『モーニング戦隊リゾナンターR 第16話 「千の刃」』(リライト)


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世界の破壊者高橋愛、その旅の終着点は何処?

【前回のまでの話】
フィフスの絆に導かれて、壊れゆく世界の紺野あさ美と新垣里沙を救いに駆けつけた高橋愛。
幾つもの世界を越えた代償は大きく、キメイラ獣の爪が愛に迫る。その窮地を救ったのは、突如現れた小川麻琴だった。
驚きを隠せない愛たちに決別を告げた小川は、保田の指示で「半分エスパー」の世界に赴き、真野恵里菜を仲間に引き入れようとする。
自らの能力“反射”を使い、真野のチカラで街を破壊することで、真野を闇に堕とそうとした。
こくえけんの職員で無能力者の高橋愛が小川の前に立ちはだかる。
「人は皆心に無限の可能性を抱いた半分エスパー」だと真野を守ろうとする高橋に対して、敵愾心を顕にする小川を制止したのは保田だった。
…一方壊れかけの世界で新垣里沙や紺野あさ美に別れを告げた愛は、「A」の操縦するジェットストライカー乗り込み、次なる世界へ向かおうとする。
馴れ馴れしい愛を座席ごと機外に射出した「A」は次なる世界の情報を確認する。
それは存在しないはずの「刃千史」の世界だった。

第16話 「千の刃」

「ガオーッ! 俺の名はカメゴン。 この世界を滅ぼしてやるぞ」

総合病院の小児病棟で、職員による人形劇が演じられている。

「アハハハ、正義の味方リンリンマン参上! 悪いやつはチョチョイのチョイとお仕置きアルよ」

正義のヒーローの活躍に目を輝かせる子供たちだったが、一人の子供が飛来するパラシュートを見つけて大騒ぎになる。
子供たちを落ち着かせて劇を再開することになった時、肝心の主役の姿が消えていた。
パラシュートでヘリポートに降り立った高橋愛を火球が襲った。 すんでのところで攻撃を避けた愛は、襲撃者の顔に見覚えがあることに気付いた。
その名はリンリン。 かつて愛が赴いた「水守の世界」で光井愛佳と行動を共にしていたリゾナンターの一員の筈だったが。
話をしようとする愛に対して、リンリンは攻撃の手を緩めず、文字通り火の出るような戦いが繰り広げられて…。

愛が屋上に降下した頃、院長室で頭をもたげたのは、愛と因縁浅からぬ小川麻琴だった。
胸を滾らせ屋上に出向こうとした麻琴を制したのは、長い髪の女。 院長の飯田圭織だった。
飯田はキャンバスに絵筆を滑らせながら、小川に自制を求める。 自分の計画は順調に進んでいると自信を覗かせながら。

愛とリンリンの戦いは、ミクという女の子の出現によって終了した。 ミクは人形劇の主役、リンリンを捜しにやって来たのだ。
戦いの気配を一瞬にして捨て去ったリンリンは、ミクと共に室内に戻っていった。

愛はリンリンを遠巻きに見守ることにした。
子供たちにぶら下がられ笑っているリンリン。 首にかけている医療機関用のPHSが鳴ると、病棟を出ていった。 その後を愛も…。
機械で加工された声と応対したリンリンは、廃棄物の収集室に向かい、カートに隠されていた拳銃を組み立てる。
そんなリンリンに愛が近づくが…。

「命拾いしたな。お前は緑炎執行の対象ではない」

聞きなれぬ言葉に愛は戸惑いを隠せない。
リンリンによると今名乗っている名は任務を果たす為に用意した偽名に過ぎない。
自分は千の刃を振るい、中国の歴史を影で動かしてきた結社、刃千史の緑炎執行人、蠍火であり、刃千史の正義の前に立ちはだかる反動分子を処断することが仕事だという。
その言葉に愛は違和感を覚えた。
リンリンはパンダを守る中国特務機関刃千吏の一員ではなかったのかと。
自分の知っているリンリンは、優しくておかしくて、いつもみんなを幸せにしていた、と。
そんな愛をリンリンは嘲笑うが…。

「バッチリです」

リンリンの口癖を何度も口にする愛。
仲間が困難を乗り越えた時、リンリンが「バッチリです」と言えば、喜びが何倍にも増えた。
危機に陥った時、リンリンの「バッチリです」を聞けば勇気が湧いてきてピンチを乗り越えられた。
その思いは伝わるはずだと願いを込めて。
しかしリンリンは部屋を出ていった。 任務の邪魔をすれば排除するという警告を残して。

院長室で入院患者のリストをチェックする飯田を小川が詰っている。
何も存在しない亜空間に高橋愛を誘い込んで、その存在を消去してしまうという飯田の計画はすでに破綻している、と。
「何も無いはずの世界に来てみれば、こんな世界が存在していた。 そして標的である高橋愛が現れたのに私は足止めを喰らったまま」
聞いてるのかよ、と飯田の胸元を掴む小川に対して飯田は“fragment” 「断片」を意味する英単語を告げた。
屈辱に顔を歪めた小川に対して飯田は告げる。 小川と高橋愛を戦わせないのには理由があると。

「私には未来が視えている。私のする全てのことに理由がある」 そう言って小川にある指示を下す。

清掃員の作業着を身に着けた小川が、広大な病院内の随所に飯田の描いた絵を飾っていく。
その作業の途中で愛の姿を見咎めた小川は、飯田の言葉も忘れて駆け寄ろうとするが、ミクとぶつかってしまう。
転げたまま泣くのを堪えているミクを助け起こした小川は、入院している病棟へと送っていくことにした。
無表情を装いながらも、時折柔和な目つきを覗かせる小川だったが、歩いているうちに頭が重くなり、立っていられなくなってしまう。

「かなり具合が悪いようね。 安静になさい」 

飯田が立っていた。
小川に車椅子を指し示すと、ミクを院長室に誘った。

「あなたがミクちゃんね。 丁度よかったわ。 あなたを捜してたのよ」

リンリンを見失ってしまった愛は病棟と病棟を繋ぐ回廊にさしかかっていた。
長い回廊の先に数十人のこどもたちの姿が見える。 愛が目を瞬かせると、子供たちの姿は一瞬にして消えた。 幻?
「世界の破壊者、高橋愛様。 院長がお待ちです。 院長室までお越しください」  アナウンスが回廊に響く。

そのアナウンスは小川にも聞こえていた。
「今のアナウンスは何です。 どうしてあなたが高橋と。 それにこの蜘蛛の糸のようなものは一体?」

小川が目にした蜘蛛の糸のようなものの正体は、飯田の思念を組み合わせて作り出したものだという。
殆どの人間にとって見えもしないし、何の害も与えない思念の糸は、能力者に対しては強力な結界を形成しうる。
小川に展示させた絵を媒介にして、病院中に結界を張り巡らしたと告げる飯田は、精神系の能力者ではない小川がここまで影響を受けるとは思わなかったと嘲笑う。
思念の糸を幾重にも纏う飯田の姿が小川には巨大な蜘蛛の化け物のように映った。

「この蜘蛛女がっ」 飯田に伸ばした手はエレベーターのドアによって阻まれた。

アナウンスを聞いた愛は院長室の前にやってきていた。
結界の存在や一瞬垣間見た子供たちの姿が愛を慎重にさせていたが、意を決すると扉に手をかけて…。

痛む頭を抱えながら小川は、以前に保田圭と交わした会話を思い出していた。
保田によれば飯田圭織もまた保田と同じく世界の破壊を防ごうとしているのだという。
戦闘力が皆無な飯田に同行して、その計画の手助けをするように命じた保田はこうも付け加えた。

「予知という超越俯瞰能力を持つ圭織は私たちには視えないものを視ている。 だから圭織の行動には気をつけなさい」

自分が飯田に出し抜かれたことは冷静に受け止めた小川だったが、信奉する保田圭を裏切ったことは許せない。
怒りに駆られて院長室のある最上階を見上げた小川の目に、同じように最上階を見上げる蠍火の姿が映る。
携帯に送られてきた標的の居場所ー院長室を見上げていた蠍火を飯田の伏せていた能力者だと思った小川は罵声を浴びせる。

「お前もあのイカレた占い女の手先か」

意を決して院長室の扉を開けた愛の目に、先刻目にした子供たちの姿が映った。
子供たちと対峙しているのは…愛だった。
どこか幼さの残る愛は子供たちと鬼ごっこを始めた。
愛の腕が子供たちの身体を貫くと、肉体の分子の糊化力が消失して、子供たちが消えていく。
幼い自分に向けて、やめてと叫ぶ愛だったが、殺戮の宴は終わることなく続いていく。

罵声を浴びせられたリンリンは小川のことを、標的の護衛の一人だと考えて、銃口を向ける。
動きを止めるために小川の足に向けて銃弾を撃ち込むが、軌道を逸れてしまう。
お互いの能力を掴みきれないまま、戦闘が始まった。

荒涼とした風景の中で二人の女が対峙している。
一人は高橋愛の旅の同行者「A」。 もう一人は保田圭。
異世界への過剰な介入を続ける保田を詰問する「A」。「A」が高橋に近づきすぎたことを揶揄する保田。

「しばらくメンテをしてないんでしょ。私が再調整してあげる」

時間停止を発動して、「A」に迫る保田。あと一歩というところで衝撃を感じる。
保田が超高速の時間を生きることで相対的に起こしている時間停止を、自分も超高速で動くことで打ち破ろうとした「A」がSystem「A」の“acceleration”モードを起動したのだ。
長期間メンテを実施していない「A」にとって、“acceleration”の起動はリスクが高すぎることを指摘する保田だったが…。
「不安を抱えているのはお互い様だろう」 「…そうね」
闇色の光が交錯する。

 ――続く――

【次回予告】
標的の居場所に向かおうとする蠍火の前に立ちはだかる小川。
すれ違う思い、交錯するチカラ。
「わたしがこのチカラで世界を救ってやるよ」「世界を変えるのはこの世界に生きる全ての人の力デス」
思念の蜘蛛の巣に囚われた愛は、飯田の超越俯瞰によって封印されてきた過去を追体験する。
「…わたし、楽しんでる。 あんなひどいことして笑ってる」
他の誰にも視えない未来を視た飯田は何を思う、そして愛を待ち受ける運命は?
「あなたはこのキャンバスに虹を描けるのかしら?」
次回モーング戦隊リゾナンターR 第17話「世界を変えるチカラ」
魂を燃やし、未来を照らせ!!