『禍唄の聲』


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悲しい事を色に例えた人は、何を思ったのだろう。
蒼なんて例えた人はきっと、この世界を皮肉なものだと思ったのだろうか。
灰色のままで、雲に隠されたままが良いと思ったのだろうか。

だってほら。

この世界の空は蒼だもの。
蒼い空を見上げてそれで悲しい色なんて、なんで思ったんだろう。
そこに在る光を例えた人も居た。

光は太陽。光は月。
光は…何を捉える?何を指す?何を…。

光に包まれるこの世界は悲しみに満ちているのか。
きっとそうなのかもしれない。
でも悲しい事を色に例えた人は、もしもその光を見たら何を思うだろう。

悲しいと思うのかな。
それとも嬉しいと思うのかな。
矛盾だけど、きっと、その矛盾さえも人間はどこかで愛している。

悲しみと嬉しさをただ愛して行く。

愛を叫んだ人は、全てを包んで、覆って、呑み込んで。
そう、きっと、それは闇だ。
闇は何も無いところから突然現れるわけじゃない。

何も無いところから生まれるものなんて何も無い。
虚無だ。
だから闇と光は隣同士。悲しみと嬉しさも隣同士。


隣同士で憎む事などあるのだろうか。
闇と光にそんな理由は一つも無かった。

 境界線を作るのはきっと、私達だから。

 人間が世界から盗んだ光と闇と、愛。

愛を叫ぶために、光と闇は何も無い場所を拒んだ。

何も無い場所に行くのが嫌で、寂しくて、苦しくて、辛くて。
それを知っているのはきっと、私達だ。
だから愛を叫び続ける。

愛を叫び続けて、泣いて、笑って、喚いて、喜んで。
きっとそんな矛盾を見て、色に例えた人は世界を見上げて思ったのだ。

悲しみを帯びた蒼。
小さな光に叫び続ける私達を笑うためじゃない、ただ、その存在を想う為に。

 「偽善者やな。人を殺す理由にしてはあまりにも子供やけど」
 「愛を叫ぶことを否定しちゃダメだよ。そのとたんに自分の存在理由が
 無くなってしまう、愛情、友情、共有し共鳴し合う者が必要なら
 それをちゃんと自覚しなきゃね」
 「自覚したら殺人を犯してもええんか!?
 自分の存在理由を主張するわりには他の人の命を犠牲するなんて
 矛盾するにもほどがあるわ」
 「矛盾こそが人間でしょ?同じ人間なのにあの子は好き、この子は嫌いなんて。
 どっちが子供なの?お母さんに好き嫌いはいけませんって言われなかった?」
 「矛盾の愛なんてそんなの、愛やないわ!」
 「じゃあ愛ってなんなの、この世界が認める、確固とした愛なんてあるの?」


 「究極のところ、信じるなんてものは自分で象った存在だけ。
 人を殺すという行為そのものが愛じゃないというなら、アンタ達が行っていることは何なの?
 ほら、これも矛盾。アンタ達が行っていることの方が矛盾だらけ」
 「うるさい!」
 「ほら、また蓋を閉めようとする。どうして隠そうとするの?仲間なのに」
 「あんたなんか、仲間やない…ッ!」
 「同じ名前を持ったのに、どうしてこお頑固なんだろうね。
 まあそれも自分の信じてる愛か、だから私、愛ちゃんのこと好きだったよ」
 「…ッ」
 「愛ちゃんそのものが矛盾した存在だったから、退屈しなかったよ。
 だから傍に居たってわけじゃないけど、愛ちゃんならきっと、この世界の
 矛盾に気付いてくれると思った」
 「……」
 「でも、結局愛ちゃんは自分の矛盾さえも隠して生きて来た。
 それは皆にも与えられ、いつしか動かなくなった。
 だから、私が動かしてあげる、もう静かな時間も終わりだよ」
 「―――!」

さあ目を開けて。矛盾する蒼い世界を見上げて。
愛は其処にはない、全ては自分の中に。

螺旋の道をただひたすらに人間は歩いて、走って、止まる。
ゴールの無い其処に救いも希望もないのなら。

 壊してしまえば良い。
 共有し、共鳴し合える者に出会うまで。

信じる愛はいつも其処にあるから。


 蒼い空には悲しみを。紅い空には喜びを。
 矛盾の中で染まれば良い。
 愛の中で混ざり合えば良い。

其処は混沌の世界。其処は矛盾の世界。其処は…。
光と闇は回れ、巡れ、廻れ。

  「木霊する悲しみよ、共鳴せよ」