『暁の戦隊』


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目次


第1話「気まぐれプリンセス」


「あんた、聖ちゃんていったね。 ちょこっと顔ば貸してくれんね」

譜久村財閥の一人娘、聖は能力者だ。
幼い頃に母と別れ、お城のような豪邸で育てられてきた彼女が、母の残した「モノ」に触れた時、【接触感応】サイコメトリーが発現した。
チカラに導かれて母親の記憶を辿り、喫茶リゾナントを訪れた聖はその店のマスター、高橋愛もまた能力者であることを知った。
愛の能力によって今までになく鮮明な母親のイメージを感じることが出来た聖は、その後度々リゾナントを訪れるようになった。
親しくなった愛から、闇の勢力と戦う戦隊リゾナンター入りを誘われた聖だったが、元々がおっとりした性格だった為、ためらっていた。
そんなある日、リゾナントの看板娘である田中れいなが聖に声をかけた。

「あんたの力で視て欲しいもんがあると」
「チカラは無闇に使うもんじゃないって新垣さんが」

リゾナンターのサブリーダーの新垣里沙は、聖だけでなくリゾナンターのメンバーにも能力は慎重に遣うことを求めていたのだ。
― だって、他人の好奇の目に晒されて、辛い目をするのは聖ちゃんだからね ―

「ガキさんは頭が固いっちゃ」

そう吐き捨てたれいなが聖を連れて行ったのは、老婦人が一人で切り盛りしている小さな駄菓子屋だった。
れいながリゾナントに身を寄せるようになる前は、その店の主に親切にしてもらっていたという。

「ここのばあちゃんが大事に育てていた花が荒らされて、盗まれてしまったけん。 取り戻したいっちゃ」

強引なれいなに反発を覚えながらも、犯人捜しに協力することにしたのは、聖が「モノ」に宿った記憶を視れる能力者だったからだ。
「この花たち、こんなに踏み荒らされてかわいそう。 おばあさんあんなに大切に育ててきたのに」

花に込められた老婦人の思いを踏みにじる犯人を聖とれいなが追い詰める。

次回、暁の戦隊第1話「気まぐれプリンセス」 お城にいたんじゃ出会えぬ出来事が聖を変えていく



第2話「女子校花道」


聖のサイコメトリーが暴いた犯人の正体は、近隣で十数軒のスーパーを経営する実業家だった。
彼の家のガレージには、駄菓子屋の店先から持ち帰ってきた鉢植えの残骸が転がっていた。

「何でこんなひどいことをすると」
「あのババア、通学路だかなんだか知らねえが、一方通行だとかスピードの出しすぎだとかうるせえんだよ」

清々したぜと悪びれずに答える犯人は、警察に知らせても構わないとうそぶく。

「器物損壊罪なんて大した罪じゃないし。 こんな花なんて弁償したってはした金だからな」
「田中さん、こいつぶん殴ってもいいですか」

豹変した聖をなだめるれいな。
聖にとって「モノ」は単なる「モノ」ではなく、人と人を繋ぐ絆だったのだ。

「見てるッちゃ、聖ちゃん。 目には目、歯には歯で思い知らせてやるけん」

れいなの瞳が蒼く輝いた。
【共鳴増幅】を発動させて増強した体力で、制止する男の手を掻い潜りながら高級車をパーツごとに素手で分解していく。
数台の高級車を完全に分解したれいなは、呆然とした表情の男に勝ち誇った。

「どうたい、器物分解罪で訴えてみると」
「もし文句があるんだったら、こんな安い車、譜久村が提供しますわ」

男の家から出てきてれいなは頭を抱える。
「ばあちゃんに何て言ったらいいっちゃ」
「大丈夫です、田中さん。 この花まだ生きてます。 生きているものとそうでない「モノ」の違いが私にはわかるんです」

喜んだれいなは花を手にしていた聖を駄菓子屋に急き立てた。
息を切らしながら聖は思う。  ― こんな私でも誰かのために何か出来るんだ ―

次回 暁の戦隊第2話「女子校花道」 未知の道を進むことを聖は決めた。 遠い未来、自分の孫たちに自慢できるように 



第3話「宝の箱」


「ふん、バカみたい」

今日は情報バラエティのゲストとしてTV出演している月島きらりこと久住小春は思わず漏らした本音をマイクに拾われなかったか確かめる。

― うん、大丈夫だったみたいだね。 それにしてもこの元FBI捜査官ってバカじゃないの ―

透視能力で多くの犯罪者を摘発してきたという元捜査官は、番組に応募してきた視聴者が学生時代に埋めたというタイムカプセルの在り処の透視に苦戦中だった。

― っていうか、あんたが本当の能力者だっていうんだったら、何でもっと重大な事件を徹底的に解明しようとしないわけ。 たかがタイムカプセル一つ見つけらんないし ―

透視を依頼してきた二十代半ばの視聴者は現場で心配そうな表情を見せている。

― こいつもまだボケる年でもないでしょうに、何で埋めた場所を忘れるわけよ ―

~そうですか。 一年前の土砂災害で学校も被害を受けていますしね。 その時の災害で亡くなられた方が残したメッセージを何とかご家族の方に渡したいということでしたが~

― バカは私じゃん。 バラエティだと思ってバカにしてろくに説明も聞いてなくて ―

「すいませ~ん。 そこからもう10メートルぐらい川寄りの所、掘ってもらえませんか。 小春閃いちゃったんで」

バカなタレントが段取りを無視したといううんざりした空気がスタジオ中に充満する。
しかし、必要に食い下がる小春にバカ負けしたのか、現地に指示が下る。

次回 暁の戦隊第3話「宝の箱」 ― 私には何の価値もないガラクタでも、あの人たちにとってはかけがえのない宝箱なんだよね ―

中継先で沸き起こる歓声。 
探索の依頼者の目に光る涙。

「凄いですね、久住さん」
「エヘッ、実は小春もチョー能力者なんですよ」
おどけながら、宝箱の在り処を念写した紙でチーンと鼻をかんだ。



第4話「Fantasyが始まる」


リゾナンターのサブリーダー新垣里沙は僚友、リンリンを伴い東邦ネズミーランドにやって来ていた。
暫くの間、中国に戻ることになったリンリンとの思いで作りの一環と称してはいるが、自分の楽しみの為だ。

「とっても楽しい。 新垣さん、大好きデス」
「さゆと私、どっちが好き?」

リンリンを困らせながら、パレードを見物する為にメーンストリートにやってきた里沙は目を疑った。
ネズミーマウスの恋人や水兵姿のアヒル。 のんびり屋の犬にシマリスのコンビ。
ネズミーの友達がみんなみんな凍っているのだ。

― こんなことをするのは氷の魔女、ミティに違いないわ。 私の心のオアシス、ネズミーランドで暴れるなんて許せない ―

ネズミーランド一のアイドル、ネズミーマウスの無事を確かめるべく周囲を探索した里沙とリンリンはミティに追い詰められているネズミーを発見した。

「こらぁ、ミティ。 ネズミーから離れなさい」
「けっ、誰かと思ったら毎度おなじみの正義の味方のお出ましかよ」

悪態をつくミティを里沙は諭す。
世界中の子供のアイドル、ネズミーマウスに危害を加えては世界敵に回すことになると。

「何が世界の子供のアイドルだ。 こんなクソネズミ、中の奴が金の為に…」
「ネズミーに中の人なんて居な~い!!」

ネズミーの体は着ぐるみでも、その中には子供たちの夢と希望が集まっていると熱く語る里沙にミティは宣告する。

「なら守ってみな。 お前の力でガキどもの夢と希望ってやつを」

次回、暁の戦隊 第4話「Fantasyが始まる」 頑張れ、里沙。 ネズミーランドのファンタジーを守るのは君しかいない!



第5話「グルグルJUMP」


氷の魔女、ミティに凍らされた東邦ネズミーランドの愉快なキャラクターたち。
そしてネズミーランド一の人気者、ネズミーマウスにもミティの魔手が迫っていた。

「いつもより攻撃の威力が凄い」

― そう季節は冬、ミティの魔法の威力も増大していた ―

ネズミーを盾に里沙に攻撃を仕掛けてくるミティ。

「ガハハハ、逃げてばっかりじゃ、ガキどもの夢と希望ってやつを守れないぞ」

― こうなっったら ―

追い詰められた里沙に浮かんだ起死回生の策とは。

「リンリン、凍らされたみんなを解凍して。 あ、勿論焦がしちゃダメよ」

リンリンの起こした炎で氷から解放されたネズミーのお友達に里沙が語りかける。

「ねえ、みんなネズミーのピンチなの。 お願いだから力を貸して」

ネズミーの友達といっても所詮は着ぐるみを被った人間だ。 凶悪な氷の魔女に立ち向かおうとする者はおらず、みな逃げようとするが。

~♪僕らの愉快なリーダーは アメリカ生まれのネズミー、ネズミーマウス~

世界中の誰もが一度は聞いたことがあるネズミーマウスマーチを歌う里沙。 ネズミーの友達も耳を傾け(里沙の精神干渉にあやつられて)踊りだす。

次回 暁の戦隊 第5話「グルグルJUMP」 もっともっともっとグルグル ジャンジャンジャジャジャの全員ジャンプでミティなんかやっつけろ!



第6話「電話でね」


― これはヤバイ ―

パンダに獣化してダークネスの改造魔獣を撃退したジュンジュンはピンチに陥っていた。
獣化の際に服が破けて、着るものがないのだ。
一人で歩いているところを襲撃されたので、仲間に助けてもらえることは出来ない。
ぼろきれと化した自分の服、新聞紙やコンビニのレジ袋。
周囲に転がっているものを使って、体を覆おうとするが上手く行かない。

― もうちょっと髪の毛伸ばしておけば、ブラジャー代わりになったのにな ―

髪の毛で胸、腕で下半身を隠すというプランも実行できそうにない。
持っていた携帯は充電を忘れていたので、一度誰かにかければバッテリー切れになりそうだ。

― 高橋さんや田中さんはリゾナントがあるから頼みづらいし。 いや、知らせたらすぐ駆けつけてくれるんだろうけど ―

気立てのいいジュンジュンはリゾナントの経営事情を気にしてる。
足の負傷が完治していない愛佳にも知らせないことにしたジュンジュンは結局、同胞のリンリンに電話をかけることにした。

― 込み入った事情を説明するには同じ中国語を話すリンリンがいいよね ―

意を決して、リンリンの番号にダイヤルしたリンリン。
受話器越しに聞こえた声はというと。

「アハハハ、ネズミーや新垣さんがぐるぐるぐる回ってます。 ミティが吹っ飛ん…」 無情にもバッテリーが切れた。

次回 暁の戦隊 第6話「電話でね」 風のささやきが聞こえそうな静けさの中、携帯が握りつぶされる音が響いた。



第7話「元気ピカッピカッ!」


小春に1ヶ月間の生活費の額を競う芸能人節約バトルのオファーが舞い込んだ。

料理は愛とジュン子、節約の豆知識は愛佳に教わった。
万全の準備を終え、いざバトルに突入。

一進一退の展開が終盤まで続いた。。
対戦相手のお笑い芸人は、コップ1杯の水で身体を拭くという荒業で水道代を節約した。
残り5日目の段階で、5円のリードを許した小春。

「再度逆転されましたが、大丈夫ですか久住さん」

頑張りますとは言ったものの、年頃の女の子。
シャワーは毎日使いたいし、暖房だって……ピコーン!!
長い歴史には人類の知恵がある。

夜の闇に紛れて、対戦相手の部屋の電気メーターの前に立つ小春。
仕事先で調達したコードを繋ぐ。

― 私の【エレクトロキネシス】で発生させた電流でメーターを回転させて、電気代を上乗せすれば…勝った、この勝負貰った ―

ハイ・ボルテージ!!

次回 暁の戦隊 第7話「元気ピカッピカッ!」

電気ピカッピカッ! メーター振り切れ YEAH YEAH
百万ボルトの電流は対戦相手の部屋のメーターを吹き飛ばし、マンション全体のトランスを破壊して番組の収録も中止。
小春は事情を知った愛と里沙からお説教を喰らった。



第8話「愛しく苦しいこの夜に」


タクシー運転手の彼。
昼食は営業所で仕出し弁当。
19時半まで町を流し、夕食は駅前のラーメン屋。
食後ふと思い立ち、気になっていた喫茶店に入る。
趣味の良い店、マスターは若い女性。
コーヒーを頼み、マスターの仕事振りを眺めながらついまどろんでしまう。

3年間会っていない娘。
事業に失敗した彼。
借金の取立てを逃れる為、妻は家を出て行った。
娘の誕生日とクリスマスに贈っていたプレゼント。
来年からは送らないでくれという手紙。
元妻は新しいパートナーと入籍するという。

幸せに暮らしてくれるならそれでいいと思う。
でも一度ぐらい大人になった娘にお父さんと呼ばれてみたかった。

~お・とうさん

目を開ければマスターの笑顔。
テーブルの上には温かい湯気が上がるコーヒーカップ。
なぜだろう涙流れる 悲しいわけじゃないのに

次回 暁の戦隊 第8話「愛しく苦しいこの夜に」 こうしてまた一人、喫茶リゾナントの常連客が増える。



第9話「ALL FOR ONE&ONE FOR ALL!」


― う~、寒い。 あっ、氷の魔女を名乗ってるくせに寒いとかいうなってツッコミは無しな ―

リゾナンターの戦闘で腰にダメージを負った氷の魔女ミティは、ドラッグストアに湿布薬を買いに来ていた。
モバイルクーポンを使おうと携帯電話を取り出したとき、周囲を取り囲まれたことに気付いたミティは場所もわきまえず凄んだのだった。

「上等じゃねえか、てめえら。 束になってかかって来やが…」

ミティを囲んでいたのは、リゾナントの近くの幼稚園に通ってる子供たちだった。

― そういや、あの辺であいつらと戦った時、氷の矢の流れ弾が飛んでったっけ。 このガキどもはその時の文句を言いに来やがったのか ―

「さがしたよ、魔女さん。 これ受け取って~」

子供たちは自分で書いた賞状を読み上げた。

~魔女さん、今年の夏はたくさんの氷をありがとう。 とても冷たくて気持ち良かったよ。
 来年の夏もぼくたち、わたしたちがんばって節電するからまた氷を作りに来てね。 おねがいします~

次回、暁の戦隊第9話「ALL FOR ONE&ONE FOR ALL!」

― けっ、まあいくら世界を征服したって、肝心の世界がおじゃんになっちまってたら意味ねえからな ―

ドラッグストアを後にする魔女の首には園児たちが作ったメダル。
北風は冷たいが、心は何故か温かかった。



第10話「しょうがない 夢追い人」


ダークネスの戦闘員「俺」はドクターマルシェの開発した新薬の治験に志願した。

「これを飲んだ人間はねえ、もっふもふのパンダさんになるんだよ。 え、獣化? う~ん、意識は人間のままだから“獣化”じゃなく“変態”だね」

― もしもパンダの身体になったら、マルシェ様にもふもふしてもらえるかも、ムフフフフ ―

良からぬ欲望を抱き、変態薬を服用した「俺」は見事にパンダに“変態”した。
大喜びでタッチしてくるマルシェ。
有頂天になった「俺」はキラキラした瞳で町へ飛び出した。

「うふっ、まるで少年ね。 でも薬の効果は1時間で切れるってこと「俺」さんに言ってたかな、私?」

若いOLや女子校生とじゃれあって、至福の時を堪能した「俺」に破滅の時が迫る。
薬の効果が薄れてきて、段々と薄くなっていく体毛。

次回、暁の戦隊 第10話「しょうがない 夢追い人」 時間が過ぎたこと、あなたわかってるの?

露わになる全裸の「俺」の姿
悲鳴を上げる女性達、駆けつけた警官に「俺」はあえなく取り押さえられた。

「この変態め!」
「違う、俺は変態じゃない。 変態の実験をしたんだ」
「やっぱり変態じゃないか!」
「そうじゃない。 変態の薬を飲んで、変態したんだ」
「薬を飲んだだと。 よし尿検査だ」
「待ってくれ。 変態じゃない。 変態じゃない」

しょうがない夢追い人マルシェの研究は今日も続く



第11話「私の魅力に 気付かない鈍感な人」


「ぐっ」

負傷した足のリハビリのため、ウエイトを付けて公園を散歩していた光井愛佳は激痛が足に走り、うずくまってしまう。

― 何やこの程度で悲鳴を上げるなんて、ふざけんなやあたしの足 ―

「大丈夫ですか」

駆け寄って愛佳に手を差し伸べたのは、喫茶リゾナントの常連客の一人で愛佳とも面識がある間賀時夫だ。

「大丈夫ですからほっといてください」

いつもなら口にしないようなキツい言葉を口にする愛佳を間賀は優しく諭す。

「もしあなたのお仲間が怪我をして、あなたと一緒に行動できなくなったとしたら、あなたはそんな仲間のことを不甲斐ないやつだと思いますか」

ハッとして間賀の言おうとすることに耳を傾ける愛佳。

「あなたはそうは思わない。 仲間が早く復帰できるように仲間の分まで頑張って、帰りを待つでしょう。 あなたはそういう人だ」
「間賀さん」
「今、あなたがやるべきことは焦らないで、完全に怪我を治すことじゃないかと思います」

礼を言って公園を後にする愛佳を見送りながら間賀は呟いた。

「自分で自分の魅力に気付かないなんて案外鈍感な人なんだなあ」

次回 暁の戦隊 第11話「私の魅力に 気付かない鈍感な人」 ― でも愛佳ちゃんの胸、わっさわっさ揺れてたなあ、ムフフフ ― 
どんな時にもエロ目線は失わない、間賀時夫とはぶれない男だ



第12話「ブラボー!」


~お大事に~

薬局で受け取った薬の袋を手にしながら、亀井絵里は溜息を突いていた。

― わたしの病気、悪化はしてないけど、いつまで薬を飲まなきゃいけないのかな ―

リゾナンターとして戦う日々は絵里に生きる力を与えてくれた。
しかしその一方でいまだに病院に通わなくてはいけないという現実に少しだけ打ちのめされる。

― まあこの薬をちゃんと飲んでれば、何の問題もなくみんなと一緒に戦えるわけだし ―

物思いに耽っていた絵里の手から薬の袋が奪われた。 絵里は地面に倒れ伏す。奪ったのはというと…

「キャハハハ、カ~メちゃん。 ボヤッとしてると物騒だよ」

ダークネスの幹部の一人、矢口真里がミニバイクに跨りながら小者感丸出しの軽薄さで嘲笑っている。

「矢口さん。 返してください。 その薬がないと私…」  絵里は四つん這いの状態で矢口に手を差し伸べた。

「返して欲しかったら、オイラを捕まえるんだな。 キャハハハ」

走り去る矢口に呼びかける絵里。

「返してください。 返してよ。 …返せってんだよ、このドチビがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

両手を路上に置き、腰を上げて重心を前にかけるや、スタート!! ブラボー、ブラビシモ!! 見事なクラウチングスタートだ。
強烈なスタートダッシュで矢口との距離を見る見る詰めていく。

「おいおいマジかよ。 今時速40キロは出してるぜって、うわぁぁぁぁぁっ」

次回、暁の戦隊第12話「ブラボー!」 “風使い”絵里の疾走は突風を生んだが、そんなことなど気にせず突き進め!



最終回直前SP「青春コレクション」


ダークネスと戦う為に獣化した際に衣服を失ったジュンジュン。
このままでは露出狂の変態という汚名が広まってしまう。
廃ビルに一時身を潜め、大切な部分を隠す物を調達したジュンジュンだったが、ビニールの紐、割り箸、ガムテープ。
ビルの中に残っている物では、目的を果たせそうにない。

~ウワーッ、本当にいたぞ。 撤収、撤収!

遠ざかる人の気配、逃げていく複数の足音。

「ジュンジュン、何やってるの?」

目を丸くした小春が立っていた。
ジュンジュンは小春のコートを借りて帰ることになった。
肩を並べて歩きながら近況を話し合う二人。
超能力番組での活躍?が認められた小春は、幽霊が出るという噂の廃ビルをレポートしにやって来たのだという。

「ソレって久住サンの本当にやりたかったコトなんデスカ?」
「ジュンジュンなんかに何がわかるのよ」
「でも久住サンはあんなにモデルをやりたがってたじゃないデスカ」

― どっちも譲り合わずにケンカになったわWOO YEAH ― 

次回、暁の戦隊最終回直前SP「青春コレクション」

数ヶ月後、ティーンズ向けのファッションショー「青春コレクション」のステージを歩く小春の姿があった。
モデル業に専念した結果獲得した、たった三十秒だけのwalk。

「でも誰よりも輝いているダ」

ジュンジュンはひときわ大きな拍手を送った。



第13話「It's You」


「何か、世知辛い世の中になっちゃったわねえ」

道重さゆみは嘆いていた。
昨今の世相からか、町で見かけたカワイイ女の子に写真を撮らせて欲しいと頼んでも、断られることが多いのだ。
勿論、シャッター音を消すアプリを入れたスマフォで隠し撮りはするのだが、撮影することを知らせた上での硬い表情がたまらないのだ。

そんなさゆの目に一人の少女が目に止まった。
周りの女の子とはどこか雰囲気が違う、泥臭さと凛とした空気を同時に羽織っている感じ。

― 原石よねえ。 こんな子を一から育て上げていって私好みの美少女に育て上げて、そして、ああもうだめ ―

あらぬ妄想に耽っていたさゆみにその少女の方から声をかける。

「すいません。 この場所に行きたいんですけど。 私、今日広島から出てきたばっかりなんです」

少女の持っていたメモに書かれた場所への行き先を懇切丁寧に説明したさゆみ。
少女が固辞しなければ、手を繋ぎその場所へ連れて行きかねんばかりの勢いだ。

別れ際にさゆみは少女に写真を撮らせてくれるように頼む。
照れながら撮影に応じた少女に、ちぎれるぐらい強く手を振って別れたさゆみ。

― ぐふふ、お姉さんがいいことを教えても良いのよ ―

さゆみに背を向けた少女、鞘師里保は作っていた表情を消すと、「対象との接触完了」というメールを何処かに送信した。

次回、暁の戦隊 第13話「It's You」 ― 道重さゆみ、リゾナンター最弱の女、チョロいもんじゃけん ―

何かが蠢きだそうとしていた。