がかりがつかめないまま、2か月近く経過した。
学院内のあらゆるところを調べ、手詰まり状態であったが意外なところで糸口がでてきた。
その情報は聖からであった。

「エリート組?」
「はい、その名の通りエリートが集まるクラスなんです。」

転校して2か月、さゆみはエリート組の話を聞いたことがなかった。

「それは当然です。エリート組のエリアには一般の生徒は出入り禁止なんです。入ったら二度と出られないという伝説があるんです。」
「それ怪しいじゃん!とても怪しいじゃん!」

さゆみはさっそくれいなにもそれを知らせようとしたのだが・・・

「召使い!二―ナの携帯をよくも壊してくれたと!弁償しろ!」
「ごめん、でもさぁ。寝ていて、携帯を床に落としたままにしていた君も悪いんじゃあ。」
「口ごたえするんじゃなか!この携帯破壊屋!」

完全にれいなに話をする余裕はなかった。
あの様子だとおそらく数時間は機嫌が直らないだろう。
仕方なくさゆみはひとりで様子を見ていくことにした。

エリート組の校舎はかなりハイテクな感じのする扉にガードされており、一般の校舎も豪華だが、こちらはどちらかというと機械的である。

「うーん。禁断エリアっぽい雰囲気なの。それにしても人の気配がないの。」

ぴょこぴょこ!
さゆみの背後に何やら嫌な気配を感じた。

「どうもみんなのアイドル・ももちです~。」
「あっ・・・あなた・・・」

警視庁が送り込んだ潜入捜査官・嗣永桃子がいつの間にか背後にいた。
自分をかわいいという桃子をさゆみは苦手に思っていた。

「さゆみさん・・・あっ、ここではさゆりさんでしたね。ももちもあの中に入りたいんですけど、
 入るには暗証番号だけでなく網膜スキャンをパスしないといけないんです~。」
「あーら?凄腕の潜入捜査官もさすがにハイテクの前には手も足もでないのかしら?」
「う~ん。でも、あなたのおとももちなら、簡単に入れるかもしれないです~。」
「そうね、あなたよりも私たちのほうがいい捜査ができるの。」

そういってさゆみは意気揚々とあるメンバーを探しに行った。
それを桃子は笑みを浮かべて見つめていた。

「潜入するだけがももちの強さじゃないんです。人をうまく利用することも大切だニャン。」

それから少しして、さゆみは香音を連れてエリート組の校舎への扉の前に立った。

「道重さん、やめましょうよ!あのエリート組の校舎にかってに入ったら二度と出られないって噂ですよ!」
「それが怪しいの。大丈夫、香音ちゃんの力を借りればみつからずにすむの。」
「本当かな?」
「ともかく行くの。」

さゆみは香音の手をつないで、扉を透過能力で通過した。

「おっ、無事に通過できましたね。」
「ほら、大丈夫だったの。エリート組と言っても大したことないの。」

さゆみは勝ち誇っていた。あの桃子を出し抜いたという優越感に浸っていた。
だが・・・

「侵入者を確認。確保せよ。」

そんなことになっているともしらず、ふたりはエリート組の校舎を歩いていた。

「なんか不気味ですよ。人、誰もいないじゃないですか。」
「みんな・・・体育の授業に行っているのよ。」

さゆみは正直、嫌な予感がしていた。
いくらなんでも人の気配がなさすぎる。

「ちょっとお待ちになって。」

するとふたりの前にメガネをかけた少女がいた。
香音はほっとした感じになり・・・

「よかった人がいて・・・」
「良くないの!見つかったの!」

さゆみが香音の手を引いて逃げようとすると、同じような制服とメガネをかけている少女がふたり背後にいた。

「エリート組への侵入は許しません。」



「ええ!さゆと香音ちゃんが!」
「はい。エリート組に潜入するといったっきり帰ってこないんです!」

聖がれいなにさゆみと香音が帰ってこないことを知らせてきた。
れいなはさきほど一樹に明太子パンを買って来いと命令してきたばかりだった。

「わかった、エリート組に乗り込むと!」
「ええ、待ってください!」

ふたりはエリート組校舎の前にたった。

「ここは強力なガードシステムで守られているんです。そう簡単には・・・」
「でもふたりをほおっておけないと!」

するとれいなは扉のガラスに拳を叩きこんだ。
バリン!

れいなのこぶしの前に強化ガラスは単なるガラスでしかなかった。
ブー!ブー!
もちろん、強硬な手段で入ったために警報が鳴り響いた。

「フクちゃん!サイコメトリーでふたりを探すと!れいなは敵を引きつけるけん!」
「わかりました。」

聖は扉からふたりの足取りをたどり始めた。
そしてそれと同時にれいなの目の前にあのさゆみたちを捕まえた3人が現れた。


「今日は侵入者が多いですね。」
「その侵入者を返してもらいにきたと!おとなしくだすんだったら、処分はうけるけどださんかったら潰す!」
「あなたみたいな、単細胞にはエリート組が絶望を味あわせてあげます。」

3人がメガネをあげるしぐさをするとれいなの周りを高速で回り始めた。

「なんね!この動きは!」

れいなの目には3人をとらえることができない。
過去の戦いの経験で多少相手の動きが早くても戦いの勘で掴んできたが、とても勘では対処しきれない。
現にれいなが闇雲に拳を突き出してもまったく当たらない。

「いきますよ、トリプルアタック!」

バキッ!ボキッ!ボコ!
一斉に3人が攻めかかってきて、れいなに攻撃を仕掛けてきた。

「くそっ!きたないと!」
「ただでさえ格闘戦が強いあなたにひとりで挑むなんてバカなまねはしません。」
「だから、この高速で惑わして。」
「3人で倒す。」


「ここだわ。」

聖はさゆみと香音が閉じ込められている部屋に到着した。
部屋はロックされており、あかない。

「こうなったら、えい!」


聖はカードを取り出して、緑の炎でドアを破壊した。
中にはさゆみと香音がいた。

「よかった。ふたりとも無事ですね。」
「うん、フクちゃん、ひとり?」
「いいえ、田中さんがひとりで戦っています。」
「じゃあ、急がないと!あの3人の正体は・・・」

バキッ!ボコ!ボキッ!
3人組のトリプルアタックにれいなは苦しめられた。

「これで終わりです。あなたの死亡確率は100%」
「くそっ・・・死んでたまるか!」

回転を終えて、3人組がれいなに襲いかかる。

「!!!」

するといきなり3人組の動きが止まった。

「うん、どうしたと?」
「れいな!」
「さゆ!」

さゆみがある機械を持って、れいなの元に駆け寄ってきた。
そしてれいなの傷を見るとすぐに治癒能力を使用して、傷をいやした。

「さゆ、その機械は?」
「ロボットの機械を狂わせるものなの。ここに忍び込んだ時に見つけたの!あの3人はロボットなの!」


苦しんだ末に地面に倒れて動かなくなった3人組の体には確かに機械が見えた。

「うわー!」
「一樹!どうしてここにおると!」
「いや、道に迷ったらここにいて、それで部屋に押し込められて!」
「そんなことより、早く明太子パン買ってこい!」
「はい!」

れいなに怒鳴られて、一樹はその場を走り去っていった。

「さゆ・・・エリート組何者と?」
「怪しい機械をつくっているみたいだけど、本当はエリート組なんていないの。この校舎はロボットや能力者対抗用の武器を作っている工場なの。」
「どうやられいなたち、とんでもない秘密知ったみたいや。」

その頃、一樹は学食目指して走っていた。

「一樹君、報告は?」
「ああ、はい。記録しました、エリート組の校舎の中の様子です。」
「そう、御苦労さまニャン!」

桃子は小指をたてながら嬉しそうに一樹から受け取ったテープを眺めていた。

「桃の小指から出る電波で一樹君は桃のスパイなんだニャン!」

          ◇          ◇          ◇

操られた正義


「こらー!まて!」
「待ちなさーい!」

矢島警備隊の遥と優樹が違反者を追いかけている。

「とりゃー!」

遥が飛び込んで違反者を取り押さえた。

「遥ちゃん、さすが!」
「優樹!手錠!」
「はーい!」

優樹は手錠をかけた。
すると別の違反者を捕まえた春菜と亜佑美もやってきた。

「遥ちゃん、この違反者をどうするの?」
「隊長は何も言ってくれないし。」
「風紀委員にすぐ引き渡せだと・・・」

遥はその対応に納得できないようだ。
元々風紀委員と警備隊は対立していた。

「隊長は最近、風紀委員のいいなりだよ。納得できねぇよ。」
「まぁまぁ遥ちゃん。隊長には隊長なりの考えがあるんだから。」
「優樹・・・オマエなぁ・・・」


2-A組・教室
「舞美、最近すっかり落ち着いたっちゃね。」
「最初に会った時は逮捕しちゃうぞ、逮捕しちゃうぞって言っていたのにね。」

ある日を境にして舞美の態度は急激に変わっていった。
悪を憎む精神から純粋な恋する女になっていた。
今は教育実習生のイケメンにメロメロなのだ。

「まぁ、女の子だから当然かもね。」

ブー!ブー!ブー!
「あ、がきさんからや。」

保健室
「警備隊が逮捕者を否応なく風紀委員に引き渡しているらしいわ。」
「あの風紀委員か・・・怪しい連中だけど。何で舞美はあんな奴らに・・・」
「態度が変わったのに何か関係があるのかな?」
「だったら今度、れいなが直接聞いてみるけん!」

コンコン!
保健室のドアが叩かれて、教育実習生が入ってきた。

「失礼します。」
「あ、イマワカ先生。どうしましたか?」
「じゃあ、先生失礼します。」

れいなとさゆみは保健室を後にした。
その頃・・・


「見回り終わりました。」
「御苦労さま。」

校内の見回りを終えて警備隊の面々はその報告を舞美に伝えにきた。
だが、舞美はどこか上の空だ。

「ああ、イマワカ先生。素敵・・・」
「隊長!しっかりしてください!これじゃあ、警備隊の仲間に示しがつきません!」
「いいから、あなたたちはあっちに行って!」

舞美に怒鳴られて、しぶしぶ警備隊の面々はその場を後にした。
そして舞美はイマワカとイチャイチャし始めた。

食堂
「イマワカ先生のこと?」
「なんか、あいつ怪しいんだよな。隊長にその気があるかのような態度をとっているけど、あいつ何か生徒を監視しているような感じで・・・」

遥は食堂で聖と食事をとっていた。
ふたりは年齢は違えど入学当初から知り合いで何かあれば互いに相談しあっていた。

「それに隊長も隊長で人が変わったみたいで・・・」

その頃、一樹とれいなはバス亭にいた。
普段は寮に寝泊まりしているふたりだが、この学院は必ず寮に泊まらないといけないというわけではなく、申請が通れば家に戻ることもできるのだ。

「それにしてもなんで召使いと同じ日に帰ることになるんと?」
「はは・・・何でだろうね。(それはこっちのセリフだよ。) 」

391 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2012/03/09(金) 22:08:16.60 0
学院の外へ向かうバスにはれいなや一樹だけではなく多くの生徒や実習生のイマワカの姿があった。
バスの中は生徒たちでいっぱいだ。

ギシッ!ギシッ!
まさに押しくらまんじゅう状態だ。
そんな中、一樹はイマワカの行動に目が入った。

(あれは・・・なんだ?)

イマワカは小型の機械をバス内の生徒たちに気づかれないようにかざしている。
ぐぃ!
れいなは一樹の制服を掴んで、ひっぱった。
そして小声で・・・

「一樹、気付いたと?」
「うん、あれはいったい?」
「良くないことであるのはたしかと!」

そういうとれいなはイマワカの腕を掴んだ。
イマワカは少し動揺の体を見せるが、すぐに平常になった。

「何のことだい?」
「とぼけるんやなかと!バスを降りろ!」

れいなはイマワカを停車したバスかた引きずりおろして、一樹もそれに従った。
しかしふたりは気付かなかった、イマワカがその合間にあるスイッチを押していることを・・・


矢島警備隊本部
「隊長!風紀委員のやり方には不満があります!風紀委員は学院の治安維持どころか不要な混乱を・・・・隊長!」

我慢の限界に達した遥が舞美に直談判をするが舞美は聞く耳を持たなかった。

ピピピピピ!
イマワカの機械からの電波が舞美に刺されていた針に反応した。
そして舞美は外へと出て行った。

「隊長!どこにいくんですか!」

その頃、れいなはイマワカを問い詰めていた。

「おい!その機械は何と!答えろ!」
「へっ、俺を問い詰める前に彼女を倒すんだな。」
「はっ?」

イマワカは不敵な笑みを浮かべた。
そしてれいなの背後には・・・

「舞美、ちょうどよかっ・・・ぶっ!」

舞美はいきなりれいなの顔面をけりつけた。
思わぬことにれいなは驚いた。

「何すると!」
「イマワカ先生の敵は・・・私の敵」
「くそっ、恋は盲目とはよく言うちゃけど、こんな奴に恋することはなか!」
「うるさい!町田二ーナ!死ね!」


舞美は強力な突きを放つ、さすが普段警察で受けるような訓練を積んでおり、常人では受け止めきれないだろう。

バスッ!ガシッ!
れいなも喧嘩で鍛えぬいた戦いの経験が舞美の攻撃を受け止めている。
たがいに両方の手を受け止めているとき、れいなは足けりを舞美に浴びせる。

「そんなぬるい攻撃が効くと思っているの!」

舞美は柔道の一本背負いでれいなを投げ飛ばした。
だが、れいなも負けじと倒れた姿勢で舞美の足を崩して、寝技の姿勢に入った。

「こっちには喧嘩で鍛えた技があると!そうやすやすと負けるわけにはいかん!」

れいなは舞美を動かせまいと離れない。
それを見ていたイマワカはその場を逃げようとするが・・・

「逃がさないぞ!」

そこに遥たち矢島警備隊の4人が現れ、イマワカを取り押さえた。
そして遥はある機械を持ち出した。

「二ーナさん!隊長を抑えててください!」

遥は舞美にある機械を当てた。
すると舞美は急に力を抜いた。

「あれ?私は・・・何をしてたの?」


力が抜いたことでれいなも寝技の態勢を解いた。

「あんた、その機械は?」
「隊長に言われて作っていた洗脳除去装置です。私たち、能力者じゃありませんから。こういった最新の技術を使って・・・」

舞美は目の前の状況が分からず、困惑しているようだ。

「私、いったい何をしていたの?」
「あんた、何も覚えてないんか?」
「まったく・・・」

その後、イマワカは警備隊に連行されていったが、何も話していないらしい。
どうやらひそかに超能力を持った生徒のデータをスキャンしていたらしいのだが、その目的はわからないまま、イマワカは警察に引き渡された。

そして舞美は・・・

「待ちなさい!逮捕よ!逮捕!」
「以前に舞美に戻ったとよ。」
「やっぱり、彼女はああじゃないとね。」

理事長室
「申し訳ありません、イマワカのミスで矢島舞美の正気が戻ってしまい、警備隊の勢いが戻ってしまいました。」
「まぁいい。校長が復帰できない今、学院の運営は私が取り仕切っている。そろそろ、あの女を手中にする時だ・・・」

          ◇          ◇          ◇

目覚めた力


鳳卵学院・音楽室
そこではひとりの生徒がピアノを演奏していた。
真野恵里菜。
学院の生徒の中でも優秀な生徒であり、噂によると彼女を養っているのは超能力の世界でも有名な人物らしい。

そして恵里菜の背後には人影が・・・
プスッ!

「うっ!」
「さぁ、その封印された力を解放しなさい。」

ゴゴゴゴゴゴ!
学院内に異様な気配が漂っていた。
その元は・・・

「音楽室と!」

れいなとさゆみは音楽室の前にいた。
今はまだ何も起こってはいないが、いずれはこの気配の持ち主が何かを起こすだろう。

「さゆ、覚悟はできとうね。」
「うん、でもれいな、無理しないでね。」
「待って!」

れいなたちが中に入ろうとするのを里沙が止めた。
そのかたわらには白い帽子をかぶった少女がいた。


「がきさん、その子は?」
「私、宮本佳琳と申します。Mの安倍なつみさんに派遣されたものです。」
「えっ、じゃあこの潜入捜査のお手伝いを?」
「いいえ、私が命じられたのはこの中にいる人・真野恵里菜。みなさんにはM411と言った方がわかると思います。」

M411。
かつてリゾナンター誘拐を企てたM本部長とDr.マルシェの切り札として生み出された超能力者。だが、彼女は高橋愛との戦いに敗れた後に安倍なつみによって記憶と能力を封印されていた。

「でも真野さんの力は強大で安倍さんの封印を破る可能性はないわけではなかったので、安倍さんが私を御目付役として一緒の学校に入学したんです。でも、この感じは真野さんの力が復活した証です。」
「・・・」

れいなとさゆみは黙っているしかなかった。
M411は愛を一度倒したことがあるほどの力の持ち主だ。
はたして自分たちが立ちはだかって勝てるのだろうか。

「安心してください。真野さんの力はまだ完全には解放されていません。まず私が真野さんの目をくらましますのでその間にみなさんで・・・」
「力を抑えるのなら私が精神干渉で彼女を眠らせるわ。」
「何かあったら、れいなの共鳴増幅で・・・」
「それでも駄目だったら・・・」

さゆみはその先を言わなかった。
最悪の場合はさえみが出てくることを・・・そうなるとけが人が出るでは済まないだろう。


「それでは・・・いきます!」

佳琳が音楽室のドアを勢いよく開けて、中に入った。
それと同時に恵里菜はピアノを弾くのをやめた。

「やはり、佳琳さんでしたか・・・」
「真野さん・・・いつかはこういう日が来るのではないかと思っていました。あなたがその力を間違ったことに使わないように私があなたを止めます!」

そういうと音楽室の窓が全開になり、校庭の砂が舞い上がり、それが佳琳の周りに集まって行く。
そして佳琳はそれを砂嵐のようにして、恵里菜に放った。

「無駄よ。」

恵里菜はバリアを張り、砂嵐をガードした。

「今よ!」

佳琳はあくまで囮だ。
そのすきに里沙とれいなが恵里菜の側面から急襲した。

「無駄だというのがわからないの!」
「「きゃあー!」」

恵里菜の衝撃波で里沙たち3人が吹き飛ばされた。
里沙は依然彼女の力を見たことがあるが、とても封印から解かれたばかりとは思えない、以前よりも強力になっている。

「私の力の前では誰も勝てないわ!」


さゆみはその様子を音楽室の前から見ていた。
今すぐにでも3人を治療したい。
だが、恵里菜を倒せないといくら治療しても無意味だ。

(さゆみ・・・私に任せて…)
(でも、お姉ちゃん・・・お姉ちゃんの力だと・・・)
(さもないとみんな死ぬわよ!あの子は力の制御ができていない、このままだと本気で人を殺すわよ!)
(わかった・・・)

さゆみの意識はさえみへと変わった。
そしてゆっくりとした足取りで音楽室に入っていく。

「まだ身の程知らずがいるのですね。」
「身の程知らずはあなたよ。自分の力をうまくコントロールできていないのに勝った気でいる。」
「なんですって?ばかにしないでよ!」

恵里菜は強力なレーザーを発射した。
それは愛の光の力にも匹敵する威力だ。
だが、それはさえみの眼前で消滅した。

「どんなものでも消滅させてしまえば意味がない。あなたがどんなに強力な力をいくつ持っているからと言って、消えてしまえば意味がない。」
「そんなはずはないわ・・・」

恵里菜はレーザーを続けて発射する。
しかし近付いてくるさえみの前では無力だった。

「あきらめなさい。」

さえみが放つピンクの光が恵里菜を襲う。
これでさすがの恵里菜も・・・

「なんてね・・・」
「何?」

恵里菜の目の前で空間が開き、さえみのピンクの光が吸い込まれていく。
その顔はまさしく余裕なものであった。
対称的にさえみは戸惑っている、今までこの力で破れないものはなかった。
だが、それを今初めて抑えつけられた。

「あなたがいるとこの後、何かと面倒です。しばらくは眠っていてください。」

恵里菜がてをかざすと突然、さえみが頭を抱えて苦しみだした。

「くっ・・・くっ・・・さゆみ・・・にげな・・・さ・・い。」
「お姉ちゃん・・・・お姉ちゃん!どうしたの!」

床に倒れて、意識を戻すとさえみではなくさゆみに戻っていた。

「あなたのお姉さんには眠ってもらったわ。本当は永遠に消えてもらおうと思ったんだけど・・・」
「そんな・・・」

ガバッ!
するとれいながいきなり恵里菜を背後から組みついてきた。

「油断するんやなか!れいなたちはまだ負けとらん!がきさん!」

れいなの掛け声で里沙がピアノ線を放った。
なんとしてもこの一瞬で恵里菜の意識を奪わなければ・・・

「どきなさい!」


再びれいなは吹き飛ばされて、ピアノ線は恵里菜が手をかざすと同時に里沙のコントロールから離れて、里沙たちを拘束するかのように縛りつけていった。

「無限大の能力に・・・変則的な戦い方・・・手に負えないわ。」

ガラガラ!
すると音楽室に鳳卵学院の生徒たちが入ってくる。
だが、全員目が正気ではない。

「さきほどの私の演奏でみんな洗脳しました。さぁ、この人たちを連れて行って。」

洗脳された生徒たちによって連行されるれいなたち、はたしてその運命は!

続く・・・

          ◇          ◇          ◇

希望への疾走


「くそっ!ここからだせ!」

恵里菜に敗れたれいなたちは矢島警備隊本部の檻の中にいれられていた。
3人ともさきほどの戦いで里沙が放ったピアノ線により手足を拘束された上に能力阻害の手錠をはめられて、手も足も出ない状態だった。

「がきさんのピアノ線でしょ?なんとかならないの?」
「駄目ね、あの恵里菜って子の念力で抑えられているし。この手錠で力自体使えない。」

それ以上に3人は見る限りぼろぼろである。
予想以上に真野恵里菜の力は強大であった。

「でも、このままだとあいつらの思いのままと!」
「そうね、何か手を打たないと・・・」


理事長室
そこには真野恵里菜と風紀委員長の吉川友がいた。

「理事長、邪魔者は排除しました。あとは学院全員の洗脳が完了すればすべてが終わります。」
「まだ洗脳ができていないものがおるのか?」
「ええ、このm411の力をもってしても抗うほどの力を持っているものもいますし、さらには数名逃亡者も・・・」
「いい?この学院のすべての生徒を手中に収めるのよ。」

「田中っち!なんとかならない?あなたなら手錠ぐらいなんとかなるでしょ!」
「れいなはそんなに手錠のお世話になったことないとよ!」

里沙とさゆみにはそれが嘘のように思えてならなかった。
リゾナンターになる前はれいなは札付きの不良で喧嘩ばかりしていた、正直お世話にならないわけがない。

「舞美の手錠やけん。頑丈につくっとると!それにしてもあいつは簡単に洗脳されとるっちゃ。」
「仕方ないわよ。あれほど強力な洗脳なら、普通の一般人なら簡単に掌握できるわ。」

ガタン!
物音がして、3人は音のほうを向いた。

「なんなの?」

ドタドタ!
すると本部に一樹と衣梨奈が駆け込んできた。

「あっ、新垣さんいた!」
「君たち、無事だったんだ!」
「無事じゃないと!それよりもあんたら、洗脳されとらんと?」
「はい、聖や里保・・・香音ちゃんも操られて、ふたりで必死に逃げてきたんです。」

確かに一樹と衣梨奈は今ままで通りの様子だ。

「さすが、KYだね。たぶん、あんたは精神系の能力には強いんだわ。」
「じゃあ、衣梨奈はいざという時に頼りになる存在ですか?」
「・・・」
「なんで黙るんですか!」

それよりも気になるのは一樹であった。
彼は能力者ではないはずだ。

「あんたはどうして操られとらんと?」
「それを聞かれても僕にもさっぱり・・・さっき、嗣永さんにこのプレゼントもらってから・・・今日は変なことだらけだよ。」

すると里沙の中にあるひらめきが浮かんだ。

「一樹君、生田・・・ふたりに頼みがあるの。」
「えっ、何ですか?」
「今からすぐに学院から脱出して・・・そして喫茶リゾナントに向かって。」
「新垣さんそれって・・・・」
「えっ、どういうこと?」

衣梨奈には里沙の意図がなんとか理解できたが、一樹にはチンプンカンプンである。

「今、私たちは手も足も出ない状態、だけど今あなたたちが私たちを解放している余裕はない。こうなった以上最後の希望はリゾナントよ。」
「ねぇ、リゾナントって何?」
「私たちのリーダーがいるの。すっごく頼りになるから・・・」
「詳しいことを言っとる暇ないけん。」
すると本部の外から人の気配が・・・

「早くいきなさい!あんたたちがこの学院を救える最後の希望なんだから!」
「わかりました!」
「はい!」

れいなたちは一樹と衣梨奈が敵に捕まらないことを切に願うのであった。
そして一樹と衣梨奈が校舎を出た途端・・・
うぉー!
学院の生徒が群れのように大勢現れて、ふたりを追いかけている。

「うわー!なんだ、これは!」
「つべこべ言わんと!走って!」

確かに立ち止まっている余裕はない。
生徒の中には武器を持っていたり、能力を使って攻撃してくるものもいる。

「あ、校門だ!」

ふたりの目に校門が見えたが、無情にもそこは鉄の扉で閉められている。

「のぼるしかないけん!」

そういうと衣梨奈は門をよじ登り始めた。
もともと運動神経は良いほうなので、スイスイ登っていく。
それに一樹も続くが・・・

ガシッ!
「うわっ!」「一樹君!」

足首を生徒のひとりに掴まれて、引っ張られている。
衣梨奈もそれに気付いて、足で生徒を蹴って、引き離したが・・・
そのすきに今度は衣梨奈は大勢の生徒の手によって、引きずりおろされてしまった。

「衣梨奈ちゃん!」「一樹君!リゾナントに向かって!」

衣梨奈は生徒手帳を一樹に投げつける。
一樹はそれを受け取り、門を抜けるとそのまま町の中へと走り去って行った。
そしてその様子を影から桃子が見ていた。
その耳には洗脳音防止のイヤホンをつけて・・・

「これは面白いことになるんだニャン!」

一樹はなんとか追手を巻き、生徒手帳にあった喫茶リゾナントの住所を頼りに向かっていた。

喫茶リゾナント
今日はお客の入りが少なく、愛はひとり考え事をしながら、コーヒーを淹れていた。

ガランガラン!
「いらっしゃいませ!」
「あの、ここが喫茶リゾナントですか?」
「そうですけど・・・あなたは?」
「佐藤一樹と申します。」

愛は息切れをしている一樹の様子を見て、何かを感じ取った。

「鳳卵学院が大変なんです!助けてください!」

続く・・・